2010年3月 7日
棄憶~kioku~
青山円形劇場で芝居を観てきた。G-up presents「棄憶~kioku~」、男優7名によるほとんど会話劇。面白かった。2007年10月恵比寿のギャラリーSite にて初演された作品の再演(演出者は違う)。
【脚本】野木萌葱(パラドックス定数)
【演出】ノゾエ征爾(はえぎわ)
【キャスト】
里中恭輔(少将 副官):有馬自由(扉座)
日村紘一(大佐 細菌製造):佐藤誓
辰沢士郎(大佐 細菌製造):大内厚雄(演劇集団キャラメルボックス)
綾部和将(中佐 基礎病理):野中隆光(THE SHAMPOO HAT)
古志水徹(中佐 診療所):瓜生和成(東京タンバリン)
南端智秋(少佐 基礎病理):保倉大朔(unclejam)
塔山修二(衛生兵 教育部):清水優
この舞台に興味を持ったのは、実は青山円形劇場で上演されたから。今までここではダンス公演(おのでらんのマイム含む)しか見たことなくて、芝居だとどんな風に使われるんだろう、と。まあ、客席を半円分だけ解放して普通の小劇場っぽい設えだったが、セットが皆無で木の椅子を数脚と台を1卓、シーンごとに配置替えするというシンプルさが潔かった。
脚本の元々のタイトルは「731」だったそうで、これに「帝銀事件」(wiki)を絡めた内容と言えばわかる人にはわかるでしょう。私は調べて理解した。1960・70・80年代生まれの俳優さんたちが混ざっていたけど、それぞれ役に合った個性があって良いキャスティングだった。みなさん声がいい。滑舌もいい。硬派な芝居で、緊迫した状況でも台詞まわしに抑制が利いていて、深みが増す。男性ばかりの芝居の醍醐味かな〜。ノンストップで90分ほど、徐々に引き込まれていき最後は真剣に舞台にかぶりついてました。
淡々とした有馬自由さん、謎めいた大内厚雄さんの演技が印象的。ただし要は脚本のよさだったように思うので、野木萌葱氏・パラドックス定数という劇団に注目しておきたい。
1948年
第二次世界大戦から三年弱が過ぎたある日。
あの部隊に居た男達に一通の手紙が届く。
封筒の裏には「ここ」の住所と日時だけが記載されている。
差出人名無し。
その住所は旧陸軍軍医学校跡地。
現在は廃墟になった「ここ」に何故彼等は集められたのか。
・・・あの「棄憶」が蘇る。
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2010年2月28日
東京バレエ団創立45周年記念公演「シルヴィア」
東京文化会館で東京バレエ団の公演「シルヴィア」を見てきた。祭典枠の席だけど、ポリーナ・セミオノワのファンなのでそうでなくてもチケットは取ったと思う。と、ここで、1月のサラファーノフゲストの「ラ・シルフィード」がセミナーのため見られなかった(しかもチケットさばけなかった)ことを思い出して【暗】。まあ自分で選んだんだから仕方ないけど。今日はチリの大地震の影響で津波を警戒して運休した電車が多くて、東バの熱烈なファンの某女性が公演をあきらめたとTwitterで呟いていらした。こちらの方がお気の毒。
で、今回の公演。どうしても2008年のロイヤルの公演と較べてしまいますな。私が見たのはヌニェス&ペネファーザーの日だったけど、オリオンがソアレスという充実のキャスト。エロスのハーヴェイもかなり良かったし、これだけいいダンサーが揃った上アシュトンのお膝元のロイヤルが40年ぶりに復元したという話題の演目だったから、相当楽しめた。東バはチャレンジャーかなと正直思ってしまう。復元はロイヤルと同じニュートン氏だから基本的に「同じ」なんだけど・・・。
ポリーナは相変わらずの美女っぷり。テクニックが安定してるので、彼女が踊ると振付けが簡単に見える。色気がないタイプなのでアミンタに恋する前のシーンではちょっときつく見えたけど、エロスの矢を受けてからどんどん変わった。演技が身に付いている。私は彼女の姿勢の良さ、動きの機敏さ・シャープさが好きなんだけど、古典的なバレエにおいては線に情緒がないかなーと思う。余韻とかしっとり感とか。ザハロワ様が醸し出すような。3幕のお姫様風チュチュはめちゃくちゃ似合って可愛かったけど。
ゴメスは始めて見た。ブラジル生まれのイケメンで適度にマッチョな素晴らしい体をしているけど、アミンタって「いい青年」てだけで影の薄い役なので、せっかくABTから来てくれたのにもったいない感じ。むしろオリオンの方がキャラクターがはっきりしていて、印象に残るのだ。高岸さん良かった。
舞台装置、衣裳はベルリン国立バレエ団より借りたもの。2幕のオリオンの洞窟(オリオンは海の王じゃなくて悪しき狩人、彼がシルヴィアを閉じ込めたのは海底じゃなくて島の洞窟でした)のセットがちゃちな感じがしたけど、それより全体的に舞台が狭い感じで違和感があった。借りた装置が舞台に合わなかったのかな。衣装は可愛くできていたけど、エロスの全身タイツは評判悪かったようですね。ハーヴェイと後藤さんが同じ役を演じているとは思えなかったもの。
会場でもらったフライヤーに東バの8月の「ベジャール・ガラ」にニコラ・ル・リッシュの「ボレロ」が出るとあって、ちょっとびっくり。そろそろ次を考えて外に出てくるんでしょーか。私は見たいです。ついでに「ドン・キ」のゲストはシムキン君とのことで、チケット売れそうな感じ。
「シルヴィア」(全3幕)
振付:フレデリック・アシュトン
復元:クリストファー・ニュートン
音楽:レオ・ドリーブ
振付指導:クリストファー・ニュートン、アンナ・デリシア・トレヴィエン
◆主な配役◆
シルヴィア(ディアナのニンフ):ポリーナ・セミオノワ
アミンタ(羊飼い):マルセロ・ゴメス
オリオン(邪悪な狩人):高岸直樹
エロス(愛の神): 後藤晴雄
ディアナ(狩り、純潔の女神):高木綾
【第1幕】
シルヴィアのお付き:乾友子、高木綾、奈良春夏、吉川留衣、矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子、加茂雅子
【第2幕】
オリオンの女官:吉川留衣、河谷まりあ
奴隷:高橋竜太、岡崎隼也
【第3幕】
山羊:河合眞里-松下裕次
シルヴィアのお付き:乾友子、奈良春夏、矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子、加茂雅子、小川ふみ、二階堂由依
ケレスとイアセイオン:吉川留衣-梅澤紘貴
ペルセフォネとプルート:佐伯知香-平野玲
テレプシコールとアポロ:小出領子-長瀬直義
指揮:ベンジャミン・ポープ
演奏:東京ニューシティ管弦楽団
◆上演時間◆
【第1幕】 15:00 ― 15:45
【第2幕】 16:05 ― 16:30
【第3幕】 16:50 ― 17:25
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2010年2月11日
マニュエル・ルグリの新しき世界 Bプロ 2/7
ゆうぽうとホールで「マニュエル・ルグリの新しき世界 ルグリと輝ける世界のスターたち」を観た。
ルグリ×ギエム あの奇跡のペアが15年ぶりに復活!
ギエム、ルテステュ、デュポン、フォーゲル・・・魅惑の星々がルグリの新たな地平で踊る!
という大変結構なコピーがついている通り、オペラ座エトワールを引退してもなおバレエ界の大スターであるルグリが、堂々ギエムに現役エトワール2名を伴って打ってくれるガラ公演。さすがゴージャス。ダンサーは美形揃い。演目のラインナップは結構意欲的。
【第1部】
チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ Tchaikovsky Pas de Duex
振付:バランシン
音楽:チャイコフスキー
出演:ヘザー・オグデン、ギヨーム・コテ
名も知らなかったけど、若々しく美男美女なふたり。軽快さにやや欠ける気がしたが「魅せる」ことをよく心得た、優等生的なパフォーマンスだった。ナショナル・バレエ・オブ・カナダは最近シュツットガルトのイリ・イェリネクが移籍していったし、レベルの高いカンパニーなのだろう。
モペイ Mopey首の怪我で「アザー・ダンス」を降板したフォーゲルだが、ソロなら大丈夫ということだろうか、非常に軽快に筋肉の表情豊かに踊ってくれた。振付け自体痙攣が入っていたりしてユニーク。コンテンポラリー好きには親和性が高い。
振付:マルコ・ゲッケ
音楽:バッハ
出演:フリーデマン・フォーゲル
スリンガーランド Slingerland
振付:ウィリアム・フォーサイス
音楽:ギャビン・ブライアーズ
出演:アニエス・ルテステュ、パトリック・ド・バナ
昨年のバレエフェスでもルテステュ+マルティネスで見たが、変な演目。音楽も雰囲気もダンサーもよいのに古典バレエ要素が全体のバランスをくずす。チュチュとかパとか。いっそポワントも外してしまえばカッコいいのでは。
アザー・ダンス Other Dances
振付:ジェローム・ロビンス
音楽:フレデリック・ショパン
出演:オレリー・デュポン・デヴィッド・ホールバーグ
オレリーはAプロに続いて軽やかで素敵だったけど、昨年のNBAガラのアシュレイ・ボーダーに較べると動きの弾力性は今ひとつという感じで、彼女のキレイな顔ばかりうっとり見ていた。ホールバーグは意外と王子様イメージがなく、これは汗までよく見える舞台すぐ下の席に座っていたせいかもしれない。
優しい嘘 Doux Mensonges
振付:イリ・キリアン
音楽:モンテヴェルディほか
出演:シルヴィ・ギエム、マニュエル・ルグリ
バレエ鑑賞歴が短過ぎてルグリもギエムも生を見る機会があまりに少なかった。特にギエムは映像が残されていないので、全盛期の奇跡的なパフォーマンスは想像するのみ。それでもこのふたりの歴史的な邂逅、パートナシップの復活の場面に居合わせることに緊張したのか、幕が上がってずっと鳥肌が立ちっぱなしだった。ルグリはコンテもクラシックと変わらず美しく正確に踊る。ギエムは人間離れした直線で空気をやわらかく切り裂く。ある意味唯我独尊のふたりだけど、自分を曲げることなく相手と融合できるのは対等な組み合わせだから。・・・しかしギエムはローザスのアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルを連想させるような痩せっぷりで、色気がなさ過ぎる。ヨガとかに凝っているんだろうなあ。
【第2部】
マリー・アントワネット Marie Antoinette
振付:パトリック・ド・バナ
音楽:ヴィヴァルディ
出演・アニエス・ルテステュ、パトリック・ド・バナ
ルテステュ様万歳。高いテクニックだけでなく女優要素も見せつけ、抽象的なんだけど非常にドラマチックな演技を完遂してくれた。白く透けたレースのコスチュームから堂々とはみだした生足が、彼女の存在感を無言で強調する。ギエムの脚の方がまっすぐで美しいんだけど、ルテステュ様のオーラは彼女のすべてを、そして舞台全体を神々しく見せる。あ。バナもうやうやしく貫禄があって良かった。
ハロ Haloこの方のみフラメンコ・ダンサー。素敵な大判ストールを小道具に華麗にダイナミックに舞うのだが、ずっと同じことを続けるので後半飽きた。
振付:ヘレナ・マーティン
音楽:アラ・マリキアン、ホセ・ルイス・モントン
出演:ヘレナ・マーティン
ドニゼッティ・パ・ド・ドゥ Donisettei Pas de Deux
振付:マニュエル・ルグリ
音楽:ドニゼッティ
出演:上野水香、高岸直樹
うーん振付ルグリ?何かどこかが間違っているような。
「失われた時を求めて」から"モレルとサン・ルー" Les Intermittences du Couer (Morel & Saint-Loup)
振付:ローラン・プティ
音楽:フォーレ
ギヨーム・コテ、デヴィッド・ホールバーグ
肌色のコスチュームをつけたブロンドのホールバーグがまさに悪魔的に美しく、このイケメン2名によるデュオの妖しい魅力に酔った。ただし雰囲気で押してくるわけではなく、プティの巧みな振付けが観客を惑わせるのだ。パリ・オペの映像を持っているので暇を作ってじっくり鑑賞したい。
三人姉妹 Winter Dreams
振付:マクミラン
音楽:チャイコフスキー
出演:シルヴィ・ギエム、マニュエル・ルグリ
細身のドレスをまとったギエムは、「優しい嘘」とは一転して若々しく過去にタイムスリップした感あり。彼女はその気になればどんなふうにも変われるのだ。ルグリも軍服を完璧に着こなして、期待以上のエレガントさ。「三人姉妹」は前衛的な芝居を見たことがあるだけで物語のイメージを掴みにくく、さすが〜な二人の演技を受け身で鑑賞。大変結構でございました。
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2010年2月 7日
マニュエル・ルグリの新しき世界 Aプロ 2/3
ゆうぽうとホールで「マニュエル・ルグリの新しき世界 ルグリ×ド・バナ×東京バレエ団 スーパーコラボレーション」を観てきた。
ロビンズ、ノイマイヤー、キリアン、ベジャール…あらゆるスタイルのダンスを最高の形で表現し、巨匠振付家たちを魅了してきたルグリが、今、同世代の気鋭振付家に注目しています。パトリック・ド・バナ。ベジャール、ナチョ・ドゥアトらの薫陶を受け、欧州各地で活躍の場を広げている彼と、ルグリ、そして東京バレエ団との夢のコラボレーションが実現します!
新興バレエファンである私は、生ルグリを数える程しか見たことない。おととし東京バレエ団と「ジゼル」を踊った時など、もうすぐ引退のエトワールだし、ちょっとお疲れかな〜なんて失礼なことを思った(この時は不調だったらしく、続く大阪公演を怪我で降板した)。でも映像で見るルグリはこの上なく立派な、ノーブルな、エレガントな、成熟した、非の打ち所のないダンサー。コレなんて、もう世界最高峰のロミオでした。
で、期待は裏切られなかった。ルグリ本人のパフォーマンスだけでなく、舞台全体が出色の出来だったのだ。あんなに輝いている東京バレエ団を見るのははじめて。
「クリアチュア Creatures」(日本初演)
音楽:デム・トリオ(トルコの伝統音楽)、マジード・ハラジ、ダファー・ヨーゼフ
出演:オレリー・デュポン、フリーデマン・フォーゲル
奈良春夏、矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子、河谷まりあ
長瀬直義、井上良太、柄本弾、杉山優一、森川茉央
「ザ・ピクチャー・オブ・・・ The Picture of..」
音楽:ヘンリー・パーセル
出演:マニュエル・ルグリ Manuel Legris
誉めておいてアレだけど、すごい睡眠不足だったのでこの2演目は半分くらい朦朧としてた(汗)。シンプルで綺麗な舞台だったんだけど、それが心地よすぎたと言うか...。オレリーはバレエフェスで見た時のように重たい感じがなく、可愛らしい。映画「パリ・オペラ座のすべて」で芸監のルフェーブルがエトワールを指して「彼女たちはスーパーカーよ」なんて言ってたのを思い出したけど、そういうイメージを超越した、無垢で純真な雰囲気。この時すでにフォーゲルは首の怪我でBプロの「アザー・ダンス」降板が決まっていたのだけど、故障を感じさせない動きだった。体は十分張りがあって、逞しかった。
ルグリのダンスも気持ち良過ぎ!うっとりを通り越して、うとうと・・・(笑)。
「ホワイト・シャドウ White Shadows」 (世界初演)
音楽:アルマン・アマー
照明:高沢立生
装置:野村真紀
衣裳:髙井秀樹(stödja)
出演:マニュエル・ルグリ、パトリック・ド・バナ Patrick de Bana
吉岡美佳、上野水香、西村真由美
松下裕次、氷室友、小笠原亮、宮本祐宜、岡崎隼也、高木綾、奈良春夏、川島麻実子
梅澤紘貴、青木淳一、井上良太、杉山優一、中村祐司、吉川留衣、河合眞里、矢島まい、渡辺理恵、河谷まりあ
ルグリとバナが東京バレエ団のために作ってくれた作品。ですよね。素晴らしかった。音楽だけでなく衣装や照明もスタイリッシュで神秘的、想像をかき立て、身を乗り出させる。1時間ほどの舞台の間、固唾を飲んでステージを見つめ続けた。気の散りやすい私が。メインはルグリと西村さん、バナと水野さんのペアにほとんどソロで動く吉岡さん。ルグリとバナは同じ振付けを踊ってもまわりの空気が違って見える。ルグリの動きは完璧で綺麗に音楽の一部と化すけど、バナは音楽の中から腕をのばして世界をかき回す感じ。バナの方がちょい顔が大きいので、存在感があるな。バナの振付けだし。でもルグリ、破綻のないエレガントさが身上と思っていたけど。コンテンポラリーの、バレエのお約束を飛び越えた刹那的なムーブメントにちゃんと乗っている。と言うかルグリがムーブを作り出しているように見える。伊達にパリ・オペのエトワールじゃなかったんだなあと、感心する。むしろ引退して幅が出てきたのだろうか。クライマックスのルグリとバナのデュオだけ、濃すぎるのか息苦しさを感じた。
しかしこの舞台の中心は吉岡さんだった。すごいねー、彼女。ジゼルの憑依ぶりは怖いくらいだったけど、この演目ではその集中力、そしてタフさが輝いていた。吉岡さんだけほとんど舞台を降りない。舞台の後ろで、隅っこで、何かに取り憑かれたように虚空を見つめて蠢いている。永遠の彷徨。ふつうに踊ってもまた良し。テクニックも持っているから。ありがちな、バレリーナ臭がない。女性のコンテ・ダンサーも時々見ているけど、比較しても彼女ピカ一。まあ、この演目に限って言えば。この人は日本の女性ダンサーの中で、一番かもしれないと思った自分にびっくりだ。振付けに恵まれれば、今以上にデキる人なのでは。
というわけで、細かいことは割愛するけど、今までに見てきた東京バレエ団の公演の中で最も優れた作品だったと、個人的には思う。ルグリはクリエーター(プロデューサーか)としての能力も素晴らしい。
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2010年2月 1日
今月の舞台鑑賞予定
雪!が降ってます・・・
寒いからではなく、最近チケットは厳選して取っているので今月の舞台鑑賞予定はこれだけ。祭典枠のみ。
・2/3 マニュエル・ルグリの新しい世界Aプロ
・2/7 マニュエル・ルグリの新しい世界Bプロ
・2/28 東京バレエ団「シルヴィア」セミオノワ&ゴメス
昨夜はネットでローザンヌ国際バレエコンクールのfinal中継をつらつら見ていたので、すっかり寝不足。でもブログ書きながらだったので、あとでこっちを。
DVDレコーダーを買った。長い間TVから離れて生活してたので、どうやって見るのかすらわからないけど、て言うか録っても溜めておくだけって気がするけど。なんか人並みのバレエファンになれた気がする。
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2010年1月27日
「私が踊るとき」珍しいキノコ舞踊団 1/22
世田谷パブリックシアターで待望の「珍しいキノコ舞踊団」の公演「私が踊るとき」を観た(1/22-25)。乗越たかおセンセイの本で度々紹介されいていて、すごく興味のあるダンス・カンパニーだったんだけど、なかなか見る機会がなかった。2年ぶりの新作だそうですね。なるほど。
振付・構成・演出:伊藤千枝
演出補:小山洋子
出演:山田郷美・篠崎芽美・茶木真由美・中川麻央・梶原未由・伊藤千枝
このカンパニーは日本大学芸術学部に在籍していた伊藤千枝さん、小山洋子さんに山下三味子さんが加わって、1990年にに結成されたそう。乗越センセイの名著「コンテンポラリー・ダンス徹底ガイドHYPER」によれば「次第に盛り上がってきた新しいダンスの波......〈H・アール・カオス〉、〈レニ・バッソ〉、〈山崎広太〉らの中でも、彼女たちは異彩を放っていた」とか。えっ、どんなふうに?
上記の本の170〜173ページあたりに乗越センセイの鋭い評が載っているので、興味ある方は買って読まれること(ど〜してもというお友達にはお貸しします)。私は今回の公演を無邪気に楽しんじゃったので、考察ぽい感想は一切なし。とにかく可愛かった。ポップでキュートだった。TwitterのTLも一部そんな感じで盛り上がっていた。
意外だったのは、みなさんかなり「踊れそう」なこと。幕開けは伊藤さん以外のダンサーが舞台で様々な(ダンスっぽい)ポーズをとって、マネキンのように静止していた。かなり長いこと。気づいたらじりじりと動いていて、いつの間にか体勢が変わっていたんだけど、ああいう演技はプロのダンサーでないと無理。衣装はめちゃキュートだけどなかなかハードな振付けだなあと見ていた。展開はめまぐるしくて、シーンもセットもどんどん変わる。懐かしめの曲を使うのは、井手茂太さんに似てるかな。セットも音楽も振付けも愛を語る設定なのにガールズトークを繰り広げるシーンは笑った(キノコじゃ安定した生活はのぞめないのね)。2パターンの一組目がとてもうまかった。クラシック・バレエの音楽も使っていて、そういう時の振りはちょっとお澄まししてる感じ。みんなよく踊っていて、ダンサー6人には見えなかった。倍くらいいるような気がした。
これは珍しいキノコ舞踊団 × plaplax 「The Rainy Table」のCM映像。もっと見たいな。
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2010年1月26日
ブベニチェクとドレスデン国立歌劇場バレエ団の俊英たち 1/24
さいたま芸術劇場で「ブベニチェクとドレスデン国立歌劇場バレエ団の俊英たち」という現代バレエの公演を観た。
ノイマイヤー、キリアン、フォーサイスに続く次代の振付家イリ・ブベニチェクと注目の新生ドレスデン国立歌劇場バレエ団選抜ダンサーが集結。
若手のやる気満々が伝わってくるいい公演だった。ドレスデンのダンサーなんて、こういう機会でもないとなかなか見られないのでは。
イリ・ブベニチェクはドレスデン国立歌劇場バレエ団のプリンシパルで若手振付家としても活躍。NYCB、チューリッヒ・バレエ、ハンブルク・バレエなどに作品を提供している。彼のことはエトワール・ガラ2008 Aプロで見てた(Bプロは行けなくて、今回の3演目目の一部である「カノン」は見られなかった)。元々はハンブルク・バレエで双子のオットーと共にプリンシパルをつとめていた。オットーは今もハンブルクに在籍、来日公演の「人魚姫」で海の魔法使いを演じたのを見てる。作曲家でもある。才色兼備の兄弟だ。貴族的な顔立ちと厚みのある強靭な肉体、切れのある動き。ヨーロッパのダンサーらしく、個性がはっきりしてて魅力的。
本日の演目は3つ。「辿り着かない場所 」は振付けがシャープで最初は息をのんで見守っていたけど、音楽が抽象的で反復的な動きが多く、後半は集中力が途切れた。「ステップテクスト」はさすがフォーサイス、4人のダンサーで舞台を完全に掌握していて美しい出来映えだが、初演は84年だからどこか新鮮味に欠ける。女性ダンサーがポワントなのも、何となく古い。エレナ・ヴォストロティナは柔軟で素晴らしかったけど。ところで彼女、髪型で損してない?美人なのにそう見えない。秀逸だったのが「魂のため息」。バックに巨大なレオナルドの画の映像を使っているところがまずズルい。後ろにヨハネがいたら、だれだって妖しい気持ちになるでしょう。衣装は「ル・パルク」の解放のPDDみたいな白いブラウスだし(いやもっとシンプルだけど)音楽はバロックだし、髪の長い女性ダンサーは皆シニヨンに結っているから頭が小さく見えてとても綺麗だし、明るくて品が良い。同調しやすい振付け。イリとオットーのデュオが興味深かった。その他のダンサーも皆持ち味を出していていい感じ。特にイシュトヴァン・シモン君、やや長めのクルクルの髪や笑顔が天使のようで、滞空性のあるしなやかな動きが素敵!ファンになりそう。同じくコリフェのクラウディオ・カンジアロッシ君も可愛かったな。あとファースト・ソリストのカテリーナ・マルコフスカヤは小柄で小顔で可憐!浅見紘子さんもコリフェながら切るような動きを見せて、なかなか身体能力高そうで感心した。
■辿り着かない場所 Unerreichbare Orte(日本初演)(2005年/ハンブルク・バレエ団)43min
振付:イリ・ブベニチェク
音楽:オットー・ブベニチェク
美術:イリ・ブベニチェク
衣装:エルザ・パヴァネル
出演:オットー・ブベニチェク、エレナ・ヴォストロティナ、ギィ・アルブイ、ドゥオシー・ジュウ、カテリーナ・マルコフスカヤ、ヨン・ヴァイェホ、浅見紘子、イシュトヴァン・シモン、スヴェトラーナ・ギレヴァ、ラケル・マルティネス、大石裕香、オレグ・クリィミュク、クラウディオ・カンジアロッシ、ドミニク・ストロブル
■ステップテクスト STEPTEXT ドレスデン国立歌劇場バレエ団 "特別ヴァージョン"(2004年)27min
振付:ウィリアム・フォーサイス
音楽:J.S.バッハ『シャコンヌ』
美術・照明・衣装:ウィリアム・フォーサイス
出演:エレナ・ヴォストロティナ、イリ・ブベニチェク、オレグ・クリィミュク、クラウディオ・カンジアロッシ
■ル・スフル・ドゥ・レスプリ―魂のため息― Le Souffle de l'Esprit(日本初演)(2007年/チューリッヒ・バレエ)27min
*最後のパートは、『カノン』として「エトワール・ガラ2008」にて上演された
振付:イリ・ブベニチェク
音楽:ヨハン・パッヘルベル「カノンニ長調」、J.S.バッハ「G線上のアリア」、ロマン・ホフステッター「弦楽四重奏ヘ長調5番」、オットー・ブベニチェク「天使の到着」「サイレンス」「天使の出発」
舞台装置&映像製作/衣裳:オットー・ブベニチェク
照明デザイン:マルタン・ゲバー
出演:イリ・ブベニチェク、オットー・ブベニチェク、ヨン・ヴァイェホ、ギィ・アルブイ、カテリーナ・マルコフスカヤ、エレナ・ヴォストロティナ、スヴェトラーナ・ギレヴァ、ドゥオシー・ジュウ、ラケル・マルティネス、浅見紘子、オレグ・クリィミュク、クラウディオ・カンジアロッシ、イシュトヴァン・シモン
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2010年1月25日
METライブビューイング「トゥーランドット」
正式にはThe Met ropolitan Opera HD LIVE MET LIVE VIEWING 2009-2010というが、東銀座の東劇でMETライブビューイング「トゥーランドット」を観た(1/22で上映終了)。
世界最高峰のオペラハウス、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(MET)で行われている最新のオペラ公演が、世界各地の映画館へ配信され、お近くの映画館の巨大スクリーンで楽しめるという新しいエンターテインメント。全米とヨーロッパは現地と衛星同時中継!
ライブオペラといえばおととしはLivespire UKオペラ@シネマという企画でロイヤル・オペラ・ハウスで上演された「カルメン」を観た(感想)。この時は曲に対する予習は一切していかなかったけど、今回は違う。2週間ほど前から、短期集中で古い録音のCDを聴きこんでいた。もちろん全曲は無理なので、有名なアリアだけ。楽曲に耳が馴染んでいると、音を「追う」より「待つ」感じになって演技に集中しやすい。
Puccini: Turandot
Bonaldo Giaiotti 
ニルソン、コレッリ版
結局MET観賞後もこのCDを繰り返し聴いているので、歌声の印象は再上書きされてしまっているのだが、今でも豪華絢爛な舞台を見た充足感でいっぱい。
指揮:アンドリス・ネルソンス
演出:フランコ・ゼフィレッリ
出演:マリア・グレギーナ(トゥーランドット)、マリーナ・ポプラフスカヤ(リュー)、マルチェッロ・ジョルダーニ(カラフ)、サミュエル・レイミー(ティムール)他
演出のフランコ・ゼフィレッリは元ルキノ・ビスコンティの助監督で、近年はオペラの演出家として世界中で活躍しているという。新国立劇場の「アイーダ」も彼の演出とか。これは見たい。なにしろ、オペラはかくあるべしという期待を裏切らない、華やかで美麗な衣装や舞台装置で観客を魅了してくれる。私のお気に入りは2幕はじめのピン・ポン・パンの居室。エキゾチックな室内装飾が、細部にいたるまで美しく見事だった。宮殿の広場。面を被ったピン・ポン・パンの影武者のような3人組が、狂言回しとして踊りなどで活躍するのだが、皇帝に家臣に民衆と舞台に人が溢れかえっている中、彼らの赤をふんだんに使った派手な衣装が舞台のアクセントとなっていた。物量だけで迫ってくるのではなく、非常にアーティスティックな演出。
それにしても、「トゥーランドット」って実によくできた物語だと思う。トゥーランドットとリューの両極端なキャラ作りが功を奏している。トゥーランドットが頑なであればあるほど事態が絶望的に思えて、リューの犠牲が必然的なものに思える。リューが献身的であればあるほど彼女の死が重く受け止められ、あのラストに納得できるのだ。観客心理をばっちりつかんだ、シェイクスピア並みの巧さ。
MET出演の歌手はさすがだった。まだオペラを聞き慣れていないのでそうとしか言えないんだけど。アメリカ...オペラ...で思い出したこの小説を再読することにした。
われらが歌う時 上
リチャード・パワーズ 
われらが歌う時 下
リチャード・パワーズ 
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2010年1月19日
キャピタリズムとトータル・エクリプス、ついでにアバター
最近忙しくてブログ書く時間がなかったので、まとめてメモ。
先週マイケル・ムーアの新作「キャピタリズム〜マネーは踊る〜(Capitalism:A Love Story)」をみた(公式サイト)(映画のサイトって重くて野暮)。前売り券をもらったから行ったんだけど、ネタが金融危機とかサブプライム問題とかなのでついて行けるかなーと思っていたのに反して、とてもわかりやすくて面白かった。ムーアの訴えが素直にストレートに伝わってくる。これはすごく大事なこと。過激な監督と聞いていたけどとんでもない、老練な人じゃないかと思った。画面にしゃしゃり出てきて自分の父親と語らうわ、突撃インタビューはもちろん大企業のCEOを市民逮捕しようとするわ、型やぶりではあるがそれはすでに彼の作風。彼の他の映画はみたことないのですが。お約束というのは新鮮味はないけど悪くないものである。それにしても食糧補助券を受給しなければならないほどパイロットの年俸が安いとは・・・アメリカ・・・。若者はすでに社会主義を知らず、選挙戦でオバマを社会主義者呼ばわりしても支持率低下につながらなかったというくだりなども面白かった。それって単なる世情だけど、そういうエピソードの組み合わせ方で映画が生きてくるわけで、ムーアのセンスの良さがあらわれている部分だ。
翌日みたのが横浜美術館で開催中の束芋展の企画、「トータル・エクリプス」。束芋さんが下北でみて、非常に影響を受けたという芝居の再演。
豊田商事会長刺殺事件をモチーフに作り上げられた呪術的会話劇。
と言われるとぞくぞくするが、実は先だってあったダンス公演の単独チケットが取れなかったので仕方なくダンス・演劇・展覧会のセット券を買っただけ。まあ後からこの公演の日限定で束芋さんの新作映像が見られると聞いて小躍りしたのだが、ダンスの時のように舞台背景に映像が投影されるわけではなく、ホワイエで流すので見ておいてくださいねーという形式だった。はじめに芝居ありきなので幕中に束芋さんの世界が隠れているわけではなく、束芋さんが共感を憶えた部分を探す、という感覚で舞台鑑賞。んー、多分具体的なイメージではなく、演出手法が興味深かったのはないかしら。marcoさんのおっしゃるように俳優の滑舌が悪く台詞が聴き取れないところがあったのはしょぼかったが、大阪弁の響きの強さやひとりの役者の中でするすると入れ替わる役柄(演出者いわくレイヤー)や時折見られるスローな群舞のようなパフォーマンスは刺激的だった。1時間という短さの割に最後の方は飽きてしまったけど。個人的には前日に見た「キャピタリズム」がアメリカの、この芝居が日本の資本主義(拝金主義)をシニカルに描いているという偶然を楽しんだ。舞台の真ん中に赤いドアが設えてあるところで去年のマリインスキー・バレエの「イワンと仔馬」を思い出したり。ま、あんまり集中していなかったわけだ。
映画と言えば話題の「アバター」は年末3Dで観た。先鋭的なSFかと思っていたら単なるスペース・ファンタジーだったのでちょっとつんのめったが、映像の素晴らしさは空前絶後。惑星パンドラの植物や動物のキャラクターデザインが素晴らしく、古川日出男さんの小説「13」を思い出させる鮮やかさだった。あれは一見の価値あり。
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2010年1月10日
レニングラード国立バレエ「バヤデルカ」1/6
オーチャードホールでレニングラード国立バレエの公演「バヤデルカ」を観てきた。
芸術監督に専念し、「古典はもう、踊らないだろう」と語っていたルジマトフが沈黙を破り、日本のファンのために特別に踊る!!!
ニキヤ(バヤデルカ) :イリーナ・ペレン
ソロル(戦士) :ファルフ・ルジマトフ
ガムザッティ(藩主の娘) :オクサーナ・シェスタコワ
大僧正:ニキータ・ドルグーシン
ドゥグマンタ (インドの藩主) :アレクセイ・マラーホフ
※詳しい配役
私はマールイ芸監以前のルジマトフを知らないし映像を見たこともなくて、「ルジマトフのすべて2008」公演で密かに「押し出しはいいんだけどあまり動かないおっさん」と位置付けていた。いやすごいダンサーとは聞いているけど、すでに46歳、こんなものでしょうと。すみません〜。完全に見誤っていました。彼は並のダンサーではなかったです。ラ・バヤデールを生で見たことなかった故に楽しみにしていた公演だったけど、フタを開けたら想像以上にゴージャスな内容で、大変に満足。
悲恋ものは好きでないので手持ちのDVDを通して見たことはなかったけど、バヤデルカのあらすじはバレエブログによく出てくるので知っていた。要はお嬢様ガムザッティが戦士ソロルに横恋慕して舞姫ニキヤを陥れる、という陰険な三角関係の物語(もひとりいるけど、彼については後ほど)。美しいヒロインが毒殺されるなんて、後味悪そうですよね。ね。それが何と・・・。配役により、感情移入のベクトルがガムザッティに向いてしまった。元々シェスタコワファンなので、仕方ないのかもしれないけど。
ペレンはガラで見たことあったけど、惹かれなかったダンサー。美人は好きなんですけどね。スレンダーで踊りが正確で、腕のしなり方なんかにエキゾチックな味付けをしてきてた。でも、やっぱり見てて退屈。清純・可憐・神性といったニキヤに私が求めるイメージを体現してくれてないのだ。ガムザッティとの対決シーンではあまり傷ついたふうに見えなかったし、同情されにくいキャラなのではないか。音の取り方も悪くないのだけど、大技になると役を忘れて動きがアクロバティックになる感じがした。
一方のシェスタコワ様は、とにかく可愛らしい〜。1幕のヘソ出しコスチュームでは衣装係さんが調整を誤ったようでおなかが少々たるんでいたけど(3幕の赤の婚礼衣装はぴったりだった。ウェストもすっきり。)、縦巻きロールの似合う品のよいお姫様として登場。とにかく彼女は一挙手一投足が優美で、目を楽しませてくれる。PDDもペレンとルジマトフより、シェスタコワとルジマトフの方が華やかに感じる。ソロルに対する愛情を素直に表現し、愛しているのだからニキヤに迫るのも当然、と思わせる演技力。ニキヤに別れないわよと言われて傷ついた表情、手を差しのべたくなったわ。まあ舞台の端から端までのピルエットとかの力技はペレンの方が得意そうだからこのキャスティングに文句はないけど、やはりマールイのトップはシェスタコワなのだと思う。
ルジマトフは素晴らしかった。目をふせがちでほとんど演技してないように見えるけど、「私に小芝居は必要ないんだよ」って感じの貫禄。2幕のヴァリエーションはカットされていたそうで、どうりで盛り上がりが少ないと思ったけど、そこはシェスタコワのオーラがカバーしてたし。それでもルジマトフがちょっとでも大きな動きを見せるとそれだけで舞台の空気が動いて、何かが伝わってくるから不思議だった。3幕のヴァリエーションは夢のように素敵。全盛期に較べればテクニック的なレベルダウンは必至なのだろうけど、バレエ的造形美は全然損なわれてない。彼ほど美しいダンサーを、私は知っているのだろうかと思いながら見た。ジャンプするとすごく大きく見えて、そんなに長身だったっけと、周囲の男性ダンサーと見くらべたほど。
振付・演出自体「バヤデルカ」は派手で楽しい。婚約式での、あれは「太鼓の踊り」?これがロシアバレエかという明るく突き抜けたダンスは壮快だったし、何より初体験の「影の王国」にひたすら感動した。噂には聞いていたので舞台全体に目が行き渡るように2F席の最前列を取っていたのだけど、32名の精霊のアラベスクは荘厳で、言葉を失う美しさ。これぞ群舞の極み。「白鳥」とどっちが好きか、これからずっと悩みそう。
主役以外のキャストでは断然大僧正が目立っていた。ニキヤへの劣情で煩悩まみれの、アクの強い顔の人。ほとんど表情だけで演技できているので、すごいなー、顔を作るのもダンサーの技かと感心していたら、ドルグーシンてバレエ・マスターなんですってね。ナタリア・マカロワのパートナーとしても知られた往年の名ダンサーとのこと。実はこの日シェスタコワが出演することすら知らずに出向いた私だったのだが、キャスト運はめちゃくちゃ強かったのだと、後から気づいた。
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2010年1月 4日
1月の舞台鑑賞予定
本日仕事初め。朝定時に家を出たら真っ暗で、風が冷たくて「無理・・・」と思いながらうだうだと出勤。でもま仕事はヒマだし休息は足りてるし、なんてことはなく1日は終わった。今年の目標。舞台は厳選。ブログの更新頻度を減らして読書や映像鑑賞に時間を費やす。好きなことを「濃く」楽しみたい。
・1/3(日)レニングラード国立バレエ「白鳥の湖」@東京国際フォーラム(済)
・1/6(水)レニングラード国立バレエ「バヤデルカ」@オーチャードホール
ルジマトフが踊る最後の全幕「バヤデルカ」。てことで。
・1/22(金)珍しいキノコ舞踊団「私が踊るとき」@世田谷パブリックシアター
1度は見てみたいと熱く思っていた珍しいキノコ。合うかなあ。
・1/24(日)ブベニチェクとドレスデン国立歌劇場バレエ団の俊英たち@さいたま芸術劇場
ハンブルク・バレエと関わりの深いブベニチェク兄弟に期待♪
セミナーに行くので17日の東バ「ラ・シル」(サラ)とレニ国「眠り」(シェスタコワ)はチケット手放すことに。ってこのふたつすでにダブルブッキングでしたが。本当は新国立ザハロワ様の「白鳥」が本命だった(まだ未練・・・)。
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2010年1月 3日
レニングラード国立バレエ「白鳥の湖」1/3 ソワレ
東京国際フォーラムAホールでレニングラード国立バレエの公演「白鳥の湖」を観てきた。お正月三が日から生オケで生バレエを見られる幸せ。
オデット/オディール:オクサーナ・シェスタコワ
ジークフリート :アルチョム・プハチョフ
ロットバルト :ミハイル・ヴェンシコフ
王妃:ズヴェズダナ・マルチナ
家庭教師:アレクセイ・マラーホフ
パ・ド・トロワ:アナスタシア・ロマチェンコワ オリガ・ステパノワ アントン・プローム
※詳しいキャスト
ちょっと広過ぎるホールだけど、中央ブロックのまあ前の方の席で、まったりと。シェスタコワとプハチョフの白鳥は3年連続で見ております。バレエファン歴も3年目となると好きなダンサーやカンパニーがなんとなくできてくるけど、見始めた当初はとにかくやみくもにチケットを取っていた。白鳥は日本人受けする演目なので結構見ているけど、琴線に触れるオデットってなかなか出会えないもの。しかしシェスタコワのみせる成熟した女性の優しさには、ひとめぼれだった。
先々月に見たマリインスキーでは、若きスター、ソーモワと白鳥のコール・ドのダンサーと、たたずまいはあまり変わらなく見えた。マリインスキーのダンサーが余程優秀なのかもしれないが、しかしシェスタコワが登場すると、マールイのコール・ドが途端にぎこちなく見えてしまうのはなぜだろう。二の腕など私の好みからすると微妙に太めで、女性らしいと言えばそこに落ち着くけど彼女のプロポーションは決して理想的ではない(と思う)。プリマのオーラと言えばそれまで。いや違う。たゆみない努力が彼女を美しく見せているのだ。
ポワントで立った時の体の伸び。きっちり6時の開脚。印象的なアラベスク。ひとつひとつのポーズが美しく決まるのはもちろんだが、私が好きなのは一連のパが終わる直前の、スローな動き。最後の最後まで指先に神経を配って、とても優雅な軌跡を描く。音楽性の高い人なので、音に合わせて素速い動きを見せることもあるが、余裕の持てる時は極力丁寧にポーズを終息させる。訓練によって、全幕通してコントロールのきく強靭な体を保っているのだろう。しかし決してアスリートみたいなダンサーにはならない。それがシェスタコワの余裕。
グラン・フェッテなんかはダブルが最初の方で入ったくらいで今の一流ダンサーのレベルに較べるとやや見劣りがする。体が重いかなと感じる時もある。でも表情を含め情感あふれたシェスタコワの白鳥は、バレエを見る悦びを私に降りそそいでくれる。彼女のオデットはとてもたおやか。人間臭くはないけど、愛情深さやか弱さが見えてとても女らしい。オディールは陽性、悪い女にはなり切らない、本人の性格の良さを勝手に感じている。
ということで他には特にないのでシェスタコワ賛歌になってしまったけど、楽しい公演だった。トロワも良かったし民族舞踊も元気があった。プハチョフはイケてないしよく存在を忘れてしまうけど、ブリゼなんか教科書のように綺麗に決めてくれて実は信頼するダンサー。しかし3年連続同じキャストで同じ演目を見るというのもどうか。と考えなくもない。
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2009年12月30日
2009年 舞台ベスト10
今年はバレエを中心に相当数の舞台を見たつもりだったけど、ブログをさかのぼってみると「これが素晴らしかった!」と強調したいような体験は意外と少なかった。コンテンポラリー・ダンスのジャンルが全滅に近い。好みが相当コンサバになってきたのだろうか。
1.ニューヨーク・シティ・バレエ2009
5年ぶりの来日公演。の割にあまり騒がれていなかったみたいだけど、コンテンポラリー・バレエが好きな私には直球ど真ん中。こういうバレエを探してたのよ!て感じ。見た順に、Bプロ(感想)はラトマンスキーの新作のチャーミングさと、「バレエ・インペリアル」として知られているチャイコン2番の理知的なフォーメーションと音楽との融合に感動。Cプロ(感想)はロビンス×ショパンという組み合わせも意外と良かったが、バランシン×ストラヴィンスキーの「シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメント」が突き刺さるように鮮烈で...。涙。最後のAプロ(感想)はNYCBの代表作ばかり、映像で見られる演目が多いが、現在のダンサー達によって大切に守られているんだなあと胸が熱くなることしきり。NYCBはバランシンの遺産を中心に素晴らしいレパートリーを持っている。ダンサーはバランシン・バレエを体現すべく良く訓練されている。もっと、もっと見たい!
2.ハンブルク・バレエ2009
あの、ノイマイヤーの。初見。まず「人魚姫」(感想)、完全な物語バレエながら非常にモダンな美術と振付けで、クラシックとはまた異なる完璧な異世界に連れて行かれた。群舞が楽しい。アッツオーニの感情表現が素晴らしかったが、スタイルが優美なエレーヌ・ブシェの人魚姫も見てみたかった。「椿姫」(感想)には泣かされた。リアブコの迫真の演技が舞台を盛り上げたのだと思うが、それだけでなくノイマイヤーの演出は人間心理を知り尽くしていて、観客の心を自在に弄び悲恋に涙させてしまうのだ。今回ドラマ性の高い演目を持ってきたハンブルクだが、もっと違うタイプの作品も見たい!
3.マリインスキー・バレエ2009
いや〜ロシア・バレエの最高峰、素晴らしかったです。「白鳥の湖」(感想)、「眠れる森の美女」(感想)とも主演バレリーナに完全に感情移入できたわけではないが、コール・ドの優秀さや独特の美術など、超一流のカンパニーの実力を堪能した。新作「イワンと仔馬」(感想)は美術がまさに現代アートで、バレエというよりパフォーミング・アートと呼びたい高い洗練度を楽しんだ。ガラで見たロパートキナは、やはり隙のないダンサーだった。
4.第12回世界バレエフェスティバル
やっぱり国内バレエ団+ゲストという形の全幕ものより、ガラの方が楽しめたと思う。Aプロ(感想)・Bプロ(感想)とも華やかで楽しかった〜♪次回は祭典席で!
5.歌舞伎座さよなら公演 六月大歌舞伎「女殺油地獄」
幕見で見たんですけど(笑)、もう仁左衛門さんの名演に骨の髄までしびれました(感想)。歌舞伎の世話物って趣味に合わないと思っていたけど、好きな役者が渾身の演技を見せてくれるなら、最高のエンターテイメント。ああ、仁左衛門さんのおっかけに専念したい...(実際には他に好きなモノが多過ぎて無理)。
6.ザハーロワのすべて
ザハロワ様最高。このガラでは「座長」として連れてきた若手ダンサーの面倒も見てるふうで、姐御肌をかいま見られたのがファンとしてうれしい。Aプロ(感想)ではウヴァ様との黄金コンビでのドン・キが盛り上がったが、メルクリーエフとのコンテ演目も良かったー。Bプロ(感想)もメルクリとの演目がふたつ、ウヴァ様が「カルメン」でお笑いに行ってしまったので彼が引き立ちました(?)
7.H3/グルーポ・ヂ・フーア
やっと出てきたコンテンポラリー・ダンス。ギエム様はランク外なのにこのブラジルのストリート・ダンスを入れていいのか。でもめちゃくちゃ気持ち良かったんですよね、彼らの動き。コンテははまると、本当に面白い。(感想)
8.ヘンリー六世 第三部
正当派演劇。たまたま見に行くことができたんだけど、シェイクスピアの長科白を力まず朗詠するところがいいなあと思った。演出がわかりやすく、3時間以上の舞台はあっと言う間だった。シェイクスピアってそうなんだよね。正しく演じれば。(感想)
9.3人いる!
