2010年3月10日
ジョン・ルーリー ドローイング展
ワタリウム美術館で開催中の「ジョン・ルーリー ドローイング展 John Lurie YOU ARE HERE」に行った(5/16マデ)。この展覧会のことを知った時はびっくりしたなあ。学生時代彗星の如く現れたインディーズ映画の巨匠、ジム・ジャームッシュ。彼の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」の録画をオサレ映画のバイブルのように何度も何度も繰り返し見ていた当時の私は、ブニュエルのフィルムの上映会があると聞けばいそいそと出かけていくような、ややマイナーだけどアーティスティックな作品に憧れる類いの映画ファン。だった。
ジョン・ルーリーといえば、1984年のジム・ジャームッシュ監督の『ストレンジャー・ザン・パラダイス』で俳優として圧倒的な存在感を示し、私の周りでは『誰だ、こいつは?』という噂が一気に広まった。その直後に、本人が呼ぶところのフェイク・ジャズ・バンド「ラウンジ・リザーズ」も来日し、一部の熱狂的なファンを得るにはさほど時間がかからなかった。ー和多利浩一氏(ワタリウム美術館)のコメントよりー
なので最初は同姓同名の別人とか、有名ミュージシャンの手慰み・落書き程度の作品が展示されるのかと思っていた。いやいや。ワタリウム美術館らしくプリミティブで、美しいドローイングが館内にあふれていた。
《This is what I really call a message》
作家本人のサイト(音楽付き)にたくさん画像がある。一部プリント購入可。
http://www.johnlurieart.com/art/
ジョン・ルーリーは現在ミュージシャン、俳優、映画監督としての活動は行っていない。1990年代後半にライム病という難病にかかり、左手が麻痺しもうサックスは吹けないそうだ。絵を描くことは80年代からやっていて(バスキアと描いていたとか)、CDのジャケットなどに使うことはあっても発表はしていなかった。2004年にAnton Kern Galleryではじめて作品展示。
彼の絵の、色の使い方が好きだ。特に青や緑やオレンジの組み合わせが好み。80年代のNYで時代の寵児として好き勝手やっていたんだから、相当スレた人だと思うんだけど、作品の印象はイノセント。魂を意識的に浮遊させてイメージを紡ぎ出している。病的な感じはない。人物や動物は極端に戯画化されていて、添えられたコメントを合わせると諧謔的だ。でも毒はないのよね。私自身が根が楽観的な人間なのでそう思うのかもしれないけど、ジョンは世界を美しくて楽しいところと捉えている気がする。なので波長が合うのかな。こんな絵を家に飾りたいと、結構真剣に思った。原画がいいんだけど、高いだろうなあ・・・。
Flickrで割と最近(2007年up)のジョンの写真を見つけた。1952年生まれだから今57、8歳か。素敵なおじさんになっている。
http://www.flickr.com/photos/westholme/563310459/
ストレンジャー・ザン・パラダイス [DVD]
ジム・ジャームッシュ 
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2010年3月 3日
曜変天目と付藻茄子―茶道具名品展―
静嘉堂文庫美術館で開催中の「曜変天目と付藻茄子―茶道具名品展―」に行った(3/22マデ)。古典・コンテンポラリーに関係なく美術品を見るのは好きだが(同じく舞台も)、静嘉堂文庫の茶道具は飛び切り美しい。なにしろ初訪なものだから、興奮しました〜。
曜変天目、および唐物茄子茶入の「付藻茄子」は、中国からの将来品である「唐物」のなかでも格別に扱われ、大切に伝えられてきた茶道具の至宝です。
本展は、この両作品に代表される静嘉堂の茶道具から、とくに由緒伝来の明らかなもの、造形的な美しさを兼ねそなえた名品を中心に、鑑賞の歴史、賞玩されてきた作品の風格と美を、ご紹介するものです。
黒釉茶碗の内面に、窯変によってあらわれた多数の斑紋が星のように輝く。これが神秘。現物を見ると想像より小ぶり。そして天目形(なり)という端正なフォルムと、すっと削られた高台がシャープ。きらきらモノが好きなので釉薬を拡大して眺めるといつも陶然としてしまうのだが、さらに斑紋のまわりの瑠璃色の光彩を追うことで、とてつもない眼福にひたれる。とても人の手の作ったものとは思えない。家光が春日局に下賜し稲葉家が秘蔵、巡りめぐって岩崎小彌太氏が入手。歴史と共に大切にされてきた至宝。残りの曜変天目茶碗は京都・大徳寺龍光院、大阪・藤田美術館にあるそうだが、大徳寺のは公開されないらしい。
びっくりです。大阪夏の陣で大きく損傷して回収された破片が当時の塗師により漆で繕われ復元されたそうだが、見た目全然わからない。X線写真を見てから現物を拡大観察しても、やっぱりわからない。陶器の肌合いそのもの。超絶技巧の職人がいたものだ・・・。
下のお盆に注目。小堀遠州が添わせたという宋代の堆黒(ついこく)魑龍菱盆(ちりゅうひしぼん)。堆黒は彫漆(ちょうしつ)の一種で、漆を塗り重ねて文様を彫る。堆朱もあり。お勉強した。中国から日本に伝来したが、非常に根気のいる作業なので鎌倉彫が生まれたとか?
とにかく美しいものが多かった。花入れひとつ取っても趣のある品で足が止まる。釜など興味なかったが、伝大西浄清《舟形釜》は珍しい舟形で斬新。根来の茶器の手擦れ具合がなんとも。仁清の《色絵吉野山図茶壺》は漆黒をバックに、夜桜が燃えるように紅い。そして曜変天目以外にも、美しいお茶碗が続々・・・。井戸茶碗の味わいは今までよくわからなかったのだが、枇杷色の《越後》は素直に綺麗だ!と思った。堅手茶碗《秋かぜ》は白磁に近い焼き成り、薄手の造りやほんのり水色の釉の硬質なイメージと大胆なゆがみによる有機的な風合いが相反せずに、不思議な雰囲気。玉子手茶碗《小倉山》は卵の殻のような釉肌と言うが、たしかに殻のように薄いけれど、「雨漏」の景色が紅葉に見立てられるとはなんて豊かな表情を持つこと。長次郎の黒樂《紙屋黒》はあたたかく、道入の赤樂《ソノハラ》は明るい。そして油滴天目の銀色に煌めく油滴斑は渋く華やか。曜変とは全く違った朝顔形で、内側だけでなく外側にも派手に斑紋が飛んでいるのが驚き。
お庭も素敵でした。
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2010年2月26日
京都の美術館
つい5日前なんて嘘みたいに記憶がうすれつつあるので、先日の日帰り京都で訪ねた美術館をメモ。まだ寒かったけど、気持ちよく晴れていて。死ぬほど歩きました。四条から清水まで歩いたと友人に報告したら、「足が棒になったでしょ」と。京都に行くとどうも必要以上に張り切ってしまう。
・「世界遺産 金閣・銀閣 寺宝展」―墨蹟・絵画・茶道具の名品―@相国寺承天閣美術館(3/22マデ、600円)
ここ数年で何度も行っているので若冲がわんさかあってもあまり感動しなくなっているのだが(罰当たり〜)、《中鶏左右梅図》は素敵だった。最近の好みは陶芸なので、明の《七宝花唐草紋蓮華形水指》が今回のお気に入り。4/3から「-江戸の粋・明治の技-柴田是真の漆×絵」展が始まります。関西の方、必見。お庭の紅梅が綺麗だった。
・「茶の湯 新春の宴」@樂美術館(3/22マデ、700円)
初訪。行きたかったのよね〜。しかし地図で見ると相国寺の近所なのに、実際に歩くと遠かった。それでも辿り着いて清楚なお庭や館内のそこここに飾られた生花を拝見すると、気持ちが和む。おもてなしの心。取り合えず樂歴代の作品を見てまわったけど、「手にふれる樂茶碗観賞会」とか「特別鑑賞茶会」とか結構な企画もやっているようで、茶会は敷居が高いけどあのほっこりしたお茶碗には是非触れてみたいもの。
・「鉄鐔の美 part1~洗練されたデザインの魅力 透かし鐔の世界~」@清水三年坂美術館(2/21デ終了、500円)
幕末、明治の金工、七宝、蒔絵、薩摩焼を常設展示する憧れの美術館。初訪。去年の東博「皇室の名宝」で人気を博した有線七宝の並河靖之の作品を数多く有すると聞いていたが、他にもお宝がわんさか。特に今までまとめて見たことのなかった金工の精緻な技を目の当たりにして、異様に興奮した。企画展の透かし鐔は、硬い鉄を鏨(たがね)で彫って作る(鋳造だともろくて実戦で割れてしまう)。実用品なのにデザインが洗練されていて、職人の格を感じた。
ここの次は河井寛次郎記念館を狙っていたのだが、時間切れで次回へ。冬季休業中の並河靖之七宝記念館にも、いずれ行ってみたい。
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2010年2月23日
愛のヴィクトリアン・ジュエリー展 華麗なる英国のライフスタイル
Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されていた「愛のヴィクトリアン・ジュエリー展」を観た(2/21デ終了)。良かったです。工芸品は日本のものが一番!と思っていたけど、細工の繊細さには舌を巻いた。さすがだわー、イギリス。
本展では、英国王室にまつわる宝飾品や著名なコレクションをはじめとする、ヴィクトリア時代を中心とした技巧を凝らしたジュエリーの数々をご紹介します。併せてこの時代のウェディングの装いや、英国の生活文化の一つとして広く浸透していったアフタヌーンティーの豪奢な銀器によるテーブルセッティング、さらに繊細な模様を手仕事で仕上げたアンティーク・レースなど約300点により、華麗なる英国伝統文化の粋を展開いたします。
かぶりつきで見たのはアンティーク・ジュエリー。細工の種類が豊富で、面白い。こういうゴージャスなのもいいんだけど・・・
ターコイズやエナメルを使うとこんなに可憐にリリカルに!
「芥子」と呼ばれた小さなシードパールは、いくら凝っても清楚。
カメオは身につけたいというより、書斎で(なぜ?)ひそやかに愛でたい。
これは象牙細工。お見事っ。
こうやって見ると、富の象徴であったGoldが多用されているとは言え意外と素材はチープ。職人の技がモノを言う世界は、明治の工芸に似ている感じがする。
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2010年2月21日
森川穣「雨の降るを待て」「確かなこと」
日帰りで京都へ。どうしても気になる若い作家さんの個展があって。彼の作品を見るのははじめてだから、保険として行程にいくつか好みの美術館を入れておいたけど、合わないんじゃないかなんて杞憂だった。久しぶりに、作品を通して自分の内面に向き合えるようなアートに出会った。
・「雨の降るを待て」@studio90(2/24マデ)
studio90を訪れるのは2回目。studio90第3回展田中真吾「灯に照らされた闇」の印象は強烈で、同日に見た内海聖史さんの個展「Voyager」 の《吽》よりも記憶に残っているほど。3人の若手アーティスト(全員1983年生まれ〜)が制作と発表の場として、おそらくスポンサーなしに運営するアトリエで、自力で活動を続けて行こうとする彼らの前向きな姿勢がとても好ましい。今回の森川さんの展示はインスタレーション。具体的にはmemeさんの記事に詳しいけど、内包するものがすごく大きい作品。人間の視覚の特性を利用して、鑑賞者の視線を展示物にくぎ付けにする。そして100日という時間(その長さに特に意味はないそうだが)をまるごとそっくり投げ出してみせて、その重みをじわじわとこちらに伝える。しかも幻想的で美しい。私の場合、この100日間、楽しいことがたくさんあったなあとしみじみ幸せを噛みしめるというおめでたい人間なわけだけど、さらに時間があれば自分の内面を深く深く探求し続けることができたのではないかな。ぼーっと眺めているだけで飽きない作品だし、はじめからやり直して見たい、とも思ったし。
アートは人を感動させるもの。優れたアーティストは人間心理に深い洞察力があって、自分の思うように鑑賞者の心を操るのだとどこかで読んで、納得したことがある。森川さんから直接制作の経緯を伺って、彼はとてもクレバーな人で、確信犯なんだなあと思った。
・公募京都芸術センター2010「確かなこと」@京都芸術センターギャラリー南
(2/24マデ)
こちらはstudio90開廊記念展 森川穣「彼の地」(未見)からつながる作品。「地霊」という言葉を聞いてゾクゾクした。「雨の降る...」とは対照的に、時間を超越してる感覚。でも、スリットを通して見るという視覚の制限が、やっぱりある。京都芸術センターは、廃校になった小学校の校舎をそのまま利用している。この明倫小学校は明治時代に地域の豊かな住民が出資して造ったという瀟洒でレトロな建築で、建物を眺めるだけで楽しい。森川さんはここの床下に注目して作品の素材を抽出し、当日はさらに床下に響く物音をひろって会場に流していた。サウンド・インスタレーションだ。想像力を広げれば広げるほど還ってくるものが大きい、フレキシブルな作品だなあと思った。
ランチの写真も撮ったけど、「また」と言われそうなので割愛。
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2010年2月17日
ポーラ美術館「ガレ、ドーム、ティファニーのガラス ―花ひらくアール・ヌーヴォー」
箱根のポーラ美術館に行ってきた。2度目。メインの企画展は「ボーナルの庭、マティスの室内 日常という魅惑」(3/17マデ)で、これはポーラの素晴らしい所蔵作品中心の美しい展覧会だったが、常設展示もまた魅力的で。日本画・洋画・工芸品と幅広く、かつレベルの高いコレクションを楽しんだ。
特に興奮したのがこれ。「ガレ、ドーム、ティファニーのガラス ―花ひらくアール・ヌーヴォー」(3/17マデ)。ガラス工芸、好きなのだ。元々キラキラしたものに弱いし、最近は古代ガラスの妖しい輝きに魅了されている。名和さんのPixCellシリーズが好きなのも、同じ流れか(え、工芸扱い?)。
19世紀末から20世紀初めにかけ、植物をはじめとする自然界の生命を生き生きと表現したアール・ヌーヴォー。本展では、当館のガラス工芸コレクションの中から、アール・ヌーヴォーのガラス工芸作家であるガレ、ドーム兄弟、そしてティファニーによる、植物をモティーフとして制作された華麗な作品の数々をご紹介します。
展示の大半はガレ。ガラスの色絵って違和感を感じるので、無色透明地にエナメル彩で線の文様を描く作品より、色ガラスに輪郭の曖昧な模様、プラス彫刻など入っているタイプが好み。工芸分野の芸術品って言い訳が許されないというか、美しくないものは見向きもされない(個人の好みにもよるが)。潔いよね。そしてとてつもなく美しい作品は、時代を超えて大切に愛され続ける。ガレはガラスに命を吹き込んだ。
作品数は少なかったけど、ティファニーのラスター彩にはノックアウトされた。今まで見たラスター彩の中で、ずば抜けて洗練されている。さすがティファニー家の息子、フォルムもかっこいいのだ。この人はステンドグラスなども手がけているらしい。見たいなー。
ドーム兄弟はガレのよきライバル。装飾的でガラスの透明度が低い作風だったように思う。
さてさて。レストラン「アレイ」でいただいたランチ。ミュージアム特製シーフードカレー、ほどほどに辛口で美味しゅうございました。
この日の芦ノ湖周辺は小雨で霧にけぶって神秘的な感じ。箱根神社や箱根プリンスや大涌谷もまわった。とても楽しかった。
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2010年2月15日
最近行った美術展
最近は美術展に行ってもすぐ感想を書かないものだから、何を見たのか忘れてしまうという末期症状が。コレら↓を思い出すだけでかなり時間がかかった。
・イタリアの印象派 マッキアイオーリ@東京都庭園美術館(3/14マデ)
イタリア語で「マッキア派の画家たち」展。1850-60年代にトスカーナで活躍した脱アカデミスム一派とのことだが、光につつまれたやさしい風景画が多くて、すごく和んだ。本年度最後のぐるっとパスを使って、もう一回見てきたい。
・第58回東京藝術大学卒業・修了作品展(2/3で終了)
ここ3年くらい続けて見ている(ミニスカ網タイツの某美人画家とすれ違った年も)。いつも日本画の立派さに感心するのだが、今年もよい作品が多かった。全体的にちょっと暗いような気もするけど。楽しいのは工芸で、たしか高山さんという方の、あれは彫金??の花瓶みたいなのが渋くて素敵で欲しいと思った。
・MOTアニュアル2010:装飾@東京都現代美術館(4/11マデ)
コレも2006年から毎年見ている。どうも気になるので開催2日目に行ってしまった。伝統工芸が好きなので、使用目的のはっきりしない「装飾」はツボから外れるが、例年よりスキルの高い作家の作品が見られたような気がする。山本基さんが淡々とライブ制作をやっていた。MA2ギャラリーで作品だけ見たことあったが、あれはまさしく職人技だ。松本尚さんの油彩が明るくてキレイだった。やっぱり平面は馴染みがあるからよいのか。お目当ての塩保朋子さん、スカイザバスハウスの個展での、真っ白なギャラリーの壁に落とされた影の文様は神々しく美しかったが、今回は暗闇の中に浮かぶ光のモザイクという演出は私のイメージには合わなかった。
・Quadruple Emulsion@サボアヴィーブル( 2/24マデ)
六本木アクシスビルにある、現代作家の陶磁器やガラス器などを扱う店。奥のコーナーでよく個展をやっている。今回は坂田あずみさん(刺繍)、鈴木亘彦さん(ガラス、ミクストメディア)、田中俊之さん(ガラス彫刻)、鶴田比呂彦さん(鉄彫刻)の4人展。鈴木さんの作品は京橋のギャラリー椿でも拝見したことがあって、丁寧に造られた硝子細工のオブジェが抒情的で美しい。坂田さんの刺繍作品は絵本のようなかわいらしいデザインだけど配色はシックで、独特のニュアンスがあった。
・クリストとジャンヌ=クロード展@21_21 DESIGN SIGHT(4/6マデ)
なぜか開催初日に行っている私(笑)。彼らの作品のことは知識として知っていたけど、写真や映像を見てその新鮮な美しさに感激。クリスト氏を見かけたが、目の綺麗な人だった。ドキュメンタリー映画が曜日変わりで上映されているので、行ける日のは全部見たい。21_21の会員になっている。
網代でいただいたアワビ〜♪ さっきまでうねうね動いていたのに、あっという間にごちそうに!