アングラ系演劇。飴屋法水演出ということで興味を持って見てきたんだけど、むしろ原作の脚本が良いから優れた芝居に出来上がっていたのではないかな。やっぱり芝居は脚本だよね。(感想)
10.吾妻橋ダンスクロッシング2009〜いとうせいこう feat. 康本雅子
全体的に面白いイベントなんだけど、私がとにかく感動したのは康本さんのダンス。朗読するいとうさんとは別種の存在として舞台を支配する、度胸の良さ。再演ということで完成度が高かったのだと思うが、とにかく隙のない振付けだった。(感想)
ところで。バレエファン歴3年目の私が、常日頃非常にお世話になっているブログがいくつかあります。感謝の意をこめて名前をあげさせていただきますね(困る方はお知らせくださいませ)。まず「バレエブログ4強」(笑)と勝手に呼んでいるのが、
naomiさんの「la dolce vita」
ゆうさんの「Side B-allet」
unoさんの「球面三角」
ebijiさんの「日々これ口実」
毎日必ずチェックさせていただいてます。更新頻度が高くて情報が良質で、バレエに対する愛情が溢れてて。みなさん素晴らしいです、尊敬してます。
あと、バレエブログというわけではないけど、豊富なバレエ鑑賞経験をお持ちで濃いレビューをあげてくださるのがこちら。
F&F嫁さんの「FFree World」
noelさんの「Art and The City」
okamo-koさんの「本日のムッシュー」
とーるさんの「とーるブロ」
みなさん筆力が凄い。憧れてます。
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2009年12月25日
康本雅子×Tucker×束芋 ダンス・ライブ「油断髪」 12/25
横浜美術館で開催中の「束芋 断面の世代」展の関連イベントのダンス・ライブに行ってきた。
ダンサー・康本雅子、エレクトーン奏者・Tucker、そして現代美術家・束芋による夢のコラボレーションが実現。この日のために特別編集される束芋の新作映像《油断髪》と、ダンス、音楽が一体となったライブ・パフォーマンス。 パフォーマンス後には、3人のポスト・トークがあります。
康本ファンとして、見逃せない公演。出遅れてダンス単体のチケットは買い損ねたので、ダンス・ライブ/演劇/展覧会セット前売券を購入して参加。もちろん束芋さんのことも追っかけているので、文句はない。実は当日券でいいかな〜と思っていたんだけど、memeさんに「チケット買いました!?」とメール頂いて背中を押されたのよね。今日Twitter見てたら当日券ナシという情報が流れてて、ほーんと買っておいて良かったと思いました。2,310円相当(たしか)のトートバッグももらえたし。
ダンスの前に1時間弱展覧会を見る時間があった。日をあらためて鑑賞するつもりだったのでだら〜っと眺め始めたら、コレが凄い。束芋さん、著しく進化している。原美術館の「ヨロヨロン」で強烈な印象を受けてはや3年。空間の使い方がダイナミックにより巧妙に。元々映像系というよりむしろインスタレーションアーティストと捉えていたのだけど(ドローイングもまたいいんですけどね)、そこそこ名を馳せた国内現代作家とはもうレベルが違うと思った。見慣れた横浜美術館の構造が変化したようにすら感じた。再訪が楽しみ。「悪人」の原画も素晴らしかったわ。展示法とか照明とか含めて。
さてダンス公演。束芋さんはずっと映像に自分で音楽をつけていたそうだけど、数年前にコラボして「違和感があるけど、いい」と感じたTuckerさんを今回指名。エレクトーン奏者と言っても色んな楽器を並べていじってまわしていたなあ。ややじっとりした《油断髪》の映像が音楽によって妙にドラマチックになった感じ。康本さんのダンスは飄々として、割烹着めいた白いエプロンをまとってそこに投射映像を受けたり、Tuckerさんのソロ演奏の間激しいダンスを影絵で見せたり、協調性の強い作り方をしていた。動き自体に新鮮さはなかったけど、たぶんTuckerさんの演奏に即興が入るので、振付けしにくかったのだと思う。何回かトークを聞いたことあるけど、彼女はアンチインプロビゼーションの人なのだ。
と言うか・・・。バックの束芋さんの映像があまりに良くて、ダンスを喰っていた感もある。吹き抜けのホールの巨大スクリーンに投影された《油断髪》は生き物だった。
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2009年12月23日
HARAJUKU PERFORMANCE + 12/22
ラフォーレミュージアムで開催された「HARAJUKU PERFORMANCE +」に行ってきた。このイベントの概要はこちら。
世代やジャンルにとらわれず、 旬な「表現」をオムニバス形式で紹介する年に一度のパフォーマンスの祭典。
たしかはむつんサーブと黒田育世さんが出演するのでチケットを取ったのだけど、こんな多彩なパフォーマンスが見られるとは思っていなかった。
・Open Reel Ensemble「テープを巻き戻せ feat. 弦楽四重奏」
制作とリール合奏:和田永、佐藤公俊、吉田悠、難波卓己、吉田匡 弦楽四重奏:難波卓己 (Vn㈵)、 花井悠希(Vn㈼)、須原杏(Va)、石貝梨華(Vc)
・contact Gonzo「ddddddddd!!ccoonnttaaccttggoonnzzoo!!!!!!!!」
出演:contact Gonzo×姫野さやか(from にせんねんもんだい)
・柴幸男「反復かつ連続」
作・演出:柴幸男 出演:内山ちひろ(インパラプレパラート)
・はむつんサーブ「はむつんサーブ」
出演:りきっちょ、だーよし
・トーチカ「PiKA PiKA Performance & Short Workshop」
出演:モンノカヅエ、Ritz、辻村コウタ ビートボックス:櫻井響 映像:ナガタタケシ
・生西康典
出演:点子、川口隆夫(dumb type)、吉田アミ 美術:西野哲也(手裏剣プロダクツ) 装置:南志保 ヘア&メイク:Mika + CHISHIN 衣装提供:Bilitis、LAD MUSICIAN、THEATRE PRODUCTS、m.soeur
・山崎広太「IRUKA 2」
出演:山崎広太
・黒田育世「モニカ モニカ」
振付・出演:黒田育世 音楽:松本じろ
3時間弱の濃いイベントだったので終わったらくたびれた。簡単な印象だけメモ。
Open Reel Ensembleは文字とおりオープンリールを演奏に使う。やたら楽しげだった。吾妻橋ダンスクロッシングで見たcontact Gonzoは爆ドラムの女性がついたところが新鮮だったが、やっぱり途中で飽きた。「反復かつ連続」、若い女性のひとり芝居五重奏。すごい才能だなーと思っていたらちゃんと柴幸男さんという作・演出者がいたんですね。うん、出来過ぎ。はむつんサーブはマドンナのPVで見たよりかはチープな雰囲気だった。生西康典さんは田名網敬一や大竹伸朗と仕事してるアートディレクター。思いっきりゴシックな舞台、欧風美少女とフランケン男の危うい関係、吉田アミの高音ハウリング・ヴォイス。吉田アミさんて「日日≒日キ」の?うわー昔読んでた。途切れる音楽がいい雰囲気、単体で見たい舞台ではなかったけど、興味深かった。黒田育世さんのダンスは松本じろさんの骨太なギター演奏とのバトルで壮絶な高みに昇っていたけど、私がより強い印象を抱いたのは山崎広太さん。愛想のない男顔とピンクのウィッグ&ベビードールみたいなドレスのマッチングが不気味なんだけど、能のすり足も取り入れているように見える重心の低いダンスは妙に惹き付けられるものがあった。調べたらすでに評価の高いダンサーだったわけで、納得。
パフォーミングアーツもひとつのアートだから、関心を持ったら色々見るようにしている。おとなしく見てるには辛抱も必要だったけど、たまにはこういうごった煮も面白い。
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2009年12月21日
「バレエの夢、バレエの記憶」~舞踊芸術を彩ったパールの魅力~伝説のバレエ団バレエ・リュス誕生から100年を迎えて
ミキモト本店・6Fミキモトホールで開催中の「バレエの夢、バレエの記憶」展に行った(12/25マデ)。
バレエ・リュス誕生から100年を迎えた今年、舞踊芸術を彩ったパールに焦点をあてた、 当時の貴重なプログラムやポスター、衣裳のデザイン画等の展示会です。ー薄井憲二バレエ・コレクションHPよりー
ebijiさんから情報をいただいて「行かなくちゃ」と思いつつ会期終了間近になってしまったけど、ギエムの公演を見た後無性にバレエに触れたくなって、ささっと銀座まで行ってきた。無料の展覧会だから期待していなかったんだけど、とっても良かった。
私はまだまだ新参のバレエファンなのでバレエ・リュス100周年と言われてもあんまり感慨はないのだが、2年前に東京都庭園美術館で開かれた「舞台芸術の世界―ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン」を見た時に較べれば、内容にはだいぶ馴染みが。まずは「シェエラザード」、ニジンスキーの写真やバルビエの画はすでに懐かしい感じ。この演目は先日マリインスキー公演で見たばかり。更にルジマトフとザハロワ様の映像も見てうーんやっぱりこっちのがイイと唸ったのはさておいて、衣装が素敵よね〜。ニジンスキーのイヤリングはなるほどパールでした。「ペトルーシュカ」は東バの「ニジンスキー・プロ」で見たなあ、なんとローラン・イレール。貴重な機会だった。「青い神」はコクトーの力作だったがあんまりヒットしなかったそう、プログラムの青い仏像が色っぽい。「牧神の午後」は東バのシャルル・ジュドとマラーホフの贈り物が記憶に焼き付いている、どっちか良かったか?それは秘密。「火の鳥」は未見だけど、この間のマリインスキーの「イワンと仔馬」は同じ民話に基づくものと思われる。コンダウーロワが演った映像がどこかにあるはずなので見ておきたい。「ロシア物語」「タマール」(グルジアが舞台)は聞いたことないなー。う、「眠れる森の美女」がバレエ・リュスだって認識していなかった私、恥ずかし過ぎる...。「アルミードの館」も知らない。レオン・バクストの「青い鳥」の衣装!「牝鹿」、NBAバレエ団で見たよー、アイシュバルト。「オード」はオシャレね。「バラード」はコクトーのリベンジ。コクトー好き、昔カルティエのトリニティリングが欲しかったのは彼が恋人に贈ったものだから。
珍しくメモを取ったので、資料が展示されてた順にバレエ・リュスの演目を羅列してみた。おかげでだいたい把握できたような気がする。ピカソデザインのプログラムも素敵でした。この本を読めば完璧かもしれないけど、ちと高い。
ミキモトのツリー、綺麗でしたわ。
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2009年12月20日
シルヴィ・ギエム&アクラム・カーン・カンパニー「聖なる怪物たち」12/20
東京文化会館でダンス公演「聖なる怪物たち」を観た。
芸術監督・振付:アクラム・カーン
ダンサー:アクラム・カーン、シルヴィ・ギエム
振付(ギエムのソロ):林懐民
振付(カーンのソロ):ガウリ・シャルマ・トリパティ
音楽:フィリップ・シェパード
照明:ミッキ・クントゥ
装置:針生康
衣裳:伊藤景
構成:ガイ・クールズ
演奏:アリーズ・スルイター(ヴァイオリン)、コールド・リンケ(パーカッション)、ファヘーム・マザール(ヴォーカル)、ジュリエット・ダエプセッテ(ヴォーカル)、ラウラ・アンスティ(チェロ)
18日の初日を見た友人がプログラムを見せてくれたので、予習はばっちり。興味深かったのはカーン氏の経歴。インドの古典舞踊カタックの踊り手であるというところがまず新鮮。コンテンポラリー・ダンスの振付家としては、アニッシュ・カプーアとコラボレーションしたりカイリー・ミノーグのコンサートのダンスシーンを振付けたりしていて、すごい。ジュリエット・ビノシュと組んだ「in-i」の来日公演はビノシュが好きでない故に見送ったんだけど、今思うと惜しいことしたかなー。今回、音楽は生ライブ。そしてあのギエムが踊るわけだから、コンテンポラリー・ダンスとしてはかなりハイレベルの舞台が見られるんだろうと、期待して出かけた。
休憩なしの1時間15分の舞台は、台詞が多くかなりの部分が芝居仕立て。最初は各ソロ、そして二人が語り合い理解を深め、新しいダンスを創っていくという流れかな。ギエムのシャープでストイックなダンスを期待していたのだけど、正直言ってちょっと肩すかしだった。彼女はリラックスして踊っている感じ。ダンサーとしてはカーンの方に魅力を感じた。友人から「イデビアン!」と聞いていてルックスや雰囲気がまさにそんな感じで(笑った〜)、でも井手茂太ファンとしては望むところ。井手さんと同じくカーンも天才肌で、小柄で微妙に丸いおなかをしているのだが、非凡な動きをする。
カタックダンスというのは、ヒンドゥ教の語り部達が神話や抒情詩を身振り手振りで語っていたのが起源だそうで、なるほど前半のカーンの動きにはパントマイム的要素が強かった。足首に千個以上の鈴を付け複雑なリズムとフットワークを展開させる、厳格な様式を持った舞踊。動きに呼応した鈴の音が心地よく、彼の高度な技術が伺われた。本当に玉のようなものを持っているように見える、リアルな手の動きも印象的。一応コンテ・ダンスだが、ソロの部分はカタック風につくってあったのだ。ギエムも鈴の鎖をつけていたけど、彼女のソロパートの振付けは林懐民。あの(私が公演で眠りこけた)クラウド・ゲイト舞踊団の芸監だ。静止した瞬間の長身のギエムののびやかな体のラインが美しかった。ボーカルと一緒にギエムも唄っていた。
鈴を外してからのふたりのやりとりは微笑ましく客席からも笑いがこぼれていたが、台詞のほとんどはプログラムに載っていたのでうとうと。「何か」がはじまりそうだったのは後半、組んで踊り始めてから。タイプの違うダンサーが同じ動きをすることで、化学反応的なことが起きるんじゃないかと思って目を覚ましてみてたんだけど、どうもカーンばかりに目が行った。彼の動きの方が重心がきっちりしてて雄弁で音楽にぴったり合っていて、魅力的。振付家と踊るって、ダンサーにとって不利なのかな。あのギエムですら。舞台美術も演奏も使われた曲もとても雰囲気があって、踊りの組み方も面白かったんだけど、この公演にギエムは必要なんだろうか、なんて感じてしまう間延び感が彼女のまわりにあって、わたしとしてはあまり集中できない舞台だった。
振り向けば5F席まで埋まった大ホール。拍手は熱狂的だったけど、みんなギエムが好きだから好意的だったのではないかな。私は彼女のクラシック時代を知らないので、冷静に見ちゃった。いい作品だとは思うけど、もうちょっと小さいハコで親密に演った方が、もっと言うとギエムでないダンサーでやっても、良いように思う。カーテンコールの彼女の笑顔は好きなんだけど、違う舞台で見たい。
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2009年12月16日
パリ・オペラ座バレエのすべて
Bunkamuraル・シネマでドキュメンタリー映画「パリ・オペラ座バレエのすべて」を観てきた(12/18マデ)(注:リンク先音が出ます)。10/10に公開が始まったんだけど、3時間弱の長尺ながら人気が高くて連日満席と聞いていて、マリインスキー祭りなんかもあったものだから、すっかり出遅れてしまった。まあDVDが出てから見ても良かったんだけど、来日公演ではクラシックばかり上演されることが多いから、パリ・オペラ座の「今」(正確には撮影当時だけど)を知りたいなら映画館に行くべし、という感じで。
解説がほとんどないのでわかりにくいという噂だったけど、逆にそれが余計な先入観を与えず、自分の眼でダンサーの仕事ぶりを見られてとても良かったと思う。パリ・オペラ座バレエはクラシックとコンテンポラリーの二本立てでプログラムを組んでいるけど、コンテの比重が大きいのがよくわかった。2007〜2008年に上演された演目の練習風景が全編に散りばめられていたが、クラシックはラコット版「パキータ」とヌレエフ版「くるみ割り人形」のみ、あとはウェイン・マクレガーの「ジェニスJENUS」、サシャ・ヴァルツの「ロミオとジュリエット」、プレルジョカージュの「メディアの夢」、マッツ・エックの「ベルナルダの家」、ピナ・バウシュの「オルフェオとエウリディーチェ」だった。ダンサーの練習風景がはじまってすぐにマチュー・ガニオとマチアス・エイマンが手をつないで踊っているシーンが出てきて「美味しい〜」と思ったけど、マチューはその後ずっと出ず(ラストに再登場)。んーでもパリ・オペのダンサーってコリフェくらいでも素晴らしいので、全編見応えあり。個人的にはルテステュの端麗さとジロのコンテンポラリーの踊り手としての素晴らしさ、エイマンのシャープさと華が印象に残った。演目としては、断然「ジェニス」。ルテステュもジロもマチューもエイマンも出ているという、豪華版。ストーリーがないところが、いいな。アブストラクト・バレエが好きなのだ。
芸監のルフェーブルをやや美化している気がしたけど、ダンサー以外のパリ・オペラ座関係者もしっかり捉えていて、佳いドキュメンタリーだったと思う。監督はフレデリック・ワイズマン。脚を痛めつつ泣きながら踊るダンサーとか出てくるわけでもなく、淡々とポジティブに進行して行くカンパニーの日常を描いていて、ウェットな話が苦手な私には見易かった。何と言っても美しいダンサー達の姿を堪能できて、眼福。この本を読んだばかりだったので、エトワールなどだいたい把握できてたから、解説ナシも苦にならず。DVD出たら買いたい。
フィガロブックス パリ・オペラ座バレエ物語 夢の舞台とマチュー・ガニオ (FIGARO BOOKS)
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2009年12月14日
マリインスキー・バレエ「オールスター・ガラ」12/10,11
マリインスキー・バレエの来日公演ラストの「オールスター・ガラ」に行った。バレエファン歴3年目の私、今年いやというほど思い知ったことがある。それは、自分の休みに合わせていたらいい公演は見られないということ。やたら早退できる職種ではない。仕事のあと都内の会場に駆けつけられるのは、どんなに急いでも7時半。それでも、見たい公演があったらなんとしても会場に入らないと。ロパ様にコルプにサラファーノフを見ずして、マリインスキーを見たとは言えないわ。ということで、目玉の「シェエラザード」は捨てる覚悟で、7時開演のガラのチケットを2日分、取ったのだった。
電車の不通とか帰る間際の急患とかに阻まれつつ、10、11日の両日とも7時半まわるくらいには東京文化会館にたどりつくことができた。本気でぜいぜい。会場片隅に入れてもらって、はじめて見る完全版(ですよね)「シェエラザード」は残り15分、響宴の途中から。ちょっと退廃的な、エキゾチックな舞台を目にしてさっそくうっとり。衣装もセットもキーロフ風味にシックな、アラビアン・ナイトの世界だ〜。ロパートキナは、プログラムなんかの写真より舞台上の方が、若々しくて可憐。そして身体の隅々の関節まで美しく統御され、全身でバレエを奏でている。どこか頼りなげな風情が不思議だ。コルスンツェフは長身でイケメン系だけど、ストレートで印象薄い。ゾベイダのおもちゃって感じ。ヴィシニョーワとコルプのペアは互いに楽しんでねっとり度を競い合っているように見えた。ヴィシの美しさは鉄壁。あの顔にあのメイク。ロパ様が自害するシーンでは孤独を逃れて死にゆくような弱きものの儚さを感じたけど、ヴィシの場合は完璧な美を持つ者は死ななければならないのよ、みたいな毅然とした美意識が垣間見えた。金の奴隷はなんと言ってもルジマトフ、と聞く。ルジマトフ・ガラで一部は見たことあるけど、完全版を見てみたい。
第2部パ・ド・ドゥ集は、キーロフの姫たち、百花繚乱。まず10日は
「ジゼル」 2幕のパ・ド・ドゥ
アリーナ・ソーモワ /ミハイル・ロブーヒン
「グラン・パ・クラシック」
エヴゲーニャ・オブラスツォーワ/マキシム・ジュージン
「シンデレラ」パ・ド・ドゥ
ディアナ・ヴィシニョーワ/イーゴリ・コールプ
「瀕死の白鳥」
ウリヤーナ・ロパートキナ
「タランテラ」
ヴィクトリア・テリョーシキナ/レオニード・サラファーノフ
ソーモワのジゼルは美しいけど空虚、前日イワンだったロブーヒンの変身ぶりににやり。かわいいオブラスツォーワはジュージンという男子と手堅いグラン・パ・クラシック。ヴィシとコルプのラトマンスキー版シンデレラは、非の打ち所のない出来のはずなんだけど社交ダンスのように見えた。リフトが単調で退屈。ロパ様の瀕死は、なんかもったいなくて落ち着いて見られなくて、あっという間に終わってしまった。残念ながらR3列だったし。テリョーシキナもサラファーノフもとっても巧みに踊っていたけど、あの「タランテラ」は本家のものとは違う・・・。タンバリンの音が全然足りなくて、生殺しな気分。
11日は
「シンデレラ」パ・ド・ドゥ
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ/ミハイル・ロブーヒン
「ロミオとジュリエット」バルコニーの場面
ヴィクトリア・テリョーシキナ&エフゲニー・イワンチェンコ
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
アリーナ・ソーモワ&レオニード・サラファーノフ
「瀕死の白鳥」
ディアナ・ヴィシニョーワ
「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」
ウリヤーナ・ロパートキナ/イーゴリ・コールプ
びっくり。10日と同じ演目とは全く思えないシンデレラ。オブラスツォーワが清楚で可憐なこと〜。どきどき。私の双眼鏡は夢中で彼女だけを追っていったのだが、あの見事な動きはロブーヒンのサポートあってのことなのだと、あとから聞いた。そっかロブーヒンてテクニシャンなんだ。これからキーロフ男子の中では注目していこう。テリョーシキナの肢体は相変わらず完璧、テクニックも盤石で特に欠点は見当たらないのだが、どうも感情移入できない。双眼鏡で見ると、ひいてしまう。。イワンチェンコ??ソーモワはだいぶ寛いでチャイパドを踊っていた感じで、脚を高ーく上げたところは好きなんだけど、全然音楽が聴こえてこなくて悲しかった。サラファーノフとソーモワの顔の大きさの違いも、ちょっと悲しい。ヴィシの瀕死は、気負いなく見たせいか白鳥のもがく様が素直に目に浮かんできて、「わかりやすい」という印象。そしてロパ様はやっぱりすごい。まだ2、3回しか見たことのないザ・グラン・パ・ド・ドゥだけど、巧い人が踊るととても華やかな演目なのだとわかった。どんなポーズもお手のもののロパ様、軽やかなキメ具合が気持ちいい。コルプも彼女に敬意を表して、一歩譲っている感じ。すっかり感動しちゃったけど、アメリカのダンサーが踊るともっといいよという話も聞いて、まだ上がいるのかと感心。
11日の方がテンション上がった。ダンサーたちも最終日だからと気合いを入れていたのだろうか。
さて第3部「海賊」組曲。この演目は去年のアメリカン・バレエ・シアターの来日公演で3回連続見たしDVDも持っているから、ABTのスーパーなイメージが刷り込まれている。まあキーロフの女性ダンサーの方が断然麗しいけど、アリとコンラッドはちょっとねえ。いやシクリャローフは、2日目は唇の色が控えめで、好感度が上がった。ここは3人のオダリスクが見どころだったのかも。2日目の真後ろの席の人が、彼女らが登場する度熱心に拍手を送っていた。
[10日]
メドーラ:アリーナ・ソーモワ コンラッド:エフゲニー・イワンチェンコ アリ:ウラジーミル・シクリャローフ ギュリナーラ:エフゲーニヤ・オブラスツォーワ 3人のオダリスク:マリーヤシリンキナ/ヤナ・セリーナ/エリザヴェータ・チェプラソワ
[11日]
メドーラ:ヴィクトリア・テリョーシキナ コンラッド:ダニーラ・コルスンツェフ アリ:ウラジーミル・シクリャローフ ギュリナーラ:エフゲーニヤ・オブラスツォーワ 3人のオダリスク:マリーヤ・シリンキナ/ヤナ・セリーナ/エリザヴェータ・チェプラソワ
ふう。それにしても、マリインスキーはやはり超一流、素晴らしいカンパニーだった。ガラの前にほとんどのダンサーが帰国してしまったそうだけど、コール・ドにいたるまで端正な子揃いで、この上なく目の保養になる。姫たちはそれぞれ独特の魅力があってテクニックがあって、とにかく美しい〜。キーロフの全幕は間違いなく見る価値がある。次回2012年の公演を、楽しみに待ってます♪
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2009年12月13日
マリインスキー・バレエ「イワンと仔馬」12/9
東京文化会館でマリインスキー・バレエの公演「イワンと仔馬」を観た。うれしいことに日本初演作。1950年代に作曲家シチェドリンが愛妻プリセツカヤのために書いた作品を、ラトマンスキーが新演出。今回キーロフをはじめて生で見る私には、よい思い出になりそう。この日のテリョーシキナはロシアでの初演時のオリジナルキャストだ。彼女も未見。お顔立ちは好みでないが評判はとてもいい。
マリインスキー劇場はダンサー・バランシンのふるさと。ひいては彼の創作のルーツ?そんなふうに思うと、21世紀の今、新進振付家のラトマンスキーが群舞中心の音楽的なバレエをキーロフで創ったということが、面白く感じられる。そしてラトマンスキーはロシアからアメリカのカンパニーに移っていったわけで。水が高いところから低いところへ流れるように、バレエの歴史は動き続けているんだなと思う。プログラムの解説には、ラトマンスキーはバランシンの後を継ぐ、数少ない優れたシンフォニック・バレエの作り手とあった。先日のNYCBのBプロで見た彼の「コンチェルトDSCH」(音楽:ショスタコーヴィチ!)は、素敵だったなあ。
原作の「せむしの仔馬」はロシア人ならだれでも知っている有名な民話だそうだが、こっちはほとんど知らない。イワンと言えばトルストイの童話の方を思い出しますよね。なので事前にあらすじをじっくり読んでおいた。それがなかったら、雌馬が飛び込んで来たのが麦畑だなんて、わからなかっただろうな。美術や衣装はマレーヴィチの造型(正方形とか)や色彩を取り入れた、抽象的なものだし。去年のボリショイ公演の「明るい小川」と同様、ラトマンスキーのキャラクターは性格付けがくっきりしているから、彼らを見分けるのはたやすい。でも細かい話の流れを理解するのは無理。まあ主人公のイワンがどうやら天真爛漫なヤツみたいなので、我々もあんまり深く考えないでダンスを楽しめばよいのでしょう。
さて1幕。四角い赤いハコ(多分家なんだろうなあ)の前にイワン親子。手振り身振りが多くてちょっと説明っぽいけど、動きは速くてコミカル。この日は演奏がなんとマリインスキー管弦楽団だったので、音楽がシャープに聴こえた。ミニマムな演出でシチェドリンの曲とダンサーの動きを際立たせる手法は、洗練されている。衣装も、フォークロアっぽいけど差し模様が幾何学的でおしゃれだ〜。俄然盛り上がるのは馬たちが出てきてからですね。赤毛雌馬のコンダウーロワが、凛々しくてキュート。振り自体はたいしたことなくて、でも長身・美貌の彼女が手首を蹄のように曲げて馬のポーズを取ると、すごく魅力的に見える。リラの精では上半身の美しさばかりに目を奪われていたけど、今回は脚が長くて振り上げると迫力があるところが目についた。大きな馬2名の、裾広がりのパンタロンと水玉ブラウスが素敵。今回の衣装の中で一番気が利いていたんじゃないかな。たてがみ代わりの逆立てたカツラもそうだけど、ロシアっぽい垂れた口髭がマッチョ。そして仔馬!イリヤ・ペトロフが、むちゃくちゃ可愛い〜。ワガノワ・バレエ学校を卒業して入団したばかりで、この役に抜擢されたとか。わかる!小柄だけど溌剌とした動きで、舞台ですごく光っていた。お顔立ちも、よい。なんかマリインスキーの男子って垢抜けた容姿の人がいないなあと密かに思っていたので、彼はヒットだった。物語の進展に従ってイワンの影のように、もしくはイワンと王女と3人で絡み合いながら踊るシーンが多くなるのだけど、プリンシパルやファースト・ソリストと並んでも見劣りしないような華や、動きの良さがあった。正確だったし。背はこれ以上伸びないんでしょうかね・・・。
1幕は群舞の重なりが印象的だった。やっぱりキャスト表の上の人ほど巧いみたい。娘たちは綺麗どころが揃っていて文句なく良かった。美人で目立っていたのは、ヤナ・セーリナかな?緑色の帽子と衣装をつけた名無しの「人々」は動きが散漫な感じだったけど(そのかわりみんな若くてイケていた)、ジプシーは各人の振付けがリズミカルでユニーク。ああ、ラトマンスキーいいなあとogawamaさんはご満悦。ところがこれをぶち壊すのが侍従と王なのだ、あくまで私見だけど。それまでダンスで語ってきたストーリーを、妙にウマいマイムで引き継いでしまう。特にバイムラードフが、達者すぎ。「眠り」のカラボスは遅刻したせいでほとんど見られず、女と見まごう細腰のプリンシパル・キャラクターダンサーだなあとしか思っていなかったのだが、彼はすごい。よく変わる表情と大袈裟な身振りで侍従の役回りを的確に表し、なぜイワンが世界の果てや海底に行かなければならないのか、しっかり観客に教えてくれる。コミカルでちゃんと笑いも取っていたし、素晴らしい。素晴らし過ぎて彼の登場以後、バレエが変質してなんとなくミュージカルっぽく見えた・・・。
でも楽しかったからいいんだけど!2幕はどんどん盛り上がる。テリョーシキナ、綺麗。あんな美しい肢体を持ったダンサーは希有だ。演技力もあって、王様を手玉に取る小悪魔ぶりが可愛い。ロブーヒンはテリョーシキナほどオーラがないけど、元気で素直なイワンを好演していたと思う。ただ、最後のPDDでは踊りが素直すぎて面白みがなかった。サラファーノフだったらもっと派手なジャンプで会場を沸かせてくれるんだろうなと、思ってしまったもの。海底のシーンでは異形の海の住人たちが王女のコンダウーロワをリフトして現れて、ノイマイヤーの「人魚姫」みたいで面白かった。現代のファンタジーは、異世界の表現が共通しているのかな。バランシンの作品のような、心が音符に折りたままれていくような気持ちよさこそなかったけど、ラトマンスキーのバレエは十分に音楽が生きていて、最後まで晴れやかな気持ちで鑑賞することができた。王様が逝っちゃった後のバイムラードフの表情、傑作だったな。
≪出演≫
姫君 : ヴィクトリア・テリョーシキナ
イワン / 皇子 : ミハイル・ロブーヒン
仔馬 : イリヤ・ペトロフ
侍従 : イスロム・バイムラードフ
皇帝 : アンドレイ・イワーノフ
父親 : ロマン・スクリプキン
雌馬 / 海の女王 : エカテリーナ・コンダウーロワ
大きな馬たち : アンドレイ・エルマコフ/ カミーリ・ヤングラゾフ
ダニーロ : ソスラン・クラーエフ
ガヴリーロ : マクシム・ジュージン
娘たち : ヤナ・セーリナ/エカテリーナ・イワンニコワ/クセーニャ・ロマショワ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/エリザヴェータ・チェプラソワ/オリガ・ミーニナ
ジプシーたち : ラファエル・ムーシン/フョードル・ムラショーフ/カレン・ヨアンニシアン/エレーナ・バジェーノワ/アナスタシア・ペトゥシコーワ/ポリーナ・ラッサーディナ/リュー・チヨン/アリサ・ソコロワ
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2009年12月 7日
国盗人(くにぬすびと)―W.シェイクスピア「リチャード三世」より― 12/6
世田谷パブリックシアターで野村萬斎演出・主演の「国盗人(くにぬすびと)」を観てきた。2007年に上演された舞台の再演で、私は初演時も見ている。大変よくできた芝居で、それ以来萬斎さんのファンになって、彼の出るものに限って時々狂言も見るようになった。日本の伝統芸能に興味を持つようになったきっかけのひとつ。ただし初演時は風邪で咳が止まらなくなったため、2幕は会場外の解像度のえらく荒いモニタで鑑賞した。今回はリベンジだ。やっと最後まで見届けることができて、大変満足している。
【キャスト】
野村萬斎/白石加代子/
石田幸雄/大森博史/小田豊/山野史人/
月崎晴夫/じゅんじゅん/すがぽん/泉陽二/若松力/中村美貴/
時田光洋/坂根泰士/平原テツ/入月謙一/
大竹えり/黒川深雪/髙島玲
【囃子方】
梅屋小三郎(囃子)/福原友裕(笛)/古寺正憲(囃子)
2週間ほど前に見た新国立劇場の「ヘンリー六世」の、ちょうど続編にあたる「リチャード三世」の翻案劇。狂言の手法が随所に取り込まれていて、そのせいか、偏見かもしれないけど翻案劇の陥りがちな安っぽさが見られない。能舞台のように正方形の板張りの本舞台があって、ただし橋掛り(?)は上手と下手に2本ずつ。奥の鏡板のかわりにもうひとつ引っ込み口があって、俳優達は活発に出入りする。囃子方は袖に隠れているけど、録音の声や効果音以外は彼らの演奏が舞台を盛り上げる。お面を有効に使っているのも能狂言の世界っぽい。
私は邦画もTVも見ないので、萬斎さんはほとんど生でしか見たことがない。彼の声は艶があってニュアンスに富んでいて、よく通る。そうでなければ狂言師は務まらない。会話劇で笑いを誘うのだから。この舞台でも極悪非道の悪三郎(リチャード三世)を幾分コミカルに演じていて、独特のカラーが出ていた。俳優同士のやり取りはテンポ良く丁々発止で、みなさん芸達者なんだけど、やっぱり萬斎さんが場の中心だった。あと目立ったのは同じく和泉流狂言方の石田幸雄さん。悪三郎の腹心で、邪悪さを柔和な笑顔の後ろに巧みに隠した久秀(=バッキンガム)を、けろりと演じていた。あと圧巻なのは白石加代子さんね。ひとり四役で、主要な女性たちを白石加代子そのまんまの顔で演じ切るからすごい。彼女の科白回しは抑制が利いているのにすごく雄弁。
コシノヒロコさんの衣装、マイムのじゅんじゅんに仮面をつけて悪三郎の「影」を演じさせる演出など、現代要素もたくさんあった。萬斎さんとじゅんじゅんの二人芝居は、ほとんどコンテンポラリー・ダンスだった。でもねえ、萬斎さんを見ていると、足の擦り方とか声音とか表情とか、ああ、狂言だなあと思うのよね。初演時は狂言をほとんど知らなかったから、茫洋としか気づかなかったけど。なので萬斎さんのひとり芝居の部分がツボ。悪三郎の二面性をコミカルにナチュラルに演じられるのは、狂言師ならでは。新国立の岡本健一さんのリチャードもなかなかだったけど、完成度は萬斎さんかなあ。先達から受け継いだものとか舞台経験とか、圧倒的だし。
さて待望の二幕は悪三郎の転落の過程。王位についた途端、急に小心になる悪三郎。甥でも妻でも躊躇なく殺しまくって、もうなりふり構わず。ラスト近くの亡霊たちの呪いとか合戦のシーンとか、大変おどろおどろしく描こうとしていたけど、あのへんは微妙に間延び。じゅんじゅんが馬になるっていう演出はユニークだったけど。俳優たちに「うらめしや〜」なんで輪唱させるより、能舞で煙に巻いちゃった方がカッコよかったのでは。撤収って難しいのね。でも萬斎さんの独白は最後まで魅力的で、ひたすら彼の声音に聞き惚れたのでありました。
3月の「マクベス」も、見ようかなあと思っている。出演者5人てどんな感じ?狂言色は薄まるのかな。
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2009年12月 4日
マリインスキー・バレエ「眠れる森の美女」 12/3
東京文化会館でマリインスキー・バレエの公演「眠れる森の美女」を観てきた。上演時間が3時間40分と長いので、開演は18:30。無理。。と思ったけど、まだ納得できるオーロラ姫を見たことないので、ガラでしか知らないヴィシニョーワだけどあの強靭な肉体なら完璧なローズ・アダージオを踊ってくれるだろうと、無理を承知でチケットを取った。仕事を終えて1時間遅刻。でも親切な東京文化会館のお姉さまが1幕途中で予備席に案内してくださったので、オーロラ登場には間に合った。ほっ。
私はそもそも「眠り」は好きではない。プロローグなんて飛ばしちゃっても全然気にならない。なので一番いいタイミングで入場したとも言える。しかしヴィシニョーワが出てきた時はぎょっとした。メイクが派手。美人だから映えてはいるんだけど、こんなマダム顔のオーロラって許されるのだろうか。あわてて女王の顔を見ると彼女も派手顔なので、ああマリインスキー王家はこれでいいんだと自分を納得させる。紅い唇、6番くらいまでがばっと見せる笑顔、婉然として自信たっぷり。実際踊りは見事で、バランスは揺るぎなく作り出すシルエットは文句なし、テクニック的にこれ以上のオーロラはないだろうと思わせる。しかも音のひとつひとつをきっちりつかまえていて、芸術性もアピールしてる。衣装で腹筋が隠れているので、さほど筋肉ムキムキに見えず可憐だった。
過去に見た「眠り」で憶えているのは、去年のロイヤルのヌニェス・ラム・マルケス(マチネ・ソワレ・マチネで続けて見た)、シュツットガルトのアマトリアン。好きなタイプではないけれどヌニェスのキラキラオーラと強靭な肢体が一番印象に残っている。アマトリアンは不調だったみたいで1幕が不安定だったけど、ヌニェスよりオーロラのイメージに合った演技だった。今回のヴィシニョーワは私の過去のオーロラ達よりハイレベルだった。美人で可愛いくてスタイルが良くてハイテク、音楽性が高くて「見せる」ことを心得ていて。でもねえ。思わぬ伏兵が現れて、私の感動をさらって行っちゃったのでした・・・
それはフロリナ王女のエフゲーニヤ・オブラスツォーワ!今年のNBAガラで見て可愛いなあとは思っていたのだけど、彼女は巧者の多いマリインスキーのダンサーの中で際立って素晴らしかった。青い鳥よりフロリナに目が釘付けになったのって、はじめて。青い鳥の声に耳を澄ますポーズ。片手を片耳にあてて。憧れと希望に溢れる、無垢な笑顔。小柄でキュートな顔立ちだけど下半身はまったく揺るがず、優美なラインを描く上半身をしっかり支えている。バレエのポーズって理想型を目指して形作られているのだと思うけど、誰もがザハロワ様のような完璧なラインを描けるものではない。ひとりひとり体型が違うから、自分なりの完成形を模索するのだろう。ヴィシニョーワはかなり美しい。でもオブラスツォーワには天性の優美な「型」が備わっている。これぞクラシック・バレエという。単なるディベルティスマンなのに、彼女のフロリナに感動してしまった私。フィナーレでヴィシと並んで踊っている彼女を見比べて、芸術性が高いのはこっちと勝手に判定してしまった。まだファーストソリストですよね。近い将来彼女の全幕を見られるだろうか。ゾクゾクする。
さて総評(途中から見たクセに生意気に)。まずカンパニーのレベルの高さには、「白鳥」に続いて驚嘆した。美術も素晴らしいしね。特に女性、ダンサーの質が高くてコール・ドに至るまで美女揃いで、舞台上で目移りする。しかも揃ってるし。リラの精のコンダウーロワが予想以上の美形でびっくりした。背が高くてスタイル抜群、気品も艶やかさもあって上半身の美しさは絶品。マリインスキーのすごくセンスのよい衣装を見事に着こなして。あれだけ恵まれた容姿なのに6年もコール・ドだったなんて、逆によほど弱い部分のあるダンサーだったのかと邪推してしまうくらい。ヴィシニョーワも大変だなあと思った、いくら人気があって頑張っていても尋常ならざる逸材たちがひたひたと追ってくるんだもの。腹筋割れるまで筋トレするよねーと同調。コンダウーロワの旦那さまのバイムラードフは、遅刻したせいでほとんど活躍を見れず残念。忘れちゃならないコルプ王子は相変わらず柔軟で力強いノーブルな踊りを見せてくれて、ヴィシの濃さをしっかり受け止めてあげていて良かった。ふたりの間に化学反応みたいのは感じなかったけど。うん、ヴィシニョーワは自己完結してるダンサーで、舞台に感情移入させるタイプではなかった。演目をよく選びたいダンサーかな。でもマリインスキーの舞台だったら、私は何でも喜んで見ると思う。去年見たボリショイも世界最高と思ったけど、こちらもひと味違って超一流。残る「イワンと仔馬」とガラも、すごく楽しみ。
≪出演≫
オーロラ姫 : ディアナ・ヴィシニョーワ
国王 : ウラジーミル・ポノマリョーフ
王妃 : エレーナ・バジェーノワ
デジレ王子 : イーゴリ・コールプ
求婚者たち : コンスタンチン・ズヴェレフ : マクシム・ジュージン : アレクセイ・チモフェーエフ : デニス・フィルソーフ
リラの精 : エカテリーナ・コンダウーロワ
優しさの精 : マリーヤ・シリンキナ
元気の精 : アンナ・ラヴリネンコ
鷹揚さの精 : エレーナ・ユシコーフスカヤ
勇気の精 : ヤナ・セーリナ
のんきの精 : ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク
ダイヤモンドの精 : ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク
サファイアの精 : マリーヤ・シリンキナ
金の精 : アンナ・ラヴリネンコ
銀の精 : エリザヴェータ・チェプラソワ
悪の精カラボス : イスロム・バイムラードフ
カタラビュット / ガリフロン : ソスラン・クラーエフ
家来 : アナトーリー・マルチェンコ
フロリナ王女 : エフゲーニヤ・オブラスツォーワ
青い鳥 : アレクセイ・チモフェーエフ
白い猫 : ヤナ・セーリナ
長靴をはいた猫 : フョードル・ムラショーフ
赤ずきん : エレーナ・ユシコーフスカヤ
狼 : アナトーリー・マルチェンコ
子供たち : バレエ シャンブルウエスト
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2009年12月 3日
12月の舞台鑑賞予定
マリインスキー・バレエのチケット追加は成らず。いい、かわりにDVD買います。マリインスキー、1枚も持っていないのよね。
・12/3 マリインスキー・バレエ「眠れる森の美女」
1時間遅刻予定だが気にしない。はじめてヴィシニョーワの全幕を観る。コルプの王子はやっぱり怪しいのだろうか。その方が釣り合い取れるかも。
・12/6 「国盗人」@世田谷パブリックシアター
2007年初演の再演。初演は見たのだが風邪で不調のため最終幕は外に出ていた。リベンジ。
・12/9 マリインスキー・バレエ「イワンと仔馬」
はじめましてのテリョーシキナ。この舞台だけ最初から観られる予定。なのでいい席を取った。ラトマンスキーの振付けに期待。
・12/10・11 マリインスキー・バレエ「オールスター・ガラ」
くすんこちらも1時間遅刻予定。ロパ様ヴィシ様の「シェエラザード」が確実に見れません。「瀕死の白鳥」には間に合いますように。
・12/13 F/T「太陽と下着の見える町」
最近ペニノは私に合わないのではないかと思っている。チケット売ってしまうかも(売れるのか)。
・12/20 ギエム&アクラム・カーン「聖なる怪物たち」
ギエムもコンテンポラリーも好きなので期待してます。
・12/22 HARAJYUKU PERFPRMANCE PLUS 2009
ははは、某所で情報いただいてチケット取ってしまった。
・12/23 けんずバー
よろしくお願いします♪
発売のタイミングが悪くてリミニ・プロトコルはチケット取れず。どこかで「くるみ」も見たいと思っているのだが、今月すでに取り過ぎな気がする。気のせいか。
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2009年11月29日
アジア舞台芸術祭2009東京
東京芸術劇場で11/25から今日まで開催されていた、アジア舞台芸術祭2009東京の東京舞台LIVE版2009に行ってきた。このイベントのことはほとんど頭になかったのだが、twitterで毎夜楽しげに観たものについて話すひとがいて、つられてしまった。国際共同制作の「タンロン水上人形劇団」なんてそそられる〜。しかしサイトの予約ページで空いていたのは本日の東京舞台LIVEのCプロ・Dプロだけだったので、それ目指して行った。実際には予約ナシでも入れたらしいので、あの予約システムは集客の妨げになったのでは、なんて後から思ってしまった。
Cプログラム 第七劇場/チェルフィッチュ
Dプログラム ひょっとこ乱舞/shelf
観たのはこれだけ。固有名詞は劇団名です。短い舞台とPVによる紹介。演劇見本市みたいな感じ。実はチェルフィッチュ見ておこうと思って行ったんだけど、見事寝てしまった。それは置いといて、このイベントはすごい。予約こそ要求されたけど、観覧料は無料。そしてプログラムと一緒に各劇団のPVが入ったDVDをもらえる。
上記のほか、LIVE Aプロ・Bプロの毛皮族・Ort-d.d・中野成樹+フランケンズ・冨士山アネット。国際共同制作の花組芝居・ニブロール・花伝[KADEN]シアターカンパニー。アジアンキッチンの鉄割アルバトロスケット・ハイバイ・カンパニーデラシネラ・岡崎藝術座主宰・reset-N・サラダボール・はえぎわ。等収録。
演劇には疎いので名前を知らないカンパニーが大半だけど、こうやってPV見せてもらえるとチケットを取るかどうかの大きな目安となる。ニブロール、興味あったんだよね〜、ダンス要素が強いのね。美術が現代アートっぽい。カンパニーデラシネラのPVはなんと「空白に落ちた男」!映像が手に入るなんて〜♪ 鉄割は吾妻橋ダンスクロッシングで見たけどめまぐるしくて。味わって見ましょう。第七劇場は今日見た舞台は良かったけどPVは垢抜けなかったなあ。意外と楽しめたのがひょっとこ乱舞。「監禁」をテーマに若者達が語り合うという青春チックなドラマがはじまって、若さで真っ向から勝負!的な見る側にとっては気恥ずかしい系統かと思いつつ、チョウソンハ君に目を奪われていたら、次第に物語が非現実的な方向に。吉田修一さんの小説「パレード」を思い出させた。あんな衝撃はないけど。俳優の動きにダンス要素あって、独特のテンポがあるのが面白い。チョウソンハさんは新国立の「夏の夜の夢」で怪我をしながら頑張ってパックを演じていたのを見たことある。華があって溌剌とした演技をする人。他の舞台でも名前を見るし(TVも出るひと?)、それがこんな若い劇団の看板俳優だったとは、知らなかった。ここ、作・演出の広田淳一さんも若いですねえ。1978年生まれ。なかなか味わい深い科白が印象的だった。才能あり。
他の劇団はお金を払って見たい感じじゃなかった。トシのせいかな〜。全体を見渡して思うに、重厚な路線を狙うのでなければ、ダンスを取り込んだ方が動きが洗練されて見える。気になったのは和テイスト。本来の古典芸能の方々には敵わないのだから、ほどほどにした方がいい。
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2009年11月25日
ヘンリー六世 第三部 11/23
新国立劇場中劇場で演劇「ヘンリー六世」の第三部を観てきた。
シェイクスピアの実質的デビュー作となった20代の作品で、彼の全作品中、唯一、三部に渡る壮大な歴史劇です。この作品により、シェイクスピアは一躍、人気作家へと駆け上りました。 時は15世紀、英仏間の「百年戦争」から、イギリス国内の王位継承問題に端を発した「薔薇戦争」まで、西ヨーロッパの激動を背景に、生後9ヵ月で王位につき、生涯を有力諸侯や権力闘争に翻弄されたヘンリー六世と、彼を巡る権力と愛憎を生き抜いた人間たちの「戦い」のドラマです。
これはすごい企画で、各部それぞれ3時間あまりの舞台を、37名のキャストが演じてしまう(登場人物は200役以上)。各部日替わりで上演、週末には三部作を通し公演として1日で一挙上演。23日は通し公演日で楽日だったのだが、俳優たちは疲れの色をみじんも感じさせず。面白かった。私の少ない観劇体験の中で、ダントツのシェイクスピア。
新国立劇場のサイトからお借りした関係系図
キャストは書ききれません、こちらをご参照ください。
第三部は薔薇戦争。イギリスの王って同じ名前の人が多いから、この時代に興味を持って関連テキストを読んでみても、今までさっぱり相関図が頭に入らなかった。シェイクスピアの原作も未読だし。それがねえ、この芝居では全然悩むことはなかったです。ランカスター側の役者が赤薔薇、ヨーク側が白薔薇をつけるというわかりやすい演出のせいもあるけど、原作に忠実な長ったらしく美麗な科白を力まず聴き取りやすく発声してくれる、俳優陣の質の良さに負うところも大きかった。舞台装置や衣装が大袈裟でないので役者が引き立っていたし。ほとんどのシーンで科白のある者しか舞台に上げない演出も良い。大好きなシェイクスピアの脚本に集中できて、すごくうれしかった。たとえ和訳でも、彼の創ったことばは機智や含蓄に富み、実に馥郁としているのです。当時の舞台もこんなふうにシンプルだったのではないかしら。
いい俳優さんばかりだった。個人的には岡本健一さんを見られたのがうれしい。結構ファン。今もJ所属なんですね、キャスト一覧にひとりだけ写真がない。なんとリチャードを演じていた。すらりとした体躯をいびつに曲げてイケメン顔をひきつらせ、他の役に較べて演じるのは大変そうだったけど、第三部では影の主役的な存在だった。是非「リチャード三世」を!マーガレットを演じた中嶋朋子さんが凄い。TVドラマが好きではないのであっちの世界で活躍する俳優さんて買わないんだけど、彼女は天才。声が太いわけではないのによく通り艶があり説得力があり。ウォリックが戦死して意気消沈する赤薔薇軍を奮起させるその弁舌、鳥肌モノだった。双眼鏡で見ても容貌に衰えがないのはエラい。ウォリック伯役の上杉祥三さん、この人の闊達な演技が長く続くシーソーゲーム的戦争の描写を引き締めていた。そしてヘンリー六世の浦井健治さん。若手だそうだけどひとり存在の浮き上がった天使みたいな王をほんわかと演じていて、たま〜にセリフが通ってないシーンもあったけど、不思議な存在感があった。キャストの妙なり。
本作を演出した鵜山仁氏は、新国立劇場演劇芸術監督を1期務めただけで退任することになっていると聞いた。再演はないのでしょうか。素晴らしい舞台だったのに。
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2009年11月24日
マリインスキー・バレエ2009「白鳥の湖」11/22
神奈川県民ホールでマリインスキー・バレエ公演「白鳥の湖」を観てきた。11/21に名古屋で初日を迎えて、次の日の横浜。バレエファン歴3年目の私としては初の生・マリインスキーです。一部のプリンシパルはガラで見ているけど、いよいよロシアの名門に接近遭遇。仕事優先にて思うようにチケットは取れなかったものの、冬のお祭りのはじまり。
≪出 演≫
オデット/オディール : アリーナ・ソーモワ
ジークフリート王子 : ウラジーミル・シクリャローフ
王妃 (王子の母) : エレーナ・バジェーノワ
王子の家庭教師 : ソスラン・クラーエフ
道化 : グリゴーリー・ポポフ
悪魔ロットバルト : コンスタンチン・ズヴェレフ
王子の友人たち : ヤナ・セーリナ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/アレクセイ・チモフェーエフ
小さな白鳥 : エリザヴェータ・チェプラソワ/ヤナ・セーリナ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/エレーナ・ユシコーフスカヤ
大きな白鳥 : ダリア・ヴァスネツォーワ/ユリアナ・チェレシケーヴィチ/アナスタシア・ペトゥシコーワ/リリヤ・リシューク
2羽の白鳥 :ダリア・ヴァスネツォーワ/オクサーナ・スコーリク
スペインの踊り : アナスタシア・ペトゥシコーワ/ヴァレーリヤ・イワーノワ/イスロム・バイムラードフ/カレン・ヨアンニシアン
ナポリの踊り :ヤナ・セーリナ/マクシム・フレプトフ
ハンガリーの踊り :ポリーナ・ラッサーディナ/ボリス・ジュリーロフ
マズルカ :アリサ・ソコロワ/オリガ・ベリク/ナターリア・ドゥゼヴリスカヤ/スヴェトラーナ・シプラトワ/ドミートリー・プィハチョーフ/アレクサンドル・クリーモフ/ニコライ・ナウーモフ/セルゲイ・サリコフ
いや〜、美しかった〜。「白鳥」はすでに数え切れないほど見ているけど、こんなに舞台の端々までびしっと整っているのははじめて。セットも衣装もシックで素敵だし、役名のないダンサーまですごく堂々としている。1幕の村の踊りのあたりはまだエンジンかかってないかな時差ボケかなーと思ったけど、白鳥の群舞がとにかく見事だった。日本のバレエ団のようにしずしずとたおやかに合わせるんじゃなくて、プライドの高そうな女の子たちがひとりひとりプロ意識を見せてる感じ。中央にプリンシパルがいても気にしないで自分のパートに集中していて、みんなスタイルが良いからオデットも白鳥の中では埋没して見えた。
あまり評判の良くないプリンシパルのソーモワ、海外のどこかの評で「サーカスのポニー」なんて言われているのを見たことがある。私は面食いなので彼女のような綺麗な子には点数が甘くなるのだが、1幕では魅力を感じなかったな。以前ガラでレニ国のクテポワのオデットを見てうんざりしたことがある。「白鳥」は選ばれたダンサーしか踊ってはいけない演目なのだなと、この時よくわかった。ソーモワは18歳で「白鳥」に抜擢された逸材と言うけど、彼女の表現力はまだ途上だなあと思った。動きを抑えてエレガントに舞おうとしていたけど表情は硬いし、誤解を恐れず言えば「醜いアヒルの子」。体がやわらかくて軽いのでポーズはぴたっと決まるんだけど、音楽を感じなかった。ただ、王子の元から去る時の腕の羽ばたき、舞台の袖に引っ込む瞬間妖しくうごめいて、おおっと思った。
マリインスキーの白鳥は全3幕、最後はハッピーエンドだ。2幕のソーモワは別人のように生き生きして魅力的だった。「白鳥」の枷が外れて自由になった感じ。元々可愛いから、微笑みは最強。テクニックはしっかりしているので、安心感がある。グランフェッテは、公演ブログではトリプルを練習してるとあったけど(うろ覚え)実際はシングル+ダブルだった。回転の最中の姿勢があんまり綺麗じゃなかったけど、テンポ良く決まって会場は大喝采。私も、総合的にはとても受けた。彼女はまだ20代前半だから、これからもっとうまく、力強く踊れるようになると思う。感情移入して3幕に突入したせいかソーモワが乗ってきたのか、再度のオデットはとても美しかった。もちろん白鳥たちも。独特のフォーメーションの変化を十分堪能した。
王子のシクリャローフは童顔美少年で、王子ちゃまって感じ。でも顔が小さくて下半身がしっかりしてて、踊りはなかなか。サラファーノフよりバランスは取れているかも。道化のポポフはよく跳んでいたけど、体が流れる感じで見ていて気持ちは良くなかった。ロットバルトのズヴェレフ、メイクが濃過ぎて演技が負けそう。王子の友人たちはそういう振付けなんだけど踊りが小さくて、ダンサーに魅力を感じなかった。小さな白鳥が難しそうな顔をして、機械仕掛けのようにきっちり合わせて踊っていたのが印象的。各国の踊りはどれも見応えがあった。どうしてもスペインが良く見えてしまうけど。王子のお妃候補達が美女揃いで、このキャストは顔で決めるのかなと思ったほど。
中盤から「ブラヴォー」が飛び出す客席のノリで、かなり盛り上がった舞台だった。芸術性の高いマリインスキー・バレエの舞台に、私も大満足。東京公演のチケットは4枚取っているがもっと見たくなって、今買い増し検討中。やっぱりバレエっていい!