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2010年2月12日
名品展特別企画「光琳屋敷ご案内」@MOA美術館
梅の季節、熱海に行ってきた。梅まつり開催中の熱海梅園も賑わっていたが、お目当ては尾形光琳の「国宝 紅白梅図屏風」を公開中のMOA美術館。初訪。運の良いことに、ちょうど光琳屋敷の内部ツアーを開催していたので、参加させていただいた。
所蔵 名品展 ― 国宝 紅白梅図屏風 ―の開催期間中、下記の日程で、尾形光琳が京都で自ら設計し、終の棲家とした「光琳屋敷(復元)」の内部をご案内します。
日程:平成22年1月13日、2月3日、10日、17日、3月3日
時間:11:00~、13:30~
会場:MOA美術館茶苑内 光琳屋敷
参加費:無料(入館料別途)
集合:各回とも10分前から先着15名様まで受付/所要時間は約30分
梅も見頃。
洒落たたたずまい。
昭和60年MOA美術館開館3周年を記念する事業として「光琳屋敷」の復元が行われました。 「光琳屋敷」は、尾形光琳が自ら書いた図面と、大工の仕様帖、茶室起し図(いずれも重要文化財)などに基づき、 数寄屋建築研究の権威、堀口捨己博士の監修によって復元されたものです。
玄関を入ると、11畳の書院。床の間が入り口側にある不思議な設計。ここに、な〜んと《紅白梅図屏風》の複製品が。現物より色が鮮やかで、この瀟洒な邸に実によく映える。なんかあるべき所にあるって感じ。
茶室、居間、奥次の間、奥の間、化粧の間の襖にも各種光琳模様。
茶室「青々庵」は三畳台目。ひとりでぼーっとするにはいいけど、主人と相対するには緊張する狭さだ。ここで光琳が・・・と想像するととても楽しい。2階には上がれなかったけど、16畳の絵所(アトリエ)があるそう。
建築としても、風情があって素敵。
最後はお約束。お隣の花の茶屋にて。あったまりました〜♪
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2010年2月 4日
白金アートコンプレックス
某ブログの魅力的な写真に惹かれて、白金のアートビルを久々に訪れた。あれれ?何かギャラリーが増えてる。後で調べて知ったのだけど、去年の4月に従来の「児玉画廊」「山本現代」に「NANZUKA UNDERGROUND」、杉本博司氏の「新素材研究所」と「榊田倫之建築設計事務所」、「London Gallery」が加わって、白金アートコンプレックスとしてグランドオープンしてたのだ。うーん高橋コレクション移転後も訪れていたような気はするんだけど、気づかなかった。取りあえず1Fの児玉画廊さんから、お邪魔しま〜す。
・児玉画廊コレクション ignore your perspective 9(2/13マデ)
たくさんの濃厚な抽象画が、真っ白な画廊の中にところ狭しと溢れてる。油絵具の上にスライムみたいなのがべたっとついていたり「ひも」がはり巡らされていたり。マチエールが摩訶不思議。画廊全体が別世界。今時のファインアート。このギャラリーが扱うような油彩に対する鑑識眼は、私にはまだなさそう。
・NANZUKA UNDERGROUND
渋谷にあった頃入ったことがある。ここもグループ展やっていたのだが(2/6マデ)、撮影中だったので遠慮した。横山裕一さん、G-tokyoでちょっと注目したなあと後から後悔したけど。
・山本現代「大竹司 ビニル」(2/6マデ)
実はこちらが目当てだったんだけど、実物を見るとイメージよりポップと言うか、アニメふうだった。動物モチーフが多くて、独特の世界観。まあ欲しいタイプではありませんでした。
・ロンドンギャラリー
ここ!ブログに書きたかったところ!素敵だった〜♪ いやエレベータを降りたらいきなりガンダーラ仏が目に入って、反射的に「古美術だ!場違いっ」と思ったんだけど。ギャラリーの女性が可愛くて感じ良くて、優しく中に導き入れてくださった。広々としているので、カバンをぶつけるとか心配せずにゆったり鑑賞。すごーく立派で大きな仏像がいくつもあって、一体おいくらなんだろうなんて、うっかり聞くこともできない。屏風(もしかして等伯?)やら掛け軸やら工芸品も。ハイソな雰囲気に圧倒されてぺこぺこ頭を下げながら退出しようとすると、「あの掛軸は杉本博司さんのものなんですよ」となんて教えてくださる。え?若い頃に撮られた華厳の滝の写真を額装されたとかで、渋い。売っていらっしゃるんですかと尋ねると、「こちらにある作品は値段の付けようのないものばかりで...」と説明され、あらためて恐縮。小品の販売は西麻布のギャラリーの方で行っているそうで、ここはビューイング・ルームとか。更に内装を杉本氏が手がけられたと聞いて、ギャラリー小柳での氏の個展を思い出す。そう言えば、この綺麗なギャラリーの写真、見たなあ。ああ素敵・・・。帰りは階段を使おうと思ったが「セキュリティのためエレベータのみ」と言われ、だよねーとまたまた小さくなって頭を下げながら出てきた。でもいい思いをした。美しいものにふれて、大変よい気分。
帰り道、「花ほうろ」という盆栽やら花器やら備前焼きの器を扱う店に立ち寄り、更にご機嫌。ミニ盆栽が手頃なお値段だった。白金って楽しい♪
全然関係ないのですが、同じ日に行った四谷のフクナガフルーツパーラーの季節限定いちごパフェ。美味。限定って言っても苺の季節は割と長いので、3月までいただけるそう。この週末から13日まで、改装のため休業されるとのこと。
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2010年2月 2日
川端龍子名作展 龍子と建築~描いたものと建てたもの
大森の龍子記念館で「川端龍子名作展 龍子と建築~描いたものと建てたもの」を観てきた(1/31デ終了)。この記念館は建築好きの龍子自ら設計した私設美術館だったが、平成3年より大田区の施設に。隣接する龍子の居宅跡地も公園として保存され、日に3回見学ツアーを行っている。龍子の作品をまとめて見るのははじめて、もちろん龍子記念館も初訪だったが、今まで遠い存在だったこの日本画の巨匠を身近に感じることができて、とてもいい時間を過ごすことができた。
龍子と言えば大作主義の作家だが、本展では《龍子垣》《海洋を制するもの》のような巨大な作品だけでなく、建築スケッチ風の小品も多く出展されていた。これが巧い。走り書きしているようで、自分の捉えた印象をしっかり形にしているのが一目でわかる。《水車》など、地味なのになぜかはっとする造型。大変記憶力に優れたひとだったらしいのでこれは単なる写実ではなく、龍子の眼というフィルターが作品に力を与えているのだろう。例えばこの《稲妻》、三重塔が非常に精密に描かれているが、カクカクっとした稲妻と鋭い雨の線が画に緊迫感を与えていて、背筋がのびる。
《日々日蝕》という作品は古びた家とビルが描かれた作品。地味〜な色合いながら押し出しの強さが感じられるのが不思議。ふと現代作家の大岩オスカールさんの初期の作品(北千住のアトリエで描かれていた頃)を思い出した。大岩氏も大作主義であり、下町の暗い色彩を通して揺るぎない生命力のようなものを感じさせた、ポジティブなアーティストだ。
こんな鮮やかな作品もある。この構図、前景にでーんと一番目立つ籐椅子が置かれて言葉は悪いが傍若無人な感じもするのだが、画家のプライベートな視線を共有しているような楽しさもあり。
旧居、画室、立派な庭園のある龍子公園にもお邪魔した。龍子自ら設計し、増改築を重ねた晩年のアトリエ兼住まい。館員の女性が「龍子せんせいは、」と親しみをこめて巨匠の建築お宅ぶりを紹介してくださるので、楽しい。この界隈は馬込文士村と呼ばれた地帯だが、龍子が居を構えた頃はまだ開かれていない湿地帯で、設計も湿気対策に重きが置かれたとか。床下の通気口など、よく見れば確かにユニークな造り。竹を多用した垣根や軒下や天井、一枚板の縁側など、建築材にも龍子のこだわり。あちこちに隠された龍のモチーフ。独特の採光、大きなガラス戸、明かり取りの窓の凝った模様など、洒落ている。古仏(なんと重文指定)を所有し持仏堂まで作っていたとは。
洋画から日本画に転向し、これを独学で習得。写実を重んじた日本画壇においては異端扱いされたが、「会場芸術」を主張して大作を産み出し続ける。「青龍社」を旗揚げして若手の育成にも尽力。梅のほころぶ晴れた冬の日に、龍子の熱く豊かな人生に触れてきた。
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2010年1月31日
G-tokyo 2010
森アーツセンターギャラリーで開催されていたG-tokyo 2010に行った(1/30,31)。現代アートのアートフェアだ。最近多いけど、今回のは出展ギャラリーが有名どころばかりで、「弐代目・青い日記帳」「What's up, Luke?」の内覧会記事で質の高さは確認済み。て言うか「見るだけ」アートファンには過ぎたる内容。入場料1,000円で、総額いくらのアート作品を拝見したのやら。計算するのがコワイです。
アートフェア入場に先立って、トークセッション「アートと建築:今わたしたちが表現したいこと」に参加。アカデミーヒルズ内のスタジオで行われた、第三部 石上純也(建築家)×名和晃平(アーティスト)の回。50分ほどの短いセッションだったが、名和さんの「口調はおっとりしてるけど切れ味抜群」のトークに興奮する。今まで何度も作品のコンセプトを語られるシーンに遭遇しているのだが、その都度驚きがある。活動をはじめて10年、去年のL_B_Sは節目の個展だったというお話を聞いて、大いなる予感に胸が震えたりして。質問コーナーでのコンセプトをクリアにするためビーズの透明性にこだわるというコメント、それ自体の明快さに唸った。
さて展覧会。すべて新作と聞いているので期待大。参加ギャラリーは
アラタニウラノ
ギャラリー小柳
ギャラリーSIDE2
ヒロミヨシイ
ケンジタキギャラリー
児玉画廊
小山登美夫ギャラリー
ミヅマアートギャラリー
オオタファインアーツ
SCAI THE BATHHOUSE
シュウゴアーツ
タカ・イシイギャラリー
TARO NASU
ワコウ・ワークス・オブ・アート
山本現代
名和さん贔屓で言うわけじゃないが、スカイの展示が一番好み。「テクスチャーと光」というタイトルで、藤井秀全さんのLEDを用いた作品が綺麗。他、カプーア、宮島達男、嵯峨篤志、神馬啓佑。名和さんの金の観音様PixCellビーズはゴージャスでした。グルーガンドローイングは余白が印象的。
ミヅマは山口晃さん個展「柱華道」。大変な人気。あんなにたくさんの新作、身を削られて描かれたのではと心配になってしまうほど。完売ですって...。ご本人が腰を低くして販売本にサインされていた。ワコウ・ワークス・オブ・アートのリヒターが素敵。意外とめったに行かない(というか移転後行ったことない)TARO NASUに惹かれる作品が。ギャラリー小柳のエリアソン、金沢に行く予定がないだけにしげしげと見てしまう。メカっぽい。
既知の作家が多いながら、ふだんなかなかギャラリー巡りできないので、鑑賞効率のよいアートフェアだった。Twitterでは「つまらない」という発言が結構あったけど、ギャラリー側のターゲットは私のような庶民じゃないので、黙って見せてもらえるだけラッキーと個人的には思っている。
さて今日のブランチ@Roy's東京バー&グリル 。
3,500円でフレッシュジュースとコーヒーまで。
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2010年1月28日
最近行った美術展
舞台鑑賞エントリが続いてしまったので、アート関係をふり返る。
えーと先週は大森の川端龍子記念館にも行った。初訪。「龍子と建築~描いたものと建てたもの」と題した展示をやっていて、なぜか大岩オスカールを思い出したことなどブログに書こうと思っていたのだが、まだ下書きのまま。
日曜はさいたま芸術劇場に行く前に鎌倉突撃という無茶。「内藤礼ーすべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」見ました!根性で、最終日に。う〜ん気持ちがあせっていたせいか全然ひたれなかったなあ・・・。ドアを開けた瞬間「あ・素敵」と思ってそれで終わりだった。
昨日は国立新美術館の「ルノワール―伝統と革新」展に行った。10:30頃入館したけどすでに結構な混雑。ひとつの絵の前に5〜10人が並ぶ感じで、でもハコが大きいので息苦しい感じはなく楽しくルノワールを味わった。やっぱり《団扇を持つ若い女》が綺麗だったな。《縫い物をする若い女》も好き。よそではあまり見ない静物画もあって、おだやかで素敵だった。東京国立近代美術館の「ウィリアム・ケントリッジ——歩きながら歴史を考える そして ...」も行ったけど、2006年森美術館で開催された「アフリカ・リミックス」展で見た時のようなインパクトはもうなかった。当たり前か。まあ森美で見たのは21世紀以前の作品で、彼のその後を知ることができて有意義だった。基本的に好きなタイプだし。
ということで、この写真は神保町のボンディ(本店じゃない方)の野菜カレー。古本屋巡りのあと。地元のデリーよりルーが全然美味しい。当社比。野菜の火の通り加減もよろしいし、ご機嫌。Twitterでの質問にお答えしてませんでしたが、相変わらずふかしたジャガイモがついてきます。これも好き。メニューにも載っているので追加可能。でも食べ切れないですよね。
だってデザートも必要だし。
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2010年1月24日
館蔵 茶道具取合せ展@五島美術館
五島美術館で開催中の「茶道具取合せ展」を観た(2/14マデ)。ビバ、初訪。
展示室に当館の茶室(古経楼・松寿庵・富士見亭)の床の間の原寸模型をしつらえ、館蔵の茶道具コレクションから約60点を選び展観する。茶匠の茶会記などを参考に道具の取合せを再現(会期中展示替あり)。
いいお茶碗がいくつか見られればいいなくらいに思っていたのだが、五徳やら灰器やら炉縁まで展示されているのを眺めていると茶道のいろはのい、くらいは会得できそうな気がしてくるから素人は怖い。慶太翁の蒐集は茶道具より書画・絵画が先行していたそうで、あちこちにさりげなく茶匠の消息が掛かっているのもかっこいい。《茶室起絵図》なる折畳める紙の茶室模型などもあり。地味に楽しい。
目を引くのは愛らしい香合。《桐鳳凰蒔絵螺鈿香合》、名前だけでその美しさ、わかりますよね。拡大鏡を通して見るちっちゃな鳳凰は私だけのモノ。離れがたい。《青貝布袋香合》もキラキラしてる。
茶碗はまだあんまり見たことのないのんこうもあってうれしいが、とにかくうっとりさせられたのは《光悦赤楽茶碗 銘 十王》
実物はもっとあかい。唇を寄せたくなるまろやかなラインと陶肌。シャープな腰つきの《光悦黒楽茶碗 銘 七里》とは雰囲気を異にする。井戸茶碗の良さは、わからない・・・。
さて、お庭にもデビュー。
五島美術館の敷地は約6000坪もあるそう。すっきりと調えられた中庭から多摩川方面へ斜面を降りていくと、雑木林の自然庭園のあちこちに石仏が。知らなかったので、びっくりした。
起伏に富んだ庭園内には池に茶室(非公開)に古墳が・・・。和風ワンダーランドだった。違う季節に、また行きたい〜。
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2010年1月21日
ボルゲーゼ美術館展
東京都美術館で開催中の「ボルゲーゼ美術館展」に行った(4/4マデ)。珍しく開催2日目の日曜の朝。この展覧会、目玉のラファエロ《一角獣を抱く貴婦人》のビジュアルがいい感じなので、結構混みそうな気がする。私の予想なんて全くあてにならないが。
イタリア・ローマ市北東部の広大なボルゲーゼ公園に位置するボルゲーゼ美術館。教皇・パウルス5世の甥であり、名門貴族であったボルゲーゼ家の枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼ(1576-1633)は、17世紀を代表する大パトロンでした。彼が収集したコレクションを基礎としたボルゲーゼ家歴代のコレクションは、世界に名だたるルネサンス・バロック美術の宝庫といわれています。