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2009年11月11日
H3/グルーポ・ヂ・フーア Grupo de Rua 11/11
にしすがも創造舎でフェスティバル・トーキョー09秋の公演のひとつである「H3/ブルーノ・ベルトラオ(グルーポ・ヂ・フーア)」を観てきた。F/Tのプログラムを見た時点ではあまり興味がなかったのだが、購読ブログやTwitterでの評判が良ので、当日券で駆け込み。いや〜口コミってありがたい。今年見た(あんまり見てないが)コンテンポラリー・ダンスの中で、ずば抜けて良かった。実は去年のコンテ・ベスト1も同じくブラジルのデボラ・コルカー・カンパニー「ルート ROTA」(感想)だったことを考え合わせると、ブラジルダンス界に何が起こっているんだ!と気になってしまう。オリンピックは関係ないと思いますが。
シンプルで静かな空間に躍動するダイナミックでエネルギッシュな身体。 触れそうで触れない、ギリギリの距離を保ったムーヴメントの連続は「知覚」や「空間」への思索を感じさせる。 ブラジルのストリートから登場した、哲学するヒップホップダンサー、ブルーノ・ベルトラオの最新作が東京に初登場。 世界が注目するダンスの新機軸を目撃せよ。
演出・振付のBruno Beltrão(wiki)は1979年生まれのブラジル出身ダンサー。クラブでダンスにのめり込み、ヒップホップのクラスを受けるようになったとか。彼のスタイルは「哲学するヒップホップ」と呼ばれているそうで、公演前にプログラムでその旨読んで「は?」と思ったが、ダンスを見たら何となく納得した。掲載されたインタビューに「分析・観察することは動くことよりもずっと強く、しばしば、何より大好きなヒップホップに対する賞賛より、そこに足りていない何かに気付かされます」というくだりがあって、理知的な人なんだなあと感心。
ダンサーは10名弱、まんまストリートから紛れ込んできたようなお兄さん達。イメージはチープでマッチョ(YOCA!のサイトに写真アリ)(私のお気に入りは中段右端の彼)。開演直後はストリートのかすかなざわめきの中で舞台前方の明るい部分に2・3名のダンサーが出てきて、ペアで絡み合うような動きをするだけで、前の席の観客たちの頭でよく見えなくて物足りなかった。でも、体の一部に萎縮した部分があるような、かなり独特な振り。私は「レインマン」のダスティ・ホフマンを連想した。ダンサー同士の関係性は一触即発というややスリリングな感じだった。雰囲気が一転するのは舞台全体に照明が入ってから。いきなりダンサー達が円を描いて後ろ向きに全力疾走する。眩しさ、スピード、板張りの床に敷かれたシートの数限りない傷(スケートリンクのよう)。そう、ライティングによってこの体育館を使った会場の表情が様々に変わり、今まで見てきたにしすがも創造舎とは思えない、洗練された異世界が出現したのだった。照明が落ちると床の傷が見えなくなって、一転ナイトクラブみたいなツルツルしたフロアに変化したりして。セットなんて皆無に等しいのに、かなりの演出力。ダンサーの衣装も普段着で出てきてるように見えて結構調和が取れているし、ヨーロッパで人気のカンパニー、というのが事実なんだなあと頷く。
ダンサーの動きはたしかにヒップホップなんだけど、まさに動きを切り取ってモチーフ化したような、独創性がある。それに彼ら、すごいバネを持っていて、重量感と俊敏さがダンスに厚みをつける。走ると速くてすごいんだよね〜、途中でダッとジャンプしたりして。踊りっぱなしというわけではなく、バスケの試合のように場外に出たダンサーは座り込んだり水を補給したり静的な存在になり、出番が来るとパワーを爆発させるから、とにかく迫力があって。あと、分子の動きのようにダンサーとダンサーが衝突することもままあるんだけど、ここで生じるバトルがまたカッコいい。吾妻橋ダンスクロッシングで見たcontact Gonzo(jp)も疑似喧嘩ダンスだったけど、ソレに終始していたのが私的に残念な面だった。ベルトラオの振付けではバトルは抽象化していて、ダンスとしての流れを損なわないのだ。音楽のないシーンが多いのにリズム感が失われないのは、彼らの鼓動や息遣いがBGMになっているからだろうか、と考えさせられた。
ダンサー全員がイケメンとは言わないけど、彼ら実力的にはほとんど互角に見えた。ひとりひとりの動きには微妙なクセのようなのがあって、最初は「チック」「クネクネ」「マッチョ」とややネガティブなあだ名を付けていたんだけど、みんな踊れるので、群舞になると個性がプラスに働く。同じ動作を繰り返していくシーンで、走る軌跡やジャンプのキレや高さが皆少しずつ違うのが、面白い。飛んだり跳ねたりだけじゃなくて関節を利かせた複雑な動きも細かく取り込むベルトラオの振付けは、意外性があってとても良かった。抽象が苦手な私はストーリー性の薄いコンテンポラリー・ダンスを見ているとすぐにうとうとしちゃうんだけど、今回は逆に目が冴えてしまって、固唾を飲んでダンスに見入った。このカンパニー、次に会えるのがいつか、さっぱりわからないし。ヒップホップって雰囲気で見ちゃうけど、実は人間の身体機能を最大限に活かしていて面白い。クラシックバレエとは違った意味で。背中を支点にした動きに特徴があるかな。
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2009年11月 9日
平山素子 Life Casting -型取られる生命- 11/8
新国立劇場小劇場でコンテンポラリー・ダンスの公演「平山素子 Life Casting -型取られる生命-」を観た。平山さんは著名なダンサーだけど初見。私が今までに見た国内のコンテンポラリー・ダンサーなんて微々たるもので、正直「好き、もっと見たい」と思っているのは女性では康本雅子さんくらい。生まれつきの面食いなので、たとえダンサーでも腹筋が露骨に割れてる人より優美な肢体を持つ人がタイプ。平山さんはフライヤーで見る限りマル。+ザハロワ様が踊られた「Revelation」の振付家ということで、この公演はかなり期待していた。
第1部 un/sleepless 【出演】木下菜津子、高原伸子、池田美佳、西山友貴、柳本雅寛、平原慎太郎、中川賢
第2部 Twin Rain 【出演】平山素子
第1部は平山さんは出演されず、若手ダンサーのみ。Revelationでイメージしていた以上にバレエ的な振付けで、ほっとする。私はやっぱり、面白さより美しさをダンスに求めるから。最初にひとりで出てきた男子のダンサーが、のびやかだけどエレガントな動きをするので見入る。新国のサイトに「普遍的な魅力を持つ平山素子作品」と紹介されてたけど、なるほどある意味ベーシックな振付け。ただ、ダンサーの若さもあるのか、7名が舞台に載ると調和と混沌の間の中途半端なところで世界がまとまる感じで、あまり集中できなかった。というか寝不足だったのか、寝てしまった。視認される身体を断片と捉える平山さんのコンセプトはわかるんだけど。目を開けている間はみんな動きにキレがあっていいなあとか思うんだけど、次第に心地よくなってしまうのよね。ごめんなさい。
情けなさを振り捨てて、第2部。渡辺晃一さんというアーティストの美術、舞台後方中央に半透明なダンサーの彫像がある舞台。アートとダンスのコラボ、先日のセッションハウスでも見たけどこちらは完成度の高さを感じた。音楽も前半はアブストラクトな感じでメロディなし、鼓動のような水滴のような響きが静かに時間を刻む。ホルターネックの女神風の衣装をつけた平山さんは最初彫刻の分身のようにわずかな動きしか見せないけど、次第に解き放たれ汗が光りむき出しの腕と背中が神々しく輝く。うーんやっぱりキレイなダンサーだ。体のラインがザハロワちっく、でもRevelationのザハロワ様のようにコスチュームがもっと薄衣でひらひらしていたら、腰や脚もさらに綺麗に見えたんじゃないかなあ。彼女は非常に柔軟で強靭で、アチチュードっぽいポーズも見事に決まる。ポアントを履いているように浮遊感もあるし。
・・・あとは振付けかな。これはあくまで個人的好み。ラストの、隙間と逆光を活かした平山さんのダンスのオリジナリティ、芸術性は高く買うけど、純粋に楽しむってことはできなかった。私は音楽ありきのダンスが特に好き。バランシン、ナチョ・ドゥアト、そして康本さん。どれも強烈に音楽と呼応している。平山さんは精神性を大切にしていて音楽は後づけ、という感じがした。
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2009年11月 2日
11月の舞台鑑賞予定
12月にチケット取り過ぎたのでただいま整理中。東京バレエ団の「くるみ」コジョカル&コボーは、諸事情により譲渡できたらと思っています。
・11/4(水)NHK音楽祭2009ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
NHK音楽祭は休みに当たった日に行くことにしている。今回の演目はバッハ/ピアノ協奏曲第1番&マーラー/交響曲第1番「巨人」。ピアニストのキット・アームストロング君は16歳☆ 去年はN響のラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ&ブルッフ/バイオリン協奏曲第1番ト短調&ムソルグスキー/展覧会の絵と、ロイヤル・コンセルトヘボーのブラームス/バイオリン協奏曲 二長調&ブラームス/交響曲第3番ヘ長調&R.シュトラウス/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」を聴いた。N響は「展覧会の絵」が良かった。コンセルトヘボーはそれはもう素晴らしくて、特にシュトラウスははじけていてめちゃ楽しかった。アンコールもノリノリだったし。
・11/8(日)平山素子 「Life Casting-型取られる生命-」
ザハロワ様に気に入られて「Revelation」を振り付けた平山さん。ご本人は未見です。わくわくしている。
・11/22(日)東京バレエ団「くるみ割人形」コジョカル&コボー
もしもご希望の方がいらしたらお譲りします。東京文化会館15時開演、S席13,000円1枚。
・11/23(月)マリインスキー・バレエ2009「白鳥の湖」エカテリーナ・コンダウーロワ&ダニーラ・コルスンツェフ
ファースト・ソリストになったコンダウーロワ、映像でしか見たことないけど美人。私のマリインスキー祭りはここからはじまる。楽しみ〜
・11/29(日)ローザス「ツァイトゥング」
前回公演では思い切り寝たが、再挑戦。ダンサー9名とのことで、3名の前回より派手な感じになるのかな。
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2009年10月25日
Arkadi Zaides -Solos 10/25
セッションハウスで「Arkadi Zaides -Solos」というダンス公演を観てきた。アルカディ・ザイデスというのはイスラエルの若手振付家で、バットシェバ・カンパニーやヤスミン・ゴデールのところで活躍してたと言うから、注目すべき存在と思われる。フライヤーのビジュアルもいい感じなので(最近コレで行く公演を決めることにした)、当日券で参加。
1.「Solo Siento」 振付・ダンス:アルカディ・ザイデス Arkadi Zaides ビデオ:シーラ・ミアニスク
2.「Solo Colores」 振付:アルカディ・ザイデス 脚本・演出:イタイ・ヴァイザー ダンス:イリス・エレツ 彫刻:イサベル・クルエーヤス
1演目目は2007年にビデオ・ダンス・フェスティバル(イスラエル)で最高賞を受賞したという作品。15-20分と比較的短くて、最初は映像なし、ザイデス本人の動きが止まってから壁のスクリーン上で映像の彼が動いていたと思う。ザイデスはチャーミングだしパンツの上にシャツがさかさまにかぶさったようなオシャレなコスチュームを着ていたけど、ダンスはわかりにくかったなあ。あんまり「踊らない」系、不協和音の中で顔や体を撫で回して、細かい指先の使い方が先日見た森山開次さんを思い出させたけど、今の潮流なのかな。基本的に品がある人なので不快感はないけど、気づいたら終わってた。
2演目目はダンサーと彫刻家のコラボレーションということで、開演前に観客はいったん会場から出された、15分も。で、アートファンとしては期待したけど、単に舞台後方に平面的な植物のオブジェが置かれただけ。観客が再入場する前からダンサーはスタンバっていて、すでに己の世界に没入して手先を細かく振るわせながら立っていた。イリス・エレツは顔が小さくて笑うと可愛いんだけど、振付けがやや自虐系で彼女すごく集中してるから、直視してはいけないものを見ているような感じだった。でも、バックの彫刻と同じように風に揺らいでいるイメージで、病的な感じはないのよね。よく激しく痙攣するダンスってあるけど、ああいう不自然さはない。実はそれがザイデスの振付の極意?ラストの音楽がプリンスのパープルレインだったという意外性。
某所で古いバレエのDVDを3本続けて見た後で、生のダンスに飢えていたところだったんだけど、残念ながらあんまりツボな舞台ではなかった。それでもイスラエルのダンスは目が離せないと思うし(N先生の受け売り)、当日券3,800円のC/Pが良かったかどうか、何とも言えないところ。でも、舞台は自分の目で見ないと判断つかないもの。これからもアンテナに引っかかったモノは逃しません。
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2009年10月23日
翻案劇「サロメ」10/22
東京グローブ座で翻案劇「サロメ」を観てきた。
原作:オスカー・ワイルド
上演台本・演出:鈴木勝秀
詞章:橋本治
音楽:池上眞吾
出演:篠井英介、森山開次、江波杏子、上條恒彦
ビアズリーの挿絵のイメージの強い(と言うか私はそれしか知らない)オスカー・ワイルドの「サロメ」を、踊りを日本舞踊に置き換えて演奏も邦楽にして。篠井英介さんが鈴木勝秀さんと組んで女形で名作に挑むという企画の第三弾らしいが、私は森山開次さんが出演されるという理由でチケットを買った。もちろんサロメを演じるのは篠井さんで、クライマックスで「七つのヴェールの踊り」を踊る。彼は日本舞踊の名取なのでそこそこ格好がついていたが、ヨカナーン役の森山さんの演技が半分は舞踊で、冒頭からラストまで彼独特の全身から情念がほとばしるようなダンスで舞台をさらってしまうので、篠井さんはあんまり「踊って」いるように見えなかったなあ。ソロ公演で見る森山さんの振付けは、あまり音楽を感じない。彼自身の魂の揺らぎを見ているようで、個人的には入り込めない世界だと思っていた。今回のように物語があって演じるイメージがはっきりした、「他者が介入した」振付けの方が私は好きだ、森山さんのダンス。込み入った指の動きで何かを伝えようとしていたのが印象的だった。修験者として最初は苦しそうに踊っていただけなのが、科白を発した時は驚いた。いい声だし、通っている。ダンサーだから肉体の鍛錬は俳優以上だと思うのだが、篠井氏との丁々発止も対等に見えて、感心した。前回の新国立の公演は一部うとうとしちゃったくらい相性が良くなかったのだが、幕間に見かけた森山さんの明るいオーラを見て「この人はやっぱり只者ではない、芸の世界で輝く人だ〜」と感じたことを思い出した。ダンスを武器として、演劇の世界に進んで行くのは良い方向性なのではないか。
篠井さんは女形として魅力を感じた。もちろん演技もすごく巧い。リズム感とか。江波さんと上條さんは適役だったけど、森山さんが尋常ではない空気を舞台に創ってしまったので、彼らの破綻のない演技は物足りなかった。ワイルドの戯曲の翻案も、言葉遣いは美しかったけど繰り返しが多く濃度が薄かった。もうちょっと緊迫感を出せなかったのか。原作を守ると、ああなるのかな。
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2009年10月21日
Kバレエカンパニー「ロミオとジュリエット」10/18
オーチャードホールでKバレエカンパニーの新作公演「ロミオとジュリエット」を観てきた。(しつこいようだが)バレエ鑑賞歴3年目の私がクラシックバレエを見るきっかけとなったのが、熊川哲也さん。最初ナチョ・ドゥアトでコンテンポラリー・バレエにはまって、いやでもクラシックは退屈そうだよねと思っていたのだが、せっかくだから同時代の日本人のスターダンサーくらいは見ておこうと、Kバレエのドン・キのチケットを取ったのがはじまり。結局予習のために見たミラノ・スカラ座のドン・キが「はじめて」になったんだけど、今思うと感慨深い。熊哲さんはドン・キを怪我で降板して、でも代役のラスタ・トーマスがすごく良かったしなんだかんだ言ってバレエのチケットを手当たり次第に取るようになって、今日にいたる。熊川さんは去年の白鳥でやっと見た。その後また怪我されて復帰して・・・。舞台ってのは一期一会だなあと、振り返ってしみじみ思う。
【キャスト】 ロミオ:熊川哲也 ジュリエット:ロベルタ・マルケス マキューシオ:橋本直樹 ティボルト:遅沢佑介 ロザライン:松岡梨絵 ベンヴォーリオ:伊坂文月 パリス:宮尾俊太郎 キャピレット卿:スチュアート・キャシディ キャピレット夫人:ニコラ・ターナ 乳母:樋口ゆり 僧ロレンス:ブレンデン・ブラトーリック 僧ジョン:小林由明
NYCB連続3公演、そしてザハロワ様のドン・キと最近バレエ漬けの私。この公演は正直言って物足りなかった。「構想3年」という熊川さんの振付・演出はstory的にとてもわかりやすく(典型的な例は僧ジョンが襲われてロレンスの伝言をロミオに伝えられなかったところ)、群舞の動きはどのシーンでも光っていた。男性ダンサーは熊川2世みたいなバネの利いた人が多く(誉めている)、何よりゲストのロベルタ・マルケスはテクニックもありながら超可愛い。小柄なので熊川さんとの身長バランスが良く、清楚でキュートでジュリエットにぴったり。ソロパートでの演技は流石英RBのプリンシパル、という存在感。でもね・・・。どうしても、ナチョ・ドゥアトのロミジュリと比較してしまうんですよね〜。あの昨年のスペイン国立ダンスカンパニーの公演は3日間だけだったしシュツットガルト・バレエ団の眠りと重なっていたしさいたま芸術劇場と言う遠くて敬遠されがちな会場で行われたということもあって、一握りのバレエファンにしか見られていないと思うけど、アレは素晴らしかった。マイムを極力排したロミジュリ。そんなの可能?可能なんです。振付と衣装と演出でね。そして音楽性でね。長くなるのでここでは語りませんが、私はナチョの世界に囚われてしまっていて、熊哲さんみたいなベーシックなロミジュリに波長が合わなくなっているもよう。
スーパーダンサーの熊川さんは芸監としてそつなく、自分だけが目立つような振付けは控えていたみたい。動きにキレはあったけど土埃が舞うようなピルエットとかは見せてくれなかった。他のダンサーとの調和重視か。彼は演技がうまい、表情がマイム。ロベルタ・マルケスはPDDの時は動きがこじんまりしてて印象薄かったけど(やっぱり練習不足?)、ソロの毒を飲むシーンとか墓室では全身からジュリエットの感情がほとばしっていて、素晴らしかった。ティボルトの遅沢佑介さんの身体能力が目を引いた。乳母の樋口ゆりさんの、場を和ませる軽妙な演技が光っていた。
ニュースになっていたけど、この公演は美智子皇后がご観覧にいらしていて、カーテンコールが終わるまで客席で熱心に拍手されていた。公演後玄関で大勢の庶民が出待ち(私含む)。警備の方がとても感じよくて、「開かれた皇室」を感じましたわ。
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2009年10月19日
新国立劇場バレエ団「ドン・キホーテ」10/14
新国立劇場バレエ団の「ドン・キホーテ」を観てきた。ニューヨーク・シティ・バレエ祭りの興奮も覚めやらぬ、先週半ばのこと。あれほどの感激の直後にプロットレス・バレエの対極にあるドン・キを見るのもどうかと思うが、ただのドン・キではない。女王ザハロワ様とウヴァ様の、プレシャスな舞台。昨年末のボリショイの白鳥ではじめて生の女王様にまみえた私にとって、ザハロワ経験値はまだまだ低い。機会があればどんどん見る。
キトリ(ドゥルシネア姫):スヴェトラーナ・ザハロワ バジル:アンドレイ・ウヴァーロフ ドン・キホーテ:長瀬信夫 サンチョ・パンサ:吉本泰久 ガマーシュ:澤田展生 街の踊り子:西川貴子 エスパーダ:貝川鐵夫 ジュアニッタ:寺島まゆみ ピッキリア:西山裕子 メルセデス:湯川麻美子 ギターの踊り:楠元郁子 ジプシーの頭目:小口邦明 二人のジプシー:八幡顕光・福田圭吾 森の女王:厚木三杏 キューピッド:高橋有里 ボレロ:楠元郁子・貝川鐵夫 第1ヴァリエーション:寺島まゆみ 第2ヴァリエーション:さいとう美帆
こうやってキャストを書き出してみると、新国立のダンサーのみなさんの顔と名前、まだほとんど覚えていないことがわかる。キトリの友達と、第1・第2ヴァリの踊りが綺麗だったなあと思うけど、ザハロワ様が舞台にいる間は双眼鏡にしがみついているせいか、周りが見えてこない。それならザハロワ様はどうだったかと言うと、ただただ美しいのひとこと。私などが言うのもおこがましいが、調子よさそうだった。終始にこやかで軽やかで危なげなく、安心してあの柔らかな肢体が描く優美なラインを堪能した。新国立のドン・キはボリショイと同じ版だと聞いた。ファジェーチェフ版ですよね。ジプシーの踊りの前にさっさとバジルが狂言自殺を済ませてしまうので、夢のシーンが好きでない私はラストの結婚式まで通常うとうとしてしまうのだけど、お姫様役の似合うザハロワ様のドゥルシネアは絶品。むしろキトリよりはまっていて、逆に目が覚めた。もちろんGPDDもひたすら晴れやか。グランフェッテはダブルを入れて、腰に手を当て、だったかな?うれしかったのはウヴァーロフも好調だったこと。長身でノーブルな王子様のウヴァ様だけど、地は苦労性のいい人というか、ザハ様にひたすら気を使って必死でかっこいいバジルを演じているのがいつも健気で素敵だと思っている。不調だと変な汗をかいて額がギラギラしてくるような。この日は体が軽そうで、音楽に乗っていた。ガラのカーテンコールで見たことがあるけど、その気になればアクロバティックな高いジャンプもできる人なのだが、適度におさえてきっちりザハ様を引き立てていた。いい人だ。奥様とお嬢様らしき方が会場にいらしたとか?
マイレン・トレウバエフがバジル・デビューした15日に鑑賞された、大先輩のバレエファンであるnaomiさんやFさんのようなきめ細かな感想を書くのは私にはムリ。やっぱりザハロワ様は麗しかった、のひとことに尽きます。
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2009年10月14日
ニューヨーク・シティ・バレエ2009 Aプロ 10/12
オーチャードホールでニューヨーク・シティ・バレエ2009Aプロ公演を観た。思いがけず感動の嵐だった私のNYCB祭り、最終回。そして楽日。個人的には存分に堪能したけど、観客全体の盛り上がりは最後まで今いちだった気がする。ふつうのバレエ公演に較べて男性客が多くて、本当に好き、という方が多いんだなと察したけど。最終日はスポンサーのシティバンクの招待客で賑わっていたのに関わらず、全体の反応は淡白だった。最後のカーテンコールでキラキラ花吹雪が舞ったけど、立ち上がる人はなく拍手も通り一遍。もうちょっと興行側で工夫して垂れ幕下ろすとか花束贈呈とか(いやどっちもクサい...)、何とか盛り上げられなかったのだろうか。
「セレナーデ」(振付:バランシン/音楽:チャイコフスキー Serenade for Strings)
CDでしっかり予習して「オー人事」のイメージを乗り越えて、臨みました(こういう名曲をCMで使うの、やめて欲しい)。なんと1935年(NYCB以前)初演の、あまりに美しい音楽とあまりに美しい衣装・照明・振付が融合した幻想的な作品。美の極致。元々はバレエ学校の生徒のために振り付けられたと言うのだから、なんて言うかバランシンの豊かな才能にびっくり。今年新国立の「Ballet the Chic」で見て結構感動した覚えがあるが、女性ダンサーがこける展開を知らなかったので、その辺から落ちこぼれたのだった。あの、脚が微妙に透ける水色の衣装が好きです。アシュレイ・ボーダーが光っていた。彼女はバランシンを知らない世代だしいわゆるバランシン・ダンサー的スタイルではないのだと思うが、NYCBのイメージをupするいいダンサーだと思う。踊ると、妖精みたい。
「アゴン」(振付:バランシン 音楽:ストラヴィンスキー)
ストラヴィンスキーの曲には白黒のレオタードって決まっているのだろうか。なんかはまり過ぎ。1957年初演。シンフォニーイン3より更にスリリングで内省的な音楽だが、バランシンは実に巧く、緻密に振り付けている。私はスペイン国立ダンスカンパニーのナチョ・ドゥアトが大好きで、彼は音楽ありきの振付家なので彼のダンサーはそのまんま音符に見える。一方バランシンの場合、彼のダンサーはまさに音楽の下僕(と言うと語弊があるが)。「チャイコフスキー・ピアノ・コンチェルト第2番」や「セレナーデ」を見て感じていた。ドゥアトはダンサーの人間性を音に上乗せするが、バランシンはダンサーの個性を没することにより純粋な音楽を抽出している感じがして、方向性は似ているのに微妙に異なる振付家の個性を美味しく味わった。
振付と曲とが同時進行で作られていったバランシンとストラヴィンスキーとの完全コラボレーションによる幸せな作品。プロットレス・バレエ(ストーリーのないバレエ)の最高傑作と言われることも多い。
実際見ないとわからないと思うけど、音楽とダンサーの動きのはまり具合が絶妙。すごくノリにくい音楽だと思うんだけど。「セレナーデ」が予定調和的美しさだったのに比して、こっちは未知の世界の鮮烈な美しさ。全く違う種類の「美」を目の当たりにして、すごく動揺しながら舞台を見守った。泣けた。なんでアブストラクト・バレエで涙腺を緩めるんだ自分、と思ったけど美しいんだから仕方ない。特にウェンディ・ウィーラン。彼女がこの演目に欠かせないダンサーであるという予備知識は持っていなかったのだが、彼女自身が私に知らしめてくれた。息をのむような、瞬きするのがもったいないようなPDDを経験。
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」(振付:バランシン/音楽:チャイコフスキー)
古くからのバレファンの皆様には「セレナーデ」「アゴン」そしてこの「チャイコPDD」は見慣れた(もしかしたら見飽きた)演目かもしれないけど、私には十分新鮮。まだ決定版を見ていない感があるので興味深く鑑賞。楽しいプログラムですね。前の2本で異種の美の極致を堪能したあと、バレエらしいバレエを見れてすごくバランスが良かった。バランシンの振付けの多彩さにあらためて感心。この演目は1960年初演、結局これまで見たのはすべて私が生まれる前に創られたバレエで、それなのに古さは皆無で打ちのめされるような刺激と喜びを与えられたのだ。バランシンの偉大さ。あらためて思い知る。
「ウエスト・サイド・ストーリー組曲」 (振付:ロビンズ/音楽:バーンスタイン)
これはロビンズ。いや〜、本公演では装置の一切ないストイックな舞台にすっかり慣れてしまったので、はじめて出てきたスタイリッシュな大道具が目に楽しかった。いちいち幕をおろさずすすっと場面転換する技術はさすが。ほとんどNY(=ショービジネスの街)で興行しているカンパニーですもの、こういった完成度の高いミュージカル仕立てのバレエを持っておくのは賢い。ジーンズとか着ててもダンサーはカッコいい。常々世界でもっとも美しい人種はダンサーだと思ってきたけど、彼らはほんと歩いているだけで絵になるのだ。ミュージカル仕立てなので一応歌手も入っていたが、ダンサーもソロでも歌うので(多分アテレコ)面白かった。マイムとは違う、ダンスによる演技、ロビンスの振付けも素晴らしい。
NYCB、もっと観たい!来日をおとなしく待っていていいのか自分!と思っている。
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2009年10月13日
ニューヨーク・シティ・バレエ2009 Bプロ 10/11
オーチャードホールでニューヨーク・シティ・バレエ2009Bプロ公演を観た。5年ぶりの来日公演ということで、もちろん私ははじめて。このカンパニーはあのバランシンが創設したバレエ団だけど、スター揃いのアメリカン・バレエ・シアターに較べると日本での人気は落ちるみたい?常々バレエ好きのみなさんのブログを種々読ませていただいているけど、あまり騒がれていなかった。バレエファン歴3年目の私は主に好奇心で全プログラムのチケットを買っていたが。バランシンと言えば「バレエ・インペリアル」「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」「セレナーデ」あたりをガラや国内バレエ団の公演で見ていたけど、綺麗な音楽に流されて漫然とした見方しかしていなかった。ところが今回、NYCB通の方に「楽しむポイントは音楽をよく聴いておくこと」と教えていただいてしっかり予習して臨んだところ、バランシンの素晴らしさがバシバシと全身に伝わってきて、至福の時を過ごすことができた。コンテンポラリー好きな私には、すごく合っていたみたい。Mr.Bに完璧に魅了された。
「コンチェルトDSCH」(振付:ラトマンスキー /音楽:ショスタコーヴィチ Piano Concerto No.2 in F Major, op 102)
ボリショイの「明るい小川」のラトマンスキー、と覚えていたのでどうよ?と思っていたけど、実にチャーミングな演目だった。洗練されていて。曲自体、軽快でお茶目(こんな感じ→YouTube)。ホリー・ハインズの衣装が可愛くて、特に男性のクラシカルなワンピース水着みたいなコスチュームがツボ。ハンブルグの「人魚姫」を思い出した。最初円陣を組んだ彼らの中からダンサーがひょっこり出現するのだが、その動きや表情がコミカルで、でも踊り出すと皆若々しく、動きが軽くジャンプは勢いがあって、しっかりこのテンポの速い曲を捉えている。基本的に正当派バレエを踏襲しているから、ポーズが流れず美しい。古典はどうしても女性がメインになるけど、こういうコンテは男女が対等でフォーメーションが自由に組めるから、いい。あと、パートごとにデザインは同じだけど色の違うコスチュームを着ているので、出入りが激しくても見ている方には整然と映った。第1ダンサーのウェンディー・ウィーラン(ポスターの人)はすでにベテランのプリンシパルらしいが、背筋がぴんとして清冽な印象が強かった。ラトマンスキー、いい。2008年初演のほやほやの新作だが、こういう素晴らしい作品を現在も創り出しているNYCBはえらい。
「バーバー・ヴァイオリン・コンチェルト」 (振付:マーティンス/音楽:バーバー Concerto for Violin and Orchestra, Op 14)
芸術監督のピーター・マーティンスが振付け。日本初演だがNYでの初演は1988年だから、すでに定番の演目なのだろうか。「トウ・シューズをはく女性ダンサーと裸足の男性ダンサーに象徴される、古典と今との動きの対比が興味深い」と解説にあるけど、モダン側の女性ダンサーの存在感が弱くて、期待された緊迫感は得られなかった。クラシック側の女性ダンサー、サラ・マーンズはこれがバランシン・バレリーナ!?と疑わざるを得ない体型だったんだけど、プリンシパルだけあってテクニックはしっかりしていて、不思議〜な感じだった。
「タランテラ」 (振付:バランシン/音楽:ゴットシャルク)
1964年初演でわずか7分の演目だが、いわゆる超絶技巧ものでとにかく動きが激しい。でもタンバリンを軽快に打ち鳴らして、すごく陽気。強烈な作品。ダニエル・ウルブリクトはタンバリンを壊す勢いで頑張っていたけど、あとから冬のマリインスキー・ガラでサラファーノフがこの演目を踊ると聞いて、うれしくて脳内がサラに上塗りされかけてしまった。きっと素晴らしいと思う〜
「チャイコフスキー・ピアノ・コンチェルト第2番」 (振付:バランシン/音楽:チャイコフスキー Piano Concerto No.2 in G Major)
バランシンの偉大さをがつーんと思い知らされた。なんと1941年初演の名作。「バレエ・インペリアル」として他のカンパニーでも演じられる(そしてたしか東バで見た私は寝てしまった〜)作品だが、NYCBではクラシック・チュチュでなくてシフォン・スカートで踊る。タイトルも上記の通り。総勢30名近くのダンサーがキャストされていて、コール・ドは東バの方がよほど揃っている。でもNYCBのダンサーはみな生き生きと可愛らしいし、何よりバランシンの創るフォーメーションは緻密で複雑で、数学的美しさを感じるので、それを追う喜びにさらわれてしまって細かいことは気にならなかった。事前に曲をよく聴きこんでいたのが大きかったのだと思う。そしてファースト、セカンドグループの振付けの素晴らしさ。ダンサー個人の力を感じたのは何と言っても第1ダンサーのアシュレー・ボーダーだったけど、セカンドの男女の動きのミラリングもかなりはまった。チャイコフスキーの音楽に合わせているだけなのに、見事にその真髄を視覚化していた。ボーダーは上半身が厚めで決して優美なスタイルではないのだけど、タフで音楽性が高く長いソロパートでも見事に舞台を掌握して、魅せてくれた。すっかり興奮して、次のCプロ、Aプロへの期待が高まる・・・
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ニューヨーク・シティ・バレエ2009 Cプロ 10/11
オーチャードホールでニューヨーク・シティ・バレエ2009Cプロ公演を観た。マチネのBプロに続くソワレ。Aが本家本元特集、Bがコンチェルトづくし、そしてCはほとんどが日本初演というのがウリ。ダンサーの怪我によりクリストファー・ウィールドン振付・アルヴォ・ベルト音楽の「アフター・ザ・レイン」が昼に見たばかりの「タランテラ」に変更というアクシデントはあったけど、期待通り、いえ期待をはるかに越えた感動をもらった。
「ワルプルギスの夜」 (振付:バランシン/音楽:グノー)
グノーのオペラ「ファウスト」のバレエ場面を、独立した作品として再振付けしたもの。1980年初演で日本でははじめて。男性ダンサーはひとりだけオマケのように出てくるけど、あとは24名の女性ダンサーが占める。冥界から蘇った女性たちいう設定だけど、鈍感な私はひたすらキラキラ美しい群舞をわくわくしながら楽しんだ。カリンスカデザインの、紫色のシフォン・チュチュが可愛い!途中でシニヨンをといて髪をおろした姿が皆チャーミングで、動きはクラシカルだったけど最後まで全く飽きずに楽しめた。第1ダンサーのマリア・コウロスキーがほっそりとして可憐で好印象だったけど、彼女は結構ベテランのプリンシパルということで、うわー、若く見えるなあと驚いた。
「タランテラ」
キャストも昼のBプロと同じ。勢いも同じ!