この美術館のあたりって高級住宅地なんですってね。ボルゲーゼ家の末裔なんかもお住まいなのだろうか。16世紀に生まれたシピオーネ・ボルゲーゼ氏はこんな方。
ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ《シピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿の胸像》
この大理石の胸像、あまりに生き生きしているのでびっくりした。手を伸ばしてほっぺをぷにゅっとつまみたくなるような、リアルさ。会場に流れていた美術館の映像では数多くの彫刻が認められたが、本展では残念ながらこの1点。シピオーネ枢機卿は古代彫刻を多く収集していたとか。このベルニーニは、同時代の卿のお気に入り。もっと見たい〜。そそってくれます。
そう言えばヴィラ・ボルゲーゼを色々な方向から描いたエングレーヴィングが何点か出ていて、版画好き・建築好きの心もくすぐってくれる。この建物はシピオーネ卿のコレクションを展示するために建てられた大理石ずくめの「白亜の館」で、教皇庁の迎賓館としても使われたのだそうだ。現在美術館は国の管轄。入館は予約制だそうだが、いつか訪れてみたいもの。
所蔵品としてはベルニーニやカラヴァッジョの諸作品、ラファエロの《一角獣を抱く貴婦人》(1505-06年)や《キリストの埋葬》(1507年)、コレッジョの《ダナエ》(1530-31年)、ティツィアーノの《聖愛と俗愛》(1514年)などが名高いそう。《一角獣を抱く貴婦人》は作品自体よりあそこまで修復できたという技術に驚嘆した(詳細は京近美のサイトに)。今回私が釘付けになったのはこの画。
レオナルドが描いたとされているがオリジナルは現存せず、模写によりその存在が伝わる作品。真に迫った筆致で、本当によくできている。本物がないのに「よく」と言うのも変だけど、現物を是非。レダのやわらかな顔つきとか足下の草花や小鳥、拡大鏡で見るべし。萌えますよ〜。
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2010年1月17日
日本・ポルトガル 修好150周年記念 没後50年 北大路魯山人展
日本橋タカシマヤで開催中の「没後50年 北大路魯山人展」を見てきた(1/18マデ)。魯山人の器は結構どこの美術館でも見るような気がするし(何必館が印象的)、この本を読んでから個人的に魯山人を「焼くことで焼きものを研究した人」という思いこみがあって(いや星岡茶寮で使うためにがんがん焼いたのだろうけど)、
魯山人陶説 (中公文庫)
平野 雅章 
この展覧会はまあどっちでもいいなあと思っていたのだが、たまたま時間が空いて行ってみたら非常に楽しかった。30分もいられなかったので図録を買っちゃったが、まあ2,300円でプチ作品集を買ったと思えば安い。
入館してすぐに青磁があったので「え」と思った。本当に何でも焼いちゃう人だ。でもそれより「おっ」と思ったのが濡額とか看板。
木彫りの素朴さと書体の面白さが調和してる。欲しい。書の展示にも注目してみると、何て言うか勢いがあって芯が通った、でも遊びもある立派なものだった。
これ、可愛くてしびれた。織部の暗い緑釉が私は好きでないのだが、このくらいならいい。土の味わいと絵付けの邪気のなさ、そして魯山人の手ののぬくもりをそのまま感じられるような造型が好ましい。ネタ元の本が手元にないのでうろ覚えだが、魯山人は名だたる陶工と一緒に備前か何かを焼いた時、轆轤なしの手びねりで見事な皿をつくって見せて皆に影響を与えたと読んだことがある。センスを感じる。こんな器があったら、毎日のごはんが楽しいだろう。
こういう綺麗な銀彩の皿がいくつもあって(画像は荒いけど)、キラキラしたものに弱い私は目が釘付け。使うより、1枚だけ飾って愛でたい。いや使うべきか。葉っぱの形をした銀彩皿にもろ胡瓜、合鴨ロースにからし黄身酢を添えたものをのせた写真が展示されていた。そうやって使うのか、これで鴨がとびきり美味しくなきゃ話になりません。葉皿というのには葉脈の筋がすすっと刻まれているのだが、備前にもそういう意匠の皿があって、こちらはざらざらっとした陶肌と手彫りの葉脈の組み合わせの妙を感じた。備前というのはひたすら地味で渋いようでいて、遊びが生きる土なのかなあと思った。やはり自然をうつしたデザインは嫌みがなくて素直に美しい。
もちろん大皿や大鉢もたくさんあり、ひとつひとつに自由な発想が感じられて素敵なんだけど、料理できずグルメでもなくの私にはどんな料理に合わせればいいのやら、さっぱりわからない。俎板鉢は魯山人が創った形なのだそうだが、あれは何となく使いやすそう。茶器の展示もあったが料理を盛りつけたくなってしまうのは偏見か。画は、あっさりしていていい。画が描けない陶工はまずいというようなことを語っていたそうだが、彼の器にふさわしい画を、描いておられたと思う。
焼きものは、平面美と立体美、デザインなどいっぺんに味わえて楽しい。あ、この展覧会の目玉のひとつは魯山人作の壁画だったんだけど、陶器が貼ってあったりして面白い造作でした。
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2010年1月11日
最近行った美術展
年が明けてからだらだらしてしまって書き損ねているが、いくつか美術展に行った。この間エントリを書いた川喜多半泥子展は昨年最後に見た展覧会。新年早々2日に出かけたのが東京都現代美術館の「レベッカ・ホルン展」「ラグジュアリー:ファッションの欲望」「Swedish Fashion」。レベッカ・ホルンのダンスの映像作品がツボ。ギャルソンも。常設の「具体」特集に白髪一雄が1枚あって、やっぱり良かった。3日は東博の本館常設。暮れに見ていたので「博物館に初もうで」コーナーを中心に。虎をあしらった工芸品に目が行った。
三井記念美術館の「柴田是真」展を再訪した。素晴らしい。ブリヂストン美術館の「安井曾太郎の肖像画」もなかなか。やはりひとりの作家の作品を、まとめて見るのは大切なことだと思った。ここでも白髪発見。混んでいるのでついつい行きそびれてた東博の「土偶展」にも行った。土偶かわゆい。
この連休は、まず国立新美術館の「DOMANI・明日展2009」へ。高野浩子さんの作品に出会えたのが収穫だった。大倉集古館で「能面・能装束展」を見てまだまだお正月気分。根来展の図録はまだできていないそうですね。泉屋博古館分館の「春の妝い」展も、ちょっと珍しい感じの虎図などあって、おめでたい感じで楽しめた。
なかなかいい感じです。写真は今日食べたランチ。デジカメを新しくしたので、積極的に撮るようにしている。
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2010年1月 5日
川喜多半泥子のすべて
松屋銀座8F催事場で開催中の「川喜多半泥子のすべて」展に行った(1/18マデ)。
半泥子の名は「名匠と名品の陶芸史」(黒田草臣氏著)という本で知った。荒川豊蔵から魯山人まで、明治〜大正〜昭和の近代陶芸の巨匠が13人紹介されている。貧しい中苦労して窯を築き奥さんが着物を質に入れて薪を手に入れ命がけで作陶・・・というストイックな生活を送った人が多く、陶工は修行者みたいなものだなあと思ったものだが、半泥子は毛色が違う。蔵に古陶がザクザクしているような大金持ちの家に生まれ実業家として銀行頭取など勤め、50歳過ぎてから本格的に作陶を開始。禅や茶の湯、古今の文芸に精通する「昭和の光悦」。光悦って、、、すごい誉め言葉だ。
半泥子はきっちりとした形状や、古陶の模倣は好まなかったそうだ。轆轤の名人ながら急所以外ではわざと気を抜いて、なんて言うかゆるく形を仕上げる。高台はなるべく削らない方が良いとか、土は単味がよいとか、自然体へのこだわりがある。ヒビ割れたら口縁に藁を巻いて焼いてみたり漆を流し込んで興を添えたり。自由人だ。よいものを知っていて、崩すことを知っている。造るものの種類も多彩で絵付けや染付け、磁器まで焼く。
焼きもの素人女子として気が惹かれるのはこういう色の綺麗なモノ。窯変によって現れたピンクと白。胴にあるのは指痕だそうだ。
磁器質の素地。高台側面や腰部のへこみは面取りの削り込み。
どうやって作るのか不思議...。
ふたつの窓。黒釉の「はね」を鈴虫に見立てて。金銀彩で秋草。地味華やか〜。
乾山ぽい。
高台のところの削りとか微妙な色合いとか土の感じとか、いい。実物は見飽きない。
写真ではダンディなおじさんだし、書画を見ると結構ひょうきんな半泥子。「こ、ここまで侘びるのか」というプリミティブな肌合いの茶碗もあったし、実に多彩な焼きものが見られた。わざとらしさ・いやらしさがない。数寄者という言葉は今ひとつぴんと来なかったものなのだけど、こういう才人の作品を見るとうなってしまう。
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2009年12月29日
2009年 美術展ベスト10
恒例です。今年は舞台鑑賞が忙しかったので美術展にはあまり出かけなかったはずなんだけど、そのぶん選んで行ったので好きなものが多くて、10コに絞るのに悩みました〜。本当は20位くらいまで言及したい。
1.皇室の名宝-日本美の華-1期 永徳、若冲から大観、松園まで(感想)・2期 正倉院宝物と書・絵巻の名品(感想)@東京国立博物館
《動植綵絵》の相国寺への里帰りの時のような感動はもう味わえないと思っていたけど、若冲の底力を甘く見ていた。ゴージャス!閉館間際の空いた時間に思う存分眺め倒せて、素晴らしい思い出になった。さらに帝室技芸員の華麗な技に酔い(悪酔いしそうなのもあったけど)、明治七宝などに興味を持つきっかけに。正倉院宝物に至ってはもう夢の世界だ。阮咸や鏡の螺鈿の美しさが目に焼き付いている。この展覧会のおかげで工芸品好きになってきたみたい。
2.THE ハプスブルク@国立新美術館(感想)
名品揃いだったけど、ドイツ絵画がダントツに好みだった。デューラーは巧過ぎる。なんだろう、写真よりも真に迫るって。肖像画の前で釘付けだった。クラナッハのサロメの肌はこの世のものならぬ輝きを有していて、化け物のようだった。
3.L_B_S/名和晃平@メゾンエルメス(感想)
あの巨大なエルクは私にとって今年を代表する作品。見る機会の少ないLIQUIDも良かったんだけど、2006年に原美術館で鹿頭のPixCellビーズに出会って受けた衝撃が蘇ったのだ。なんか、敬虔な気持ちになるんですよね、剥製のBEADS。そして巨大な水晶玉の中で蠢く光には、恍惚となった。ネオテニー・ジャパンのトランペット・ビーズの美しさも新鮮だったし、10月の個展「Transcode」(感想)では映像を支配してしまった名和さん。作品の完成度の高さは群を抜いている。
4.江戸の粋・明治の技 柴田是真の漆×絵@三井記念美術館(感想)
是真にひとめぼれ。今まで評価が高くなく、これだけまとめて作品を見られる機会は珍しいそう。コレクターのエドソン夫妻に感謝。多彩で高度な技を駆使しながら華美に走らない是真のセンスが素晴らしい。欲しいです。買えるものなら。
5.白髪一雄展 格闘から生まれた絵画@横須賀市美術館(感想)
抽象画は苦手と思いこんでいたので、この出会いで価値観が変わった。有無を言わせずストレートに胸に突き刺さってくる、色と形、絵具の質感。理屈ではなくて作家の精神の有り様がこういう絵になって現れたのだと思うが、そのポジティブさが見事。激しいだけでなく、あら綺麗な色ねーと思わせる余裕すらある。
6.放課後のはらっぱ 櫃田伸也とその教え子たち@愛知県美術館(感想)
櫃田氏の作品自体抽象と具象が入りまじった不思議な世界が心地よく、素敵だった。それにしても!「教え子たち」の面子がすごすぎ。しかも私の大好きな加藤美佳さんの超レアな作品が出品されていて、もうウハウハでした。加藤さんのあのエスキースとミクストメディア、また逢えるだろうか・・・。
7.束芋 断面の世代@横浜美術館(ダンス・ライブ「油断髪」の感想)
ダンスライブに行っただけでまだ展示作品は全部見ていないのだが、束芋さんの天才を感じさせる完成度の高さだったので、急遽ここに入れた。1年待てない。要はアニメとドローイングなんだけど、原美術館とかシャネルモバイルアートとかネオテニーとかギャラリー小柳とかで見たものと同じとは考えないでください。同種なんだけど、その進化ぶりがもの凄い。
8.かたちは、うつる―国立西洋美術館所蔵版画展(感想)
西洋版画好きなので、当然ランクイン。やっぱりデューラーが出色。容赦ないリアリズムに翻弄されるのが、快感。
9.国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア@BUNKAMURAミュージアム(感想)
《忘れえぬ女》自体は親しみやすさが魅力なのだと思うが、この展覧会を見たあと「アンナ・カレーニナ」を読んですこぶる感動して、結局忘れられなくなってしまった。展示作品すべてに見所があり、大満足。シルバーウィークにはモスクワ旅行を企てたほど。諸事情で中止となったが。
10.トリノ・エジプト展 ーイタリアが愛した美の遺産ー@東京都美術館(感想)
古代エジプト美術の美しさは神秘的であり普遍的。彫像ギャラリーの再現が秀逸で、混んでいたにも関わらず感動しまくった。
村田朋泰展「2」@ギャラリーMoMo( 感想)と「染野夫妻陶芸コレクション ―リーチ・濱田・豊藏・壽雪―」@国立近代美術館工芸館(感想)も捨てがたかった。共通点は「職人芸」。技術やこだわりを感じさせる作品が好きだ。
今年はこんなに美しいものを見たのかと、振り返ってしみじみ幸せを感じます。
ということで、いつもブログを愛読させて頂いているみなさまのベストテンをリストアップさせていただきます(リンクはちょっと、という方恐れ入りますがお知らせくださいませ)。今年も大変お世話になりました。
noelさん(美術館篇)
noelさん(ギャラリー篇)
はろるどさん(ギャラリー篇)
memeさん(ギャラリー篇)
はろるどさん(美術館篇)
memeさん(美術館篇)
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2009年12月28日
「法隆寺献納宝物 国宝 金銅灌頂幡 飛鳥の天人」
東京国立博物館でTNM&TOPPANミュージアムシアター「法隆寺献納宝物 国宝 金銅灌頂幡(こんどうかんじょうばん) 飛鳥の天人」の上映を見た(12/27で終了)。噂には聞いていたミュージアムシアターだが、これほどのものとはっ。
本作品では、精緻な透彫りの細工を施した日本金工史上の最高傑作、国宝「灌頂幡」を、現在の姿とともに飛鳥時代の制作当時の姿を超高精細のコンピュータグラフィックス(CG)で忠実に再現しました。
「幡」は旗なんだけど、コレの本体の部分は布ではなくて特別に銅に金メッキしたもの。大型で天蓋を持つので「灌頂幡」と呼ばれる。お堂や境内に掲げられるのだが、信じられないくらい手の込んだ造り。本物は法隆寺館にあるけど褪せており、布製の幡足は退化し外されているが、CGで蘇った灌頂幡は完璧な美しさを有す。真ん中にあって見えにくい本尊も、くっきりあらわに。透彫りの如来三尊像の神々しいこと。天人、天女の飛び交う様はまさに天上世界、現代人の私でも極楽浄土への憧れをかき立てられる。時代考証の手がかりとなった毛彫りの部分も拡大画像で明確に見えた。「皇室の名宝」展でも唸らされたけど、飛鳥美術はハイレベル過ぎて異邦人文化という感じがする。中国南北朝の影響がそれだけ色濃いのだろう。
今回の作品は今年はじめに上映されたもののバージョンアップ版。前回版も見た方によると、かなり良くなっていたとか。次回は「洛中洛外図屏風 舟木本」。1/2〜3/28というロングランにも耐え得る自信作だそうです。
さて東博本館を巡回、新年に向けてラインナップが寿ぎムードに。14室で素晴らしいものに出会った。「特集陳列 古代ガラスの発達「吹きガラス」への道」(2/14マデ)。超ツボ。長期に渡って土中にあった古代ガラスは、成分の珪酸や酸化アルミが化学変化を起こして「銀化」する。優美な吹きガラスの工芸品の表面が虹色に煌めいて、オパールのよう。世界は美しいものに満ち溢れているんだなあと、幸せな気持ちになった。写真満載のリーフレットが会場にあります。