「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」(振付:ロビンズ/音楽:ショパン)
1969年初演ながら日本初演、バランシンと共にNYCBを育てたロビンズの代表作ということで、熱い目で迎えた。ショパンの18曲を使った1時間ほどの作品で、ショパンか〜寝るかも、と思っていたがバランシンとはまた違ったアプローチの新鮮な振付けに、ときめいた。尖ったところはないけど10名のダンサーの絡ませ方が秀逸。きちんとバレエしてるけど極めてナチュラル、でもクラシックでは見られない動きが見え隠れして、とても楽しいのだ。これもプロットレス・バレエだと思うのだが、若い男女の機微が自然と浮かび上がってきて、エモーショナルな作品でもある。あ、そうそう、照明のジェニファー・ティプトンのおかげかバックの青空がものすごく綺麗で、セットが何もない舞台(他の作品にも一切ないけど)にすごく映えていた。
「シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメント」 (振付:バランシン/音楽:ストラヴィンスキー)
あまりに鮮烈な作品。1972年初演。これがストラヴィンスキー×バランシンなのね。3名の女性(ピンク)をのぞいてダンサーは皆白黒のレオタードで、強い眼をして、隙のない動きをする。無機的な感じは先日ダンストリエンナーレトーキョーの映像会で見たマース・カニングハムを何となく思い出させた。ジョン・ケージとの関係もストラヴィンスキーとのそれに似通っている。しかし80年代のカニングハムの作品にすでにレトロな匂いを感じたのと裏腹に、バランシンの振付けには現代の一線のダンサーを最大限に緊張させるだけの永続的な精神性を感じた。下↓の写真、これはラストのポーズなのかなあと思っていたら然り。しかし生の舞台で見るとこの幾何学的なフォーメーションに至る盛り上がりが凄まじい。このプログラムだけダンサーの息遣いが聴こえるくらい舞台に近い席に座っていたのだが(感謝♪)、最前列の彼らはクライマックスに向かってこっちを睨みつけるように見据えていた。ちょうど視線が同じ高さで、射すくめられました。ピタっと動きが止まってポーズが完成した時、あまりに感動して涙ぐんでしまった。あと、ダンサーはストイックに統制されているようでいて(バランシンはダンサーが個性を出すことを嫌ったと聞く)、人によっては笑顔を浮かべて踊る人もいて、個人の解釈・感情の自然な湧出は許されるんだなあとぼんやりと思った。
Aプロへ続く・・・
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2009年10月 9日
タルダンス・カンパニー&鈴木ユキオ 10/4
ダンストリエンナーレトーキョー2009のプログラム、
●タルダンス・カンパニー/ムスタファ・カプラン-フィリズ・シザンリ[トルコ]『DOLAP』 (2000)
●鈴木ユキオ/金魚[日本]『犬の静脈に嫉妬せず』(2006)
観てきた。
・・・・・。
えーとトルコのペアはいい感じのルックスの男女で期待したけど、ガムテープでグルグル巻いた重そう〜な大型冷蔵庫を相手に向けて倒して、押し返されてまた倒して、時に冷蔵庫を相方に乗っけてその上に寝そべったり、なんか遊戯なんだかスリルを味わっているのかよくわからない「ダンス」だった。はじめはしげしげと見つめていたけど、だんだん飽きたのでうとうと。あの重みに反応するダンサーの筋肉とか見てれば良かったのかな。集中すれば彼らの緊迫感は伝わってきたはず。
鈴木ユキオさんはいるだけでカッコよかった。他の3名のダンサーは、髪の長い女の子だけ何かが憑依したような凄みがあったけど、鈴木さんがダントツ。ブルース・リーみたいな鋭い筋肉をしてて、彼は四つん這いになってじっとしているだけでただならぬ存在感がある。ただ・・・。舞踏系?って私はどうも。若いダンサーの科白付きの動きも、目新しくないし言葉遣いに響くものがないし、奇をてらっているだけに見えた。
これがコンテンポラリーなのね。10回に1公演好きなものに出会えるか出会えないかと言う・・・。「勘」を研ぎ澄ませないとね。て言うかチケット取る前にビデオ見ておこうね、自分と思った。そう、私は生ダンスなら何でもいいと思って、何も考えずに仕事休みの日のチケットを押さえた人。まあ、いい経験になった。自分の中のダンスに関する引き出しが増えたと思う。
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2009年10月 8日
ダンス・フィルム・ヴァリエーションもうひとつ
最終日、行ってきました。
L『追悼マース・カニングハム』
ポストモダンダンスの第一人者、カニングハムが2009年7月26日、その90年の生涯を閉じた。ジョン・ケージやデヴィッド・チュードアといった作曲家、アンディ・ウォーホル、ロバート・ラウシェンバーグ、ジャスパー・ジョーンズといった現代美術アーティストなど20世紀の重要なアーティストたちとの密接なコラボレーションを通し、斬新な表現を次々と生みだした。その代表的なダンス映像作品を上映する。
ううむ妙に鮮やかな印象を私の中に残しつつ、たまらない眠気も誘った映像だった。でもこれで「マース・カニングハム」と言われた時頭の中が空っぽではないことになったので、とてもうれしい。なんか、バレエ美をあえて外した体操みたいな(最初のプログラムではNHKの子供番組を思い出した)振りで、人間の体ってこういう動きもするんだー、なるほどって感じの。ダンスと言うよりダンサーが動く彫刻と化していた。それがアートっぽく。ジョン・ケージの雑音音楽が妙にはまっていて感心。
『デリ・コメディア』監督・振付:マース・カニングハム、音楽:パット・リヒター/1985年/18分
『チェンジング・ステップス』監督・振付:マース・カニングハム、出演:ジョン・ケージ/1989年/35分
『ビーチ・バーズ・フォー・カメラ』監督・振付:マース・カニングハム、出演:ジョン・ケージ/1993年/28分
生ダンス公演はほとんど見られなかったけど、ダンストリエンナーレトーキョー2009、楽しかった。
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2009年10月 7日
ダンス・フィルム・ヴァリエーション
このところブログをさぼっていたのはコレのせいです。ダンストリエンナーレトーキョー2009で開催されていたダンス映像フェスティバル、DANCE FILM VARIATIONに通っていたから〜。21時からのレイトショーなので、帰宅したらほとんど寝る時間。
本邦初、映画館でダンス映像フェスティバル。フランスの映像アーカイブ、シネマテーク・ドゥ・ラ・ダンスの協力のもと、20世紀のダンスの歴史をスクリーンで巡る貴重な体験。
こんな感じ。と言っても見たのは3プログラム。以下見た順にメモ。
I『伝説のスターダンサーたち』
現在のフラメンコ舞踊を確立し、未だに超えることが出来ない不世出のダンサーとされているカルメン・アマヤ。「褐色の女神」と称えられた美しさでヘミングウェイやピカソを熱狂させたジョセフィン・ベーカー。1950年代エジプトの大衆ミュージカルで絶大な人気を誇ったサミア・ガマル。
カルメン・アマヤが素晴らしかった。『カルメン・アマヤ・フォーエバー』、1935-1955年の舞台映像(後半のものは映画かドキュメンタリーっぽい)。若い頃はキレイだったけどだんだん漢っぽくなるアマヤ、衣装は古くさいけどテクニックはすごい。あの力強く軽快なリズムを刻む脚捌き、両手のカスタネットの自由自在、確信に満ちた視線とキメポーズ...。かっこ良かった。ジョセフィン・ベーカーは多分にお笑いが入っていた。サミア・ガマルはモンローばりのベリーダンサー。
B『モーリス・ベジャール特集』
20世紀、バレエに新たな息吹を吹き込んだ振付家モーリス・ベジャール。彼の創作は映像と深く関わっており、多くのバレエが「フィルム・バレエ」としてテレビ放映されている。監督として映像を自ら手がけることにこだわり、モダンバレエにおける不世出のダンサー、ジョルジュ・ドンの若く美しい姿を捉えた『ル・ダンスール』などを手がけている。大成功をなす前の若いベジャールの貴重な映像も必見。
やっぱり古めかしい映像だったなあ。ダンサーの髪型がもろ70年代って感じで。BBL(二十世紀バレエ団か)の男性ダンサーは皆逞しいイケメン。ついでに女性ダンサーも逞しい感じで、「ボレロ」のデュスカ・シフニオス(初演)がすごく華奢に見えて新鮮だった。ああいう女性らしい体型のダンサーのメロディ(ただし色気はなくていたいけな?感じ)、私は好きだ。若き日のベジャールが踊る姿を見られて、ちょっと感動。痩せているからよけい顎が細く見える。「現在のためのミサ」が見れてうれしかった。「ル・ダンスール」は短かった。
(引用されている映像)
『春の祭典』 監督:モーリス・ベジャール、出演:20世紀バレエ団(マリ=クレール・カリエ、ジョルジュ・ドン他)、演奏:ベルギー国立オーケストラ、指揮:アンドレ・ヴァンデルノート/1970年
『ベジャール』 出演:モーリス・ベジャール、タニア・バリ、マリ=クレール・カリエ、エルミナル・カサード、パトリック・ベルダ/1961年
『孤独な男のためのシンフォニー』 出演:モーリス・ベジャール、ミッシェル・セニュレ、音楽:ピエール・アンリ、ピエール・シェフェール/1958年
『ボレロ』 出演:デュスカ・シフニオス/1961年
『交響曲19番』 出演:タニア・バリ、ジョルジュ・ルフェーブル、20世紀バレエ団/1966年
『現在のためのミサ』 振付:モーリス・ベジャール/1968年
『ル・ダンスール』 監督:モーリス・ベジャール、出演:ジョルジュ・ドン/1968年
A『コンテンポラリー横断』
『ローザス・ダンス・ローザス』の仕事で知られるケースマイケルと音楽家・映像作家のドゥ・メイによる、三人のダンサーがパーカッションの演奏家にもなる『テーブル・ミュージック』、ウィリアム・フォーサイスが踊る貴重な即興ソロ作品、本年のダンストリエンナーレに参加するジネット・ローランの「親子」をテーマにした良作など、コンテンポラリーダンスを映像表現との関わりという視点で横断する。
一番楽しみにしていたプログラムだったけど、私的当たり外れが大きかった。
『ソローエヴィダンシアよりー』企画・発案:シルヴィ・ギエム、振付・出演:ウィリアム・フォーサイス/1995年/7分
フォーサイスが緻密にストイックに踊り狂う。見てて楽しいものではなかったけど、今のコンテンポラリーダンスで見られるような動きが大抵取り込まれていた感じ。こういう巨匠のあとではオリジナリティなんて死語になっちゃうのかな。
『部屋』監督・振付:ジョエル・ブーヴィエ、レジ・オバディア(レスキス)/1987年/11分
ひざ丈スカートの女性ダンサーがどんどん脚を組み替えるのが以前見たローザスのフィルムに似ているのでてっきりケースマイケルかと思ったら、レスキスというフランスのカンパニーの作品だった。踊りというより動き。ダンサーの脚がみんな綺麗。というくらいの感想。
『オーニス』振付:ジャック・ガルニエ、出演:カデル・ベラルビ、ウィルフリード・ロモリ、ジャン=クロード・シアッパラ(パリ・オペラ座バレエ団)/1994年/13分
海辺でパリ・オペの秀麗な男性ダンサーがアコーディオンに合わせて風に吹かれて、のんきそうに踊っているのが茶目っ気があってよかった。
『テーブルの音楽』監督・音楽:ティエリー・ドゥ・メイ、振付:アンヌ=テレサ・ドゥ・ケースマイケル/1999年/8分
こっちがケースマイケルだったんですねー。面白かった。
『カスパール・コンツェルト』振付:フランソワ・ヴェレ/2001年/26分
映画みたいな作りのフィルムでダンサーは若くてイケてるし動きも新鮮なところはあるんだけど、26分は長い。ストーリーがありそうでわけわからないところも、つらい。隣の席の人は完全にあきらめてねてましたね。
『コピア2』監督・振付:ジネット・ローラン/2008/4分
正直まだあるのって思ってしまった。短くてよかった。バックがまっしろで親子がぱっぱと出てきた。最近の作品。
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2009年10月 2日
今月の舞台鑑賞予定
いよいよバレエ月♪♪待ってました〜
・10/4 タルダンス・カンパニー/鈴木ユキオ@ダンストリエンナーレトーキョー2009
このイベントは休みの日の公演だけチケットを取っているのだけど、これはトルコのカンパニーと舞踏出身のダンサーらしい。結構私向きかも?
・10/11-12 ニューヨーク・シティ・バレエ 2009@オーチャード・ホール
5年ぶりの来日とか。A・B・Cプロ全部行きます。鋭意予習中。ついでにバランシンのミューズたちに敬意をはらって、ダイエット中(意味はない〜)
・10/14 新国立劇場バレエ「ドン・キホーテ」
ザハ様・ウヴァ様再び。私はこのふたりのコンビが好きだ。なぜなら両方大好きなので。
・10/18 Kバレエカンパニー「ロミオとジュリエット」
久々の熊哲さん。しかし私の目当てはゲストのロベルタ・マルケスだったりする。英ロイヤル・バレエのプリンシパルの中で一番ルックスが好きなので。SHOKOさんも見たい!しかし11/8は平山素子さんの公演がっ
・10/21翻案劇「サロメ」アトリエ・ダンカン・プロデュース
森山開次さんが出演するので。彼は天才ダンサーだと思うがどうしても波長が合わない。なので演劇の中で見てみたいと思った。ダンスもあるらしい。
そして10/10から映画「パリ・オペラ座のすべて」が公開になりますね。前売り購入済みです♪
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2009年10月 1日
黒田育世「矢印と鎖」9/30
青山円形劇場で、ダンストリエンナーレトーキョー2009のプログラムである「矢印と鎖」を観てきた。これはBATIKを主催する黒田育代さんの作品。・・・私バレエファンになって3年目ですが、コンテンポラリーはさっぱり。カッコいいものが好きなので興味は強いのだけど、世界の主要なバレエ・カンパニーすらまだ把握できていないので、規模の小さいコンテ集団にはまだ目の焦点が合っていない。舞踊評論家の乗越たかおさんの本があまりに面白くて(あと酔話会に行ったけど面白かったしブログも楽しい!)、ぽちぽつと国内のダンサーも見るようにしているけど、ダンス公演は数日しか興行しないのでなかなか都合が合わない。今回のダンストリエンナーレトーキョーはまとめ見のチャンスなんだけど、結局この黒田さんの公演が初参戦になるのだった。そして黒田さん自体初見。
構成・演出:振付・テキスト・映像・美術コンセプト:黒田育世 出演:大迫英明、烏山茜、菊沢将憲(空間再生事業 劇団GIGA)、西田茜(BATIK)、黒田育世(BATIK)
青山円形劇場の、舞台を半円形で使った舞台。はじめ幕の前で黒田さんが満面の作り笑いを浮かべて、「鳥」の寓話のような物語を語る。この人は狂ったように踊るダンサーだと聞いていたが、静かな動きの中で時折だん!と足を踏み鳴らす、その力の入れ方が半端ではない。あれでは体への衝撃が大き過ぎると思うのだが、身を削って踊ってきた人なのだろうな、とすでに納得して眺めていた。体は割とむっちり(バレエダンサーを見慣れた目には)としているが、脚は綺麗。クラシックバレエの素養がある人なのだ。ああでもあの笑いながら話す声。危ない〜〜。紙一重。
ダンサーは総勢5名。最初黒田さんとデュオを踊った人は少年のような小柄な女性で、私は黒田さんの息子さんだろうかなどと妙なことを考えていた。みなさんふつうの青年て感じの容姿だけど、見事に自我を越えました・突き抜けてます状態。振付けはダンスと言うかひたすら体で訴える、感情をぶつける動き。演劇に見えるのは、科白が多いからでしょう。叫び声・奇声含む。BATIKの過去作品は映像すら見たことないので、それが従来のスタイルなのかわからないけど。この作品はドキュメンタリーというくくりで、語られる内容は黒田さん以外のメンバーの特異な体験。ダンスっぽい演劇はOKだけど演劇っぽいダンスはちょっと...と私の中には微妙なスタンスがあるので、彼らの物語は単なるBGMであると脳内で処理して、ひたすら黒田さんの動きを追ってみた。やっぱりひとかどのダンサーって体から発する言葉が饒舌なのだ。ほんと手加減しないで動くのね。音楽に合わせたソロ、が見てみたい。怖い笑顔にも慣れた。
さて舞台上では下ろした幕をスクリーンにして、各ダンサーの思い出話大会がはじまった。あらためて聴くとぐっっと来るエピソードで、浮き彫りにされる彼らの過去に妙に感情移入してしまう。観客の内面操作が巧いかも。黒田さん。ちょっと引っ張り過ぎ(長過ぎ)ではと思われるシーン展開もあるが、焦らすことでまた我々の心の中のどこかしらを高めているのだろう。しかしスクリーンにダンサーの子供の頃の写真を大写しにしたりって、先日のコンドルズでもやっていたなあ。映像+ダンスっていうと、こういう手法になりがちなんだなあと思った。
暗転、終了かと思うとまたダンス。ラスト近くはそんな感じでぐったりしてきた。と、黒田さんを筆頭にダンサー達が脱ぎ始める。もちろん下着止まりだけど。別に色気はなくて、脱皮するようにゆっくり脱いでいくんだけど、さっきの「告白」であらわになったダンサーの内面だけでなく、外面(体)もむき出しにしていくような、もう全部見せちゃいますよみたいな潔さは自然だと思う。疲れた観客も、もう毒食らわば皿まで状態でこれを受入れてしまうみたい(私だけか)。終演時、カタルシスみたいのはあった。すごく変わったものを見たという、踏破感覚もあった。どうも踊りそのものより、黒田さんの舞台の構成力に圧倒されたようだ。
黒田さんのインタビュー:http://www.webdice.jp/dice/detail/1951/
↓舞台の映像
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2009年9月27日
勅使河原三郎「鏡と音楽」9/27
新国立劇場中劇場で勅使河原三郎さんのダンス公演「鏡と音楽」を観てきた(本日楽日)。
【振付・演出・美術・照明・衣裳】勅使川原三郎
【キャスト】勅使川原三郎 佐東利穂子 川村美恵 ジイフ 鰐川枝里 高木花文 加見理一 林誠太郎
横浜トリエンナーレ2008"Fragments of Time"ではじめて勅使河原氏を見てから、たしか2回目の舞台鑑賞。前回は若手ダンサーと勅使河原・佐東さんのパフォーマンスの間に大きな隔たりを感じて戸惑ったが、今回は後半の構成が良くカンパニーとしての前進を感じた。私が言うと「偉っそう」ですが。
美術・照明・衣裳までこなす勅使河原氏と言えば高い美意識の持ち主と定評だが、冒頭の稲妻みたいな照明と頭巾をかぶって個性を消したダンサー達の無機的な立ち居振る舞いは、やや難解な現代アートふう。ここで疲れが出て(?)、楽しみにしていたはずの勅使河原さんのソロで舟を漕いでしまった。美しいんだけど催眠作用のある・・・。ダンサー全員が入り乱れてバロック音楽に合わせて音符のように舞うシーン、あれはやはり勅使河原さん>佐東さん>その他という力量の違いがあらわになってしまった感じ。長いし動きが速いし、ダンサーの運動量は相当だと思うけど。勅使河原さんのダンス言語はずば抜けて雄弁。「ABUSOLUTE ZERO」というDVDを持っているが、そこで見たような、痙攣・不自然な姿勢などを伴うにも関わらず、豊かな表情が見える踊りは魅力的だ。ただシーンが長いので、さすがの勅使河原さんの集中力が切れたような感じがする時もあった。佐東さんにはキレがあって目にもとまらぬような高速な動きをするのだが、私的には情緒を感じないので勅使河原さん>>佐東さんに訂正、かな。あくまで個人的な好み。若手のダンサーからは一生懸命さは伝わってきた。
良かったのは後半、舞台中央に屏風のようなパーティーションを据えてから。これに映るダンサーの影を鑑賞するような演出で、勅使河原さんもカッコよかったが、長身の若手男子(ケティング・ナイルさん?)の若々しくしなやかな動きが美しく、目を奪われた。その後の展開も深い奥行き(舞台はほぼ正方形だったように思う)と光と影のマジックを活かしただまし絵的振付け(いつの間にかダンサーがひとりずつ消えている)が面白く、しかしその間移動ナシ反復横跳びを執拗に続けるダンサーの体力にまたしても驚嘆したり、なんて言うかこっちの集中力とパフォーマーの持久力の根比べみたいな見えない綱引きとかあって、前半の印象と違い興味深く観ることができた。
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2009年9月22日
コンドルズ「Nine Lives」 9/21 マチネ
東京グローブ座でコンドルズ日本縦断大転生ツアー「Nine Lives」 東京公演を観てきた。コンドルズ、フライヤーでむさい男が学ランで踊っている写真を見て食わず嫌いを通してきたが、先日「三番叟」という舞台で近藤良平さんのダンスを見て(感想)無性に惹かれた。同時にコンドルズというのは色モノらしいということもなんとなくわかったので、それを踏まえて公演に挑んだ。
前フリの古いJ-POPや舞台前のスクリーンに投影された新大久保のCMで、軽くいかがわしい雰囲気を醸し出して、まず群舞。もちろん全員学ラン。それはいいのだけど、踊りは下手(私がいうのもアレですが)。みんな一般人体型だし、脚を上げるにしても体が開いてないとか関節が伸び切っていないとか、なんか欲求不満を感じる動き。美しく踊っているのは近藤さんだけね。でもガタイのいい男性のダンスは重量があって、それなりに迫ってくるものはある。しかしずーっとこれじゃあ飽きるなあと思っていたら、、、コントが始まった。ここで悟ったんだけど、コンドルズってダンスグループって言うよりパフォーマンス軍団なのですね。芸達者さんの集まり。しゃべりが達者な人、演技がうまい人、アドリブのできる人、体型で笑いを誘う人、イケてる人、キレて見せられる人、楽器できる人、等々。パフォーマーだから全員ある程度は踊れるわけだけど、見ているうちに「ダンス部門はこの人とこの人かな〜」と役割分担がわかってきた。総勢14名(近藤さん含む)で力いっぱいダンス・コント・コスプレを繰り広げてくれる。「これはほんとのダンスじゃない」と最初冷めた目で見ていた私だけど、いつしか崩れました。百発百中ってわけじゃないけど(不発も多数ある)ふりそそぐギャクの嵐に、思わず吹き出し気がつけば涙を流しながら笑ってた。マスカラがにじまないよう、ハンカチで目を押さえつつ〜。
パフォーマンスはコントばっかりじゃなくて、マイム的なプレイもあり単調さは感じない舞台構成。ラストの漫画家さんのドラマは冗長だったけど、あれを切れば時間的にもちょうどいい具合だったと思う(全部で2時間越えていた、ダンス公演でこれはつらい)。近藤さんは基本的にコントパートには出てこないけど、ひとり脚を怪我した人がいたせいか、マイムには参加されていた。ダンスの振付け以外は構成自体メンバーにまかせているのではないだろうか。ダンスは、近藤さんの動きが傑出していたけど他のメンバーにも馴染む内容。ちらちらっとオンリーワン的な「超」ダンスも織り込むけど、あくまで「コンドルズ」のメンバーとして1パーツに徹しようとしている姿が潔い。ダンサーとして、近藤さんが好きだ。先日の「三番叟」のようにグループ外活動もされているようなのでそちらを主に追いかけつつ、思い切り笑いたくなったらコンドルズを見に行こう。と思った。
ちなみに東京グローブ座って、磯崎新さん設計なんですね。新大久保という謎めいた地域、パパ・タラ以来2回目の訪問だったけど、やっと場所を覚えた。
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2009年9月16日
兵士の物語 9/16
新国立劇場中劇場で「兵士の物語」を観てきた(本日東京公演楽日)。元々は1918年に発表された舞台作品で、シャルル・フェルディナン・ラミューズ作の台本にイーゴリ・ストラヴィンスキー作曲の音楽が演奏される(via Wiki)。芝居のパートは俳優が、バレエのパートはダンサーが演じるというのが定番だったそうだが、このロイヤル・オペラ・ハウス版ではダンサーが全て演じる。しかも今回はイギリスにおいてもプレミア公演だった舞台が日本で、オリジナルキャストで再演されるというすごい話。
演出・振付:ウィル・タケット
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
美術:レズ・ブラザーストーン
兵士:アダム・クーパー ストーリーテラー:ウィル・ケンプ 悪魔:マシュー・ハート 兵士の婚約者/王女 ゼナイダ・ヤノウスフスキー
最初に言ってしまうと、私には退屈でした、この舞台。ストラヴィンスキーの音楽や原作のロシアの物語、更に「ファウスト」が下地になっているという背景すら知らなかったと言う予備知識の貧弱さが敗因だろうか。アダム・クーパー初見だし、ていうかキャスト全員名だたるダンサーだと言うのに、見たことないし。いや知識ゼロでもザハロワ様の白鳥を見たら感動すると思うけど、舞踊は異種言語だし。。
発音に関してはよくわからないけど、ダンサー兼役者であるメンバーの科白まわしや演技はレベル高かったと思う。ミュージカルは唄で感情を表現するけど、この舞台ではバレエシーンでなくてもダンス的な動きがミソ。特にアダム・クーパーを見ていると、振付けがよくできているなあと感心する。バレエの基礎が時々垣間みえるけど、もっとモダンで小回りが利いてテンポのよいダンス。小顔でスタイルのよいクーパーの動きはシャープで表情豊か。ただし一般的なバレエに較べると体がのび切ってないとか、食い足りなさもある(舞台が狭いせいか)。マイムじゃなくて演劇だもんね〜とも思うが。
ウィル・ケンプは語り手だからダンスの印象は薄い。マシュー・ハートは他の男子に較べると短躯でおなかがぽちゃっといているが、印象に強く残る動きをする。バレエ担当のゼナイダ・ヤノウスフスキーは婚約者役の時はエレガントで美しかった。王女としてはメイクがきつくコメディエンヌ的な役作りをしているので、ノーブルな女性が好きな私は好感が持てなかった。
美しくない兵士と王女ってどうなの、と私の中の声。ヤノウスフスキーは前述の通りだし、アダム・クーパーもつとめて「弱い人間」を演じていたので、オーラがない。私は感情移入できないと、だめだ。結局↑で考察したように、演出のコンセプトに対する無理解がそれを妨げたのだと思う。ラストで勢力を盛り返した悪魔のハートは実にすばらしかった。微妙なやり過ぎ感はあったけど、いやらしい毛むくじゃらのタイツがよく似合っていた。
ダンスで語るという芝居の手法は興味深かったし、それを実践する人材として今回のキャストは理想的だったのだと思う。しかしこういう「昔々」的物語を斬新な手法で再構築するというのは難しいものだなと思った。音楽や踊りには豊かな表現力があるが、万能ではないのだ。鑑賞者の感受性に過度に期待しないで、と思ってしまう。
しかし色々考えさせられたので、私の舞台鑑賞歴には有益な公演でした。
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2009年9月13日
吾妻橋ダンスクロッシング2009 9/13
アサヒ・アートスクエアで開催された吾妻橋ダンスクロッシングに行ってきた。去年も行きたかったんだけど知らない内に終わってしまっていて、後日横浜トリエンナーレ関連イベントの「オフビート談話室」で司会の住吉智恵さんが康本雅子さんをゲストに呼んで良かったねーなんて言っているのを聞いて、すごくモヤモヤしていた。今年は何とかチケットが取れて良かった。期待以上に面白かった。あまりに楽しくて、私ってこんなに悦楽的な人生を送っていたら堕落しちゃうんじゃないだろーか、と不安になるくらい。
・ハイテク・ボクデス「無機ランド」
オープニングにふさわしい派手なパフォーマンス。新型ガジェット・パフォーマンス・ユニット、何それ。舞台に散乱するキッチュなガラクタが命を吹き込まれ、笑いを誘う。壁に吊り下げられた鯉のぼりと逆上がり人形に注がれる熱い視線。ラストはTDLのエレクトリカルパレードの音楽に乗って、LEDがキラキラ。
・contact Gonzo「(non title)」
坊主頭のかっこいい4人組が出てきたなあと思ったら、殴り合い・取っ組み合いを始めるんだけど、パフォーマンスだから動きが洗練されていてダンス的。ひとりがデジカメ(?)を持っていて、対峙する相手を撮る時のフラッシュがSFっぽい。しかし途中で飽きた。東京都現代美術館の「ラグジュアリー:ファッションの欲望」展(10/31-1/17)の関連イベントとして、11/23(月)15:00〜エントランスホールで即興的パフォーマンス(無料)を行うそうです、彼ら。
・ほうほう堂「あ、犬」
女性ダンスデュオ。待望の復活、と聞いたけど何て言うか渋好みのダンス。味があるって言うか、時々個性が光る振付け。自然派指向なルックス。
・チェルフィッチュ「ホットペッパー」
来ました!まともに見たことはないんだけど、もう彼らのセリフと動きのバラバラさは様式美と化していて、それを流麗に演じるシャープさがかっこいいと思った。3人の派遣社員が送別会の幹事業務をめぐって話し合う。声が割れるくら激しく自分を団扇で扇ぎながら発声する女性の仕草が、チェルフィッチュの脱力系のイメージを裏切っていて新鮮だった。ワタリウム美術館「ルイス・バラガン邸をたずねる」の関連イベント「15人の建築家と15人の表現者による対話実験」で、1月14日(木)に「日常の制度」と題して建築家の長谷川 豪氏と 岡田利規さんのトークがありますね。なんで木曜日なの〜。チェルフィッチュの新作公演は来年2-3月横浜STスポットほか、だって(行かなそう)。
・快快[faifai]「ジャークチキン〜それはジャマイカの食べ物」
料理の鉄人かと思ったら会場で販売されていたチキンサンドのPRだった。ケータリング、イベントの企画もするというカンパニー。盛り上がった。
・鉄割アルバトロスケット「馬鹿舞伎」「園まなぶ」「どやらっぷ」「焼鳥の串」「おれの母ちゃん何処行った?」
これが鉄割かあ。順番にエセ歌舞伎、妖しい三流スターのワンマンショー、あんちゃん・親爺ラップ、レバーの串でキメる、えーと最後は歌、なんだけど説明しがたい。戌井昭人氏が芥川賞候補作家になった時、川上弘美さんは結構高い点数を付けていらしたんですねー。ダンスとは言えない、ほとんど色モノ。
・Line京急「吉行和子(ダブバージョン)」
チェルフィッチュの動きに似ていると思ったらチェルフィッチュの山縣太一さんが結成されたユニットとのことだった。よりセリフに重きを置き、ドラマっぽい。そしてうだうだ。ほとんどアル中の25歳女子のセリフがリアル。
・いとうせいこう feat. 康本雅子
感動した!少し前にKINさんが紹介されていた康本さんの映像を見て素敵〜♡と思っていたのだが、やっぱり彼女の振付けには魅力を感じる。バレエ鑑賞の大先輩が先日「コンテンポラリーダンスもいいけど、バレエはダンス言語のボキャブラリーの豊富さが圧倒的」と言うのを聞いて、深ーく納得していたんだけど、康本さんのダンスは結構雄弁だ。正直コンテンポラリーって「何?」と思いながら見ていることが多くてよく寝ちゃうんだけど、康本さんのダンスは努力しなくても目がガツガツと追ってしまう。いとうさんの9.11をテーマにした散文の朗読も気迫が籠っていて素晴らしかったけど、彼の声にかかりまくったエコーとかDub Master Xの地響きみたいな音楽への康本さんの反応が神。以前トークで本番で即興はしないとおっしゃっていたけど、その場で自然発生したみたいな本能を感じるダンス。もちろん彼女のルックスのよさも魅力のひとつ。今日は前にスカーフみたいな襟がついた赤いトップスに、グレーのミニのプリーツスカート。可愛い〜。サラサラと動くミディアムショートがお似合い。演技してない時はアイスドールって感じの空虚な表情をされていて、その落差も面白く感じる。長い演目や群舞になると彼女の魅力は損なわれるだろうか。と不埒に考えてしまう。康本さんもワタリウムのトークに出られますね(10/26(木))。それより、12月に横浜美術館ではじまる「束芋 断面の世代」展で12/25 にダンスライブ「油断髪」がっ。金曜ですよ行けるだろうか。
・飴屋法水「顔に味噌」
これを見ることができて、本当に良かった。なんと出演者はあの「3人いる!」(感想)のキャスト全員なのです〜。「顔に味噌」というタイトルはほとんど煙幕ですな。最初フェンシングの防具服を着た若者と清純ぽい若い女性が出てきて、女性はかわいらしい声で「よだかの星」(宮沢賢治)の朗読をする。たしか若者らはちゃんとフェンシングしてた。そのうちよだか役の若者が後方の椅子から「鷹さん〜」と鷹に呼びかけるのだが、これがなんと私が観た「3人いる!」の第一の登場人物の丸瀬顕太郎さんだった。彼、全体の中で目立っていたなあ、学生さんらしいけど(芝居では芸大生と名乗っていた)、役者さんになってしまったりして。ダンスクロッシングになぜ飴屋法水?と思っていたけど、鉄割やLine京急に較べるとこの舞台はダンス要素があるような気がした。味噌女がちょっと踊っていたし、全員並んで舞台前方に出てきて入れ替わり「3人いる!」からの抜粋と思われる科白を言うシーンがあるのだが、手拍子でリズムを取っているのでゆるい群舞、と言えなくもないような気がしたのだ。最後にサプライズ。飴屋氏がフェンシングのマスクをつけて舞台上に。マスクの中で、何と・・・。ホント危ない人だ。一緒に出てきたおじいさんは、路上からスカウトしてきたみたいな・・・。取りあえずF/T09秋の「4.48 サイコシス」楽しみです。
Chim↑Pomのインスタレーションもあった。女子トイレのしか気づかなかったけど、他にもあったのだろうか。
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2009年9月 9日
「三番叟」SANBASO~伝統と現在~ 9/9
あうるすぽっとで「三番叟」 という公演を見てきた。三番叟と言えば能の「翁」の、狂言方が勤める部分だが、今回は最初に狂言師が伝統的なそれを舞い、続いてコンドルズの近藤良平さんがコンテンポラリー版三番叟を踊るという、変わった趣向。面白かった。
第一部 「狂言三番叟」 ○野村万蔵 (能楽和泉流狂言方)
第二部 「コンテンポラリー三番叟」
○構成・振付・出演 近藤良平(コンドルズ主宰・振付家)
○出演:コンドルズ選抜囃子方
○笛 :松田弘之 (能楽師森田流笛方)
○小鼓:大倉源次郎 (能楽師大倉流小鼓方)
○大鼓:亀井広忠 (能楽師葛野流大鼓方)
○脇鼓:清水祐 (能楽師大倉流小鼓方)
○脇鼓:飯富孔明 (能楽師大倉流小鼓方)
第一部はベーシックな三番叟で、舞台に板を敷いて踏み鳴らす。狂言は野村萬斎さん目当てでたまに見るけど、この足音と笛・鼓の音のテンポの良さが好き。しかし幕前にワインを飲んでしまったので(疲れていたので〜)、演奏が盛り上がっていたにも関わらずうとうとしてしまった。
第二部は設えがだいぶ違う。舞台下手にいた囃子方が後方に下がり、むき出しの床一面にダンボール箱が散らばっている。どこで踊るんだろうと思ってしまう。上手に「後見」が立っている。これが爆笑。黒の帽子・スーツ・革手袋・サングラスで身を固め、ひとりは銀髪・銀髭、ひとりはピンクの髪のウィッグを付けている。かしこまっているんだけど、超うさん臭い。近藤さんはいつ現われるの?と固唾を飲んで待ち構えていたら、なんと身をひそめていた中央のダンボールを突き破って、大ジャンプして登場したのでした。グレーのストライプのダブルのスーツを来て、サングラスと帽子。これまた怪しい。ダンス自体はマイム寄りで、時折見せるジャンプの高さに身体能力を感じたけど、激しさはない。でも高揚した演奏のリズムに的確に乗っているので、踊らないダンスを見る時のようなもどかしさは全くなく気持ちよかった。時々コミカルな動きで笑いを取ったけど、囃子方は全く動じず真剣に演奏を続けるのがさすがプロ。私は前から2列目だったので向こうからも表情がよく見えたはずで、あの客一部では舟漕いでいたクセに今は目をキラキさせやがって〜、と思われていたかもしれない。ダンボールは有効活用されていて、ボスっと突き破ることで足鳴らしと同じ効果を出す。第一部を真面目に見ていれば細かい所作も取り入れていたのがわかったと思うのだが、まあわからなくても十分楽しい。ダンボールの中に小物が隠してあって、突如カエルの人形など取り出されるとぷっと吹き出してしまうのだった。後半はライティングが七色になり、近藤さんの動きも痙攣とか伴いより妖しくなり、体力的なスローダウンもなくいい感じで盛り上がって、終幕。エンディングはダンボールの中から取り出した盆栽と並んで、近藤さんが直立不動で立ったまま照明が落ちた。いいシルエット。
今度コンドルズの舞台を見に行こうと思う。
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2009年9月 1日
9月の舞台鑑賞予定
バレエがない!
・9/9(水)「三番叟」SANBASO~伝統と現在~@あうるすぽっと
野村万蔵“狂言三番叟”vs近藤良平“コンテンポラリー三番叟”。ま、興味本位です。
・9/13(日)吾妻橋ダンスクロッシング@アサヒ・アートスクエア
はじめての参加。飴屋法水・鉄割アルバトロスケット・康本雅子さんがお目当て。
・9/16(水)「兵士の物語」 英国ロイヤル・オペラ・ハウス版@新国立劇場中劇場
バレエパートは楽しみだけどこれって要はミュージカル?
・9/27(日)勅使川原三郎 「鏡と音楽」@新国立劇場
前回の勅使川原さんの舞台があまり響かなかったので、ちょっと不安。
・9/30(水)黒田育世「矢印と鎖」@青山円形劇場
ダンストリエンナーレ トーキョーのプログラム。
9月は色々あって全然予定を立てられない。吾妻橋ダンスクロッシングだけ行ければ後は流れてもいいかな〜と弱気。
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2009年8月27日
マリインスキー・バレエのチケット
いつもお世話になっているバレエブログさんのところで、年末のマリインスキー・バレエのキャストが発表になったことを知り、いそいそと目を通す。チケットは必要十分なだけ買ったつもりだったが、ついガラを1枚買い足してしまった。ガラは平日なので1日だけ仕事を早退して行くつもりだったのだが、各日の演目とキャストが全然違うのを見たら、我慢できなくなってしまった。もう1日は遅刻して参加する予定。
「白鳥の湖」
11/22(日)横浜
<オデット・オディール> アリーナ・ソーモワ
<ジークフリート王子> ウラジーミル・シクリャローフ
<ロットバルト> コンスタンチン・ズヴェーレフ
<王子の友人たち> イリーナ・ゴールプ/エフゲーニヤ・オブラスツォーワ/アントン・コールサコフ
11/23(月・祝)横浜
<オデット・オディール> エカテリーナ・コンダウーロワ
<ジークフリート王子> ダニーラ・コルスンツェフ
<ロットバルト> イワン・シートニコフ
<王子の友人たち> ヤナ・セーリナ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/ マキシム・ジュージン
11/27(金)東京
<オデット・オディール> ウリヤーナ・ロパートキナ
<ジークフリート王子> ダニーラ・コルスンツェフ
<ロットバルト> コンスタンチン・ズヴェーレフ
<王子の友人たち> ヤナ・セーリナ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/アントン・コールサコフ
11/29(日)東京
<オデット・オディール> ヴィクトリア・テリョーシキナ
<ジークフリート王子> レオニード・サラファーノフ
<ロットバルト> コンスタンチン・ズヴェーレフ
<王子の友人たち> イリーナ・ゴールプ/マリーヤ・シリンキナ/アントン・コールサコフ
11/30(月)東京
<オデット・オディール> ディアナ・ヴィシニョーワ
<ジークフリート王子> イーゴリ・コールプ
<ロットバルト> イワン・シートニコフ
<王子の友人たち> ヤナ・セーリナ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/マキシム・ジュージン
12/1(火)東京
<オデット・オディール> ウリヤーナ・ロパートキナ
<ジークフリート王子> エフゲニー・イワンチェンコ
<ロットバルト> コンスタンチン・ズヴェーレフ
<王子の友人たち> イリーナ・ゴールプ/エフゲーニヤ・オブラスツォーワ/アレクセイ・チモフェーエフ
ロパートキナとヴィシニョーワは平日に回すって、阿漕ですよね。私は基本的に水・日(祝)しか公演に行けないので、最初コンダウーロワを取って後からソーモワを追加。29日はローザスの公演に行こうかと思っているので、空けてある。ロパートキナは実はお顔がそんなに好きではないのだが、マリインスキー公演でロパ様の全幕を見ないなんてヘンなので、12/6(日)兵庫芸術文化センターの公演を押さえております(ロパートキナ/コルスンツェフの予定)。
「眠れる森の美女」
12/3(木)東京
<オーロラ> ディアナ・ヴィシニョーワ
<デジレ王子> イーゴリ・コールプ
<リラの精> エカテリーナ・コンダウーロワ
<カラボス> イスロム・バイムラードフ
<フロリナ王女> エフゲーニヤ・オブラスツォーワ
<青い鳥> アントン・コールサコフ
12/4(金)東京
<オーロラ> アリーナ・ソーモワ
<デジレ王子> レオニード・サラファーノフ
<リラの精> アナスタシア・コレゴワ
<カラボス> イスロム・バイムラードフ
<フロリナ王女> マリーヤ・シリンキナ
<青い鳥> マキシム・ジュージン
12/5(土)東京
<オーロラ> ヴィクトリア・テリョーシキナ
<デジレ王子> ウラジーミル・シクリャローフ
<リラの精> ダリア・ヴァスネツォーワ
<カラボス> アントン・ピーモノフ
<フロリナ王女> ダリア・ヴァスネツォーワ
<青い鳥> アレクセイ・チモフェーエフ
木曜のキャストに激しく惹かれるが、この日程では手も足も出ない。「眠り」は行きません。
「イワンと仔馬」
12/8(火)東京
<姫君> アリーナ・ソーモワ
<イワン(皇子)> レオニード・サラファーノフ
<仔馬> グリゴリー・ポポフ
<雌馬> エカテリーナ・コンダウーロワ
<寝殿侍従官> イスロム・バイムラードフ
※ゲルギエフ指揮
12/9(水)東京
<姫君> ヴィクトリア・テリョーシキナ
<イワン(皇子)> ミハイル・ロブーヒン
<仔馬> イリヤ・ペトロフ
<雌馬> エカテリーナ・コンダウーロワ
<寝殿侍従官> イスロム・バイムラードフ
消去法で水曜を取った。両日コンダウーロワが出るのはうれしい。ゲルギーさんに逢いたかった・・・。
「オールスター・ガラ」
12/10(木)東京
【第1部】「シェエラザード」
ゾベイダ:ウリヤーナ・ロパートキナ
金の奴隷:ダニーラ・コルスンツェフ
【第2部】パ・ド・ドゥ集
「タリスマン」 パ・ド・ドゥ
エカテリーナ・オスモールキナ/ミハイル・ロブーヒン
「ロミオとジュリエット」バルコニーの場面
エヴゲーニャ・オブラスツォーワ/アントン・コールサコフ
「タランテラ」
ヴィクトリア・テリョーシキナ/レオニード・サラファーノフ
「瀕死の白鳥」
ウリヤーナ・ロパートキナ
「シンデレラ」パ・ド・ドゥ
ディアナ・ヴィシニョーワ/イーゴリ・コールプ
【第3部】 「海賊」組曲
メドーラ:アリーナ・ソーモワ
コンラッド:エフゲニー・イワンチェンコ
アリ:ウラジーミル・シクリャローフ
ギュリナーラ:アナスタシア・コレゴワ
12/11(金)東京
【第1部】「シェエラザード」
ゾベイダ:ディアナ・ヴィシニョーワ
金の奴隷:イーゴリ・コールプ
【第2部】パ・ド・ドゥ集
「タリスマン」 パ・ド・ドゥ
エカテリーナ・オスモールキナ/ミハイル・ロブーヒン
「ロミオとジュリエット」バルコニーの場面
イリーナ・ゴールプ/アントン・コールサコフ
「別れ」
エヴゲーニャ・オブラスツォーワ/ウラジーミル・シクリャローフ
「瀕死の白鳥」
アリーナ・ソーモワ
「 ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」
ウリヤーナ・ロパートキナ/イーゴリ・コールプ
【第3部】 「海賊」組曲
メドーラ:ヴィクトリア・テリョーシキナ
コンラッド:ダニーラ・コルスンツェフ
アリ:レオニード・サラファーノフ
ギュリナーラ:アナスタシア・コレゴワ
ゾベイダはロパ様よりヴィシ&コルプで見たいと思うし、本命は金曜に。ロパ様とソーモワの「瀕死」対決が楽しみです(冗談ですよっ)。
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2009年8月26日
行ってみようかな〜の舞台
イデビアン・クルーの舞台でもらってきたフライヤーを整理。興味のあるものをピックアップしてみた。
・ロハ下ル「わるくち草原の見はり塔」9/3〜9@青山円形劇場
男性編と女性編あり。「愛の監視」というサブタイトルに惹かれた。ゴールディング『蠅の王』が原作になっているらしい。青山円形劇場で芝居を見る、ということを私はしてみたいのだ。
・セッションハウス・レジデンス・アーティスト公演 9/5-6
鹿島聖子・三浦宏之・遠田誠・JACKI JOBさんらご出演。
・サスペンデッズ 第7回公演「夜と森のミュンヒハウゼン」9/11〜20@三鷹市芸術文化センター
将来性ある若手劇団をシリーズで紹介するネクストセレクション。なんとなく、評価の定まっていない劇団も見てみたいので。
・ボヴェ太郎「Texture Regained -記憶の肌理 -」9/14-15@めぐろパーシモンホール 小ホール
ボヴェ太郎を見たことないので。朗読とダンス、らしい。共演の渋谷はるかさんは文学座所属だそうで。
・コンドルズ「None Lives」9/18〜21@東京グローブ座
ビジュアル的にそそられないが、一度は見ておくべきかと
・「ダンストリエンナーレ トーキョー2009」
黒田育世/BATIKとタルダンス・カンパニーはチケットおさえ済み。これ全部見る人って・・・
・東京タンバリン「雨のにおい」10/1〜6@下北沢駅前劇場
劇団名が可愛いなあと
・翻案劇「サロメ」アトリエ・ダンカンプロデュース10-19〜25@東京グローブ座
篠井英介さんの女方はアレだけど、これ森山開次さんが出るのよねえ。チケット取れるのかな?ってことで今チケット取った。
・フェスティバル/トーキョー0910/23〜12/21
これはバレエラッシュに負けず行ける限り行く。面倒だけど全舞台カレンダーに入力しておこう。
・平山素子「Life Casting」11/5〜8@新国立劇場小劇場
これは行くでしょう!
ローザス「ツァイトゥング」のプレオーダー中だが、慎重に予定を練らないと。ギリギリまでチケット取らない方がいいかなあ、せっかちだから我慢できるかなあ。
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2009年8月23日
イデビアン・クルー「挑発スタア」 8/22夜&8/23昼
にしすがも創造舎でイデビアン・クルーの公演「挑発スタア」を観てきた。2日連続です。イデ・クルはすでに高い評価を得ているコンテンポラリー・ダンス・カンパニーで、私は去年イデ・クル・オムの「大黒柱」(感想)を見て振付・演出・出演の井手茂太さんに惚れてしまったので日曜のチケットは早々に押さえてあったんだけど。直前に「イデビアン・クルーは本作『挑発スタア』をもちまして、一時、クリエーション活動を休止します」というアナウンスを聞き、土曜のチケットを追加したのだ。井手さんはこれから振付けに専念してしまうの??という不安を抱きつつも、取りあえずみっちり楽しんできました。
振付・演出:井手茂太
出演:東さくら、金子あい、川村奈実、斉藤美音子、菅尾なぎさ、中尾留美子、依田朋子、宮下今日子、 小山達也、佐藤亮介、中村達哉、原田悠、松之木天辺、井手茂太
こちらのインタビューで井手さんがおっしゃっているように、
「観客の視点は定まることができないし、逆に定まっちゃうともったいない!何度観ても、そのたびに新たな発見がある。そんな舞台だと思います。」
14名の混沌とした群舞。ダンスと言うより演劇の群像劇を見ているよう。衣装は各自バラバラで、多分個性を引き出すものが選ばれている。井手さんは燕尾服。彼は特別な人だから。1日目は、私井手さんしか見ていなかったもの。ただ立っているだけでダンスを感じる、希有な人。相変わらず小太りで手足が長いわけでもなくて、キュートな髭面に人の良さそうな笑みを浮かべて、誰にも出せない存在感をたたえて踊る。天性のダンサーだ。完全に音楽をつかまえている。ダンスのかっこよさをあちこちから引っ張って来て、自分のものにしてしまっている。更に盆踊りなんか取り入れて、独特のムーブメントに変身させているのだから、すごいアーティストだと思う。
振付けのテイストは、映画の「THE 有頂天ホテル」みたいな感じかしら。私はあの映画見ていないので、超いい加減なたとえですが。全体の雰囲気が大仰でうさん臭い。出演者全員が芸人に見える。あちこちでドラマが起こるんだよね。人と人とのコンタクトにより広がるミーム。舞台はじめの方で、テーブルを囲んだ12人(メイド除く)がバラバラに原因不明の痙攣発作に襲われているところに現れた井手さんが、白手袋をはめた手でテーブルをつつきはじめると、その仕草がどんどん伝搬していくの。E.T.みたく人差し指をつき合うことに全員が夢中になってしまう。遠くの席の人は最初無関心だったのに、伝染は免れないみたいでビームが来ると夢中で反応してしまう、可笑しさ。井手さんの振付けは、井手さん自身が踊らない部分ではこういう関係性をクローズアップした動きが秀逸だと思う。いや他の振りも面白いんだけど、やっぱりダンサーの力量に左右されてしまうんだな。群舞を多用しないとつらいかも。
ダンサーの中で光っていたのは和装の宮下今日子さん。なんと小野寺修二「あらかじめ」に出ていた方。イデ・クル参加は今回がはじめてだそうだが、バレエの素養もある女優さんということで、クラブのママみたいな女っぷりのよい役を結構ダンサブルに演じていた。長身で美人だし、姿勢がいいからかっこいい。裾を割って脚を上げていたけど、着崩れがなくて見事だった。ウマさでは松之木天辺さん(赤メガネの人だけど、名前合っているかな)。ダンサー体型ではないけど動きに切れがあるし演技力あり声出せるし。ルックスは中村達哉さんが目立っていた。ものすごく頭が小さくて、印象的な風貌をしていてミリタリージャケットがよく似合う。ダンスより、波の音の中でエンドレスに寄せては返す動きを続けた時の全体の柔らかさがよかった。
音楽は70年代ものを多用?なんとか劇場のテーマが爆音で流れたのは、相当ドラマチックだった(かつクサい)。ラストの「どうぞこのまま」は泣かせた。あらてめて聴くと、いい曲だわね〜。21世紀版を貼ってみました。
舞台は1回じゃ見逃す部分も多いので、2度見れてよかった。ある方が「公演は、あとからチケット買い足しできるようにまず初日を取る」とおっしゃっていたけど、賢いな〜と思う。今回1日目は遅れて行ったので入り口近くの最後列、2日目は反対側の最前列と全然違う角度・距離で鑑賞して、舞台をひっくり返して見れたようなお得感があった(会場は体育館で、舞台は客席にサンドイッチされる形)。コンテンポラリーは公演期間が短いので難しいけど、7時半開演なら土曜日に駆け込めるので、リピートできる可能性が高くなる。来日公演は無理かもだけど、働く人間に優しい興行スケジュールをお願いしたいです。
そうそうtwitterでsdtさんから、イデビアンの面々が舞台の後にゅー盆踊りに乱入していたという情報を聞いて、地団駄踏みましたよ。私は舞台がハネた後、生真面目に現美「メアリー・ブレア」を見に行っておりました。
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2009年8月16日
第12回世界バレエフェスティバル特別プロ「オマージュ・ア・ベジャール」8/16
世界バレエフェスティバル最後の、「オマージュ・ア・ベジャール」を観てきた。
<第一部>
・ルーミー(音楽:クドシ・エルグネル Kudsi Erguner)
高橋竜太、平野怜、松下裕次、氷室友、長瀬直義、横内国弘、小笠原亮、宮本祐宜、梅澤紘貴、中谷広貴、安田峻介、柄本弾、佐々木源蔵、杉山優一、岡崎準也、八木進
「祈りとダンス LA PRIERE ET LA DANSE」からの抜粋ですよね。去年のBBLの公演で見た。東京バレエ団としては初演とか。ヒラヒラした白のベストと長パンツの男性の群舞。それはそれでカッコいいんだけど、舞台下手前方でジル・ロマンが彼らを見護る様が、すごく印象に残った。彼は第一部の間ほとんど舞台にいた(マイクを持って各演目前にアナウンスも。低くてセクシーな声〜)。冒頭で故ベジャールの映像が出てきたけど、ジルは今全身でベジャールの遺したものを守ろうとしているんだなと、気概を感じた。KEKEさんのブログを拝見しているとカンパニーにも色々あるんだなあと思うけど、、、
・「ザ・カブキ」より由良之助のソロ(音楽:黛敏郎)
高岸直樹
この演目は初見なのでわけがわからなかった。歌舞伎の知識も中途半端なのがつらい。高岸さんは体操の選手みたいな白のコスチュームで、えーと何を語っていたのかな。特に歌舞伎っぽい仕草もなく、とっかかりがなかった。
・ボーン・トゥ・ラヴ・ユー(音楽:クイーン)
エリザベット・ロス
今日のロスは長い髪をくしゅくしゅにカールさせて、ちょっとポップ。短めの黒のコスチュームは裾のラインがイレギュラーになっていて、脚を綺麗に見せる。彼女がまとっていた薄ヴェールを外したジル、また下手前方で椅子に腰掛けて彼女を見守る。ロスの踊りは生命感があっていい。踊らされているんじゃなくて、体の中から湧き出てくる音楽との一体感。でも舞台全体を支配するには、ジルのサポートが必要だった感じがした。舞台を横切ったり、彼は結構動いていた。
・鳥(音楽:マノス・ハジダキス Manos Hadjidakis)
木村和夫
黒衣の女性群舞を追い抜いて現れる木村さん。ジル健在。エスニックな音楽が印象的だった。
・アダージェット(音楽:グスタフ・マーラー)
ジル・ロマン
上半身裸のジルが椅子を舞台中央に引きずってきたので何?と思ったら、「アダージェット」の時間なのだった。私はこの演目初見。バレエフェス秘蔵映像上映会で見た時はつまらないと思ったけど、実に雄弁な振付けだ。YTでジョルジュ・ドンのを見るとその重さ(いい意味で)に圧倒されちゃうけど、ジルのアダージェットも切なくてよい。そうだよね人生って色々あるよねと、しみじみしちゃった。先輩バレエファンの皆様にはもう見慣れた演目かもしれないけど、舞台空間全体を支配するジルの存在感に気迫を感じた。なんであんなに髪がふさふさしてるの〜。
<第二部>
・バクチIII(音楽:インドの伝統音楽)
シャクティ:上野水香 シヴァ:後藤晴雄
第二部は大きな演目が続くのでジルは引っ込んでました。水香さん、良かった。手足が長くて柔軟で、ヨガっぽいポーズがすごくサマになる。インド音楽は流れが淡白なので音楽性にも問題を感じないし。古典はやめてコンテに生きるていうわけにはいかないのかなー。後藤さんのメイクと髪型がエスニックに爆発していた。
・さすらう若者の歌(音楽:グスタフ・マーラー)
ローラン・イレール マニュエル・ルグリ
ここ、すごく感動して見るべきところなんだろうけど、「ルグリとイレールって兄弟みたいだな〜」とかまったりと眺めていた。イレールはまだまだイケてるし、ルグリは全然完璧。バレエフェスはもう終わったようなものだけど、こうして日本のファンとジルのため(違う?)居残って踊ってくれる二人に感謝して見てた。
・ボレロ(音楽:モーリス・ラヴェル)
首藤泰之
東バのベジャール・ガラで首藤さんのボレロを身損ねていたので、いい機会だった。下半身の音の刻み方に重みが足りない感じがしたが(無意識のうちにドンと較べているかも。生で見てないクセに)、 後半の高揚感は満足できるものだった。カテコで東バの男子と並んで立った首藤さん、背が高いわけではないけど、際立っていい体してるなあと思った。
冒頭と同様、カーテンコールでまたベジャールの映像。背中を抱き合ってこれを眺めるジルとロスの背中に、BBLを背負う彼らの連帯感を感じた。ベジャールの名を冠した公演は絶対成功させるぞという、ジルの決意と言うか。ルグリという大スターがいるとは言え実質東京バレエ団の公演で、最後はスタンディングオベーション。これはジルに対する声援なんだよなあと思って、私も立ち上がった。日本のお客さんは反応いいなあと思ってくれたに違いない。また来てねーー。
記事とは関係ないけど、お盆休みの間に頂いたもの。とっても嬉しいです♡
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2009年8月 9日
第12回世界バレエフェスティバルBプロ 8/9
第12回世界バレエフェスティバルBプロに、行ってきた。Aプロ(感想)は30分遅刻したのでそう感じなかったけど、長かった。開演前の待ちを含め4時間半東京文化会館にいたことになる。ガラには行かないので、うーんこれで夏が終わったかな?
【第1部】
・チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ(振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー)
マリアネラ・ヌニェス ティアゴ・ソアレス
去年のロイヤル来日から約1年ぶりに見るヌニェスは、申し分なく可愛かった。ソアレスは固くなっていたかな。音楽に乗れるダンサーが踊ると、この演目はとてもチャーミング。
・コッペリア(振付:アルテュール・サン=レオン 音楽:レオ・ドリーブ)
ヤーナ・サレンコ ズデネク・コンヴァリーナ
ふたりとも上手なんだけど、どうも観ながら他のことを考えてしまったりする。この演目に対する愛着もないからかしら。
・アレクサンダー大王 ALEXANDER THE GREAT(振付:ロナルド・ザコヴィッチ 音楽:ハンス・ジマー)
ポリーナ・セミオノワ Polina Semionova フリーデマン・フォーゲル
「ベルリン国立バレエ団のプリンシパル、ロナルド・ザコヴィッチ Ronald Savkovicがアレキサンダー大王の史実から着想した作品」とのこと。2008年このPDDのみ発表。全幕にもなるそうで、これは期待。ポリーナはロクサネという女性を演じる。ふたりとも黒いヒラヒラした巻きスカートのようなものを着けていて、あとはポリーナはトップスがスポーツブラみたいなの、フォーゲルは裸。短い演目だったけどカッコよかった。とても官能的なせめぎ合いを早いテンポで展開していて、這いつくばって絡み合うシーンもあり、人間くさい愛の姿を浮かび上がらせていた。ポリーナにはコンテンポラリーの、厳しいくらい激しい動きが似合う。まだ若いのに(24歳)、表現者としてすでに高いところに登っているんだなあと思った。フォーゲルは甘いイメージが剥がされて「素」で踊っている感じで、良かった。
・「海賊」より "寝室のパ・ド・ドゥ"(振付:マリウス・プティパ 音楽:リッカルド・ドリゴ)
シオマラ・レイエス ホセ・カレーニョ
バレエ鑑賞歴が短いのでホセ・カレーニョに全然思い入れがなくて、ああやっぱりおっさんだなあと思ってしまった。レイエスはABTのダンサーとしてはアクが強くなくて、好感を持っている。
・「白鳥の湖」より "黒鳥のパ・ド・ドゥ" (振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー)
上野水香 デヴィッド・マッカテリ
特に前半、はらはらした。上野さん、Aプロのジゼルの方が良かった。脚を上げる時「びゅん!」と音がするようなカクカクした動きで、以下自粛。表情も、王子を誘惑するというよりただニヤニヤ笑っている感じ。フェッテは立派だったと思うが。マッカテリのソロになるとほっとしたりして。
・パリの炎(振付:ワシリー・ワイノーネン 音楽:ボリス・アサフィエフ)
マリア・コチェトコワ ダニール・シムキン
これはすごいうとい噂を聞いていたので、最初から固唾を飲んで見つめた。シムキン君は天才少年ですね(21歳?)。彼をソリストにしたABTは賢い。色白で細身で、ブロンドの髪をライオンみたいに立たせ気味にして、にっこりと笑っている。そしてエレガントな動きの中で、羽根が生えているようなバネのきいたジャンプ、速いのに上品な回転を次から次へと織り込んでくる。彼のソロは、ほとんど拍手で埋められていた。そしてコチェトワちゃん。相変わらず可愛くてキラキラしているけど、そのキラキラはヌニェスのように意識的に発しているものではなくナチュラル。テクニックは確かだし品があるし、こんなダンサーを擁するサンフランシスコ・バレエに興味を持ってしまうほどだった。
【第2部】
・ナイト・アンド・エコー(振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:イーゴリ・マルケヴィッチ)
エレーヌ・ブシェ Helene Bouchet ティアゴ・ボァディン
Aプロに続いて、またまたノイマイヤーの世界にうーっとり。今回は青い世界。ブシェはやっぱりロングスカートだけど、「オテロ」よりスポーティーな感じのコスチューム。この人の脚は本当に綺麗だ。長くてよく上がって、保険をかけたいくらい芸術的な。ボァディンはまた上半身裸で、でも抑えた演技なので肉体美に崇高さが漂う。振付けにちりばめられたノイマイヤー的なきめ細かくユニーク動きが、ゆったりした流れの中でアクセントになって、踊りの表情を多様化していた。とにかく理屈抜きで美しさに胸が締め付けられる作品。
・スリンガーランド・パ・ド・ドゥ(振付:ウィリアム・フォーサイス 音楽:ギャヴィン・ブライアーズ)
アニエス・ルテステュ ジョゼ・マルティネス
コスチュームが「宇宙バレエ」みたいな感じで、振付け的にもとってもモダンで、難易度の高そうな作品。ルテステュもマルティネスもレベル高いっと感心して見ていた。フェスはせっかくスターダンサーが揃っているのだから、バリバリの古典でなければこれくらい尖った演目が見たい。
・「白鳥の湖」第3幕より (振付:グレアム・マーフィー 音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー)
ルシンダ・ダン レイチェル・ローリンズ ロバート・カラン
うーん困った。Aプロで見逃したオーストラリア・バレエ組、ダンサーの顔も憶えていなくて、オデットとロットバルト婦人のどっちがルシンダ・ダンなのかすら、わかっていなかった。マーフィー版の設定は予習しておいたけど、振付けがまったく理解できず??と思いつつ終わってしまった。
・「マノン」より第1幕のパ・ド・ドゥ(振付:ケネス・マクミラン 音楽:ジュール・マスネ)
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー
流石のふたり。Aプロのポリーナ&フォーゲルでは伝わってこなかった、パートナーシップがドラマを盛り上げる。ただマノン全幕を見たことないので、私の感情移入が中途半端。
・「アパルトマン」より "ドア・パ・ド・ドゥ"(振付:マッツ・エック 音楽:フレッシュ・カルテット)
シルヴィ・ギエム ニコラ・ル・リッシュ Nicolas Le Riche
ギエムっでクラシックを封印しただけでなく、自分の名前すら封印しようとしている感じがする。やたら地味な衣装の着こなし。マッツ・エックの振付けは本当に変。でもアーティストが演じると、「変さ」がペーソスとかユーモアに置き換わる。なんだか私は病気のようで、ニコラが踊ってくれるだけで胸がほのぼのと温かくなり、まっすぐ走って行って(4F席だけど)彼の胸に飛び込みたくなるの。
・ベラ・フィギュラ Bella Figura(振付:イリ・キリアン 音楽:アレッサンドロ・マルチェッロ)
オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ
もう、ルグリが信じられないくらい綺麗で若々しくて。しかしあの音楽にこの振付け、というのがとても不思議。YTにキリアンが指導しているリハーサルの映像があった(http://www.youtube.com/watch?v=MXSdTssVyPM)。
【第3部】
・海賊(振付:マリウス・プティパ 音楽:リッカルド・ドリゴ)
ナターリヤ・オシポワ レオニード・サラファーノフ
サラファーノフのアリはもう定番だけど、今回はパートナーがやっぱり超絶派のオシポワで、でもふたりとも流れを損なわないようにちゃんと「抑えて」いたので綺麗な仕上がりになっていた。
・ル・パルク(振付:アンジュラン・プレルジョカージュ 音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト)
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ
髪をおろしてふわっとした長めのブラウスを着たヴィシニョーワはお人形のように可愛くて、ドキドキした。しかし踊りは生々しい。マラーホフの方は中性的なので、ヴィシがひとりであっちの世界に行っていた感じ。しかし彼女は凄い。何を演るにしても完全主義なんだなあと思った。精神的にも入れ込んでいたみたいで、カーテンコールの時もまだ戻って来ていなかったみたい。
・ブレルとバルバラ(振付:モーリス・ベジャール 音楽:ジャック・ブレル、バルバラ)
エリザベット・ロス Elisabet Ros ジル・ロマン Gil Roman
めちゃくちゃカッコいいふたり。最初ロスのソロがあまりに長いので、このままジルが見れないのではと心配になったほど、長い演目だった。ロスの黒いドレスが素敵で、それを着こなすロス自身も素敵。テクニックより、ダンサーの肉体や精神性が活かされた演目と感じた。BBL来日の時ジルを見ることができなかったので、今回はじめて生で接しているのだけど、永遠の不良少年みたいな雰囲気がいい。40代後半てホント?
・エスメラルダ(振付:マリウス・プティパ 音楽:チェーザレ・プーニ)
タマラ・ロホ フェデリコ・ボネッリ
エスメラルダじゃなくてロホを見ているって感じだった。相当押しが強いダンサーだわ。あれだけのテクニックがあればどんな役でも自信を持ってこなせるんだろうなあ、ロホカラー満載で。あのフェッテ、速すぎて数えられなかったんだけど、5回転してたんですって?彼女オシポワとか見て、「ちょろいわ〜」と笑っていたのだろうな。ボネッリは顔もスタイルも良く、今度ロイヤルを見る時は彼の出る日を選びたいと思った。
・「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ(振付:ジョン・クランコ 音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー)
マリア・アイシュヴァルト Maria Eichwald フィリップ・バランキエヴィッチ
今日一番楽しみにしていた演目。だって、去年のシュツットガルトの来日公演「オネーギン」(感想)は、私のバレエ鑑賞歴の中でトップに近いところにある。あの時と同じキャストで、また見られるとは。しかしガラでこれだけ観客の感情を激しく揺さぶるとは、恐るべしクランコ&シュツットガルト・バレエ団。アイシュヴァルト、最高。もうもう、捨て身で迫るオネーギンと拒否しつつほだされそうになるタチアナ、この応酬の緊迫感がリフトの多用でドラマチックに盛り上げられていて、振付けも演技も素晴らしい。映像が欲しい!
・ドン・キホーテ(振付:マリウス・プティパ 音楽:レオン・ミンクス)
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・ウヴァーロフ
「さ、本当のバレエの時間よ」とザハロワ様が言ったような気がする。ロホがウルトラテクで迫ってこようとシュツットガルト組がどんなに素晴らしかろうと、この黄金コンビには関係ない。鉄壁のドン・キで、また寿命を延ばさせていただきました。ウヴァっていいなあと、あらためて思った。いつも女王・ザハロワ様と組んで当然のように最高の演技を期待されて、調子の悪い時だってあろうになんとかそれをカバーして形をつけてしまう、タフさが偉い。優男だけど、根性がある。今日は調子良かったけど。
カーテン・コールではひたすらポリーナとニコラの姿を追いつつ、ブシェやアイシュバルトやシムキン君もチラ見。もちろんザハロワ様もね。ウヴァのように長身でハンサムでスタイルの良い男性ダンサーは貴重だわと、今更ながら気付いたり。バレエ・フェス、あとは「オマージュ・ア・ベジャール」だけど、実質的にはもう終わったような気がする。楽しかった!ガラ、見たかったなあ。ブロガーのみなさんのレポを楽しみにしております。
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2009年8月 7日
3人いる! 8/5
リトルモア地下で飴屋法水演出の芝居「3人いる!」を観てきた。私の評価は快作。毎日キャストもセットも変わるという異色の舞台で、俳優は3名のみ。5日は丸瀬顕太郎さん(1987年生)、マチナ・シモーネさん(1978年生)、田中力さん(1983年生)。全員男性。もちろん他の日は女性出演者もいる。役名は本名のままなんだけど、なぜかややこしい。なぜなら、3人の人間が同一人物を名乗って譲らないから。最初に登場した丸瀬さんの部屋に、丸瀬顕太郎を名乗るマチナ・シモーネさんが現れて、互いに「ここは自分の部屋だ、出てけ!」と怒鳴り合う。2人は同一の記憶を共有していて、白黒つかない。更に田中力さんが登場して自分が丸瀬顕太郎だと主張する。はーん、不条理劇だなあと思ったのだけど、そんな単純な話じゃないの。だんだん話が入り組んできて、、、、、結果的に、9人いたような気がするのだけど、、、
この芝居は東京デスロックの多田淳之介さん原作。元がいいから今回の出来も面白い、という話もあるが、とにかく久々に言葉責めに遭って気持ち良かった。際限なく続く出口のない会話には麻酔作用があって、観客も自分が自分であることなんてどうでも良くなる(と、私は感じた)。理不尽にも自分を名乗る他人、そいつは最初はライバルなんだけど、次第に親密な存在になる。いつの間にか生まれた同性愛が自己愛に変化していって、ふたりはひとりになり、更にひとりがふたりに分裂した。分裂した互いを見つめ合う3人の姿は「仲間」であり、確認い合いながら収束していく。
うーんこんな感じだったかしら。脚本読みたいな。
5日バージョンの特徴を挙げておく。セットはテーブルにイス、dellのパソコンに新宿で買ったデスクライトに鉛筆立て。黒い革張りの1人掛けチェア。フードの破れたスタンドにミニ冷蔵庫の入っていそうな棚。セリフを言いながら前後に小刻みに走ったり揺れたり。男3人の三角関係。幕間には飴屋氏自らのパフォーマンス。あれ、本物なのでしょうか。私は医療従事者なので血液には敏感で(多分)、かなーりぞくぞくした。
8/12が楽日。チケットはsold out。当日券はあるみたい。芝居が終わった時のカタルシスは、実は狭い会場で体育座りしていた苦痛から解放されたせい、かも。
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2009年8月 6日
8月の舞台鑑賞予定
早くも半分以上消化済み。
・8/2 「3D」@あうるすぽっと(感想)
服部有吉さんが楽しそうだった。彼って自分のやりたいことに対して迷いがない人なんだろうなあと、勝手に思う。
・8/2 「→schwarz」@アサヒ・アートスクエア(感想)
縁故のお客さんが多かったようで、エレベーターとか入り口とかで「泉ちゃんが」という声をたくさん聞いた。人気者なんだろうなあと思った、首藤泉さん、とっても素敵だもん。雰囲気はアットホームだけど、かなり興奮する公演だった。
・8/3 「世界バレエフェスティバル2009 Aプロ」(感想)
感動の嵐ですっ。一生の思い出。
・8/5 「3人いる!」@リトルモア地下
おいおい週に何本見るんだと、言わないでください。たまたま外せない舞台が重なっちゃって。芝居経験はすごく少ないけど、今まで見た中で上位に入る快作。明日感想を書く予定。
・8/9 「世界バレエフェスティバルBプロ」
満を持して。
・8/16 「世界バレエフェスティバル特別プロ/オマージュ・ア・ベジャール」
もちろんジル・ロマンとエリザベット・ロスとイレール&ルグリ様目当てだけど、首藤さんのボレロも楽しみ。
・8/23 イデビアン・クルー「挑発スタア」@にしすがも創造舎
井手茂太ファンです。相当期待してます。
8月下旬は休みが少ないのだが、コンドルズ@行徳も狙ってなくはない。舞台ばっかり行ってるとアートがおろそかになるなあ、バランスが難しい。
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2009年8月 5日
→schwarz@Asahi Cafe Night 8/2
アサヒ・アートスクエアでコンテンポラリー・ダンサー首藤泉さん振付け・出演の「→schwarz」を観てきた。日曜は世界バレエフェスティバルAプロのチケットが取れなかったおかげで、コンテの舞台をハシゴできたという怪我の功名。首藤さんは服部有吉さんほど知名度はないが、ヨーロッパで活躍する優れたダンサー。つい先日の「konoyubi ART」(感想)で小品ながらインパクトの強い舞台を拝見して、これは!と思い今回のチケットを取った。
ネザーランド・ダンスシアターやクルベリー・バレエなど、世界屈指のバレエ団で実績を積み、現在もヨーロッパで踊り続けるダンサー首藤泉。その彼女が、ROVOなどの活動で知られるヴァイオリニストの勝井祐二との出会いから構想し、さらに友人であるダンサーのマルティナ・ラングマン、ギターの鬼怒無月、映像の迫田悠と共にダンスと音楽の新たなるコラボレーションの可能性に挑む!
振付・出演:首藤泉、マルティナ・ラングマン MARTINA LANGMANN
作曲・演奏:勝井祐二(violin)、鬼怒無月(guitar)
映像:迫田悠
音響:ZOZO
照明:高田政義
制作:前田圭蔵
いい舞台でした!ダンスだけではなくて、演奏・映像・照明のコラボレーションがすごくうまくいっていて、はっきりと相乗効果が出ていた。ずっと舞台中央後方で演奏していたエレクトリック・ヴァイオリンの勝井さんとギターの鬼怒さんの音楽は、悠久を感じさせるおおらかさ・のびやかさがあって、コンサートとしても楽しんだ。幕間の演奏中うっとりと閉じていた目を開けたら、真ん前に首藤さんがいてびっくりしたくらい。バックの壁面に投影される迫田さんの映像も、時に内海聖史さんや丸山直文さんを連想するような美しい色彩が溢れたり、モノクロの波や雲をイメージさせるモチーフがゆらゆら揺れていたり、良い雰囲気を作っていた。
アサヒ・アートスクエアの舞台は横長の平土間で、息づかいや汗が届いてくるほどダンサーが近い。ダンスは4部構成で、冒頭はkonoyubiで見た、あの首藤さんとラングマンが袖でつながったまま緊密な関係で踊る、コミカルかつスリリングなもの。2部3部はデザインの素敵なコスチュームに衣替えして、たくさんのイメージを体現していた。首藤さんの振付けは体の使い方が細かくて、ユニーク。各関節を有効に使って、マリオネット風な動きを随所に織り込む。本人が得意な動きなんだろうなと思った。ラングマンはその辺流して踊っていたので。小柄で締まった体の首藤さんと長身金髪スレンダーなラングマンは、共にベルン・バレエシアターに所属する友達同士だそうで、見た目は対照的だけどいいコンビだった。ラングマンは体のラインが美しくて、ダイナミックかつよりバレエ的なダンスを踊る。
幕間で休みを取るとは言え、かなり精力的に踊り続けた2人。全身を汗で光らせてハアハアと言うその苦しげな息遣いが、そのままダンスの要素になっているところがあって、面白くもあった。息が上がっていてもそこが限界というわけではなく、最後まで小気味良いジャンプなど折り込むところに、ヨーロッパのプロダンサーのスタミナを感じた。「総ての色を混ぜると黒くなる」というテーマの通り、最終パートではシンプルな黒のコスチュームに身を包んだふたり(ふたりの衣装は個性に合わせてデザインを変えてあり、それ自体目を楽しませてくれる)。動きは終息に向かったけど、最後までポジティブなダンスだった。
コンテンポラリーにありがちなわかりにくさとか間の悪い瞬間とかなく、集中力を落とさずに鑑賞できる、よい舞台だった。終演後の出演者の笑顔!1時間ちょっとの舞台だけど少人数公演できつかったはずなのに、みなさんさばさばしてたなあ。来年も観たいです。
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2009年8月 4日
第12回世界バレエフェスティバルAプロ 8/3
第12回世界バレエフェスティバルAプロに、行ってきました〜♪♪♪ はじめてのバレエフェスなので勝手がわからなくて、チケットがなかなか取れなくてやきもきしたけど、上空席でも参加できて幸せです。仕事の日なので遅刻して、はじめの3演目は見逃した。残念ちゃ残念だけど、Bプロは日曜に行くからいい!とにかく楽しかった!すでに先発隊の方々のブログを拝見してて耳年増的な見方をしたけど、それに自分の好み+過去のバレエ体験の走馬灯を重ねて、初フェスを堪能した。
【第1部】
・チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ(振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー)
マリア・コチェトコワ ダニール・シムキン
評判良かったし、カテコで見たふたり(特にシムキン君)の衣装が可愛くて、見られなくて本当に惜しかった。Bプロの「パリの炎」よりこの演目の方が好きな気がする。
・「くるみ割り人形」より "ピクニック・パ・ド・ドゥ" (振付:グレアム・マーフィー 音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー)
ルシンダ・ダン ロバート・カラン
くるみってDVD持ってるけどちゃんと見たことない。お子様向けの演目かなあと思って。カテコでこのふたりを見て、正直野暮ったい衣装だと思った。オーストラリア・バレエ団未見。偏見を持たないよう気を付けねば。
・海賊(振付:マリウス・プティパ 音楽:リッカルド・ドリゴ)
マリアネラ・ヌニェス ティアゴ・ソアレス
くー、会場ドア手前で度々沸き起こる拍手を聞きながら、いい踊りしてるんだろうなあっっと唇を噛んだ。去年のロイヤル・バレエの公演で、最後までヌニェスは好きになれなかったけど、彼女のテクニックとオーラはすごいと思った。強靭で明るい。あの笑顔、プロだったなあ。痩せたような気がするけど、気のせい?
ここで入場☆
・エラ・エス・アグア ‐ She is Water(振付:ゴヨ・モンテロ 音楽:コミタス、クロノス・カルテット)
タマラ・ロホ
今までロホにはご縁がなかった。ロイヤルの公演は5回も行ったのに、大阪のガラで「空気の女王」のロホを見ただけ。テクニックの強いダンサーとインプットしていたけど、今回はしっとり系。小柄で細いけどみっちり締まった肢体。振付けの向こうに自我が透けて見えるような、強い踊り手だと思った。舞台が暗いので双眼鏡を合わせるのに苦労したけど、彼女のようなダンサーは全体の空間と一緒に見た方がいい。途中で降りてきたドレス、あれを見て塩田千春さんを連想した人が、会場にいたかどうか。
・くるみ割り人形(振付:レフ・イワーノフ 音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー)
ヤーナ・サレンコ ズデネク・コンヴァリーナ
ベルリン国立バレエとカナダ国立バレエのふたり。きちんとした綺麗な踊りだなあと感心して見ていたが、容姿は悪くないのに華がないので、だんだん飽きてきてしまった。
・コッペリア(振付:アルテュール・サン=レオン 音楽:レオ・ドリーブ)
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー
コジョカルは怪我が多い印象がある。私の短い鑑賞歴の中で、2度降板している。それでもマックレーとの「夏の夜の夢」を見たが、演劇的なバレエでカツラ着けていたりしたので、イメージが鮮明ではない。インタビュー映像のにこやかな姿を見てとても好感は持っていたので、今回やっとコボーとのペアで見ることができてうれしかった。その感動だけで十分盛り上がったのだが、実際踊りも良かった。スーパーなバランスを織り込みつつ終始にこやかに(笑顔度はヌニェスとどっちが高いのかな)、軽やかに楽しげに踊っていたので、じーんと見とれた。奏でるように舞う人。コボーと交わす熱い視線も、微笑ましい。
【第2部】
・「ジゼル」より第2幕のパ・ド・ドゥ(振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー 音楽:アドルフ・アダン)
上野水香 マチュー・ガニオ
美しいマチュー様。舞台が暗くても、ほっそりと端正な姿が「麗」オーラを放っている。アルブレヒトの後悔と悲しみがひしひしと伝わってくる。怪我されていたそうでジャンプの着地はちょっと乱れていたけど、「あなたはバレエ界の至宝なんだから無理しないでください」っと肩を叩きたくなった。「ラ・シルフィード」のDVDで彼の美貌に毒されてます、私。でも、ときめきはない。自分とは次元の違う人だと自覚しているのね。水香さんは手足が長くて、綺麗なラインを出していた。ただ、時々「だるいわ〜」と呟いているように見えた。
・クリティカル・マス(振付:ラッセル・マリファント 音楽:リチャード・イングリッシュ、アンディ・カウトン)
シルヴィ・ギエム ニコラ・ル・リッシュ Nicolas Le Riche
最近やっとパリ・オペラ座のダンサーの顔と名前がわかってきた。まだカンパニー挙げての来日公演てないので。ニコラは「ノートルダム・ド・パリ」と「アパルトマン」のDVDを持っていて、好き。今回の演目はニコラが一歩も動かずギエムとスリリングに絡むもの。日曜に観た首藤泉さんの振付け(感想はこれから)で、男女問わず2人のダンサーが密接に動くのって緊迫感があっていいなあと感じていたところなので、結構ツボだった。ニコラがギエムを支配しているような印象を受けた。彼ってマイペースなようでいて、場を食う潜在的な力があるように思う。身体能力が高くてもギラギラしてないのがいい。笑顔が優しい。ニコラにぎゅっと抱きしめられたい〜。私はダンサーに男性としての魅力を感じることって滅多にないので、それだけセクシーってことかしら。
・「ライモンダ」より第3幕のパ・ド・ドゥ(振付:マリウス・プティパ 音楽:アレクサンドル・グラズノフ)
マリア・アイシュヴァルトMaria Eichwald フィリップ・バランキエヴィッチ
待ってました!何度も書いているけど、去年のシュツットガルトの公演であのカンパニーの面々に参ってしまった私。見事なタチアナを見せてくれたアイシュヴァルトなら、何を踊っても素晴らしいだろうと思っていたけどやっぱり。姫と言うより姐さんだったけど、女が女に惚れる、堂々とした踊りっぷり。彼女っていつも毅然としてますよね。
・スカルラッティ・パ・ド・ドゥ(「天井桟敷の人々」より)(振付:ジョゼ・マルティネス 音楽:ドメニコ・スカルラッティ)
アニエス・ルテステュAgnes Letestu ジョゼ・マルティネス
多分ルテステュ初見。「シルヴィア」のDVDでオレリー・デュポンの美貌にやられてしまって、パリ・オペならデュポンと思い込んでいた時期もあったが、本当のトップはこの人ですよね?先日観たパリ・オペラ座バレエ学校の公演でマルティネスの「スカラムーシュ」を楽しんだのでむしろ彼に注目していたのだが、ルテステュの肢体の際立った美しさに魅せられた。彼女こそ真のエトワール、と思った。振付けは無音ではじまり無音で終わるやや挑戦的なものだったけど、基本的にノーブルでバレエらしい動き。ルテステュがデザインしたというコスチュームも素敵で、モダンかつエレガントな演目だった。マルティネスって細いけど、回転やジャンプ巧いんですね。
・ディアナとアクティオン(振付:アグリッピーナ・ワガノワ 音楽:チェーザレ・プーニ)
シオマラ・レイエス ホセ・カレーニョ
先日のレニ国ガラで感じたけど、私多分この演目好きじゃない。レイエスは可愛かったけどカレーニョのような渋い男性に、あの衣装は着て欲しくない。
・オテロ(振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:アルヴォ・ペルト)
エレーヌ・ブシェHelene Bouchet ティアゴ・ボァディン
うっとりため息・・・・・。エレーヌ・ブシェは今年のハンブルク来日の時、「人魚姫」の王女と「椿姫」のマノンで見た。人魚姫(シルヴィア・アッツオーニ)の恋敵ってことでキライになろうとしたんだけど、スレンダーかつ女らしいスタイルが綺麗で、アッツオーニにはない魅力を認めざるを得なかった。マノンも美しかった。今回クリーム色の(本当は白なんだけど、照明効果でそう見えた)透ける長いコスチュームをまとって、ゆらゆらと静かに舞う姿は幻想的。ソロだったらつまんない振付けなんだけど、かたわらのボァディンとの関係性がキモ。オテロって、単純で馬鹿馬鹿しくも哀しい物語でしょう、ふたりのちょっとした接触が切なくて。ボァディンはほとんど腰布だけだけど、若々しいながら抑えた表情が苦悩を示唆していて、肉体美を生々しいものに見せなかった。本当に絵になりドラマになるふたり。薄衣から透けて見えるブシェの脚や胸のラインや腕が、たまらなく魅力的。ノイマイヤーが好きなのかまだよくわからないのだけど(だって色んなもの創っているから)、この演目は是非また観たい。音楽もいい。
【第3部】
・「椿姫」より第1幕のパ・ド・ドゥ(振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン)
オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ
うーん楽しみにしていた割に乗れなかった。ルグリの脚は本当に綺麗ですね。
・フォーヴ(振付:ジャン=クリストフ・マイヨー 音楽:クロード・ドビュッシー)
ベルニス・コピエテルスBernice Coppieters ジル・ロマン
マイヨー版「牧神の午後」。うわっ、コピエテルスはじめて見た。かっこいー。今年のモンテカルロ来日でコピエテルスじゃない「La Belle」を観た私は間抜けだった(その日しか行けなかったんだけど)。長身でスリムだけど出るところは出ていて色っぽい脚を持つコピエテルス、でも全体の印象は中性的。彼女に翻弄されて、ジルは少年のようだった。マイヨーって面白い〜。
・「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"(振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー)
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・ウヴァーロフ
2人とも絶好調には見えなかったけど、とにかく黄金ペア。しょっちゅう日本に来てくれてるし、彼らが出ないと締まらないな、と頷ける会場の熱狂ぶりだった。ザハロワ様の麗姿を見るだけで、寿命が延びるってなもんです。ウヴァ様のいい人オーラが私は好き。
・カジミールの色(振付:マウロ・ビゴンゼッティ 音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ)
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ
はじめての生ヴィシニョーワ。すごいね完璧だね。顔は可愛くてスタイルよくて柔軟で強靭で腹筋割れてて。この演目は他のガラで観たことあったけど、こんなに濃密な振付けだったとは思わなかった。ただ、小声で言うと、ヴィシニョーワのパワーはもう少し古典寄りの演目で活かしてほしいなと思った。力みと、リップがやけに赤いのが気になって。
・「マノン」より"寝室のパ・ド・ドゥ" (振付:ケネス・マクミラン 音楽:ジュール・マスネ)
ポリーナ・セミオノワPolina Semionova フリーデマン・フォーゲル
セミオノワはジュリア・ロバーツに似ていると思っている。そして私はジュリア大好き。なのではじめて見た時からポリーナには甘いのだが、マラーホフのベルリン国立に移籍して、ぐーんと成長したような気がする。笑顔が板に付いてきたと言うか、貫禄が出たかなあと。ポリーナばっかり見ていたせいか、フォーゲルの姿が記憶に残ってないのは、PDDとしてはいかんということかもしれません。
・ドン・キホーテ(振付:マリウス・プティパ 音楽:レオン・ミンクス)
ナターリヤ・オシポワ レオニード・サラファーノフ
これだけのキラ星スター陣のトリを取るとは、大胆不敵なサラファーノフ。でも、これが今の彼なんですね。何度も書いているけど、私の初バレエ鑑賞はサラと上野水香さんのドン・キ(熊哲さんのドン・キを見るための、予習だった)。3年前は素人目にも不安定なサポートと超人的なジャンプが混在した彼のバレエだったけど、いつの間にか大人になってしまって...。立ち居振る舞いからしてあくまでノーブル、ひたすらオシポワを立てて一歩引き、ソロパートでは超絶ジャンプを繰り出しながらも、謙虚な表情を崩さない。「あんなことやこんなこともできるけど、バレエはサーカスじゃないからね」と力を100パー出し切ってないようなところがニクい。ポーズを決めた後、一瞬のタメがある。動きが速くてキレがあるから、余裕を持って音楽に乗っている。オシポワは力任せなところがあると思っていたけど、結構きれいにまとめていた。もちろんグランフェッテなんかはあり得ない速さで、身体能力の高さはピカ一だなあとあらためて思った。
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2009年8月 2日
3D 8/2
あうるすぽっとで服部有吉さん演出・出演のダンス公演「3D」を観てきた。服部さんの舞台は一昨年の「ラプソディ・イン・ブルー」(感想)以来。6月の世田谷美術館「身体展示」展のExhibition(写真展の中にダンサーが出没して、突然踊り出すというイベント)に行きそびれたので、まだかまだかと楽しみにしていた公演。
世界が注目する気鋭のダンサー/振付家、服部有吉が、コンテンポラリーダンサー・辻本知彦、ブレイクダンサー・群青に出会う。
コンテンポラリーバレエ界において世界最高峰とされるハンブルク・バレエ団初の東洋人ソリストとなり、現在はカナダ・アルバータバレエを拠点に世界で活躍する服部有吉、ストリートからジャズ、バレエ、コンテンポラリー・ダンスまでを自在に操る圧倒的な身体能力と個性で異彩を放つ辻本知彦、伝説的BREAKINチーム「BRONX」の元メンバーで、数々のコンテストで優勝、近年はH・アール・カオスの舞台にも出演するなど、幅広い活動で注目の群青。
ということですよ〜。辻本さんはラプソディ・イン・ブルーにも出演されていた。ピアノの松永貴志さんもね。
1時間ちょっと、休憩なしの舞台。赤い三角形の板が舞台後方に立てられていて、実はその後ろにピアノがある。この板は天井から吊り下げられていて、上に持って行かれたりひっくり返されたり、場面転換に利用される。服部さんはぴたっとした七分袖のTシャツと短パン、正統派ダンサーらしく体のラインを潔く出した衣装。辻本さんはランニング重ね着と細身のスウェットパンツ。ドレッドヘアはきちんと結っている。群青さんが一番ラフで、全身ダボダボ。上下オーバーサイズの薄いスウェットで、髪長いし無精髭はやしてるし、宗教団体の人っぽく見えた。ただし一番イケメン(反論はあるでしょーが)。ここにたまーに乱入してくるのがジャズピアニストの松永さん。
振付は、「模索」のダンスと言うか。前半は思わせぶりなゆっくりした動きに欲求不満が溜まった。ちょこっと挿入された群青さんのブレークダンスにドキッとしたが。あの、背中を地面に付けてグルグルするやつだけど、脚捌きが神!素早くて何がどうなったのかわからないんだけど、カッコいい。そして音を立てない。なんかすごい人なんですね。全編通して面白いのは三人の違いかな。服部さんは無駄な動きが一切なくて省エネ型(洗練されているという意味です)。辻本さんはコンテっぼくルールの見えない動きをするけど、腕を上げる・回す・片足を曲げるといったシンプルな動きの確かさは服部さんと遜色ない。群青さんは上半身が弱いかなーと感じた。
後半それぞれが自分の得意な動きをめいっぱい出して舞台を盛り上げていったけど(服部さんならピルエットとか)(手を叩いたり床を踏み鳴らしたり、賑やかだった)、私はその後の3人の連鎖反応的な振付がいいと思った。特に服部さんと群青さんの化学反応が面白いと言うか。服部さんと辻本さん、辻本さんと群青さんではなくて、服部さんと群青さん。この2人、色が違うんですよね。確固としたバレエの基礎を持つ服部さんの動きは端正で的確なんだけど、それに呼応する群青さんのアレンジが面白くて、むしろ新鮮。服部さんの踊りがつまらないということではなく、これだよね〜と頷かせる期待通りのパフォーマンスなんだけど、群青さんは予想外の動きをするのね。それを服部さんが興味深げに見てるんですよ。ああ、彼、楽しんでいるんだなあと思った。振付家だものね。服部さんと辻本さんは息の合ったペアという感じで、辻本さんと群青さんは仲間同士つるんでる感じ、かしら。
この文章は舞台のあと出先でiPhoneでメモったものを手直ししただけなので、見たけど書き落としたこともあると思う。思い出したら追加しますが、とりあえず、以上。色々考えされられた舞台だった。服部さん、また日本で演ってください!
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2009年7月29日
第12回世界バレエフェスティバル特別プロ「ドン・キホーテ」7/29
バレエファンになって3年目の夏、はじめて世界バレエフェスティバルに参加した。幕開けの特別全幕プロは東京文化会館にて、「ドン・キホーテ」。最近2週続けてガラ公演で「ドン・キ」を見てて(しかも両方素晴らしかった)、そろそろ全幕が見たいな〜と思っていたところ。今回の主演は新鋭ダンサーだけど、シムキン君もコチェトコワちゃんもtwitterでフォロー中だし、ブログで自分の映像や写真を公開されているので、割と身近な存在。しかしダンサーは生で見ないとね。とってもスペシャルなふたりだった。
キトリ/ドゥルシネア姫:マリア・コチェトコワ Maria Kochetkova
バジル:ダニール・シムキン Daniil Simkin
ドン・キホーテ:野辺誠治
サンチョ・パンサ:高橋竜太
ガマーシュ:平野怜
メルセデス:奈良春夏
エスパーダ:後藤晴雄
ロレンツォ:横内国弘
【第1幕】
2人のキトリの友人:乾友子、佐伯知香
闘牛士:松下裕次、長瀬直義、宮本祐宜、梅澤紘貴、安田峻介、柄本弾、柄本武尊、森川茉央
若いジプシーの娘:吉岡美佳
ドリアードの女王:田中結子
3人のドリアード:吉川留衣、渡辺理恵、川島麻実子
4人のドリアード:森志織、福田ゆかり、村上美香、阪井麻美
キューピッド:高村順子
【第2幕】
ヴァリエーション1:佐伯知香
ヴァリエーション2:乾友子
[指揮]デヴィッド・ガーフォース
[演奏]東京フィル
東京文化会館は満員御礼。親切な劇場なので、遅刻した観客は幕中に1F後方の階段にそーっと誘導されるのだが、そこもぎっしりだった。みなさんのドレスアップ偏差値も高い(私も珍しくスカート)。ホワイエには出演ダンサーの美麗なポスター写真が高々と掲げられ、プログラムは3,000円と高価。いやコレは保存版だからC/Pはとっても良いのだけど・・・。とにかく「特別」な匂いのする公演。
脇を固める東京バレエ団のみなさんも、3年に一度の晴れ舞台とあってすごく力が入っていたと思うが、とにかくシムキン君とコチェトコワちゃんのキラキラオーラが満ち満ちた舞台だった。若干22歳でABTのソリストとなったシムキン君が小柄だけどスーパーテクも持ち主というのは知っていたが、サンフランシスコ・バレエのプリンシパルであるコチェトコワちゃんも山椒は小粒でピリリと辛い系で、とっても目立つ。ゴージャスな衣装に身を包んだ東バのダンサーに混じって、彼らより小さい彼女の体はそこだけ浮き上がるようなオーラを放っていた。肌の色のせい?理想的なプロポーションのため?舞台の間中、双眼鏡でコチェトコワちゃんの姿を捉える度、「かわいいっ」(お顔含む)と何度脳内で呟いたことか。甘過ぎないかわいさ。音感が良く柔軟で筋力がしっかりしているダンサー特有の、キレの良さがあった。ドゥルシネアを演じた時のノーブルさも忘れがたく、彼女のオーロラが見たいなあと思った。
シムキン君はとにかく美少年だと思った。細身で金髪で美形と言えばABTではデヴィッド・ホールバーグを思い出すけど、その少年版と言うか。軸がしっかりしているので回転が得意みたい。ジャンプも高くて精確。音楽性が高くて、音をギリギリまで使って踊れるのは体がブレないから。彼と一緒の時コチェトコワちゃんがビミョーに先走って見えたのは、まあテクニカルな問題だろうなあと思った。華がある。東バの中ではそこだけ照明が違うんですか?的な目立ち方をしていたが、ABTでどう見えるのか、気になる。ああABT見に行きたい。
東バのみなさんの中ではヴァリ1の佐伯知香さん?(ブルーの方の人)の躍動感とドリアードの女王の田中結子さんのエレガントさが印象に残った。ジプシー娘は怖かったわ。バレエフェス全幕プロではあと「眠り」のチケットを押さえているけど、行けるか非常に微妙。でも素敵な舞台になるんだろうなあと、今日の充実ぶりを見て確信した。
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2009年7月28日
Joseph Gatti - A tribute to MJ
「Joseph Gatti」でYT探索中。こんなのもあった。ダンサーの破壊力をご覧あそばせ。。。
最後の笑顔を見逃さないように!