さてさておまけ。意外と人出の少ない上野公園内の韻松亭でランチをいただく。お箸が迷いっぱなしでしたわ♪
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2009年12月27日
村山槐多、日本の表現主義、‘文化’資源としての炭鉱
個別に書こうとしたら筆が進まなかったので、最近見た3つの展覧会の感想をまとめて。特に好きな分野ではないので語ることは多くないのだが、どの展覧会でも新鮮な驚きがあった。
・没後90年 村山槐多 ガランスの悦楽@松濤美術館(前期が12/27マデ、後期は1/5〜24)
22歳で逝った夭折の天才画家・村山槐多(1896年~1919年)の油彩、水彩、デッサン、詩歌原稿、書簡など約150点を回顧し、 早熟で多感な青年であった槐多の、詩と絵画に駆け抜けた生涯とその世界観をあますところなく、紹介します。
赤貧で病弱で酒飲みで、なんとも破滅的な若者だったようだけど彼は天才。私が惹かれたのは木炭の風景画。雄大な自然を隅々まで写し取って、なお奥行きを感じさせる画力は溢れる才能を感じさせた。裸婦の荒々しいデッサン。勢いにまかせて描いているように見えて、なかなか装飾性の高い花の油彩。自画像を含む肖像画が特徴的ではあったけど、 他にも見所の多い作風だった。
・躍動する魂のきらめき -日本の表現主義@松戸市立博物館(1/24マデ、3期あり)
ドイツ表現主義の影響のもと、明治末期から昭和初期に広がりをみせた芸術表現を洋画、版画、建築、工芸、写真などの分野から総合的に紹介します。
アートブロガーのみなさまと1期を訪問。なかなか目にしない珍しい作品に色々お目にかかれた。デューラーの影響を受けたという伊藤柏台《松並木》、これ日本画(絹本)?と眺め回す。小川芋銭《寒根固生意 》は寂寞としながらもカラフルでリリカルな、ここの並びの日本画3点が今回のベスト。仏師の家に生まれブールデルに師事したという佐藤朝山の彫刻《婆羅門僧像(行者)》は、なぜかフィギュアのよう。左右の横顔の雰囲気がまるで違う。加藤土師萌《辰砂釉華文飾壷》は血の色の釉薬が毒々しいのだが、この陶工は金襴手の大壺を製作することで命を縮めたと本で読んでいたので一蹴する気にもならず、複雑な気持ちで眺めた。2期・3期も気になるけど...。
・‘文化’資源としての炭鉱@目黒区美術館(12/27で終了)
戦後社会の高度経済成長を支えた炭鉱を、「視覚芸術」はいかにとらえ、どのように表現し、「現在」にどのような炭鉱イメージをもたらしたのでしょうか。本展は、炭鉱と視覚表現の歴史的な関わりを検証いたし ます。
問題作、というか主題が重いので寡黙になってしまう展覧会。炭鉱にまつわるあれこれ、を想定していたので意外と油彩等平面作品が多いのでおどろいた。それにしても炭鉱をテーマにした芸術作品がこれだけあるとは。中には高名な画家の秀作も見られ、なかなか見応えがあった。写真(特に奈良原一高)の容赦ない表現にも圧倒されたが、個人的には版画作品が好み。私の中では炭鉱と言えば夏目漱石の小説「坑夫」、主人公が坑夫になったところくらいまでしか読んでないが非常に強いイメージが焼き付いており、なるほど漱石までもが炭鉱を描く必然性を感じたのかと時代の空気に触れたような気が。「坑夫」、電子ブックで読んだのが敗因だ、文庫を買おう。
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2009年12月25日
康本雅子×Tucker×束芋 ダンス・ライブ「油断髪」 12/25
横浜美術館で開催中の「束芋 断面の世代」展の関連イベントのダンス・ライブに行ってきた。
ダンサー・康本雅子、エレクトーン奏者・Tucker、そして現代美術家・束芋による夢のコラボレーションが実現。この日のために特別編集される束芋の新作映像《油断髪》と、ダンス、音楽が一体となったライブ・パフォーマンス。 パフォーマンス後には、3人のポスト・トークがあります。
康本ファンとして、見逃せない公演。出遅れてダンス単体のチケットは買い損ねたので、ダンス・ライブ/演劇/展覧会セット前売券を購入して参加。もちろん束芋さんのことも追っかけているので、文句はない。実は当日券でいいかな〜と思っていたんだけど、memeさんに「チケット買いました!?」とメール頂いて背中を押されたのよね。今日Twitter見てたら当日券ナシという情報が流れてて、ほーんと買っておいて良かったと思いました。2,310円相当(たしか)のトートバッグももらえたし。
ダンスの前に1時間弱展覧会を見る時間があった。日をあらためて鑑賞するつもりだったのでだら〜っと眺め始めたら、コレが凄い。束芋さん、著しく進化している。原美術館の「ヨロヨロン」で強烈な印象を受けてはや3年。空間の使い方がダイナミックにより巧妙に。元々映像系というよりむしろインスタレーションアーティストと捉えていたのだけど(ドローイングもまたいいんですけどね)、そこそこ名を馳せた国内現代作家とはもうレベルが違うと思った。見慣れた横浜美術館の構造が変化したようにすら感じた。再訪が楽しみ。「悪人」の原画も素晴らしかったわ。展示法とか照明とか含めて。
さてダンス公演。束芋さんはずっと映像に自分で音楽をつけていたそうだけど、数年前にコラボして「違和感があるけど、いい」と感じたTuckerさんを今回指名。エレクトーン奏者と言っても色んな楽器を並べていじってまわしていたなあ。ややじっとりした《油断髪》の映像が音楽によって妙にドラマチックになった感じ。康本さんのダンスは飄々として、割烹着めいた白いエプロンをまとってそこに投射映像を受けたり、Tuckerさんのソロ演奏の間激しいダンスを影絵で見せたり、協調性の強い作り方をしていた。動き自体に新鮮さはなかったけど、たぶんTuckerさんの演奏に即興が入るので、振付けしにくかったのだと思う。何回かトークを聞いたことあるけど、彼女はアンチインプロビゼーションの人なのだ。
と言うか・・・。バックの束芋さんの映像があまりに良くて、ダンスを喰っていた感もある。吹き抜けのホールの巨大スクリーンに投影された《油断髪》は生き物だった。
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2009年12月15日
江戸の粋・明治の技 柴田是真の漆×絵
三井記念美術館で開催中の「柴田是真の漆×絵」展を見てきた(2/7マデ)。いや〜、ものすごいはまりました。先日アートブロガーの皆様とお会いして「今年のベストテンは?」という話題で盛り上がったのだけど、私の脳裏にくっきりと浮かんだのがこの展覧会。見てきたばっかりというのもあったけど、あまりに気に入ったので後日図録だけ買いに行ったという。今ぐるっとパスは2冊持っているけど両方三井は切ってしまっていて、それでももう1冊買って再訪しようと思っている。
柴田是真(1807~1891)は、幕末から明治期に活躍した漆芸家であり画家です。
本展では、アメリカ・テキサス州サンアントニオ在住のキャサリン&トーマス・エドソン夫妻が収集した是真の漆工と絵画約70点が初めて里帰りし、日本に所蔵される博覧会受賞作等の優品約30点とあわせ、計約100点の作品を通して是真芸術の魅力を紹介します。
今まで蒔絵なら松田権六がシャープでゴージャスでいいなあと思っていたのだが、この是真は私の価値観を変えた。より、手元に置きたいと思わせる作風だ。絵柄に余白が多かったり塗りが黒っぽくて一見地味だったり、渋いデザインをする人なんだけど、よく見ると素人目にも高度な技法を使っているのがわかる。いいものって、無言で訴えてくるのよね。作品リストと共に漆工用語解説のプリントが置いてあったのだけど(Good job!)、漆芸って実にバラエティに富んだテクニックがあるものだ。蒔絵・螺鈿くらいしか知らなかったけど、たとえばボディの種類だけで色々あったり(メタル・木・陶磁器・和紙・籃胎など)、青海波塗(せいがいはぬり)のような変塗(かわりぬり)があったり。紫檀・青銅・鉄錆・砂張・四分一・墨型。これ、みんな変塗の名称。なまえだけで想像力をかき立てられる。