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2009年7月26日
第9回 ゴールデン・バレエ・コースター ガラ 7/26
ゆうぽうとホールでNBAバレエ団主催の「第9回 ゴールデン・バレエ・コースター ガラ」を観てきた。私のように怠惰で、日頃DVDやYouTubeやTVによる映像鑑賞や各バレエカンパニーのwebサイトチェックをやっていないバレエファンにとって、こういうガラは大変勉強になる。出演者や演目の予習もしないで出向くので、開演前30分に必死でプログラムに目を通すはめになるが、この一夜漬け感も悪くはない。心に焼き付いたダンサーや演目はあとで調べて、追っかけを始める。今日の収穫はすごかった。NBAバレエ団に感謝。
・ライジング・スターズ(音楽:シャルル・フランソワ・グノー 振付:安達哲治)
すみませんここは記憶が切れ切れです。遅いランチをおなかいっぱい食べた上生ビールも頂いていたので、目を閉じている時間の方が長かった。
・フーガ(音楽:J.S.バッハ 振付:ダビット・ボンバーナ)
ヤニーナ・パリエンコ アレクセイ・コリャーギン
ボリショイのふたりということで期待していたが、まだ目が覚めず。ストイックなコスチュームと若々しいダンスは好感が持てた。
・サタネラ(音楽:チェザレ・プーニ 振付:マリウス・プティパ)
エフゲーニャ・オブラスツォーワ 秋元康臣
オブラスツォーワが可愛かった。さすがマリインスキー。ファーストソリストですよね。そして秋元さんの安定した演技に感心。この方は外国人ダンサーに混じっても見劣りしないテクニックを持っていると思う。大人しそうな顔立ちをされているけど、下手な来日ダンサーより跳躍が大きい。
・眠れる森の美女(音楽:チャイコフスキー 振付:プティパ)
オクサナ・クチェルク ロマン・ミハレフ
ボルドーオペラ座バレエのエトワールとソリスト。ミハレフが親爺っぽくて、笑ってしまいました(スミマセン)。クチェルクはテクニックはあるけどやや音楽に乗り遅れる感じもあって、やっぱり難しい演目なのかなと思った。私の少ないバレエ体験の中でベストの「眠り」は去年観たシュツットガルト。オーロラ姫のアマトリアンはその日不調だったのだが、それでも演技は素晴らしくて、ogawama基準となっております。
・ブルジョアジー(音楽:ジャック・ブレル 振付:B.V.コーウェンベルク)
ジョシュア・オファルト
パリ・オペラ座のスジェの彼。顔が小さくて美声年。ネクタイにスラックスというコスチュームで、シニカルで演劇的なダンスをソロで演じた。べろを出したり思い切り顔をしかめたり、結構やりたい放題。わざとよろめいたりするので、途中床に手を着いたのがミスなのか演技なのかわからなかった。でも魅力的な人。
・スターズ&ストライプス(音楽:ジャン・フィリップ・ソーサ 振付:バランシン)
シャロン・ウェナー 久保紘一
コロラドバレエ団のプリンシパルのふたり。この演目初見だと思うが、好きじゃない。両名動きはしっかりしていて実力はあるが、小柄なせいか振付けのせいかおもちゃの人形のように見えた。
ここで休憩。コーヒーを投入。
・アザーダンス(音楽:ショパン 振付:ジェームス・ロビンス ピアノ伴奏:ユーリー・コジェワートフ)
アシュレイ・ボーダー サイモン・ボール
美しくて大人な舞台だった。ボーダーはNYCBの、ボールはヒューストンバレエのプリンシパル。古典と違って技巧で見せる振付けではなくて、イメージをそのまま観客に送りつけてくるような、筋書きのないドラマと言うかダンス言語の羅列。ボーダーはABTのジリアン・マーフィーやパロマ・ヘレーラみたく割と体に厚みのあるダンサーで、美形ではないけど現代的な女性美を感じさせる。生ピアノが素敵。ソロの時ボーダーがピアニストに投げかけた笑顔が艶っぽくて、ライブ感がいいなあと思った。ボールは結構イケてて表情も生き生きとしてて、お似合いのふたりだった。ジャンプとかピルエットとか「見せ場」はないんだけど、ひたすら音楽的で、ふたりの仕草のひとつひとつにあふれる感情を見た。
・村のドンファン(音楽:レオニード・コーガン 振付:レオニード・ヤコブソン)
ヤニーナ・パリエンコ アレクセイ・コリャーギン
民族色の濃いポワントなしのバレエ。ふたりともえらくお茶目だった。衣装がめちゃくちゃキュート。ボリショイ劇場ではこういう演目も頻繁に見られるのだろうか。
・ジゼル(音楽:アドルフ=シャルル・アダン 振付:ジャン・コラーリ)
ミュリエル・ズスペルギー カール・パケット
なんとパリ・オペラ座のプルミエダンスーズ&ダンスール登場。期待大だったが。ジゼルってダンサーの好き嫌いがもろ舞台の印象を左右するような気がする。ズスペルギーは固い感じがして好きになれなかった。パケット素敵。
・白鳥の湖より 黒鳥(音楽:チャイコフスキー 振付:プティパ)
クリスティナ・タランティエワ アレクセイ・タランティエフ
モルドバ国立バレエ団 プリンシパルのこのふたり、兄妹かと思ったら夫婦だった。クリスティナは今夜の女王様。すごかった・・・。またスーパーテクニックの持ち主を知ってしまった。メイク映えのする美形だし、回転もバランスも完璧。レヴェランスまで(ちょっと長かったけど)完璧。それにトゥの音が全然しないのが驚異的。どれだけ強いバネを内蔵しているんだか。こんな魅惑的なオディールに抗える男子がいるはずがない。モルドバのみなさんが羨ましくなってしまった。政治的には色々あると思うけど。
・ドン・キホーテ(音楽:ミンクス 振付:プティパ)
アディアリス・アルメイダ ジョセフ・ガッティ
興味津々のコレーラバレエ団の、プリンシパルとソリスト。プログラムの写真を見て、いかにも踊れそうなふたりに大きな期待は寄せていたのですが。期待値を軽々と振り切りました、ジョセフ・ガッティJoseph Michael Gatti。舞台に登場した瞬間、「あっ」と思った。姿勢がいい、背骨に凛とした鉄骨が入っているような、まっすぐさ。案の定、回転が早いし軸足がほとんどズレない。ジャンプも高い。でもテクニックに突っ走ることはなくて、ちゃんと音楽に乗ってるしキトリを忠実にサポートする。もう彼は立ち姿だけでも理想的で、双眼鏡が離せなかった。舞台全体の空気の動きも楽しみたかったんだけど。最近バレエからすっかり離れてしまったらしいラスタ・トーマス君以来の、マイラヴ・ダンサー誕生。アルメイダも素晴らしかったのだけど、クリスティナ・タランティエワを見たばかりだったから驚きはなかった。でも彼女も軸が相当しっかりしているし、ハイテクの持ち主。コレーラバレエって、一体どれだけの人材がいるのか。
・デフィレ・ドゥ・ラ・ダンス(音楽:モーツァルト 振付:安達哲治)
NBAバレエ団 海外ゲストダンサー
これは実質フィナーレ。華やかなNBA女性ダンサーのコール・ドに、まず海外ゲストの男性ダンサーが加わってくる。予想通りジョシュア・オファルト君のタイツ姿は大変ノーブル。美しい笑みでNBAの女子を優しくサポートしてて、王子オーラが出ていた。まだ汗のひかないジョセフ・ガッティは(着替えるの大変だったろう)、隣のカール・パケット?を真似するようにチラチラ見ながら踊っていて、おかしかった。彼のもみあげってちょっと可愛い。薄ピンクのチュチュに着替えられた女性ゲストダンサーのみなさんは、一様に美しかった。
盛り上がったので一気に感想を書いた。これで次はいよいよバレエフェスの「ドン・キ」だ。
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2009年7月23日
ルジマトフ&レニングラード国立バレエ 7/22
ゆうぽうとホールで「ルジマトフ&レニングラード国立バレエのソリストとサンクト・ペテルブルグのダンサーたち 特別ゲスト:西島千博」」公演を観てきた。たしか5月のデンマーク・ロイヤル・バレエ以来の生バレエ鑑賞なので、変なテンション。「シェスタコワ様に会える」&「ルジマトフがシェラザードという知らない演目を踊る」という点に惹かれてチケットを取ったのだが、想定通り印象に残ったのもこの2点。ルジマトフには熱烈なファン層がいると聞いていたが、なるほど。地味な公演かと思っていたけど、会場の熱気は結構高かった。
第1部
「白鳥の湖」よりグラン・アダージョ(音楽:P.チャイコフスキー 振付:M.プティパ、L.イワノフ)
ヴィクトリア・クテポワ ミハイル・ヴェンシコフ サンクト・ペテルブルグ・コンセルヴァトワール・バレエ
舞台中央よりかなり左手の席だったので、コール・ドに囲まれた主役二人の動きが見にくい。ま、腐っても白鳥。雰囲気だけで十分だわ。ヴェンシコフは太ももの太さが印象に残った。
「くるみ割り人形」よりパ・ド・ドゥ(音楽」:P.チャイコフスキー 振付:M.プティパ)
オレーシア・ガプエンコ アンドレイ・ベーソフ
今となってはほとんど憶えていないのだが、感じは良かったな。ガプエンコはちゃんとプライドを持って踊っているように見えた(クテポワがどうこう言っているわけではありません)。
「海賊」よりパ・ド・トロワ(音楽:R.ドリゴ 振付:M.プティパ/X.チャブキアーニ)
イリーナ・コシェレワ 西島千博 ミハイル・ヴェンシコフ
世事に疎いので西島さんの名を知ったのは最近。と言うかほとんど知らないに等しい。各ガラで腕に覚えのある超絶ダンサー達が踊る奴隷の役を、ロシアのバレエ団の中でやるとは。ルックス的には見劣りしていなかったが、手先足先にかなり力が入っていたような気がする。コシェレワはよく踊れていておっっと思った。海賊と言うと私の中ではABTがデフォなので、ヴェンシコフは押しとパワーが足りんなと思ってしまった。
「阿修羅」(音楽:藤舎名生 振付:岩田守弘)
ファルフ・ルジマトフ
2回目。岩田さんの振付けはいいなあと、ふだんブログを読ませて頂いていて親近感を持っているせいか、とても好ましく感じた。エセジャポニズムっぽくなくていい。ルジマトフは去年はじめて見たので特に思い入れはないが、あれだけの存在感を持ったダンサーは思い浮かばない。私はもっと軽やかな人が好きだけど。
「ドン・キホーテ」よりパ・ド・ドゥ(音楽:L.ミンクス 振付:M.プティパ)
オクサーナ・シェスタコワ ミハイル・シヴァコフ
至福の一時。シェスタコワ様はプロ中のプロであり、期待を裏切らない。キトリを演じる女性ダンサーは気っ風の良さを動きのキレで表現しようとするけれど、丁寧でエレガントなシェスタコワ様は必要以上に腕をびゅんびゅん動かさない。一瞬のスローさが新鮮で、目を見張った。それでもキトリらしさが損なわれることはなくて、それは音楽によく乗った動きや勝ち気な表情、甲の美しさで脚がとても長く見えて、観客には彼女が大輪の花のように映ることによる。どの瞬間を写真に撮っても恥ずかしくないような手抜きのないポージングは、バレリーナの鏡だ。私は筋肉適度ほっそり清楚系の女性ダンサーが好みなんだけど、シェスタコワ様の成熟した女らしい体型や庶民的な笑顔を見るとふにゃーっとしてしまう。この演目の時だけ、顔が終始だらけていた。
第2部
「ディアナとアクティオン」(音楽:C.プーニ 振付:A.ワガノワ)
オーレア・ガピエンコ アンドレイ・ベーソフ
えーとディアナの衣装だとガピエンコって男の子みたいなダンサーだなと。ベーソフはターザンかと思った。
「眠りの森の美女」(音楽:P.チャイコフスキー 振付:M.プティパ)
ヴィクトリア・クテポワ ドミトリー・シャドルーヒン
なでつけた髪を過剰にキラキラさせたシャドルーヒンが、非常に丁重に姫を扱っていて、サポートのテクニックを感じさせた。姫は白鳥よりずっと良かった。クテポワの美貌は見過ごせないし、体は適度にやわらかないのであとは練習して、本当の姫になって欲しい。
「ラ・シルフィード」(音楽:H.ロヴェンショルド 振付:A.ブルノンヴィル)
ユリア・ルンキナ ミハイル・シヴァコフ
DVDで見たマチュー・ガニオのキルト姿があまりに素敵だったので、シヴァコフは非常に不利。でもそれなりに着こなしていたかな。ユリア・ルンキナは顔が引きつっているように見えて、何度も双眼鏡で表情を確認した。謎。
「NEO BALLET〜牧神の午後」(音楽:C.ドビュッシー 振付:西島千博)
西島千博
朝起きるのはつらいなあ、とうじうじしながらも頑張って起きてやる気を出して、でもふっと二度寝してしまったけどまずいからやっぱり起きる、という感じの振付けだった。西島さんは回転が得意なダンサーなのでしょうか。眠いはずなのにすごい勢いで回っていた。イケメンなので、カテコなどでは笑顔を少々マイナスしたほうがかえってカッコいいのではないかしら。
「シェヘラザード」(音楽:N.リムスキー=コルサコフ 振付:M.フォーキン)
ファルフ・ルジマトフ イリーナ・コシェレワ
期待したほどルジマトフは飛んだり回ったりしなかった。コシェレワが少女のようなので、金の奴隷というよりお父さんみたいに見えた。これがルジマトフの当たり役だと知っていればもうちょっと感情移入して見たんだけど。でもコシェレワは堂々としていて、これから華を持つダンサーになるような気がした。
twitterでネガティブな感想は書かないと宣言した割に、結構きついことを言ってしまった。でも久しぶりのクラシック・バレエは楽しかった。来年のお正月には、またシェスタコワ様に会えるかな。
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2009年7月21日
konoyubi ART 2009 7/20夕方の部
浅草のLION BUILDINGで開催されたkonoyubi ART 2009を観てきた。国内外で活躍する若手アーティスト、ダンサー・画家・ミュージシャン・デザイナーなどによるコラボレーションイベントだが、私はこのイベントのためのオリジナルダンス目当てに参加した。ライオンビルという昭和34年築のアンティークな3F建てのビルが会場。昼間現代作家の名和さんの講演を聴きに行っていたため、15分ほど遅れて参加。はじめの演目、「SEACH IS ON」(振付・構成・ダンス:Daniel Sjokvist、Agnieszka Dlugoszewska)だけ見ることができなかった。
前半の会場は2F。空間デザインは藝大在学中の大城喜彬さん。部屋中が白っぽいやや捻れた樹脂で装飾されている。配管や電灯を覆ったり。名和さんの作品を思い出させる。2演目目は「TOKYO requiem」(作曲・演奏:平本正宏)、ノイジーでメロディーのない音楽だった。平本さんは藝大出身の作曲家で、金森穣さんや篠山紀信さん他たくさんのアーティストとコラボレーションされているそうだが、私は前のダンスを見ないでいきなり入ったせいか、完全に浮いてしまった。終わるまで神妙に俯いていた。演奏場はよく見えなかったけど、Macを使っていた。そして「NANDA」(振付・構成・ダンス:根本しゅん平、音楽:平本正宏)。根本さんはこのイベントの主催者で、英国ロイヤル、ライン・ドイツを経てクルベリに所属。小柄だけど上半身の筋肉が素晴らしい。心の葛藤を体現しているようなストイックなダンスは音楽と相まって、私的には難解。
ここで3Fに移動。今度の空間は渡辺淳&山崎史人さんプロデュース。共に藝大研究室在学中の方。壁がシワシワのアルミ箔で覆われている。よく見るとところどころに人のお面が浮かび上がっている。元の建材が隠されている分異世界感が強い。実は入室前から鎖につながれたダンサー2名がじっと動かずスタンバイしていて、大変だな〜と思った。「INTERSECTION」(演出・構成:太田垣悠、児玉北斗、田井中善意、平本正宏、装飾:田井中善意、音楽:平本正宏、ダンス:太田垣悠、児玉北斗)。トレーナーにジーンズという普段着なふたりが、マジで重そうな鎖を何本も引きずってゆっくりと動き回る。男女のペアなんだけど、女性の方に目が引き寄せられる。太田垣(おおたがき)さん、フランス国立リヨンオペラ座バレエ団を経てジュネーブ大劇場に移籍。小動物のようなしなやかさ・やわらかさを動きに感じた。男性の児玉さんはアルバータ→レ・グランバレエ・カナディアン→ヨーテボリという経歴の方で、皆さんすごいなあ。時々ふたりが接触する瞬間があって、そこで広がる見えない火花が作品にメリハリを付けていた。
さて次が今回一番のお気に入り、「Lawineー雪崩」(振付・構成:首藤泉、ダンス:首藤泉、Martina Langmann)。これ、面白かったなあ。首藤さんはNDT2→クルベリ→ベルン・バレエとこれまたすごい人。相手のMartinaさんはベルン・バレエのダンサーで、長身金髪女性だから結構迫力があるのだけど、二人とも髪を二つに分けて耳の上あたりで結んでいるので、幼い姉と妹のようなかわいいイメージ。お揃いで肌着みたいな白の長袖長ズボンの上下を着ているのだが、袖が拘束衣のように長くて、なんとふたりがつながっている〜。伸縮性のある素材なので動きの幅は結構あるけど、それでも蜘蛛の糸に搦めとられたような不自由さがダンスに緊迫感を生む。時にユーモラスで時にスリリングな振付け。最後にはMartina さんのコスチュームの中に首藤さんがすっぽり入ってしまうという、落ちがつく。二人のダンサーの真剣な眼と紅潮した頬がなんとも美しく、間近で見られるコンテ・ダンスの良さを実感した。音楽は懐かし系でジャズっぽいのとか色々、親しみ易くて良かった。これが首藤さんの振付けなのね。→schwarz、俄然行きたくなりましたよ。またハシゴしてしまいそう・・・。
最後は「君の中の私たち」(振付・構成:小尻健太、堀田千晶(一部)、衣装協力:稲村朋子(NDT)、ダンス:小尻健太、西貴子、堀田千晶)。これはツボから外れてました。小尻さんはモンテカルロ→NDT2→NDT1、西さんはカンヌ・ジュヌ→スカピノ→イントロダンス、堀田さんはNoism研修生を経てNDT2。うん、この辺だけなんとなく憶えておこう。カンパニー名をすごい適当に端折ってますが、私はまだまだ世界のダンス事情に疎く、見たことの(聞いたことすら)ないカンパニーがほとんど。ただ、日本の若いダンサーが世界で活躍していることを、このような里帰り公演で知ることができて、有意義でした。
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2009年7月19日
松竹大歌舞伎(東コース)「正札附根元草摺」「義経千本桜」7/15
ベイシア文化ホール@前橋で全国公立文化施設協会主催・松竹大歌舞伎(東コース)を観てきた。歌舞伎の地方巡業です。六月大歌舞伎の「女殺油地獄」で片岡仁左衛門さんの一世一代の河内屋与兵衛を拝見していたく感動して(感想)、あの方の次の舞台を物色していて見つけた公演。松嶋屋一門で出演されていて、最近噂の片岡愛之助さんも。血縁はないながら仁左衛門さんのDNAを受け継ぐと言われる愛之助さんを見たいという気持ちもあって、チケットが入手できたのをこれ幸いと、日帰りで群馬まで行ってきた。
一、正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)
曽我五郎時致:片岡 愛之助 小林妹舞鶴:片岡 孝太郎
荒事の舞踊もの。愛之助さんが隈取ばっちりで見得や六法をりりしく見せてくれる。歌舞伎では、所作事が好きだ。女形の華やかな舞踊もいいんだけど、荒事のかっこ良さにしびれる。やっぱり私は江戸っ子かな。初心者なので愛之助さんの技倆がどの程度なのか判別つかないけど、十分に魅力的な舞台だった。経験を積む内に演技に「溜め」のようなものができて、よりどっしりと豪快で軽妙な曽我五郎になるのかもしれない。
二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
下市村茶店の場 同 釣瓶鮓屋の場
茶店 いがみの権太:片岡 仁左衛門 主馬小金吾:片岡 愛之助 若葉の内侍:市川 高麗蔵 猪熊大之進:坂東 薪 車 弥左衛門:坂東 竹三郎 小せん:片岡 秀太郎
すし屋 いがみの権太:片岡 仁左衛門 お里:片岡 孝太郎 梶原景時:片岡 愛之助 若葉の内侍:市川 高麗蔵 お米:市村 家 橘 弥左衛門:坂東 竹三郎 弥助実は平維盛/小せん:片岡 秀太郎
待ってました!この取り上げ方だと、主役はまさしくいがみの権太。馬鹿正直に言ってしまうと、世話物は歌舞伎の演目の中で一番時代遅れの感がある。私の場合役者が好きでないと、ほぼ間違いなく寝てしまう。しかーし仁左衛門さんがいらっしゃるなら話は別。巧い。技巧的にも体力的にも完璧。膝小僧に太ももまで露出したスタイルで出ていらしたのでびっくりしたが、全然「老け」がない。ああ、どんなエクササイズをしてその体をキープされているのか。そしてこいつになら騙されて仕方ないなーと思わせる、見事な詐欺っぷり。密かに愛読している殊能センセイの日記に、先日歌舞伎役者は芸人より弁が立つというようなコメントがあったが、まさにと思った。彼らの演技力がすごいのは、日頃鍛錬してこういう演目をこなしているから、だろうなあ。
隈取を落として普通のメークになった小金吾の愛之助さんは、人のよさそうな若者。うーん大器なのか、まだわからない。権太と小せんの息子がカワイイ。犬っころみたいな愛くるしい少年で、高橋君といったかな。彼の存在感がラストの伏線になっている。小せんの秀太郎さんは仁左衛門さんとよく息が合っていて(兄弟だし)、この夫婦の仲の良さがやはりラストで涙を誘うわけ。歌舞伎らしい独特の立ち回りのあとドラマチックに絶命する小金吾、これは見せ場の多い良い役だこと。愛之助さん期待されているんでしょうね。以上茶店の場。
舞台はすし屋に移って。まあお里の孝太郎さんの元気のよさに圧倒される。元々お茶目な役だとは思うけど、弥助と夫婦になるのが嬉しいからって「ピピピ」とは何ですか〜。仁左衛門さんはとても厳しいお父様だったと聞くけど、孝太郎さんはいい役者さんになられたようだ。私が彼をはじめて見たのは京都南座の顔見世興行「二人椀久」。傾城を演じたあの時より個性が出てきたように思うけど、これは素人の独り言。弥助の秀太郎さんは、ちょっとなよなよしている。女形だもんね。母親のヘソクリをふんだくりに訪れた権太は、相変わらずのお調子者。空涙が観客の笑いを誘う。仁左衛門さんはコメディアンの才能もおお有り。実に軽やかなオーバーアクションで、見事な舞台の華だ。この後の悲劇との緩急を計算し尽くしている。
梶原景時登場で、緊迫する舞台。愛之助さん再登場。また素顔がわからないメイクだけど、いい役だ。ここで権太は突然改心して性根を入れ替えるんだけど、だれも気付かない。維盛様の首を取った上、若葉の内侍と若君を源氏に引き渡すとは何たる悪人〜。家族は憎々しく権太を睨みつける。でも観客にはありありと彼の嘘がわかる。縄を付けられている少年は、あの犬っころの高橋君ですもの。維盛様を救うため、必死で涙をこらえて妻子を身代わりに差し出した権太の、マックス自己犠牲精神。演出も上手いけど仁左衛門さんも巧い。父親に刺されてから真実を語る権太に家族は号泣するけれど、客席もどっぷり悲しみにくれています。愁嘆場の中で、維盛に人格交代した弥助の「あっぱれ、梶原」のくだりはちょっと説教臭いけど、このクライマックスは本当に盛り上がった。歌舞伎を見始めた頃はカブキは伝統芸能と特別視していたが、要は「芝居」なのですよね。演劇鑑賞経験は少ないけど、こんな迫真の演技はそこらで見られるものではない。仁左衛門さんのおかげで歌舞伎の底力を知った。
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2009年7月13日
プロペラ「夏の夜の夢」 7/12
東京芸術劇場で「野田秀樹 芸術監督就任記念プログラム プロペラ『夏の夜の夢』」を観てきた。
最初に断っておくと、わたくし開演時間を勘違いして遅刻して、全2幕のうち1幕は見逃した。何たる失態。でも東京芸術劇場の受付の人って変なのよね。入った時点で「1幕はもうすぐ終わりますので、ロビーにて少々お待ちください」とか言ってくれればいいのに、黙ってチケット切って「2階席ですからあちらの階段からどうぞ」とか澄まして言うから、全然気づかなかった。
プロペラはイギリスの劇団。男優のみ。尖ってる系かな。セリフはもちろん英語で、字幕がない替わりに有料イヤホンガイドあり(500円)。このイヤホンガイドが悩ましい代物で、有名な演目だからガイドがなくても言っていることはなんとなくわかるし、でもシェイクスピアの美辞麗句を楽しみたければ素直に利用した方がいいかなあとも思う、惑わせモノ。結局私は音量を最小限に絞って非常に中途半端な状態でセリフを聴いたのだった。
登場人物が少ないので、2幕から参加でも全然OKだった。むしろ飽きなくてよかったかも。「夏の夜の夢」、バレエでもメジャーな演目なので観る機会は多い。女性が男勝りな振る舞いを見せるので(シェイクスピア劇では珍しくないが)、実はあんまり好きじゃない。でもプロペラはハーミアもヘレナも全然女らしくない男優が演じる。そこがいい。ハーミアの飛び蹴りとかヘレアの逃げ足とか、女優がやると下手したら痛々しい感じになるところを男優があっけらかんと元気良く演じていて、からっとしていていい。歌舞伎とは違った世界なのよね。歌舞伎の女形はリアル女性よりたおやかで女らしいけど、プロペラの面々は性を逸脱しようなんてこれっぽっちも思っていないふうな潔さが痛快だ。
シェイクスピア劇の快楽は深遠かつ饒舌な台詞回しにあるのでは。よって最も効率良く楽しめるのは朗読劇でないか。と思っている。大仰な声音や派手な演出や大がかりな舞台装置は蛇足だと思う。バレエはマイムだから例外だけど。演劇集団プロペラの芝居は舞台装置がシンプルで、衣装も簡素。英語はよくわからないけど割と忠実に原作を追ってそうで、好感が持てた。「夏の夜の夢」ってバレエ作品として見慣れてる身には職人芝居の部分が邪魔っけなんだけど、そこの部位もきっちり演じあげていた点もよろしい。
読書以上に楽しいシェイクスピア体験をしたことがまだない。観劇経験が乏しいせいだと思うので、いつか舞台で本当の感動に出会いたいと、時々目についたシェイクスピア劇を見に行くようにしている。今回のプロペラは言語的ハンデがあって100パー楽しめる舞台ではなかったが、今まで観た中では出色だったように思う。妖精の王と女王の衣装がシンプルながら貫禄があって良かった。妖精の世界で俳優がかき鳴らす楽器がリリカルな雰囲気を盛り上げていた。ハーミア役の俳優のオーラに惹かれた。原作に忠実だった。古典を生き生きと演じるパッションに感動した。
眠くなったのでここで感想を終える。後日書き足すかもしれません。
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2009年7月 6日
舞台関連備忘録
先週からテンション上がらず。日曜は気晴らしに蕎麦屋で一杯とかやったけど、本調子ではない。さて人生の基本は整理整頓。1週間前にさいたま芸術劇場でもらったフライヤー、そろそろ片付けなければ。
・りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピア シリーズ「テンペスト」@銕仙会能楽研修所(7/18-20)
栗田芳宏のイマジネーションと、時広真吾の和洋を超えたヴィジュアル、異才の能楽師 津村禮次郎、実力派俳優廣田高志、そして新潟の俳優たちが、「なにもない空間」能楽堂に大嵐を巻き起こす。この連休はすでに2回「konoyubi ART 2009」の前売りを買い直しているが(泣)、これはその気になれば行ける。当日券?
・未来のてはじめ。@森下スタジオ (7/31-8/2)
この春、輝く未来はメンバーチェンジを行いました。そのてはじめは、主要メンバー3名による小作品、そしてキム・準メンバーを含めた即興セッション!「3D」とかぶっているので行けない。伊藤キム未見なので、残念。
・BLACKBIRD ブラックバード@世田谷パブリックシアター(7/17-8/9)
15年前の少女誘拐事件に端を発する男女の愛憎と、驚くべき意外な結末を描き、その衝撃的な内容で瞬く間にLONDON、NYを駆け巡った問題作が、遂に日本で上演されます。二人の間にあったのは、果たして愛だったのか、それとも虐待だったのか。真実は、ふたりだけが知っている。この手の「芝居」はあんまり趣味じゃないが、内野聖陽さんちょっと好き。
・3人いる!飴屋法水@リトリモア地下(7/31-8/12)
毎日演出が変わると言われても、毎日行けない。チケット買えるのかな〜。
・true/本当のこと@シアタートラム(8/6-9)
舞台表現における、テクノロジーと身体の関係性は新たなステージを迎える! 舞台、音楽、映像、メディアデザインの最先端で活躍する10人のアーティストが集結し生み出した、インタラクティブな舞台空間。その中に立つ2人のパフォーマー、白井剛(AbsT)と川口隆夫(ダムタイプ)。彼らの動きが瞬時に音や映像そしてLED照明と同期することで、あたかも舞台全体がひとつの生命体のように機能する。ふたりとも興味ある。バレエフェスとかぶるけど、ソワレの開演が遅いので行けるかもっ。
・Asahi Cafe Night→schwarz @アサヒ・アートスクエア(8/2・3)
ネザーランド・ダンスシアターやクルベリー・バレエなど、世界屈指のバレエ団で実績を積み、現在もヨーロッパで踊り続けるダンサー首藤泉。その彼女が、ROVOなどの活動で知られるヴァイオリニストの勝井祐二との出会いから構想し、さらに友人であるダンサーのマルティナ・ラングマン、ギターの鬼怒無月、映像の迫田悠と共にダンスと音楽の新たなるコラボレーションの可能性に挑む!合わないと思いっきり合わなそう。
・中国の不思議な役人@PARCO劇場 (9/12-10/4)
伝説の舞台が32年ぶりに蘇る!言葉の錬金術師寺山修司の愛と死の物語。白井晃新演出で、新たな物語へ・・・。21世紀版「中国の不思議な役人」、ここにあらたな純愛の物語が誕生する。なんとなく。
・コンドルズ「Nine Lives」 (8/15-9/21)
千葉(行徳)公演8/30 東京(新宿)公演9/18-21コンドルズ未見。学ランのダンサーなんて別に見たくないけど、喰わず嫌いはいかん。
・F/T09秋(10/23-12/21)(9/5前売開始)
ロメオ・カステルッチの3部作連続上演をはじめ、多彩なラインナップに注目!まだ余裕。
・平山素子 Life Casting -型取られる生命-@新国立劇場(11/5-8)(9/6前売開始)
第7回朝日舞台芸術賞、キリンダンスサポートをW受賞するなど初演時に高い評価を得た「Life Casting─型取られる生命─」の再演となります。あああこれは逃さないようにしないと〜〜。
・あいちトリエンナーレ2010(2010年8/21-10/31)
きっと行く。
あ、コレもありましたねー。
・ダンストリエンナーレトーキョー 2009(9/18-10/8)
2002年にビエンナーレとしてスタートしたこのフェスティバルは、世界の振付家・ダンサーが3年に一度、東京・青山を中心に一堂に集う国内最大のダンスの祭典です。第3回からトリエンナーレとして開催、今回4回目を迎え、イスラエル、オランダ、カナダ・ケベック、韓国、スイス、ドイツ、トルコ、日本、フィンランド、フランス、ベルギーの11カ国から18のアーティスト/カンパニーが参加します。
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2009年7月 1日
7月の舞台鑑賞予定
今月は後半から忙しくなります。
・7/12(日)プロペラ「夏の夜の夢」@東京芸術劇場
・7/15(水)松竹大歌舞伎@ベイシア文化ホール(群馬県民会館)
・7/19(日)konoyubi ART 2009@LION BUILDING
・7/22(水)ルジマトフ&レニングラード国立バレエ@ゆうぽうとホール
・726(日)ゴールデン・バレエ・コースター ガラ@ゆうぽうとホール
・7/29(水)世界バレエフェスティバル「ドン・キホーテ」@東京文化会館
もっと識る前に逝ってしまったPina Bauschに、哀悼の意をこめつつ。
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2009年6月30日
ヤン・ファーブル「寛容のオルギア Orgy of Tolerance」6/28
さいたま芸術劇場でヤン・ファーブルの「寛容のオルギア」を見てきた。去年の「死の天使」(ヤン・ファーブルの舞台初見)は割と抽象的な作品で、私の理解の範疇を超えているのでひたすら「感じる」ことしかできなかった。今回はid:nori54センセイ(すみませんはてな記法です)が「これはオススメだ!」とおっしゃっているのでほいほい期待して行ったけど、、、、、途中で椅子を蹴って退場するところだった。
与野本町て遠いですよね。電車の連絡が悪いと1時間以上かかるので遅刻しそうになったことが数回あり、今回は豪雨の中1時間も前に劇場入り。30分前まで開場しないのは仕方ないとして、開演5分前まで着席できないというのがまず癇に触る。傘置き場がないから傘を持ったまま(クロークはありますけどね)、渡された膨大なチラシを選別。まあイデクル新作とかお待ちかねの情報満載だから、悪くないんだけど。で。ようやく会場に入れてもらえば、舞台上ではすでに役者がウォーミングアップしてる。みんな白のランニングに白の下着パンツ(+カラフルソックス)。うーんおしゃれじゃないなあ。ヤン・ファーブルって去年ルーヴルで個展をやった世界的アーティストだよね。セットを見ると革張りのチェアとかバーテーブルとかあって、おじさんくさいなとも思った。
開演しても4名のアスリート達(に見えた)のウォームアップは延々と続く。観客を焦らしてるのね。散々引っ張っておいて、始まったのは自慰合戦。パンツに手を突っ込んで、×××ます。喘ぎ声が派手。銃を背負ってリッチなニットを着た兵士がセコンドのように各選手に付いて、「世界はお前を待っている!」とか励ます。イッた回数をカウントしてるんだけど、2選手は女性なので基準が曖昧。と言うか、私に何を書かせるのか。舞台を記述しようとするとお下品な描写が避けられない。ヤン・ファーブルの悪意を感じるわ。
延々と続く一種の「拷問」の後も、下ネタパフォーマンスは続く。私は舞台鑑賞中によく寝る質なので、いつものようにうとうとしながらぬるい目で眺めていた。兵士がインテリぶって葉巻吸いながら人種談義していたなあ。「捕虜」にご奉仕させていたなあ。ソファが女性に馬乗りになっていたなあ。教祖っぽいトレーナーがお札で元気になる方法を伝授していたなあ。ああもう言いたくないけど。目を引いたのはショッピングカートに乗って偽出産する女性たち。咆哮と共にふくらんだお腹からスーパーの商品を引き出して行く。銃まで出てきて、アメリカ的。その他折に触れて裸(フル)もぽんぽん現れましたが、何をしたか説明できません。無理。
参ったなあと思いながらも、舞台経験値を上げるために通らねばならぬ道、とあきらめの境地だったが。パフォーマーがはないちもんめの体勢で「Fuck you!」を始めた時に私の不快感は一気に上昇した。「Japanese, 働いてばかりで女房とやるヒマない」とか、人種差別発言が多発乱発。それこそ世界中が槍玉に上がっていた。なんか日本の観客がおとなしいからって調子に乗ってない?と思ったが、まわりからは楽しそうなクスクス笑いが聞こえてくる。ひとりの男性が前方の席から去って行ったが、まあ舞台への抗議なのか次のアポがあったのかよくわからない。私は言葉の暴力が大嫌いなので出て行こうか迷ったが、舞台の後でヤン・ファーブルのポストトークがあると聞いていたし苦労して与野本町まで来たんだし、とうじうじ我慢。何で日本の観客ってブーイング飛ばすとか(誉められた行為じゃないけど)席を立つとか、批判的な行為をしないんだろう(私を含めて)、と悶々と考えていたらやがて矛先がファーブル自身に向かって行ったりして、ユーモアに流れた感じではないちもんめは終息した。
前置きが長くなったけど、この舞台がすごかったのはこの後なのだ。今まで奇妙な運動を重ねてきたパフォーマー達が、堰を切ったように自由に動き出した。一気にエンターテイメントの世界だ。ダンスであり即興であり体操であり歌である彼らのアクションはジャンルでくくれない解放的なもの。ダイナミックで胸がすく。実際彼らはダンサー、俳優、ミュージシャンの集まり。ひとりひとりが魅力的だ。すごいなあヤン・ファーブル、こういう演出ができるならはじめからやってよ、と思ったけど、このカタルシスが醍醐味なんでしょうね。精神的にギリギリまで我慢した分、酔ってしまいました。
この舞台の評価?評価はするけどはっきり言って嫌いだ。私は端正なものが好き。でもあのカタルシスは中毒性があるかもしれなくて、次回の公演でまたこっそり前売りチケットを買っていそうな自分が、信じられない。
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2009年6月29日
第12回世界バレエフェスティバル開催記念 秘蔵記録映像上映会 6/28
日経ホールにて。3回上映の内の10時の初回に行きましたが、満席だったようです。
私がバレエを見始めたのは2007年からで、前回のバレエ・フェスは2006年。初フェスの今年はチケット取りに苦戦したけど、おかげで夏が楽しみになった。NBSに感謝。今回のようなアーカイブの公開は大歓迎。なんとかして、DVDを発売して欲しい!
「ロミオとジュリエット」第1回(1976)より
マーゴ・フォンティーン イワン・ナジー
フォンティーンを見た、ということに意義があった。かなりのお年。私にとってフォンティーンとはすなわち真澄ちゃんがロイヤルで・・・の人なので、感慨深いものがある(「SWAN」今度こそ大人買いしたい)。
「ラ・バヤデール」第1回(1976)より
マリアーナ・チェルカスキー フェルナンド・ブフォネス
ああ、バヤだとぼーっと見ていたんだけど、ABTのFernando Bujonesはすばらしいダンサーだったらしい。あとで動画を探す。
「レダ」第2回(1979)より
マイヤ・プリセツカヤ ジョルジュ・ドン
画質は良くないのだがすらりとしたMaya Plisetskayaの姿態、そして腕の羽ばたきに痺れた。驚いた。映像が欲しい。DVD買い漁ろう。
「パ・ド・カトル」第2回(1979)より
アリシア・アロンソ カルラ・フラッチ ギレーヌ・テスマー エヴァ・エフドキモワ
かろうじてアロンソの名を知っていただけで全員顔なんてわからないので、豪華な取り合わせなんだろうなあと指をくわえてみていた。
「ドン・キホーテ」第2回(1979)より
エカテリーナ・マクシーモワ ウラジーミル・ワシーリエフ
伝説のペア、すごく楽しみにしていたのだが期待以上の踊りだった。ワシーリエフの高速回転を見て、熊哲さんタイプって昔からいたんだなあと思った。マクシーモワは4月に亡くなったばかり。訃報を聞いた時はぴんと来なかったけど、やっと素晴らしいダンサーだったことがわかった。ご冥福をお祈りします。このペア、Ekaterina Maximova, Vladimir Vasilievの映像も激しく欲しい。
「ボレロ」第3回(1982)より
ジョルジュ・ドン
私は映画でしか彼のボレロを見ていないけど、やっぱり彼は全然違う。マイケルのダンスも好きだったけど、舞台芸術の世界での喪失度はJorge Donnの方がはるかに大きいと思う。重力が違う。
「海賊」第3回(1982)より
エヴァ・エフドキモワ ペーター・シャウフス
Eva Evdokimovaに萌え。今までメドゥーラの踊りをいいと思ったことはなくて、それは振付けが好きじゃないからだと思っていた。違った。エフドキモワはめちゃくちゃ素敵だった。綺麗なブルーのコスチューム、クラシック・チュチュじゃないところがセンス良かった。
「ジゼル」第3回(1982)より
アリシア・アロンソ ホルヘ・エスキヴェル
暗さのせいでよく見えなかった。アロンソのただ者じゃない感は漂っていたような気がする。
「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ" 第3回(1982)より
ジョイス・クォーコ ピーター・ブロイヤー
気っ風のよい黒鳥だった。
「オネーギン」第4回(1985)より
マリシア・ハイデ リチャード・クラガン
ハイデって地味じゃんと失礼なことを思っていたが深ーく反省。ああオネーギンの映像が欲しくて喉から手が出ますね。先日小説読みました。
「ドン・キホーテ」第4回(1985)より
モニク・ルディエール パトリック・デュポン
Patrick Dupontすごい。今YT検索したらMarie Claude Pietragallaというダンサーとのドンキの映像が出てきて、かなりぼけぼけなんだけどそれでも動きのキレに感動した。
「失われた時を求めて」第4回(1985)より
ドミニク・カルフーニ デニス・ガニオ
ああマチューのお父さんですね、という目で見ただけ。映像が良くないので。この演目には興味あるのだけど。
「グラン・パ・クラシック」第5回(1988)より
シルヴィ・ギエム マニュエル・ルグリ
キレイキレイなギエム。私はギエムのクラシックを知らないバレエファンだけど、それでいいかなと思った。
特別プログラム「白鳥の湖」第5回(1988)より
ペーター・シャウフス パトリック・デュポン アニー・マイエ ヤナ・クーロワ
イルジ・ホラック エヴァ・エフドキモワ デヴィッド・ニクソン シルヴィ・ギエム
マニュエル・ルグリ カルラ・フラッチ ウラジーミル・デレヴィヤンコ
シリル・アタナソフ マリシア・ハイデ リチャード・クラガン
P・デュポンの道化に注目。
「ライモンダ」第6回(1991)より
ニーナ・アナニアシヴィリ アンドリス・リエパ
若い頃のニーナってめちゃくちゃ可愛かったんですね。体の線のやわらかさは今も変わらないけど。
「椅子」第7回(1994)より
マリシア・ハイデ ジョン・ノイマイヤー
ノイマイヤー自身が躍る、貴重な映像。椅子が降ってくるシーンを見て「タトゥー」の塩田さんの美術を思い出した。
「パリの炎」第8回(1997)より
フェルナンダ・タバレス=ディニス ホアン・ポアダ
先日ザハロワ・ガラでイワン・ワシーリエフの勢いのあるジャンプを見てびっくりしたけど、誰が踊ってもああいう感じになる演目なんだなと思った。
「エスメラルダ」第8回(1997)より
アニエス・ルテステュ ジョゼ・マルティネス
ルテステュ、うーん、マルティネス、うーん。私の好みからすると繊細過ぎる感じだ。
「マノン」より寝室のパ・ド・ドゥ 第9回(2000)より
アレッサンドラ・フェリ ウラジーミル・マラーホフ
女優バレリーナと男優ダンサー。
「アダージェット」第10回(2003)より
ジル・ロマン
ダイジェスト版だったせいかなんだか落ち着かない振付けだった。ジル・ロマンはかねてからもっと見たいと思っていたんだけど、無意識の内にジョルジュ・ドンと較べてしまったのか、重みがない感じだった。
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」第10回(2003)より
アリーナ・コジョカル アンヘル・コレーラ
コジョカル小さくて可愛い。好みではないけどコレーラは華やかでよい。
「優しい嘘」第10回(2003)より
シルヴィ・ギエム ニコラ・ル=リッシュ
Nicolas Le Richeの陰が好きだ。クマさんなのに・・・。
「椿姫」より第三幕のパ・ド・ドゥ 第11回(2006)より
ジョエル・ブーローニュ アレクサンドル・リアブコ
公演を思い出す。
「扉は必ず。。。」11回(2006)より
オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ
オレリー・デュポンがこういうロングのドレスを着て踊るのが好き。
「TWO」11回(2006)より
シルヴィ・ギエム
ボレロの冒頭みたいに体の一部のみ光にあたって浮かび上がる。ギエムが全部見えないなんてもったいないー。
「ロミオとジュリエット」より"バルコニーのパ・ド・ドゥ" 11回(2006)より
ポリーナ・セミノオワ フリーデマン・フォーゲル
うーんちょっと可憐さが足りないような。て言うか私の中ではポリーナはかわいこちゃんではない。フォーゲルははまっている。
「ジュエルズ」より"ダイアモンド" 11回(2006)より
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ
ヴィシニョーワ未見。可愛いけどタイプではないかも。年末のマリインスキーの公演では、日程の都合もあって彼女のチケットは取っていない。
英語表記があるのは映像を集めたいダンサー。プログラム記載にあたっては、「la dolce vita」様と「Bravo!! がんちゃん!! 」様を参考にさせていただきました。
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2009年6月25日
歌舞伎座さよなら公演 六月大歌舞伎「女殺油地獄」 6/24
来年4月まで16ヶ月に渡って続く、歌舞伎座改装前のさよなら公演、六月大歌舞伎の「女殺油地獄」を観てきた。片岡仁左衛門さんが当り役のひとつ河内屋与兵衛を一世一代で勤めるという必見の舞台。健気にも(ケチとも言う)幕見席を狙い、13:56開演の舞台のために12時前から並び、前の幕の「蝶の道行き」からずーっと立ち見で鑑賞して終演が15:45。疲れましたが芝居の醍醐味を本当に実感できた、名舞台でした。
河内屋の放蕩息子与兵衛(仁左衛門)は、馴染みの芸者小菊(秀太郎)の客に喧嘩を売ろうと、善兵衛(右之助)や弥五郎(市蔵)と共に待ち構えています。 一方、豊嶋屋のお吉(孝太郎)は、娘のお光(千之助)とその場に居合わせ、与兵衛に意見します。やがて喧嘩が始まり、与兵衛は侍の小栗八弥(新悟)に無礼を働きます。与兵衛の叔父山本森右衛門(彌十郎)は、甥を成敗しようとしますが、八弥がこれを止めます。そしてお吉が、与兵衛の衣服の乱れを直すところ、夫の七左衛門(梅玉)がやって来て、妻の振る舞いをたしなめるのでした。その後、与兵衛の行状が継父の徳兵衛(歌六)や兄の太兵衛(友右衛門)にも知られてしまいます。しかし当の与兵衛は妹のおかち(梅枝)を利用しての悪巧みを思い付き、これが失敗に終わると、その腹いせに継父と妹を足蹴にします。そこへ母のおさわ(秀太郎)が現われ、与兵衛を叱って家から追い出します。その日の夜、金が入用となった与兵衛は、お吉を頼ろうと...。
元々は近松門左衛門作の人形浄瑠璃で、いわゆる世話物。与兵衛は救いようのない悪役で、ラストではお吉を惨殺。油まみれで揉み合うふたりの姿は凄惨で、血のりなんかも使っていて本当に怖かった。しかし、単にコワイだけの演目ではないのよね。人間の弱さ、邪な部分を仁左衛門さんが丹念に与兵衛の姿に映し出して、息をのむような心理劇に仕立て上げている。徳兵衛やおさわの滲み出るような親の情も感動的だし、名優達の名演が、ジャンルを越えた普遍性のある舞台を作り上げていた。
23歳という設定の与兵衛の役を仁左衛門、当時の片岡孝夫さんがはじめて演じたのは、それに近い年齢の時だったという。これが評判となり以来当たり役のひとつとして演じてこられたそうだが、65歳になられた今、与兵衛を演じるには「若さ」が必要と判断し、一世一代つまり演じ納めとする決心をされたのだとか。イヤホンガイドで聞いた。開演前はなんとなく納得したけど、幕が上がってみたらそこにいる与兵衛はどう見ても若気の至り満々の不良青年。まあ遠い幕見席から必死で双眼鏡を使って見つめているわけで、皺とか細かいところは視認できないわけだけど、それにしても。立ち姿ってかなり年齢をバラすと思うのだけど、仁左衛門さんの姿態は飄々と颯爽としていて、若々しい。生足に妙な色気があった。長身でしなやかな痩躯が功を奏しているのだろうが、陰ではらわれる努力・鍛錬を思うと頭が下がる。
仁左衛門さんがテレビや映画で現代劇を演じていらした頃、私はとても憧れていた。理想の男性は片岡孝夫、なんて言っていた。歌舞伎は敷居が高すぎて、無縁の世界だと思っていたけど。ある時期孝夫さんは体を壊され、長期に渡って入院生活を送られた。たまたま父が勤務していた病院だったので、実家に帰った時「孝夫さん大丈夫?」と聞いたら、「とても辛抱強い人だね。ものすごく痛いはずなのに、文句のひとつも言わないんだ」というようなことを言っていて、感心した。芸の道に生きる人だから、実像は少々我が儘だったり奔放なところがあっても仕方ないんじゃないかな、と思っていたので。ファン度upの思い出。
最近浮世絵に興味を持ったり舞台にはまるようになったりして、少しずつ歌舞伎を見るようになったけど、100%楽しんでいるわけじゃない。時代物と舞踊は好きだけど世話物はつまんない。新歌舞伎は中途半端に感じるしスーパー歌舞伎とかコクーン歌舞伎とかどうなんだ?と思う。でも仁左衛門さんという憧れの人をとっかかりにして、伝統の世界の中で現代に通じるリアリティを見つけた時、舞台の奥深さに囚われてしまったような気がする。
あー、全然芝居の感想になっていない。歌六さんの徳兵衛がいぶし銀的に良かった。仁左衛門さんの息子の孝太郎さんがいい女形になったなあと思った。僭越ですが。ラストの修羅場のアクションでは、お父さんと息がぴったり。仁左衛門さんのお兄さんの秀太郎さんもおさわの気丈さともろさを巧みに表現していて、憎い。ついでに孝太郎さんの長男の千之助君(お光)も可愛かったわ。いいなあ片岡ファミリー。仁左衛門さん、お吉をくどく時や殺意が完全なものに変わった時の笑みがぞっとするほど冷たく妖しく、ちゃんと幕見のお客まで意識して顔を上げて演技してくれてるんだなあと(思い込み)、ウルウルしながら双眼鏡にかぶりつきましたよ。今度生写真だけ買いに行こうかしら。
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2009年6月 7日
森の会 ー東京芸術大学音楽部邦楽科箏曲(生田流)卒業生によるー
東京芸術大学奏楽堂で「森の会 定期演奏会50回記念」を聴いた。なぜかお琴の演奏会です。友人がやっているので時々連れて行ってもらいます。CDとか買わないけど、生で聴く邦楽は凛として心地よく、ふだん手の届かない精神の末端を揉みほぐしてもらっているような「くうー」という感覚が堪らない。何より音楽は生がいい。一期一会の緊張感と贅沢感が。
1.松竹梅(三ツ橋勾當) 2.筝のための協奏曲「心象」(清水修) 3.祝典筝協奏曲(宮城道雄) 4.春の海幻想(宮城道雄作曲・牧野由多可編曲) 5.八重衣(石川勾當) 6.「このこと」~邦楽合奏とオーケストラのための(松下功委嘱初演)
1曲目は新卒業生の方々による真面目な感じの演奏、箏×3・三弦×5。唄付き。一緒になって一生懸命聴いた。2曲目は「ダバダ〜、大人のためのゴールドブレンド」の故沢井忠夫先生のために作曲されたもの。奥様が独奏をされる。お琴ばっかり18名が参加しているが、見事な統一感。何て言うかアバンギャルドな曲だった。3曲目は祝賀の曲ということで「眠くなるかも〜」と予想していたが、逆にベタさが親近感にすり替わり、音のひとつひとつを楽しんだ。お琴だけで23名、プラス尺八に胡弓に笙にフルートに打物が加わる。伝統とモダンさがほど良い感じで溶け合っていて、邦楽の「雅」を十分楽しめて、いい演目だった。
ここで休憩。全席自由席で満席、立ち見がいるほどの盛況ぶり。着物姿の女性が多く、流石。トイレも混んでいたけど構造的な配慮はなされているようで、行列は問題なく捌けていた。芸大の奏楽堂はまだ新しくて、とってもキレイ。ホールの天井一面に配置されたメタル製のオブジェが音響のためのモノなのか、疑問を持ったが写真を撮り損ねた。
さて4曲目は素人にも耳慣れた演目。友人の師匠が出演されるというので、双眼鏡を忘れたことを悔やみながら、目をサラにして舞台を見つめる。振り袖姿の女性が25人も揃うと、壮観だ。お琴をやる女性って気っ風がいいんだよねえ。演奏が結構激しいので体力勝負かなと思うが、年功序列の世界なので独奏は年配の方。しかしこれが素人目にも巧い。人間国宝の山本邦山さん(尺八)が女性陣に押されているかな、という場面もあった。しかし終始スリリングでテンポの良い演奏が続き、盛り上がった。5曲目はオーソドックスな箏×3、三弦×5という構成ながら、無駄のないタイトな音がかっこよかった。ただし長い〜。唄と間奏が永遠に終わらないかと思った。
ここまで来てすでに2時間半経過。次の予定があったので、最終曲を聴かずに会場を出てしまった。なんとオーケストラ参加の新作ということで、はまれば天国、みたいな演目だったけど。
旧奏楽堂だけでなく、芸大内の奏楽堂でもルーティンに演奏会を行っている。雰囲気的に敷居は低いので、興味の持てる公演があったらどんどん行きたい。
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2009年6月 3日
6月の舞台鑑賞予定
な、なんと、チケット取ってあるのはこれだけ・・・。
・6/28第12回世界バレエフェスティバル開催記念秘蔵記録映像上映会@日経ホール
・6/28ヤン・ファーブル『寛容のオルギア Orgy of Tolerance』@彩の国さいたま芸術劇場
昨年の「死の天使」が不可解な作品だっただけにまだ懲りないの?と自問しつつ。シュウゴアーツの個展も拍子抜けだったよねと追い打ちをかけつつ。コンテンポラリーはこっちから歩み寄らないと。
閑バレエ期。フォーゲルのジゼルは仕事関連セミナーとかぶったので行けず。タマラ・ロホのコッペリアはファーブルを先に取っちゃったのでパス。
一応六月大歌舞伎(幕見)と白夜映画祭IIIにも行くつもりだけど、計画性がないのでどうなるかなー。
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2009年5月28日
タトゥー@新国立小劇場 5/27
新国立劇場で岡田利規演出「タトゥー」(日本初演)を観た。
海外の優れた現代戯曲を日本の注目演出家により紹介する、シリーズ・同時代【海外編】の締め括りとして、岡田利規演出による『タトゥー』(日本初演)が登場します。
ということで、ドイツの新鋭女流劇作家デーア・ローアーの1992年発表の作品をチェルフィッチュの岡田利規さんが演出。チェルフィッチュの舞台は見たことないが、ジャンルは演劇ながら六本木クロッシング2007や横浜トリエンナーレ2008に参加していたり乗越たかお先生の「コンテンポラリー・ダンス徹底ガイドHYPER」で注目の存在と取り上げられていたり、何て言うか避けて通れなそうな存在。六本木クロッシングで過去作品のビデオは見たけど、割とノーブルなものが好きな私にはちょっとつらかった。この機会に克服できないか。
と思って見に行ったわけではない。塩田千春さんの舞台美術が目当てだ。椿会展2009でお話する機会があって、この仕事にだいぶ力を入れていらっしゃる様子だったので、あの方の新作が見られると思ってチケットを取ったのだった。神奈川県民ホールの個展に出品されていたベルリンの窓枠シリーズを使うと伺っていたので、楽しみにしていた。あれはあんまり見る機会がないんですもの。なので開演前の会場に入ってコレが目に入った時は大喜び。
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| 開演前 20090528 |
席について双眼鏡を取り出し、じろじろ眺め回す。そういう人は私くらいだったような。綺麗だ。心行くまで鑑賞してすでに目的は達したな...感があったが、せっかくなので芝居にも集中した。
発表当時は衝撃的だったかもしれないけど、このテーマはすでに使い古された感じがする。去年見た長塚圭史さんの芝居もコレだったもん。まあこの問題が社会から消えたわけではなく、救いがたい悲劇であることは変わりないのだけど、こうやって公然と語られることが事件であった時代は完全に過去。岡田氏としても料理しにくかったのではないか。冒頭の姉妹の会話は若もん特有の言い回しがチェルフィッチュぽかったけど、元々原作が詩のようなテキストらしく、アレンジに限界があった感じ。セリフと関係ない体操のような体の動きはなるほどこれかあと思ったけど、見慣れてくると面白くない。だいたい予想通りの展開で、後半はダレた。救いだったのはエンディングのテンポ。閃光のように終焉を迎えて、そのリズムが心地よかったので「今度はチェルフィッチュ見ようかな〜」と思った。
さて塩田さんの「窓」。天井からつり下げられて舞台の空間の大半を占領するという、影の主役のような存在になっていた。合間にテーブルや椅子がぶら下がっていて一応芝居に合わせて製作されているが、基本的なデザインは既存の作品のままなのでびっくり。演出を美術に合わせてるとしか思えない。岡田さんはよほどこの作品が気に入ったのでしょうね。ガラスの割れてる窓もあってアレが頭上にあったんじゃ役者から文句が出ないのかと思ったけど、逆にわざと揺らして見せたり、堅牢さに関して挑発的に強調していたような。「不安」をあおろうとしていたのかな。作品の強度に関して塩田さんと岡田さんの間でどんなやり取りがあったのか、聞いてみたいと思った。
いつも読ませて頂いている'A'holic daysのmoriさんが1日前にこの舞台の感想を書いていらして、びっくりした。お目当てはやはり塩田さんということで、納得だけど(と言うかここにもそういう人がいた〜と笑った)。私もこの後ケンジタキに行って塩田さんの新作個展を見て来た。
私は芝居にはあんまり詳しくないけど、時々行くと面白い。演劇関係で拝読しているブログは「Lazy Days」さん、「長塚圭史の完全素面日記」さん(休止中)、「Feeling note」さん、「ねこまたぎ」さん、そして菊花さんの「自称☆芝居道楽委員会」です。ただし実際に行く舞台は、もらったチラシを見てビジュアルで選ぶことが多いような。
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2009年5月27日
デンマーク・ロイヤル・バレエ団「ロミオとジュリエット」 5/24
東京文化会館でデンマーク・ロイヤル・バレエ団の公演「ロミオとジュリエット」を観た。1週間前に「ナポリ」(感想)を見たわけだが、演目がガラッと変わってもこのバレエ団に対する印象は一緒。
・若手男子がイケている
・小芝居が多い物語バレエ
・脇役が手を抜かない、舞台全体に目を配ってないといけないので結構疲れる
・敬虔なキリスト教精神が根っこにある
こういう「特色」を持つバレエ団って素晴らしいと思う。9年ぶりの来日だそうだけど、来年また来てくれたら私は全公演買います。スターで売るより総合力の高いカンパニーが好きなので。
【振付】ジョン・ノイマイヤー 【音楽】セルゲイ・プロコフィエフ 【装置・衣装】ユルゲン・ローズ
【キャスト】 キャピュレット家 キャピュレット夫人:ギッテ・リンストロム キャピュレット公:モーエンス・ボーセン ジュリエット:スザンネ・グリンデル ロザライン:エイミー・ワトソン ティボルト:マス・ブランストルップ
モンタギュー家 モンタギュー夫人:ルイーズ・ミヨール モンタギュー公:フレミング・リベア ロミオ:セバスティアン・クロボー ベンヴォーリオ:アレクサンダー・ステーゲル
僧ローレンス:コンスタンティン・ベケル エスカラス(ヴェローナ大公):エルリング・エリアソン マキューシオ:モーテン・エガト パリス伯爵:マルチン・クピンスキー
旅芸人の一座 イザベラ: ティナ・ホイルンド ヴァレンティン:ジャン=リュシアン・マソ
↑キャストは印象に残った役のみ記載。登場人物が多くて、把握しきれてません〜。
デンマーク・ロイヤルの男性ダンサーがモデルみたいな件は「ナポリ」の時に書いたが、今回はそれが更に際立っていた。冒頭ロミオと共に登場する僧ローレンスが、早速美青年。教会の風紀が乱れないか心配。いつもロミオとつるんでいるベンヴォーリオがまた、ちょっとクセのあるハンサム。しかも踊りが結構ノーブルでロミオにひけを取らない。マキューシオは三枚目風だけど、ティボルトに刺された後の演技が絶品で、後ほど感心させられることになる。パリス伯爵は正当派の美形で、踊りも端正。ただし育ちが良すぎて感情が表に出ないタイプかな。キャラクターの性格分析をしても仕方ないのだけど、つい色々想像してしまうくらい、彼らは目をひくのだ。もちろんロミオ=セバスティアン・クロボーもすごくいい。パパが元芸術監督でママがバレエ・ミストレスという血統書付きながら、伝わってくるのはひたむきさ・真面目さ・日頃の鍛錬。応援したくなるタイプ、ロミオ向き。
女性陣もちょっと良かった。ジュリエット=スザンネ・グリンデルはあくまで私見ながら資質は良いけど演技にまで気が届いていない感じ。死のシーンのような見せ場ではちゃんと表情作っていたけど、まだお人形さんな感じ。でも可愛いしスタイルがいいし体が柔らかいし、デンマークにとって大切なダンサーだと思う。女っぷりが上級でカッコ良かったのがキャピュレット夫人とロザライン。ギッテ・リンストロムとエイミー・ワトソン、ふたりともプリンシパルなんですね。主演はソリストで脇をプリンシパルで固めるという、面白い手法。でも演目によって階級にとらわれないキャスティングができるバレエ団は、観客のニーズに応えてると思うので良い。ここが総合力、かな。
以下ばらばらメモ。最初キャピュレット家とモンタギュー家の衣装の違いが曖昧で、双方の対立の構図が見えにくいなあと思ったけど、でもユルゲン・ローズの美術は秀逸。肘を上げて胸の前で腕を交差するキャピュレット家の女性たちのポーズはめちゃカッコいいのだが、それを強調するのが逆光でダンサー達のシルエットを浮かび上がらせる舞踏会のシーン。ターバン(と言うのかな)とゆるやかなスカートのラインがエレガントな社交界の女性達が、極限まで美しく映る。と言うか、舞台全体がひとつのタブローになる瞬間。舞台は総合芸術でありつつひとつのアート作品なんだなと、あらためて思う。美術ファンの方に見ていただいきたい。ノイマイヤーの振付けは細かいっ。元々物語バレエを得意とするカンパニーなのでふさわしいと言えばそうなんだけど。なんか舞台一面で芝居してるよ、全部見切れないなあと思いつつ鑑賞していたのだが、ジュリエットが飲んだのは「仮死」状態になる薬であることをロミオに伝えることのできなかったローレンス僧の慌てっぷりまでちゃんと振り付けていて、それやらなくてもわかってるよ?と言いたくなる。いやわかってない人もいるだろうけど、あの演技を見ても結局わからないだろうし。昨年見たスペイン国立ダンスカンパニーの「ロミジュリ」が極力マイムを省いていたのと、対照的だ。まあシンプルにすればするほど脇役の動きは群舞に統合されて記号化されていくので、ノイマイヤーの手法も隅々まで舞台を味わいたい人には合うのだと思う。私はシンプルな方が好みだが、でもシェイクスピアの原作の匂いを感じたい時は、ノイマイヤー版が見たくなると思う。ジュリエットの衣装、1幕と3幕はいいとして、秘密の結婚式のシーンでいきなりキュピレットママみたいな濃オレンジのドレスを着て現れたジュリエットは、14歳に見えなかったなあ。旅芸人の一座は椿姫で言うところのマノンの舞台みたいな感じだったけど、あそこのマッチョな男性ダンサーが良かった。デンマークは層が厚い。墓所のシーンはほとんど演劇だったな。あれに関してはスペイン...の方が断然好き。
情報量の多い舞台でした。更に思い出したら追記するかもしれませんが、ここで切ります。若手がすくすくと育っている印象を受けたので、今後伝統を活かしつつ発展して頂きたいカンパニー。取りあえずプロコフィエフの音楽を切って全員でマリア様にひれ伏す2幕(もしくは3幕)の冒頭のシーンに、ポリシーを感じたことを付け加えます。
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2009年5月22日
ダンス・ダンス・ダンス
今夜は綺麗な鉄琴の音を聴いたせいかダンスが見たい気分。なので慣れないYT巡りをしてみたが。
はじめはKAMU SUNA BALLET COMPANYの動画を探したけど、あんまりいいのがなかった。Cesar Augusto Monizの踊っているところも見たかったんだけど、見つけられず。Manuel Bras da Costaはあったけど画質が悪い・・・。こんなカンパニーの紹介映像みたいのが、先日見たイメージに一番近かったので貼ってみる。
うーん短すぎて欲求不満。もっとダンスが見たい。いくつかのマイ登録チャンネルをまわってみる。RastaThomasLLCに新しい映像が。ラスタ君はそっちに行っちゃっているのか。残念。
ヨーロッパのコンテンポラリーらしき映像を色々眺めたけど、知識がないからどこの誰が踊っているのか全然わからない〜。結局Nacho Duato様のところに戻ってくる。これが私がコンテ・ダンスファンになった原点の作品。
「Nacho 2010年7月をもってCNDを去る!!!!」というebijiさんの記事はショックでしたが、ずーっと追いかけて行きたい大好きな人。
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2009年5月21日
カムスナ・バレエ・カンパニー「Love the Earth」 5/17ソワレ
神楽坂のセッションハウスで、セザル・アウグスト・モニス率いるポルトガルのカムスナ・バレエ・カンパニーの公演「Love the Earth」を観た。2009セッションハウス・レジデンス・アーティスト 「育てて、外へ。」プロジェクトの一環。
振付・演出:セザル・アウグスト・モニス
出演:アナ・ソフィア・レイテ、カリナ・モンテイロ、カティア・ブラザン、グズマン・ロザード、ジョアン・カバッサ、テレーザ・アルヴェス・ダ・シルヴァ、 前澤香苗、平原慎太郎
歌:マヌエル・ブラス・コスタ
ebijiさん、この素晴らしい公演をご紹介くださって、ありがとうございます〜。コンテンポラリーの公演てホント情報が少なくて、ほとんどが知らぬ間に終わってしまうのでなかなか好きなものに出会えないのですが、同好の士、いや師匠を得られてogawamaは幸せです。
芸術監督兼振付のCesar Augusto Moniz氏はスペイン国立ダンス・カンパニーに招かれナチョ・ドゥアト様の下で活動したこともある、1963年ポルトガル生まれのコレオグラファー。バレエテクニックをベースにした作品を創作しているのだそうで、私のようにバレエもダンスも観たい、というファンには親和性が高い。なんか会場入り口にジャージを着て邪気のない笑顔を振りまいている人がいると思ったら、彼でした。終演後もひとりひとりのお客さんに挨拶されてて、なんて腰の低い。「カムスナー=神主成」、神道や仏教など日本の文化に深い関心を持っているのだそうだ。でもステレオタイプのジャパンは出て来ない。
公演は2幕構成。起承転結がはっきりしないので(と言うか私が内容について行ってない)、後半鑑賞態度がダレてしまったけど、とにかくダンスの美しさを堪能した公演だった。世界で最も美しい人種はダンサー、ですよ。カムスナのダンサーは女性4名男性2名。前澤さんと平原さんは交流プロジェクトとして日本側から参加。前澤さんはモデルかタレントか、という可愛いお顔をしてるけど、のびやかなプロポーションと柔軟性はカムスナダンサーに引けを取らない。平原さんも細身で、長髪を無造作に束ねて感受性の高そうな動きを見せていた。そしてカムスナの女性陣が超素敵。みんな若そう、二の腕の細さ、肩のラインの繊細さがとっても私好み。二人は目が合ったらうろたえてしまうような美形だし。それなのにみんなタフ!全身の関節や腱や筋を駆使して動き回っているのに、最後までほとんど肩は上がらず、姿勢がブレない。モニス氏も割と細身で男の子体型なんだけど、彼らはどんなトレーニングをしているのかしら。先日見たザハロワ様の、完璧なプロポーションと完璧なバレエ筋肉から繰り出されるコンテ・ダンスは見ようによってはアンドロイド的な無機性があったけど、彼女らは瑞々しい〜。そして「振付けられて」いるんじゃなくて心で踊っているのが、音楽と融合したダンスを見ればわかる。この演目は
環境破壊で危機に瀕している私達の惑星・地球。バレエからコンテンポラリーの世界へと超越する舞踊団が日本のダンサーたちと共に、しなやかで強靭なムーブメントで生命はぐくむ地球への愛を踊ります。
というコンセプトなんだけど、本当にダンサー達は生命であり風であり大地であり水であり、人間だった。そんな、体を最大限に活かして自然や感情を表現するような、ダンス。コンテンポラリーって「ベーシック」から脱却するためか、変に速い動きとか無理な姿勢とか大げさな身振りとか、意表を突こうとしてい美しさが損なわれる傾向なきにしもあらず?って思うけど、このカンパニーは基本にバレエの姿勢があるせいか、どんなに激しい動きも必ず安定したポジションに戻るので、見ていて心地よい。
衣装がまた可愛いのよね。特に印象的だったのが、最初の方の、大きめスパンコールが鱗のような女性のコスチューム。シンプルなスリップやブラと組み合わせてあるから毒々しさがなく、ダンスの衣装っぽくなくて新鮮だった。衣装替えがかなりあって「作ったコスチュームを全部試したかったのかな?」と思ったほど。みんなスリムで姿勢が良いから、何を着ても似合う〜。短パンでもお洒落。2名の男性ダンサーはやや筋肉質で俊敏で、女性のリフトが巧かった。彼らもすごくナチュラルにテンポの良い振付けを踊りこなしていて、好感度大。ほとんどのダンサーにセリフがあったなあ。意味がわからなくて残念だった、理解できれば展開が読めたのに。でもあのスタジオに字幕モニタがあったら興ざめだし、ことばは音楽の一部、だわ。
音楽はバロックとか動物の遠吠えとか人の話声とかモダンとか、よくわからないけど色々。そんな中で、途中しずしずと現れて独唱するカウンターテナーのマヌエル・ブラス・コスタの存在感は圧巻。ピアノもバイオリンもいいけど、一番美しいのは歌手の声よねえと、いつも思う。ebijiさんがおっしゃるように、この内容で3,000円(当日券は3,500円)はお得過ぎる。
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| SESSION HOUSE 20090521 |
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2009年5月19日
デンマーク・ロイヤル・バレエ団「ナポリ」 5/17
東京文化会館でデンマーク・ロイヤル・バレエ団の公演「ナポリ」を観た。なんと9年ぶりの来日とか。バレエファン歴まだ3年目の私が遭遇できたのは、ご縁があるのかも。と言っても予備知識ゼロ。海外からバレエ団が来たら取りあえず見る、というのが今の私のスタンスなのだ。なんか3年くらいバレエファンをやっていればひととおりのカンパニーは(日本で)見れると聞いたので、4年目からは選り好みしてチケット買おうと思っているが、今は勉強勉強。
【振付】オーギュスト・ブルノンヴィル
【指揮】ヘンリク・ヴァウン・クリステンセン
【演奏】東京シティ・フィル・ハーモニック管弦楽団
【キャスト】 ジェンナロ(若い漁師):トマス・ルンド ヴェロニカ(未亡人):エヴァ・クロボー テレシーナ(その娘):ティナ・ホイルンド バラビル:マリア・ベルンホルト、エリザベット・ダム、キジー・ハワード、アルバ・ナダル、ジュリー・ヴァランタン、ルイーズ・エステルゴールチャールズ・アナセン、ウルリック・ビヤケァー、セバスティアン・クロボー、マルチン・クピンスキー、クリストファー・リッケル、アレクサンダー・ステーゲル 海王ゴルフォ:フェルナンド・モラ コラーラ(海の精):セシリー・ラーセン アルゼンチーナ(海の精):スザンネ・グリンデル パ・ド・シス:キジー・ハワード、ギッテ・リンストロム、クリスティーナ・ミシャネック、ヤオ・ウェイ、ニコライ・ハンセン、ネーミア・キッシュ
なんて言うか、あんまり踊らないバレエだった。主役のテレシーナが腰から上に脚を挙げることなんてほとんどなかったような気がするし、男性のマネージュなんてないし。そのかわり登場人物がわんさかいて(上記キャストはごく一部、私の印象に残ったものを抜粋)、みんなすごく生き生きとマイムしているので舞台のどこを見ても楽しい。そ・し・て。男性ダンサーがモデルみたいにかっこいい!1幕に出て来たバラビルの男性陣がいかにも「ヨーロッパの美青年〜」て感じのイケメン揃いでうっとり。正直、彼らのおかげでこのカンパニーが好きになった感あり。ただし女性ダンサーは3幕パ・ド・シスのヤオ・ウェイが印象に残ったくらい。あ、あと海の精のスザンネ・グリンデルが頭小さくて可愛い〜と思ったんだけど、この人は「ロミオとジュリエット」で初日と日曜(私が行く日!)ジュリエットを踊ることになっていた。
1幕はとにかく賑やか。最初プログラムを買っていなくて、マカロニ売りのジャコモとレモネード売りのペポがテレシーナに横恋慕してるなんて全然わからなかったけど、舞台の上のあちこちで小芝居が繰り広げられていて、飽きない。テレシーナのティナ・ホイルンドは表情豊かで、芝居向き。双眼鏡で見ると結構老け顔だけど(人のこと言えん)、好感は持てた。漁師ジェンナロのトマス・ルンドは街のあんちゃんという感じで、あのイケメン達とは違った人間的魅力がある。彼はブルノンヴィル作品を得意とするベテラン・プリンシパルなのですね。なんだかよく跳ねる印象があったけど、それが「ロマンティック・バレエの巨匠」の振付けの特徴らしい。短パンの似合うしっかりとした脚をしていた。
2幕は海の王の洞窟。海王ゴルフォのフェルナンド・モラは男らしい魅力があった。「シルヴィア」のオリオンを思い出させる役だけど、最後は恋人達に惜しげもなく財宝を与えちゃうのだから、懐が深い(いい男には甘くなる)。でもテレシーナは彼がぞっこんになるほどの娘じゃないと思うけどな。アルゼンチーナの方が可愛い。私は胸板がしっかりした女性ダンサーは好かないのだ。ただ、やっぱりホイルンドは演技がうまい。1幕ではさっぱりわからなかったあらすじが、ここではよーく読めた。
もう何がなんだかわからない大団円の3幕。やっとプログラムを買って読んだので話の流れはわかっていたけど、誰が主役なの?という感じで入れ替わり立ち替わりダンサー達が踊りまくるので、めまぐるしい。ザッツエンテイメントなバレエだ。男性ダンサーのパの連続が見事で、やっぱりこのカンパニーは男性陣が魅力かなと思った。
幕間に「ロミジュリ」初日主演キャストのスザンネ・グリンデルとセバスティアン・クロボーのサイン会があった。すらりとしたグリンデルの可憐さも光っていたけど、クロボーが素敵!はにかんだ笑みが眩しい美声年で、久々に目の保養〜。後で気づいたけど、彼がバラビルにいたのね。どおりで舞台が輝いていたはずだわ。俄然「ロミジュリ」が楽しみになってきた。
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2009年5月17日
バレエ・フェスチケット購入の顛末
先日騒いでいた第12回世界バレエフェスティバルAプロの件ですが、土曜日の一般発売の日、無事チケット確保しました。日曜は即完売だったので、最初火曜日のC席を購入したのだがその日は職場の行事が入る可能性が高いことを思い出し、慌てて月曜日分も購入。なんかこそこそとパソコン叩いている背後に誰かいたような気がするが、構っている余裕はなかった。8月のシフトが決まり次第、1枚売らないと。2日連続早退はあり得ない。
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2009年5月11日
がーん
このたびは、「NBS WEBチケット」をご利用いただき、ありがとうございました。 以下の抽選予約申し込みにつきましては、抽選の結果【落選】となりましたので、ご連絡申し上げます。
第12回世界バレエフェスティバルAプロの抽選予約落選のメールが夕方入った。仕事早退覚悟で平日分に申し込んだのにぃぃぃぃぃ。Bプロは取れたけど、S席から埋まるようなことがNBSからのメールに書いてあったので、A>B>Cで申し込んだら当たったのはC席だった(AプロはS>A>Bで敗退)。バレエファンに不況は関係ないのか。こんなことならもっと早く早退を決心してセット予約で申し込めば良かった。・・・今夜は結構落ち込んでます。
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2009年5月 4日
ザハーロワのすべて Svetlana Zakharova Gala Performance Bプロ 5/3
東京文化会館で「ザハーロワのすべて」Bプロを観てきた。Aプロは4/29に鑑賞済み(感想)。Aプロ・Bプロはダブっている演目が多いので個人的に感じる鮮度はちょっと低かったが、見所がわかった上で見たのでじっくり味わえた。やっぱりいい公演は2回3回と重ねて観たい。
・Part Ⅰ
「カルメン組曲」《Carmen Suite》Alberto Alonso/Vizet-Shcheddrin(50分)
カルメン:ザハーロワ、ホセ:ウヴァーロフ、トレアドール:アルテム・シュピレフスキー、コレヒドール:ヤン・ヴァーニャ、運命:オクサーナ・グリャーエワ 、たばこ売りの女たち:タチヤーナ・リョーゾワ、オリガ・キフャーク
Aプロでうとうとしてしまったので、目力をこめて観た。とっても愉快な演目でした。笑いのツボは、多分ウヴァ様。彼は絶対ホセではないのに一生懸命ホセを演じてくれるから、出来が良ければ良いほど微笑ましさが増す。ウヴァ様はコレヒドール、知名度は低いけど渋く光っていたヤン・ヴァーニャがホセというのが正しかったのでは。でもそうするとトレアドールがどうでも良くなっちゃう。アルテムさんがホセで、ヴァーニャがトレアドールにしたらカルメンを囲む男3人衆に一番厚みが出たかもしれない。この演目、振付けが中途半端にモダンで、古典が得意なダンサーには踊りにくいと思った。ウヴァ様はかなり丁寧に合わせていたけど、今ひとつ決まらなかったもの(笑いのツボ)。ウヴァ様にはウヴァ様の持ち味があるのだ。頑張ったで賞。ザハロワ様はひたすら妖艶だった。ザハ様は草食系と思われカルメンのキャラには合わないタイプだが、腰に手を当ててお尻を突き出して、まあ鏡で研究し尽くしたのだろうけど女ならこうありたい!と思わせられるようなポーズを完璧に決めていた。相当努力しているんだと思う。特に黒の衣装に着替えてからは圧巻。長いおみ足、しなやかな二の腕、どこを取っても自信に溢れた女の中の女。素晴らしい演技力です。バックのキエフ・バレエの面々がクールにキメてくれたので非常にまとまりのある舞台となって、ニヤニヤしつつ楽しく鑑賞できた演目だった。
・Part Ⅱ
「パリの炎」《The Flame of Paris》Vasily Vainonen-Boris Asafiev(7分)
ニーナ・カプツォーワ&イワン・ワシーリエフ
ワシーリエフの筋肉に驚いた。歩くだけでドシドシと床が響く。カプツォーワはテクニック的に難はなかったが、ワシーリエフに喰われていた。それにやけに汗ばんでいた。体調悪かったのかな。
「トリスタンとイゾルデ」《Tristan and Isolde》Richard Wagner-Kristof Pastor(7分)
ザハーロワ&アンドレイ・メルクーリエフ
Aプロの「Revelation」に勝るとも劣らない、情念溢れる演目。振付けのパストールはオランダ国立バレエの常任振付家で、ザハロワ様がモスクワに招いて直接振付を受けた。愛のどろどろ、が凝縮された美しい演目だった。メルクーリエフはザハ様相手に一歩も退かず、ウヴァ様を越えてボリショイの顔になるのではないか、という期待を抱かせた(あくまで私見)。
「エスメラルダ」パ・ド・ドゥ《Esmeralda》Jules Perrot-Cesare Pugni(12分)
オリガ・キファーク&ヤン・ヴァーニャ
キエフ組が大健闘。オリガ・キファークは顔は姐さん風だけど、筋肉にバネがあってテクニックがしっかりしてて、素晴らしいダンサー。ロシア・バレエの層の厚さを感じされられる。ヤン・ヴァーニャは「カルメン」でも存在感があったが、詩人役も軽やかにこなしていた。ラインが綺麗なので何をやらせても良さそう。
「ブラック」《Black》Francesco Ventiglia-Rene Aubry(5分)
ザハーロワ&メルクーリエフ
再びザハ&メルクリコンビ。ザハ様のシャープな動きにうっとりしつつ、短パンの似合うメルクリ氏の筋肉に感心。A・Bプロ通じて思ったけど、メルクーリエフ はコンテが合う。ザハ様を踏み台にしてでも、どんどん昇って行っていただきたいダンサーだ。
「ジゼル」《Giselle》Petipa - Jean Coralli - Jules Perrot(10分)
ネッリ・コバヒーゼ&シュピレフスキー
コバヒーゼ可愛いー。脚が長くてロマンティック・チュチュが激しくお似合い。でもね、時々どすんと着地するジゼルってないと思う。精霊なんだから。自分が死んでいることを自覚して欲しい。アルテムさんも、ソロのところで頑張り過ぎ。どう見てもジゼルのことすっかり忘れて、自分のテク(ある?)に酔っている感じだった。・・・ルンキナさんのジゼルが見たいと、ひたすら思い続けていた。
「クレイジー」《Crazy》Sergei Bondur -Astor Piazzolla(3分)
ワシーリエフ
神奈川で見た時より演技に比重があった感じ。ワシーリエフ君の表情がくるくると変わって、エンターテイメントに徹していた。衣装がダボっとしているので「パリの炎」のように筋肉が矢鱈気になるということがなく、素直に楽しめた。彼とラスタ・トーマス君が競演したらおもしろそうだなあ。
「ヴォイス」《Voice》Kristof Pastor-Giuseppe Verdi(4分)
ザハーロワ
マリ=アニエス・ジロのような圧力を感じさせないでザハロワ様のコミカルな面を浮き上がらせた、楽しい演目。て言うか地上に降りて来たザハ様。並のダンサーでは踊ることのできない、テクニックとセンス勝負の作品。これを最終日のトリに持って来たザハ様の自信に感服します。
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| 20090504 |
今回もフィナーレが2回あって、堪能した。客の入りは良かった。その替わりマナーの悪い人もいた。カルメンの後の休憩に入るや否や後ろの席の人を怒鳴りつける男性がいてびっくりしたけど(おしゃべりがうるさかったらしい)、私は隣の人に注意できなかったなあ。ああいう人種は絶滅を祈るのみ。
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2009年5月 3日
5月の舞台鑑賞予定
1日のルイージ様ですでに燃え尽きている感がありますが、一応。
・5/1(金)ドレスデン国立歌劇場管弦楽団@サントリーホール
感動済み
・5/3(日)ザハーロワのすべてBプロ@東京文化会館
Aプロ鑑賞済み
・5/17(日)デンマーク・ロイヤル・バレエ団「ナポリ」@東京文化会館
ハイライト映像を見るとかなり賑々しい
・5/24(日)デンマーク・ロイヤル・バレエ団「ロミオとジュリエット」@東京文化会館
ノイマイヤー版
これだけと言えばこれだけだが、中身はかなり濃い。
最近アンテナが弱くなっていて、発売の早いバレエばっかり見ているような気もする。さっき慌ててプロペラのプレオーダー申し込んだ。e+のプレオーダーって1回分しか申し込めないから、発売始まったらまた行かないと。面倒い。今年はLFJ行かない。ドレスデンのCD聴いていれば幸せでいられる。
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2009年4月29日
ザハーロワのすべて Svetlana Zakharova Gala Performance Aプロ 4/29
神奈川県民ホールで「ザハーロワのすべて」Aプロを観てきた。ボリショイからアンドレイ・ウヴァーロフ Andlei Uvarov・ニーナ・カプツォーワ Nina Kaptsova・アンドレイ・メルクーリエフ Andlei Merkuriev・アルテム・シュピレフスキー Artem Shupilevsky・ネッリ・コバヒーゼ Nelli Kobahidze・イワン・ワシーリエフ Ivan Vasiliev 、そしてキエフ・バレエのメンバーを従えて、ザハロワ様がお越し。しかも珍しくコンテンポラリーの演目を披露されるという、魅力的な公演。新国立バレエ団のゲストとして度々来日されているザハロワ様だけど、休みが合わなかったりチケット取れなかったりして、生で見たのは去年末のボリショイ公演の「白鳥の湖」(感想)が始めてだった。王子ウヴァーロフという、鉄板のキャスト。あの幽玄な世界は幻のように私の頭にこびりついている。しかし連休中の公演とあって、今回チケットの売れ行きはやや不振とか。神奈川県民ホールでもちらちらと空席があった。
チャンス!
素晴らしい、大興奮のガラでしたよ!バレエに興味のない人でもエキサイトするであろう、すごいパフォーマンスが見られました。当日券があると思うので(ジャパン・アーツぴあ 03-5237-7711)、明後日からの東京公演にいらっしゃることお勧めします。私は5/3にまた行きます。
5月1日(金)18:30 東京文化会館 【Bプロ】
5月2日(土)18:00 東京文化会館 【Aプロ】
5月3日(日)16:00 東京文化会館 【Bプロ】
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| 20090429 |
・Part Ⅰ
「カルメン組曲」《Carmen Suite》Alberto Alonso/Vizet-Shcheddrin(50分)
カルメン:ザハーロワ、ホセ:ウヴァーロフ、トレアドール:シュピレフスキー、コレヒドール:ヤン・ヴァーニャ、運命:オクサーナ・グリャーエワ 、たばこ売りの女たち:タチヤーナ・リョーゾワ、オリガ・キフャーク
アルベルト・アロンソがプリセツカヤの為に振り付けた作品。ザハロワ様のカルメン姿はフライヤーなどで十分目に焼き付いていて、想定内の美しさだった。バレエ界のリチャード・ギア(古い?)、ウヴァ様が捨てられるホセ役と言うのが馴染まなかったのと、最初ホセ・トレアドール・コレヒドールの区別が付かず3名の駆け引きに注意して見ていなかったので、ストーリー把握しないままうとうとしてしまった。馬鹿っ・・・。寝不足だったのだ、休憩時間にコーヒーを投入。Bプロでリベンジします。
・Part Ⅱ
「海賊/プティパ振付 ドリゴ作曲」第二幕のパ・ド・ドゥ《Le Corsaire》Marius Petipa-Riccardo Drigo(8分)
カプツォーワ&ワシーリエフ
昨年のボリショイの「明るい小川」(感想)でオシポワと共に観客を沸かせたワシーリエフ。アリはぴったりね、とジャンプが始まるや否や拍手してしまった。しかし、彼がこれだけのダンサーでないことが、後ほどわかる。カプツォーワ初見。メドーラの振付けは元々好きでないので、彼女も素敵に見えなかった。
「アダージョ/ミロシニチェンコ-バッハ」《Adagio》Miroshnichenko-Bach(6分)
メルクーリエフ
「ドン・キ」ではエスパーダとしてすごいマント捌きを見せてくれたメルクーリエフ 。私の中ではイケイケのイメージがあったのだが、彼のために振り付けられたこの演目では、真摯に音楽と向き合いバレエの精神を追求するような姿勢が見られたように思う。ただ、地味な演目なので度々見たいとは思わない。
「Revelation/平山素子 - J.ウィリアムズ シンドラーのリスト」《Revelaion》Motoko Hirayama-J.Williams/Schindler’s list(8分)
ザハーロワ
ザハロワ様が気に入られて、平山さんをモスクワに呼んで直接振付けてもらったと言う、コンテンポラリー作品。髪を下ろして白の長いドレスをまとったザハロワ様は、完全にコンテ仕様だった。入魂のダンス。彼女のように格別にやわらかいシルエットを持つ体には、コンテは合いにくいんじゃないかと思っていたけど、そんな些細な偏見は押しやられた。ダンスって、体じゃなくて心で踊るものなのよね。涙が出そうになった。あの柔軟かつ強靭な肉体が身悶える様は生々しくて、崇高。ギエムを凌駕していくかもしれない。この演目に最適なダンサーがザハロワかと言ったら、それは疑問。でも、完全に自分のものにしていた。素晴らしい。
「エスメラルダ」パ・ド・ドゥ《Esmeralda》Jules Perrot-Cesare Pugni(12分)
オリガ・キファーク&ヤン・ヴァーニャ
キエフ組が、堂々と大きな拍手をかっさらっていた。ヤン・ヴァーニャはウヴァ様やシュピレフスキーに劣らず長身で、「カルメン」でも負けていなかったなあ。いいダンサーだ。オリガ・キファークは小柄ながらぴりりとしたパワーがある。
「ブラック」《Black》Francesco Ventiglia-Rene Aubry(5分)
ザハーロワ&メルクーリエフ
背景も、コスチュームも黒。ザハロワ様とメルクーリエフがミラーリングするように、強いビートに乗ってシャープなダンスを展開する。ここでもザハロワ様に隙なし。しかもメルクーリエフのかっこいいこと。この人実はコンテ向き?Bプロでも見られるのが、とてもうれしい。
「マグリットマニア」デュエット《Magrittomania》Yuri Krasavin -Yuri Possokhov - Ludwig van Beethoven,(7分)
コバヒーゼ&シュピレフスキー
どこがマグリット?と言うと、背景がちょっと傾いだ建物とマグリットっぽいブルーの空ってところかなあ。シュピレフスキーがサスペンダー付きのズボンをはいていた。コバヒーゼ、可愛いー。好み。どちらかと言うと彼女のようなダンサーが、コンテ向きではないかと思う。長い真っ赤なドレスは腰までスリットが入っていて、由緒正しいボリショイ・ダンサーらしい美しい脚のシルエットを隠さず引き立ててくれる。リフトが多く、ダイナミックな演目だった。
「クレイジー」《Crazy》Sergei Bondur -Astor Piazzolla(3分)
ワシーリエフ
来ました、ボリショイの若きスターがスーパーテクを披露。パープルのシャツをラフに着こなして、飛ぶわ飛ぶわ。高い!速い!この作品、とってもモダンだけどキエフで振り付けられたのだそうだ。ワシーリエフってABTあたりにいるのが似合うんじゃないだろうか。背が低いので古典では相手が限られそう。こんなにスゴイのに。Bプロでも見られる♪
「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ《Don Quixote》Marius Petipa-Ludwig Minkus(12分)
ザハーロワ+ウヴァーロフ+キエフ・バレエ団女性ソリスト(2名)他
ザハロワ様の「ドン・キ」が生で見られるなんて、生きてて良かった、な勢いで見る方も最初から飛ばした。さっきまでコンテのダンサーになり切っていたはずなのに、ザハロワ様は今は世界最高のキトリ。アレクサンドロワも素晴らしかったけど(感想)、ザハロワ様は美しさもテクニックも完璧。ウヴァ様も最高のパートナーに負けじとダイナミックなジャンプを連発(汗かいていたけど)、酔わされた。キエフのふたりの女性ダンサーも非常に良くて、選抜したザハロワ様は目が高いと思った。
・・・ここまでで十分感動したのだけど。アンコールが出来過ぎ。お約束で各ダンサーがスーパーテクを披露していくのだけど、まずワシーリエフの超絶ジャンプが失神するくらい派手で、メルクーリエフのピルエットが土ぼこりを上げそうなくらい速くて、ウヴァーロフの連続ジャンプも音楽に合わせる必要がない分いつもより大幅に高くて、観客は大喜び。もちろんザハロワ様も。立っているだけで絵になる人なのに、婉然と微笑みながらジャンプや回転をふんだんに見せてくれて、女王の貫禄十分。しかも一連の「テク披露」を、2回もやってくれた(ワシーリエフは2回目もあんまり手を抜かない、若い)。そこまでサービスしてくれるザハロワ様の心意気に皆熱くなって、スタンディングオベーション。最後には舞台近くに駆け寄る人多数(私も)。近くで見ると、ザハロワ様の顔の小さいこと。ダンサーと観客が互いに笑顔で手を振り合いながら、ようやく幕が閉じたのだった。
そう言えば、往年の大スター、マクシモワさんが亡くなられたそうで、岩田守弘さんもオフィシャルブログで嘆いていらした。悲しみを乗り越えて精一杯の踊りを見せてくれたボリショイのダンサー達に、感謝したい。
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2009年4月26日
パリ・オペラ座バレエ学校2009年日本公演 4/26
東京文化会館でパリ・オペラ座バレエ学校の公演を観てきた。今回は姪の中学入学祝いとしてチケットを取ったので、すごく観たいという公演ではなかったのだけど、終わってみたらとても満足。パリ・オペラ座や各振付家に対する愛情がひしひしと湧いてくるような、珠玉の公演だった。最近控えていたプログラム買い、姪の分だけでなく自分の分もゲットしてしまった。
・「ペシェ・ド・ジュネス」 PECHES DE JEUNESSE(40分)
振付:ジャン・ギヨーム・バール
音楽:ジョアッキーノ・ロッシーニ
バールは2007年に引退した元エトワール。ロッシーニが12歳の時に作曲した弦楽ソナタに、パリ・オペラ座バレエ学校の生徒のための振付けを行った。2,000年作。プログラムにネオ・クラシックとあるように、エレガントで、パリ・オペらしさが溢れた作品。女性ダンサーは開花前の莟、男性ダンサーはすでに個性が現れてきているような気がした。ひとり、背が高くて物腰のやわらかな男性ダンサーが気になって、「未来のエトワール?」なんて思いながら双眼鏡で彼を追ってみたんだけど、名前がわからない。3組のカップルの中のひとりだったかしら。
・「スカラムーシュ」 SCARAMOUCHE(25分)
振付:ジョゼ・マルティネス
音楽:ダリウス・ミヨー、カミーユ・サン-サーンス、ルドヴィク・ミンクス
マルティネス(現エトワール)の才気で満ち満ちた、フレッシュな作品。この仕事が認められて、彼は「天井桟敷の人々」の振付けを依頼されたとか。プログラムの写真からして華やかで、姪も観る前から楽しみにしていたもよう。第5過程と第6過程、つまり通常は学校公演に出ない最も小さな生徒達のための作品で、マルティネスは彼らに自己紹介の振付けを宿題と課し、そこから子供達の可能性を引き出したらしい。衣装はアニエス・ルテステュ。シンプルでありキャッチーであり、パリっぽさやバウハウスっぽさすら含んだ、センスの良いコスチュームだった。「スカラムーシュ」は道化の名前。コメディア・デコラルテの世界だ。古典バレエへのオマージュをふんだんに取り込みつつダンサーにセリフ(しかも日本語!!)を与えたりストリートダンスを取り入れたり。ポワント以前のダンサーの卵達のエネルギーが、昇華されていた。プロローグで、半透明の幕の向こうで子供達が好き勝手にレッスンを繰り広げていたんだけど、どう見ても「チビちゃん」とした言えないような少年が驚異的なピルエットをした直後ぺたんと180°開脚して見せて、彼らがまごうかたなきエリートダンサーであることがよくわかった。2台の生ピアノの演奏者まで演技に参加。なんか書きたいことはまだまだあるんだけど、とにかく楽しかった〜♪
・「ヨンダーリング」 YONDERING(30分)
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:スティーヴン・C.フォースター
これは好きなタイプのノイマイヤー。お、面白い!と膝をたたくタイプの軽快な振付け。ナショナル・バレエ・スクール・オブ・カナダの為に創作されて、ハンブルク・バレエ学校でも踊られた。音楽もフォースターってことで、フランスっぽさがあまりなくて、コンテンポラリーの新鮮さが心地よかった。「ペシェ・ド・ジュネス」で目を付けた彼が再び登場。今度のコスチュームは脚のラインを隠すだぼっとしたパンツだったので、長身の彼は微妙に鈍臭く見えがちだったけど、動きのエレガントさは好印象。黒っぽい髪の、エンディングで中央にいた人です。あとはやっぱり「ペシェ・ド・ジュネス」で目を引いた、ドイツ人ぽいシャープな風貌の中背の金髪の彼も、名前を知りたい。
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| SCARAMOUCHE 20090426 |
お忙しいのでココはご覧になっていないと思うけど。Nさん、終演後携帯でお電話中だったのに声をかけてしまって申し訳ありませんでした。連れがいたのであせってしまって、つい・・・。
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2009年4月20日
東京バレエ団創立45周年記念スペシャル・プロ「エチュード」「月に寄せる七つの俳句」「タムタム」4/19
東京文化会館で東京バレエ団のスペシャル・プロ「エチュード」「月に寄せる七つの俳句」「タムタム」を観てきた。お目当てはゲストのサラファーノフとフォーゲル。フォーゲルはシュツットガルト・バレエ団の王子様(?)だけど去年の公演では当たらなかったので、初見。あとは「月に寄せる七つの俳句」がノイマイヤー振付ということで、ちょっと期待。
「エチュード」(50分)
振付:ハラルド・ランダー
音楽:カール・チェルニー/クヌドーゲ・リーサゲルエトワール:吉岡美佳、フリーデマン・フォーゲル、レオニード・サラファーノフ
はじめて見る演目。バレエの練習風景を描いた作品とプログラムにあって、最初はバーレッスンから始まるんだけど、それはいい感じなんだけど、ダンサーがチュチュを付けているので違和感を感じた。バーレッスンくらいで付けるものもの?だいたい練習用って感じじゃなくて舞台仕様なチュチュだし。レオタードのレッスン姿の方がかっこいい!と思ったわけだけど、後でYouTubeでマリインスキーの映像を見たら同じ衣装だった。振付けのハラルド・ランダー氏の意向なのだろーか(てっきり東バの趣味かと思った)。コール・ドのみなさんにより名前は知らないけど見慣れた色んなポーズがきびきびと展開されて、楽しい。まあ、海外カンパニーの方が迫力があっていいだろうなあと思いつつ、流れに身を任せ鑑賞していると・・・。嘘。実は舞台左手の時計を見ながら、終幕時間を逆算しつつサラファーノフ君の登場を待っていたのだった。先に出てきたのはフォーゲル君だった。ドイツ人ぽい、たくましい体躯。太ももの前側の筋肉の盛り上がり方がすごくて、うひょーと思ったけど、なかなかキラキラしていて好感が持てる。ガタイがでかい分動きが増幅されると言うか、周囲の空気も動かしているようなオーラのある踊りだった。双眼鏡で見ると微妙にオヤジが入っているような顔立ちだけど、でも十分にハニーなスマイルで、なるほど王子様として売り出されているのに、納得。彼に較べるとサラ君は華奢に見えた。脚が細いし。ジャンプの高さも負けている感じだったし、あら、お疲れなのかな〜と心配していると、と、とんでもない!すんごい連続回転を軽々とこなして見せて、マリインスキーのテクニシャン健在と余裕でアピールしてくれた。私の初おバレエは彼と上野水香さんのドン・キで、その時はちょっとよろめきながら水香さんをリフトしていたサラ君。今ではすっかり成熟して(単に練習不足だったのかも)、サポートする時は誠心誠意、立ち姿も至極ノーブルに決めて、大人の香り。ただしリフトはフォーゲル君の方が多かった。盤石だった。吉岡さんは、私は日本の女性ダンサーの中では結構尊敬しているんだけど、あくまで日本限定という感じで、世界のスターにはさまれるとあんまり目が行かないのであった。演目そのものも後半の盛り上がりが素晴らしく、男性群舞のダイナミックさとか女性が全速力で走りながらジャンプして舞台を斜めに横切って行くシーンとか、全員でジャンプするクライマックスとか、非常に高揚した。
「月に寄せる七つの俳句」(40分)
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:アルヴォ・ペルト、ヨハン・セバスチャン・バッハ月:長瀬直義
月を見る人:上野水香-後藤晴雄、
西村真由美、乾友子、佐伯知香、高木綾、奈良春夏、田中結子
松下裕次、横内国弘、宮本祐宜、梅澤紘貴、柄本弾
夜空:
高村順子、森志織、福田ゆかり、村上美香、吉川留衣、岸本夏未、阪井麻美
高橋竜太、氷室友、小笠原亮、谷口真幸、安田峻介、岡崎隼也、八木進
さすがノイマイヤー、美しい舞台だった。バッハを使っているし。けど、雰囲気だけで流れて行く感じ。俳句のミニマムさを踊りで表現するならもっと少人数で構成すればいいのに。人大杉。夜空が出てくると舞台が混む。もっとアバンギャルドな動きで抽象性を増すとか、面白いことをやって欲しかったなあ。ちょっとした発見あり。何かしなやかで中世的な青年が横切っていくなあと思ったらそれは「月」の長瀬さんで、東バの上の方の男性ダンサーがタイプでない私としては、一服の清涼剤って感じでずっと彼を追って見ていた。初おバレエ以来遠ざかっていた上野水香さんは東バにいると東バのダンサーのひとりって感じで、以外と目立たないんだなあと思った。白いサマードレスのようなコスチュームは良く似合っていて、リフトのポーズなんかはすごくキュートだったけど。俳句の読み上げがなかったら時間の推移がわからなくなって、もっと眠くなったと思う。あああと1句だと思ったら、ほっとしたもの。
「タムタム」(20分)
振付:フェリックス・ブラスカ
音楽:ジャン=ピエール・ドゥルエ/ピエール・チェリザソロ:木村和夫
パ・ド・ドゥ:渡辺理恵-宮本祐宜
パーカッション:リルヴィオ・ガルダ
トムトム:アティソー・ロコ
木村さんの堂々としたソロではじまる。パーカッションとトムトムの演奏が軽快で、それに乗ってカワイイダンスを繰り広げる女性ダンサーのコスチュームはピンク〜オレンジの縞しまニットのミニ。バレエじゃないみたいだ。パーカッションのリルヴィオ・ガルダが、途中から舞台後方中央に設置された手作りっぽい装置に移動して、ぶら下がったカウベルやら何やらの鳴り物を叩いていい感じの音を出すので双眼鏡でそっちばかり見ていたから、パ・ド・ドゥは断片的にしか見ていない。渡辺さんは綺麗な顔立ちをされているけど、ちょっと真面目〜な固い感じがした。やっぱり吹っ切れたような明るい群舞が魅力の、演目だった。
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2009年4月19日
La Machine@横浜
巨大グモ縦横無尽 ーハマに出現高さ12メートルー
フランスの劇団「ラ・マシン」による機械仕掛けの巨大グモ(高さ約12メートル、重さ約37トン)が17日、横浜市の横浜赤レンガ倉庫付近で、8本足や触角を縦横無尽に振り回して大暴れした。
音楽隊による臨場感あふれる演奏が響く中、倉庫の周囲を練り歩く。次々と爆竹や炎が飛び出したり、大量の水がかけられたりと派手な演出が続き、大勢の観客から大きな歓声が上がった。
18日未明には新港ふ頭に2匹目のクモが出現。1匹目は昼と夕方に同ふ頭などで活動する。19日午後には2匹そろって県庁付近をのし歩くという。(佐賀秀玄)
(2009年4月18日 読売新聞)
ということで、土曜日の夕方、そこここで話題になっていたラ・マシンのショーを見てきた。横浜開港150周年イベントの目玉とか。横浜勤務民の私には、かなり気になる。最近陽が長くなったでしょ、6時過ぎても空が結構明るくて、気持ちいい。ダッシュで職場を飛び出して駆けつけた新港埠頭は結構な人混みだった。
| 20090419 |
最初はこんなふうに静かに巨大蜘蛛が上昇していって、
水際で戯れてみせたり、
盛大に水煙に取り込まれたして、
盛り上がったのでした。蜘蛛はもう一匹いるそうで、彼らがのし歩くところも見てみたい〜(それは明日(今日)?)
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2009年4月 8日
庭劇団ペニノ17th「苛々する大人の絵本」(再演)
はこぶねという劇場で、庭劇団ペニノの公演「苛々する大人の絵本」を観てきた。
それ以外、特に言うことはない。
・・・いやそれだけじゃまずいですね。この公演、今日が初日だったので再演とは言えネタばれなことは書けないし(初演を見てない)、でも思ったことを馬鹿正直に書いたら墓穴って言うか。内面を暴かれてタニノ先生の思う壷じゃないかと。タイトルは「苛々する大人の絵本」じゃなくて「苛々させる大人の絵本」では?そんなにイライラしたわけじゃないけど、焦らされたし弄ばれた!
去年夏の「星影のJr.」は筋立てに起承転結のある芝居だったが、それでも観た後頭の中が花火大会になってしまって言葉にならなかった。今回は狭いハコで出演者3人という超シンプルな舞台だったのに・・・。舞台前半はやや冗長で、もう1枚取ってあるチケット(楽日近く)は誰かに譲ろうと思っていたけど、やっぱり出直してまた観る。
【CAST】 山田伊久麿 島田桃依 瀬口タエコ
【STAFF】 作・演出・美術・照明・音響・衣装:タニノクロウ
会場はどうやら取り壊し寸前の青山のマンションの一室、席は20席ほど。入室は5名ずつ密やかに誘導されたし、住民の苦情が出ているので静かに帰ってねとお願いされた。幕前後に森進一の歌が延々、いいねえ「おふくろさん」!日本の演歌歌手は森進一以外要らないと私は確信した。
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2009年4月 5日
4月の舞台鑑賞予定
今月はおそらくハズレのないラインナップ。意地を張ってK刈さんのEspritのチケットは取らなかったのだが、そろそろ地方公演がはじまったので気になる気になる...。
・4/8,18 庭劇団ペニノ17th「苛々する大人の絵本」(再演)
見る前からチケット2回分取ったという。過去2回の公演がとても刺激的だったので、タニノさんには全幅の信頼を寄せている。
・4/15 野村万作萬斎 狂言の現在2009 神奈川公演(万作の会)
これは行かないかも、ですが。
・4/19 東京バレエ団「エチュード」「タムタム」「月に寄せる七つの俳句」
久しぶりのサラ君。去年のシュツットガルト・バレエ団の公演では「王子様」フォーゲルを見ることができなかったので、彼にも期待。ノイマイヤー作品が入っているので、これまた楽しみ♪
・4/26 パリ・オペラ座バレエ学校 日本公演
こちらでもノイマイヤー振付作品が。ジョゼ・マルティネスも気になります。
・4/29 「ザハーロワのすべて」Aプロ
まだ私の中では彼女のイメージがはっきりしていない。去年のボリショイの白鳥には心底感動したけど、なんか夢のような記憶。Bプロも行きたいなあ、5/3は連休になるから空けておいたんだけど、諸事情でこの日から旅行にってわけにいかなくなったのだ、、、、、、、、と書いている間にぴあシートゲット!
結構バレエ漬け。ま、5月はデンマークくらいですから。それよりはじめての世界バレエ・フェスのNBS WEBチケット予約がいよいよ開始。寝坊しませんように!日程的にAプロ・Bプロ各1回とドン・キとベジャールしか見られないけど、おサイフのことを考えればありがたいのかも。
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2009年4月 1日
Ballet the Chic―バランシン/サープ/ドゥアト― 3/29
新国立劇場中劇場で新国立バレエ団の公演「Ballet the Chic」を観てきた。他に見たいコンテ・ダンス公演もあったが、こちらを選んで正解。生でバレエを見るのは1ヶ月ぶり以上で、体があの優美で雄々しいバレリーナの動きに飢えていたみたいだ。
中劇場ははじめてか。前売りを買い忘れて、開演1時間ちょっと前に当日券を買いに行ったら、1Fは最後方エリアしか残っていなかった。でもあの大きさなら、2F後方でもオペラグラスなしで楽しめそう。客席の段差がしっかりついているので、前の席の方が身を乗り出していたけど(理解できない行為)、視野が妨げられることはなかった。
【振付】ジョージ・バランシン(『セレナーデ』)・トワイラ・サープ(『プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ』)・ナチョ・ドゥアト(『ポル・ヴォス・ムエロ』)・井口裕之(『空間の鳥』)
【指 揮】渡邊一正(セレナーデ)
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団(セレナーデ)
【キャスト】 <セレナーデ> 寺島ひろみ、厚木三杏、堀口純、森田健太郎、中村誠 ほか新国立劇場バレエ団
<空間の鳥> 真忠久美子 貝川鐵夫、江本 拓、八幡顕光、高木裕次、佐々木淳史、末松大輔、アンダーシュ・ハンマル、泊 陽平、清水裕三郎、野崎哲也、原 健太、三船元維
<ポル・ヴォス・ムエロ> 湯川麻美子、遠藤睦子、西川貴子、本島美和、丸尾孝子、高橋有里 吉本泰久、貝川鐵夫、陳 秀介、冨川祐樹、芳賀 望、末松大輔
<プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ> デニス・マトヴィエンコ 厚木三杏 本島美和 西山裕子 山本隆之 ほか新国立劇場バレエ団
これ↑は新国立のサイトからコピペして改変したものだけど、「プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ」に小野絢子さんが出演されていたように思う。ダンサーの顔認識ができていないので、自信ないけど。
まずバランシンの「セレナーデ」。バランシン=寝るのパターンの多い私が、珍しく浮き浮きしながら最後まで楽しんだ。ジゼルのヴィリみたいなクラシックチュチュは、淡く水色がかっていて、動くと下半身が透けて見えて爽やか。東京フィルの生演奏がめちゃくちゃ気持ちいい。オケ付きバレエって最後に見たのはいつかしら。新国立の女性ダンサーは背格好が揃っていて、みなさん華奢でスタイルが良い。バレエをやっている人ってお嬢さんぽいイメージがあるけど、それにぴったり。上半身の瑞々しさ、一生懸命お稽古をやっているんだろうなあと思わせる綺麗な脚の上げ方。機械みたいにバチッと決まるわけではないけど、統一感があるコール・ドで良かった。理知的なフォーメーションやちょっとした手の動かし方に、ああ、バランシンの良さがわかってきたかもと思った。一人目の男性ダンサーが中村さんだったことに、後からキャスト表を見て気づく。そう言えばノーブルな姿だったなあ。森田さんは、ふふふ。
休憩なしで新進井口さんの「空間の鳥」。これは振り付けよりビジュアルが印象的。まず居並ぶ男性ダンサーの赤い腰巻きみたいのが鮮烈で、途中で真っ白な幕が落ちてきたり腰巻きをパレオみたいに使ったり、扇形のバチみたいのを持ったり、演出が練られている。芳賀さんが、髪の色が明るいせいか目立っていた。女性ダンサーの存在意義がよくわからなかった。ヘッセの「デミアン」に触発された作品と聞いていたが、そのイメージが鮮明に出ていたシーンがあったので、私的には納得の作品。
そしてナチョ様の「ポル・ヴォス・ムエロ」。特にストーリーはないけど、スペインの昔の宮廷衣装や古楽を使うことでイメージがつかみ易い。本当に、彼の振り付けはユニーク。女性が男性にリフトされ移動しながら、首をカクカク横に振るって、あんまりやらないと思う。体が語る言葉が多くて、それが正確に翻訳できているわけじゃないけど、舞台とコミュニケーションしている気分になる。クラシックバレエとは違う、ダンサーの生身の美しさを存分に見せてくれるナチョ。テクニックより人間性が大切、と去年の公演のポストトークで語っていたけど、彼は新国のダンサーたちをどう評価するのだろう。
最後はトワイラ・サープ「プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ」。バリシニコフの為に振り付けた古い作品と聞いていたので、最初からマトヴィエンコを斜めに見てしまったけど、彼なりにがんばっていたと思う。回転の速さと高さは、特筆もの。日本人キャストの日に当たらなくて良かったと、しみじみ思った。全体にショーっぽい構成で衣装はレトロを狙ってやや外した、感じ。ま、ひとつの経験というかお勉強をしたとも思っている。
以前ギエムがインタビューで、「コンテンポラリーだけでは大きな劇場をいっぱいにできないので、古典と組み合わせて公演を打つ」と言っていたようだが、新国立というブランドと劇場を持ったバレエ団がこれだけ良質な作品を中劇場でやらなければならないという現状を見て、納得した。ダンスはカテゴリ分けが難しいけど、私はコンテンポラリー・バレエと呼ばれているあたりのノーブルかつ現代的、な踊りが好き(ナチョ様に代表されるような)。この分野は版権の問題もあるのだろうけど映像を手に入れるのも難しく、とてももどかしい。もっともっと観たい。コンテンポラリーに、市民権を。
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カンパニーデラシネラを主宰する小野寺修二さんの新作公演「あらかじめ」を観た。3/29が楽日、すでに公演終了している。小野寺氏は1年間のパリ留学後昨年はじめから次々に新作を発表されていて、私は「空白に落ちた男」(感想1・感想2)と「ある女の家」(感想)を観た。ちょっと、凝っていたわけです。今回は日曜に他の舞台鑑賞予定が入っていたので無理矢理平日のチケットを取ったのだが、仕事が早く終わったおかげで19:30の開演時にはしっかり青山円形劇場の最前列に座っていた。4列しかなかったけど。 この劇場ははじめてだった。名前の通り中央に円形テーブルみたいな舞台があって、客席が全周を囲んでいる。近い。舞台の上には様々な小道具が雑然と置いてある。古カバンが小野寺さんらしい。ミニカー、帽子、作り物の大きな本、椅子等々。これらはほどなく出演者たちによって舞台の下に降ろされてしまう。種も仕掛けもありませんよ〜と、あらかじめ言っておきたかったのだろうか。 小野寺さんと藤田さん以外は毎回違う顔ぶれ。有川マコトさんは劇団「絶対王様」(知らない)の看板俳優。佐藤さんはイデビアン・クルーに参加しているダンサーで(げ、オムの「大黒柱」にも出ていたらしい、どの人〜?)、宮下今日子さんは舞台・テレビの女優さん。佐藤さんと宮下さんはオーディションで選ばれたとか。印象に残ったのは宮下さん。背の高い、脚の細い素敵な女性で、目が大きくて綺麗な顔立ち。私は男女問わず美人さんに弱い。しかも彼女はさすが舞台俳優、発声が良かった。そう、今回の舞台は脚本がフラジャイルの小里清さんで、マイム中心の舞台ながら台詞が結構あったのだ。小野寺さんと藤田さんの(高めの)声もたっぷり聞けた。 メンバーの俳優率が高いせいか、はたまた小さな円形舞台ということで動きが制限されたせいか、全般にダンス色の薄いパフォーマンスだった。人と人が触れ合って反応して動きが連鎖していくというおのでらん流の振りは健在だったが、以前の舞台はもっと激しかったなあ。特に首藤さんの「空白」。舞台の上とか周りとか更に劇場外周の廊下とか、出演者はやたら歩き回っていたけど、なんだか運動不足な感じ(座って見ているだけのクセに)。緊迫感がないからまったり眺めていられて、それはそれで楽しくて、仕事の疲れを癒す舞台だなーなんて思いながら見ていたが、だんだんお尻がむずむずしてきた。3月はコンテンポラリーのラッシュ月だったけどぼーっとしていて井手さんの「コウカノシタ」も珍しいキノコ×plaplaxも見逃した。バレエを見てない。バレエのDVDすら見てない。チケ代は3,700円とリーズナブルだけど仕事を巻いて駆けつけて貴重な時間を捧げるほど私はマイムが好きか?という自問自答が渦巻く。答えはわかっている。 というわけで、そろそろ小野寺さんは卒業しようと思っている。ただし次の舞台もキャスト次第で気持ちは変わるかも。今回の収穫は宮下さん。石黒猛さんの舞台美術も良かった。大道具はなかったけど、電動ミニカーとかリモコンの子犬のぬいぐるみとか天井から吊るされたヒコーキとか、キッチュなメカが場を盛り上げていた。小野寺さんの舞台はびっくり箱だ。何かしら発見がある。間近で見た小野寺さんは小さくて細くて指が綺麗で、何かの精みたいだった。
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シアターコクーンで勅使川原三郎「ダブル・サイレンス――沈黙の分身」を見た。勅使川原さんは横浜トリエンナーレの《時間の断片 - Fragment of Time》で見てダンサーとして魅力を感じたので(失礼な言い方だけど、まだまだいける)、DVDを買ったし今回の公演も楽しみにしていた。彼は美意識が高くて、舞台美術もすごいって聞いている。横トリのガラスの部屋、美しかったもの。さてさて。 結構ぎりぎりに会場入り。席は1FN列、一応S席。なんと、後方にほとんど人がいない。直前にチケットを買ったわけではないのに。通路前方の席はほぼ埋まっているけれど、後方は空席が目立つ。私の同列もガラガラ。休日公演なのに、あんまり売れなかったんだなあ。世界不況でアート全般厳しい状況に陥っているのだろうけど、コンテンポラリー・ダンスは特にきつそう。 会場が暗転して、振動の強いノイズが鳴り出す。直前に読んだリーフレットに「体内の絶対ノイズ」という言葉があったから、ノイズが重要なモチーフなんだなと思う。白いライトに浮かび上がる勅使川原さんとおぼしき人影。がふっと消えたら、今度は佐東利穂子さんが。この人は横トリに出演してたそうだし、多分勅使川原さんの片腕のようなダンサーなのだろう。照明って面白い。最初から勅使川原さんが後方、佐東さんが前方にいるわけなんだけど、照明が当てられてはじめて存在が明らかになる。だから手品のように勅使川原さんが現れたり消えたりするのだ。二人はノイズの中で体を痙攣させている。これがすごい上手い。Noismの人形達も真に迫っていたけど、ふたりも魂を抜かれた操り人形のよう。 勅使川原さんが消え、しばらく佐東さんのソロ。スーツ姿の勅使川原さんに合わせて彼女はマニッシュなパンツスーツを着ている。肩パッドが入っている感じでパンツはゆったり。体のラインが隠れるので、ちょっと残念。それでも彼女の動きは空気を切り裂くように速くて鋭くて、かっこいい。上半身を大きく使うのが特徴かな。ジャンプも回転もなく、バレエ要素は薄い。彼女に続いて登場したのは白いソックスをはいた少女。ウーロン茶のCMに出てきそうな、無垢系。腕が細くて優美なライン。これが10代中心のKARASのメンバーね。ノイズが止む。 舞台にひとり残された少女は、沈黙の中で腕を緩やかに舞わせる。と、舞台の床から、白い煙が。何カ所もから。何度も何度も忍び出てきたKARASのメンバーが、床に横たわる。煙と一体化する。舞台真ん中で横たわる少年は、自分の後ろから煙が上がる度口をパカッと開いて、自分が煙を吐いているような仕草をする(の割に位置がちょっとずれていたような)。煙は、空気の動きを知らしめてくれる。このシーンには深い意味があったのかもしれないけど、私には理解できず、勅使川原さんが煙の醸し出す美的効果を楽しんでいるだけのように思えた。 集中力が途切れてきたところで、勅使川原さんのソロが始まったような気がする。しゃきーん。やっぱり、勅使川原さんの動きは素晴らしい。佐東さんは空気を切り裂いていたけど、勅使川原さんは空気を動かしてしまう。自分の周囲を、舞台を、支配してしまうのだ。タイトなスーツは彼の体の鋭さを隠さない。重心の低い動きに、重さがない。止めのポーズがぴたりと決まる。静止した姿が美しい。悶えて何かに苦しんでいるのだけど、ポジティブ。佐東さんのソロもそうだったけど、武道系の振りだ。彼の出身はバレエだけど、もうそれは超越してしまった感じ。ただ、彼のソロもずっと見ていると飽きてくる(すみません)。元々抽象世界に弱いのだ、私は。眠くなってしまった。 正直、この後はうとうとしたり起きたり、で、ダンスの流れが頭に残っていない。再登場したKARASのメンバーは、先ほどとは打って変わって激しいダンスを繰り広げた。皆特に上半身の動きが綺麗で、いいダンサー達だと思った。ただ、勅使川原&佐東さんとは異質。大きな腕の動きなどバレエに似ているように感じたし、ストリートっぽい動きを見せる子もいた。うめき声を出すシーンが圧巻だったけど、あれは何を表現していたんだろう。 ・・・リーフレットを読むとどこかで沈黙の世界が訪れたはずなんだけど、いつ来たのか私には見えなかったなあ。本当に、後半飽きちゃって、日本のコンテンポラリーは私には合わないかもと思ってしまった。今まで見た中でツボだったのは井手茂太さんくらい。セルリアン能楽堂は、ダンサーは日本人だったけどコレオグラファーは違ったし。今後チケットを取る時は、アブストラクトな世界には注意した方がいいかもしれない。尻つぼみな感想ですみません。 バウンド&アブソリュート・ゼロ ~勅使川原三郎のダンス世界 [DVD]
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せっかく初日に行ったのに、昨日の内に感想をupできなくて申し訳ないです(誰に?)。オーチャードホールでクラウド・ゲイト・ダンスシアター の 「WHITE」 を観てきた。期待の大きい、台湾のカンパニー。少々長いけど、BUNKAMURAの紹介を引用。
20090401 2009年3月31日
小野寺修二新作公演「あらかじめ」3/27
作・演出 小野寺修二(カンパニーデラシネラ)
出 演 有川マコト 佐藤亮介 藤田桃子 宮下今日子 小野寺修二

20090331 2009年3月22日
勅使川原三郎「ダブル・サイレンス――沈黙の分身」 3/22

20090322
勅使川原三郎, ジャン・シュミット=ガレ
2009年3月 5日
クラウド・ゲイト・ダンスシアター 「WHITE」 3/4
クラウド・ゲイト・ダンスシアター(雲門舞集)は、中国語圏では初めてのコンテンポラリー・ダンス・カンパニーとして、1973年台湾で創立しました。創設者で、芸術監督のリン・フアイミン(林懐民)は、アジアの信仰、神話、民話、美学などを35年間にわたり探求し続け、豊富なレパートリーを生み出しました。“アジアで最も重要な振付家”“アジアの比類なき巨匠”など称賛を受けています。
ダンサーたちは、リンからのクオリティーの高い舞踊表現の要求に応えるために、モダンダンス、バレエなどはもちろん、太極導引(呼吸法に重点を置いた一種の柔軟運動)、瞑想、武術、書道などを習得しており、それによってクラウド・ゲイト独自の世界を創り出しています。伝統的な美しい動きを、さらにスリリングで現代的な動きへと変貌させたその独自の世界観は、自国内はもとより、世界各国で高い評価を得ています。
これをちゃんと読んでおけばよかったのだけど、私はダンス公演の場合予習をしない派なので、このビジュアルだけでイメージを膨らませていた。なのでちょっと行き違い感あり。
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| 20090305 |
3部構成。第I部は1998年初演、音楽はスティーヴン・スコット 「ミネルヴァの網」。3名の女性ダンサーと1名の男性笛奏者が織りなす観念的な世界。音楽のない静かな導入部で、女性の体のマッチョさに驚く。相当鍛えてますな。柳腰の中国女性が軽やかにエレガントに舞う、というイメージが早速崩れていく。ンフっという呼気音が時々聴こえ(前から2列目に座っていた)、気合いだなー、武道だなー、と吞まれ気味。さすが中国4千年の(以下略)。でも、彼女らは体操しているのではなく、空気を切りながら舞っているのだ。ためてポーズを取るところと素早く体を泳がせるところ、静と動を使い分けてリズムを作っている。ジャンプ後の着地で「どん!」と音がしても、それは生身の体の重みを感じさせる大切な振動。天女ではなく、にんげん。などとつらつら感じている内にクライマックスを迎え、終わった。渋かった。ここで休憩。
第II部はアレックス・クライン「火花のごとく舞い上がる」に乗せて、男子と女子が躍動的に踊る。2006年初演。Iに較べるとぐっと洗練されている。美しい演目だった。休憩なしで第III部の権代敦彦「終わりの始まり/終わりの後に」(2006年初演)に続いたのでデティールがごっちゃになっているが、第II部が一番エレガントだった。重心の低い第I部に較べるとジャンプが多く、飛翔のイメージ。白と黒、光と影のコントラストが強調されて、眩しい「WHITE」のイメージが目に焼き付いている。ラストの群舞では照明の具合でダンサーがほとんどシルエットでしか見えず、ここでいったんダンスが昇華された感じ。リン・フアイミンのセンスに一番痺れたのがここ。第III部では暗めの背景の中でダンサーの衣装の白が際立った。シャープだけど人間臭さのある振付けだと感じた。特に目立つダンサーはいなくて、みな群舞の一部として誠実に踊っている。ひとりひとりの表情が「怒っている?」と思うくらい真剣で、カンパニーの一員として誇りを持って演技している風なので感心した。「静」がありながらテンションを下げることなく、絶え間なく新しい流れが生まれて行く。バレエや太極拳の動きが混じっているけど独特なダンス。日本の某カンパニーで感じたような息苦しさはなく、個々のダンサーの伎倆は置いといて完成度の高い舞台だった。・・・好きかと言われると好みではない。しかし一見の価値はある。
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2009年3月 2日
セルリアンタワー能楽堂 伝統と創造シリーズvol.2 ~ダンサーの息に手が届く~ 「トリプル・ビル」 3/1マチネ
セルリアンタワー能楽堂セルフプロデュース第二弾、コンテンポラリーダンス新作公演「トリプル・ビル」を観てきた。能楽堂でコンテ・ダンス?と興味本位でチケットを取ったのだが、すごく良かった。能楽堂は綺麗だし、各コレオグラファーが「場」に合った演出を見せていたし。
「アレクサンドリア四重奏」
演出、振り付け レオ・ムジック
出演:レオ・ムジック/イリア・ロウエン/酒井はな/中村誠
上演時間:20分
Leo Mujic(レオ・ムジック)は長身でキレのあるダンサー。ロウエンも長身なので二人で踊るととてもダイナミック。なかなかシャープな振付けで、コンテンポラリーの醍醐味いっぱいだった。と言っても女性はポワントを履いていて、バレエ風味がないわけではない。酒井はなさんは初見だったけど、小柄で可愛くて表情豊かで、敏捷な動きをするのでかなり惹き付けられた。これから彼女の出る舞台は要チェック。中村さんは新国の「アラジン」でいいなと思ったダンサーで、彼だけ時折踊りがクラシック・バレエぽく見えたのは、持ち味?コンテに慣れていないから?でも最後までよく集中していて、他の3名の優れたダンサーに負けない演技だった。俯瞰して見ると、照明や、各ダンサーがそれぞれ違った雰囲気のソロパートを持つところなど、20分が短いと感じさせる良い演出だった。緩急あったし。
「SKIM A」
演出、振り付け デイヴィッド・ヘルナンデス
出演:デイヴィッド・ヘルナンデス/平原慎太郎
オーディションより選出 岡部牧絵/小林円香/田上和佳奈/宮崎たま子/横谷理香
上演時間:25分
David Hernandez (デイヴィッド・ヘルナンデス)は振付家兼ダンサーとしてローザスと一緒に仕事することもあるそうで、うーんそのせいか、ローザス公演で寝た私はこちらでもうとうと。オーディションダンサーは皆悪くはないのだけど、コアな部分で個人を引きずっている感じで、ダンスが見えなかった。みんなかなり可愛いんだけど。彼女らのパートが多いのでつい気が抜けてしまったような気がする。ヘルナンデスが出てくると締まるんだけど。ちゃんと見ていなかったので振付や演出について、印象が残っていない。いや見た直後は何かがあったんだけど、この後の「かけことば」があまりに素晴らしくて、どこかに飛んでしまったのである。
「かけことば」
演出、振り付け アレッシオ・シルヴェストリン
出演:アレッシオ・シルヴェストリン/津村禮次郎/横関雄一郎/大前光市
上演時間:45分
Alessio Silvestrin(アレシオ・シルヴェストリン)のうなじが印象的。開演前舞台後方でヴァージナルの調整をしていた男性のうしろ姿が綺麗で見とれていたら、彼がシルヴェストリンだった。次に出てきた横関さんは天井からぶら下がった紐(尖端にメタルの円盤が付けてある)を沈思黙考しながら巻いたり引っ張ったり。彼は服部有吉くんの「ラプソディ・イン・ブルー」(2007年6月!)で見ていたからすぐ気づいたけど。そんなこんなで、思わせぶりな演出で始まったこの舞台は、とても深遠で、この言い方は曖昧なので好きではないけど、哲学的。そしてダンスはパッショネイト。シルヴェストリンは今日本を拠点に活動しているそうだけど、いやこんな素晴らしい人がいたなんて。踊りのメインは横関さん、猫のようにしなやかで子鹿のように敏捷。身体能力の高いダンサーのはずだけど、むしろ魂で踊る感じ。後から登場した大前さん(ご本人のブログはこちら)はものすごいエネルギーの持ち主で、でも横関さんと絡む時は彼の影のように呼応する。能楽師の津村さんはプラトンの言葉を次々と繰り出して行くのだけど、これが違和感なくて、不思議。津村さんと横関・大前さんの対話もあったりして、ダンサーが発声するダンスなのだった。シルヴェストリンはもっぱらヴァージナルを弾くばかりなのだけど、シャープなうなじとすらりとした体躯は目を奪う。その体のくねりやうねりっぷりは絶品、蛇のようだと思ってしまった。セクシーです。全く異なった4名の個性を融合させたコレオグラファーとしての手腕もすごいが、ダンサーとしての彼の魅力もピカ一。最後のソロはカッコよかった!小道具で空気を変えてしまう演出とか、イッセイのプリーツ・プリーズが良かったとか(汗をかいても見苦しくならないし、ダンサーの体を色っぽく見せる)(あ、津村さんは着物ね)、切戸口とか橋掛かりを活かしていたとか、誉めたい点は多々あるけど取り合えずこんなところが感想。ああ、観られて良かった!アンケートには再演希望と書いたけど、こういう規模のイベントでは無理な気がする。舞台は一期一会、この記憶を大切に胸にしまっておきたい。
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| 20090302 |
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| Alessio Silvestrin 20090302 |
休憩時間に森山開次さんを発見。素で見ると、すごく綺麗な人。あと金森穣さんにヘアスタイルが似た人がいたんだけど、森山さんと違ってファンに囲まれていなかったから、違ったんだろうなあ。会場隣の金田中が軽食を担当していて、コーヒー、抹茶などの他にあんみつとか鶏とお芋を揚げたの(だったかな)を供していた。せっかくだからあんみつを頂いたけど、シンプルで美味しかった。
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2009年3月 1日
NBAバレエ団「バレエ・リュス・ガラ」 2/22
NBAバレエ団の「バレエ・リュス・ガラ」に行ってきた。先週の日曜日だ。この日はハンブルク・バレエの愛知公演のソワレに当日券で飛び込む予定だったが、事情があってあきらめた。行っていたら帰宅は12時近くで、翌日きつかっただろう。なので五反田ゆうぽうとでまったりバレエ・リュスを楽しむというのも、なかなかよい選択だったと思う。こちらも当日券だったが、1時間ほど前に会場に行ったらセンター寄りにぽつねんと空いていた席を入手できて、気持ちよく鑑賞できた。
・ショピニアーナ
マズルカ 佐藤圭
ワルツ 峰岸千晶
プレリュード 関口淳子
青年 秋元康臣
ケチってプログラムを購入しなかったので、配役は日々これ口実さんから転載させていただきました。て言うかなぜキャスト表を配布してくれないのか。内輪の発表会だから買うのが礼儀、ってことなのかな。綺麗な演目でした。大勢の妖精達とひとりの青年。秋元さんという方は初見だったけど、いいダンサーだなあと思った。彼が踊る時は熱心に舞台を見てたけど、平和な美しさに酔っていつの間にかうとうと。音楽も穏やかだしね。後日検索かけたら2007年のバレエ・リュスの夕べでラスタ・トーマス君がこの役を演じたことがわかって、頭が沸騰。彼は来日してくれないのか...。
・レ・ビッシュ(牝鹿)
ロンド 菅原翠小田口麻衣 小山真貴子 加藤摩耶 佐藤香織 笹田ももこ 辻春花 深山圭子 関口祐美 関口純子 小林由枝 宮崎知美
シャンソンダンセ ヤスロフ・サレンコ 秋元康臣 オリバー・ホークス
アダージェット マリア・アイシュバルト
ジュー ヤスロフ・サレンコ 秋元康臣 オリバー・ホークス
ラグ・マズルカ カリン・アヴェルティ 秋元康臣 オリバー・ホークス
アンダンティーノ マリア・アイシュバルト ヤスロフ・サレンコ
シャンソン・ダンセ 鷹栖千香 猪俣陽子
フィナーレ マリア・アイシュバルト カリン・アヴェルティ ヤスロフ・サレンコ 秋元康臣 オリバー・ホークス 鷹栖千香 猪俣陽子
これこれ、これが目当てで来たのですよ。昨年「オネーギン」で至高の舞台を見せてくれたシュツットガルト・バレエのマリア・アイシュバルトが客演、彼女にまた会えると思うといても立ってもいられなくて。ニジンスキーの妹、ブロニスラワ・ニジンスカ振付け。美術がマリー・ローランサンというアートな作品。わやわやと出てくる少女達の衣装が濃いピンクとオレンジで、これが趣味に合わなかったけどなんか妙に軽くてモダンな作品で、面白かった。マッチョ3人組の中央のサレンコは回転ジャンプの後の着地が乱れがちだったけど、秋元くんはばっちり決めていた。痺れを切らした頃に登場したアイシュバルト、太ももをあらわにしたコスチュームで結構逞しい脚をしているだなあと思ったが、麟として姿勢が美しく、NBAのダンサーと一線を画す。ポワントでトゥトゥトゥ...と通り過ぎていく振付けが多いのだけど、アラベスクのポーズがバチッと決まった時はため息が出た。
・ポロヴェッツ人の踊り
ポロヴェッツの隊長 リー・セイラク
捕われの人 鷹栖千香 他
ポロヴェッツの少女 原田貴子 他
バレエ・リュスの何たるかを全然わかっていないながら、バレエ・リュスらしい演目だなあと思った。衣装が凝った作り過ぎてバレエ度は下がると思うのだけど、総合芸術、いや娯楽性を優先した演出なんだなと。リー・セイラクさんは韓国出身のダンサーなのですね。彼が舞台を引っ張っていた。
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3月の舞台鑑賞予定
3月はちょっと多忙で、合間を縫って舞台に行きます。
・3/1(日)トリプル・ビル(マチネ)@セルリアンタワー能楽堂
チケットをまだ発券していない〜。兵庫でハンブルク・バレエのマチネ公演があると聞いたが、残念、かぶってしまいました。
・3/4(水)クラウド・ゲイト・ダンスシアター「WHITE」@オーチャードホール
すごい前の席なので色々な意味で不安っ。
・3/22(日)勅使川原三郎「ダブル・サイレンス ―沈黙の分身」@シアターコクーン
勅使川原さんの去年の公演は評判が高かった。楽しみ。
・3/27(金)小野寺修二「あらかじめ」@青山円形劇場
絶対遅刻すると思うけど、チケット取らずにはいられなかった。
・3/29(日)新国立劇場バレエ Ballet the Chic
他に観たい公演があるのだけど、ナチョ様の作品が取り上げられているので、行かないわけにはいくまい。
あとはまだチケット取っていないけど、これらを忘れないこと。
・井手茂太「コウカシタ」@あうるすぽっと 3/14-20
・珍しいキノコ舞踊団×plaplax「The Rainy Table」@シアタートラム 3/19-22
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2009年2月24日
ハンブルク・バレエBプロ「椿姫」 2/18
「人魚姫」に続いて、ハンブルク・バレエ2009年公演「椿姫」に行ってきた。平日休みに神奈川県民ホール、終演後まっすぐ帰ったけどそれでも帰宅は11時近くて、当日感想を書く元気はとても出なかった。いったん書きそびれるとどんどん日にちがたってしまうもの、そろそろ1週間になるので舞台の細かい記憶は霧のようになってきた。ただし、強烈なラストの感動は、忘れたくても忘れられない。すごかった。
アルマン・デュヴァール:アレクサンドル・リアブコ
マルグリット・ゴーチェ:ジョエル・ブーローニュ
老紳士デュバール:カーステン・ユング
ナニーナ:ミヤナ・フラチャリッチ
伯爵:ヨロスラフ・イヴァネンコ
プリュダンス:レスリー・ヘイルマン
N伯爵:ヨハン・ステグリ
マノン:エレーヌ・ブシェ
デ・グリュー:ティアゴ・ソアレス
オランピア:カロリーナ・アギュエロ
ガストン:アルセン・メグラビアン
舞台美術・衣装がユルゲン・ローゼというのは事前に知らなくて、配役表を見て胸を躍らせてしまった。シュツットガルトが素晴らしかったから。今回は大道具的なものはあまりなくて、家具がいくつか、で部屋の情景を暗示し、あとは衣装で物語を展開させていく感じだった。プロローグのマルグリットの家の競売で出てくる紫のドレス。映像で見たことがあって素敵だなあと思っていたのだけど、ユルゲン・ローゼだったのね。社交界の華のマルグリットのイメージにぴったり。このドレスを着たマルグリットとアルマンの出会いで、ドラマは幕を開ける。
マルグリットのジョエル・ブーローニュは、正直言ってあまりいいなあと思えなかった。顔立ちが、ちょっときつい。姐さん顔。演技は上手いけど、足音が大きいのが気になった。アルマンのアレクサンドル・リアブコは、エトワール・ガラで見た時と同じ、そのまま。でもすっかりアルマンになり切っているのだな。1幕の鏡のPDD、あんな犬みたいな男はどうだ、と思っていたけど、リアブコの迷いのない一途さは清々しい。そりゃ世間の荒波を知っているマルグリット姐さんも、ぐらぐらっと来るなあと。ブー






