美品だらけでどれが欲しい?と言われても選ぶことなんてできないコレクションだったけど、小ささゆえの可愛さで印象に残ったのは印籠やとんこつ。古墨形のなんて、ホントに摺ったら墨汁が出そうなリアルな出来映え。女幽霊図が描かれた印籠は、人様をびっくりさせるためのもの?朱の蟹が這う鍔は、蟹の姿も鉄地の模倣も迫真で、なんてことはない一品なんだけど目が止まってしまう。《波に千鳥角盆》は青銅塗地に青海波塗を施したとあるけど、ほとんど真っ黒。でもその紋様の見事さに釘付け。《柳に水車文重箱》はゴージャスリッチ、技法の集積した手のこんだ名品だけどどこかに余裕と品格があって、眺めてまったく飽きない。蓋に春用と秋用があるのがニクい。
是真は四条派で画を学びまず絵画で名をはせたそうだけど、私が好きなのは漆絵。薄めたりぼかしたりする画材ではないので描線が非常に難しいと思うのだが、漆の粘度とか独特の暗い色調とかが画に鮮烈な存在感をもたらす。決して派手にはならないが、装飾性が高い。工芸品の佳いものはエドソンコレクションに多かったように思うが、国内作品にはたくさんの写生風の漆絵画帖があって、楽しめた。
明治七宝もそうだけど、この時期の日本の工芸品は素晴らしい。今とても興味のある分野なので、この本を発注してみた。清水三年坂美術館の館長の村田理如氏が書かれたもの。先日清水寺のライトアップを見に行った時前を通りかかったのだが、もちろん閉館していた。近い将来訪れたい美術館だ。
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2009年12月 9日
買おうかな
今日神保町の三省堂の美術書コーナーでウンベルト・エーコの「美の歴史」をやっぱり買おうかなあと悩んでいたら、隣にこの本が。
美術の物語
田中 正之 
私のような浅学の者はエーコよりまずこっちを読めという感じか。欲しい・・・。まあ古本屋街に来て定価で買うのもアレだろうと、いったんは引き上げた。忘れないようにメモ。Amazonの欲しいリストにも入れておく。しかし三省堂はそそるのがうまい(>丸善)。平積みのセレクトコーナーだったんだけど、美味しそうな本ばかり並んでいた。
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2009年12月 8日
鍋島と景徳鎮展 ―君主の磁器―
松濤の戸栗美術館で開催中の「鍋島と景徳鎮」展に行った(12/23マデ)。ここは初訪だったんだけど、すごい閑静なところにありますね。主な収蔵品は東洋陶磁器とあるけど、要は磁器に強いということかしら。私はこれから土っぽい焼きものに親しんでいこうと思っているのだけど、ひとつのステップとして磁器も知っておかなくてはと、行ってみた。
いや〜、眼福でした!元々鍋島っていいなあと思っていたのだ。それがもうたっぷりと見られて。高台が見えるよう各所に鏡を配置したり、様式やその時代の特徴などについて丁寧な解説をつけたり、展示の仕方も行き届いている。第1展示室に17世紀末〜18世紀初の鍋島焼が41点、第2展示室に元〜明〜清初の景徳鎮の青花その他が24点、そして第3展示室に17世紀後半の景徳鎮と18世紀の鍋島がずらりと並ぶ。ここは釉薬で魅せる。今まで時代順に鍋島を見たことがなかったので、非常に興味深かった。青花だって、東博の「染付」展よりきめ細かく時代分けされていて(多分)、わかりやすかった!
器はまずその形が美しくないと栄えないって聞くけど、鍋島焼は公的な贈答品として作られたので、不出来なものは検品ではじかれる。なのでひとつひとつに品があるのよね。今まで色絵の技法に注意を払ったことがなかったけど、鍋島は染付で輪郭線など描いて、それから赤・黄・緑の上絵具で文様を描くと説明があって、拡大して見てみるとなるほどそんな感じ。染付って実に独特かつ重要な技法なんだなと思う。透明釉がキラキラ光って、元々ガラスやビーズが好きな私には絶好のテクスチャー。そこにのせられた絵具がちょっと滲んでいる様とか淡い青磁釉の緑がやさしいこととか、地の白を活かした絵柄とか余白に趣を感じさせるデザインとか、実に好ましい。お猪口や向付コーナーもあったけど、小さな品にも手抜きなし。洗練されかつ楽しい鍋島ワールドがミニマムに展開される。
官窯磁器である青花は、背景の歴史を考えながら見るのが楽しかった。て言うかキャプションが教えてくれるから、頷くだけなんだけど。なんで大陸のものってああ威風堂々としているのだろう。美しいものに同時に強さを求めるのなら、大きい国に行くべきなのだろうか。彩磁器も日本の色絵に較べると隙がない感じで、黒地緑彩の花鳥文の皿なんて、宝飾品のようだった。石を焼いて宝を創る。焼きものって錬金術のようだ。
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2009年12月 6日
美術展メモ
私はマメなので色々なwebサービスを利用して、趣味に関する情報をいつもでアクセスできるところに置くようにしている。今までも何度か言及したけど、check*padは長らく愛用。簡便なToDoリストで、指定したリストをリマインダーメールとして毎日送信してくれるところなど気に入っている。GoogleCalendarと並んで、飽きっぽい私が珍しく定番化したアイテム。
で、「行きたい美術展」リストを見ていて庭園美と森美の感想を書いていないのを思い出した。と言うより、特に書くほどの感想はないのだけど、せっかくなので印象だけメモ。
・「パリに咲いた古伊万里の華」@東京都庭園美術館(12/23マデ)
朝香宮邸に古伊万里、さぞ見栄えがするだろうと行ってきたが、初冬のお庭の雰囲気の方が良かった。品があって美しいなあと思う色絵磁器もあったのだが、海外での競争に打ち勝つために美的な限界を超えて濃密な描き込みがされている皿など見ると、それを強いられた職工のヤケクソ、みたいのを想像してしまって哀しい。結局景徳鎮に負けたわけだし。金の装飾はヨーロッパで装着されたわけで、それは客観的に見れた。
・「医学と芸術」@森美術館(2/28マデ)
製薬会社の医学にまつわるコレクション、と思えば博物館っぽい展示内容にも納得だけど、なぜ森美でこれをやるのかなあと思った。六本木ヒルズの53Fまで昇って見たいものではなかった、私的には。なんか妊婦の解剖図がいくつも出ていて、珍品ということでクローズアップされていたんだと思うけど、興味本位で見るものではないのでは。学生時代解剖実習やってお寺で慰霊祭とかあったし、卒後研修で大学病院に入って悪性腫瘍で亡くなっていく患者さんとか見てるから、生命の尊厳とか考えちゃうのよね。古い版画や挿絵は楽しかった。現代アートのコーナーは森美らしかったけど、既視感のある作品が多かった。
今日は3軒アートはしごして夜は観劇、さすがに疲れたので辛口の感想を書いてしまいました。ごめんなさい。
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2009年11月30日
戦国武将と茶の湯ー信長・秀吉ゆかりの品々
畠山記念館で開催中の開館45周年記念「戦国武将と茶の湯」展に行った(12/20マデ)。たまたまTwitterで一村雨さんが「国宝 煙寺晩鐘図を見に行く」とおっしゃっているのを見て、国宝!と追いかけて行ったわけです。ちなみに私は国宝をほとんど知らず、つい先日この本買いました。
国宝 (とんぼの本)
芸術新潮編集部 
そう言えば、「使えなくなる」という理由で茶陶は国宝にされにくいんですってね。
【特別出品】
国宝 煙寺晩鐘図 伝牧谿筆(11月21日~12月6日)
【主な展示品】
重要文化財 唐物肩衝茶入 銘 油屋
重要美術品 井戸茶碗 銘 信長
重要美術品 誠仁親王御消息 織田信長宛(10月10日~11月19日、12月8日~12月20日)
消息 豊臣秀吉筆
扇面月兎画賛 本阿弥光悦筆(11月21日~12月20日)
古瀬戸肩衝茶入 銘 円乗坊
茶杓 銘 落曇 千利休作
青磁香炉 銘 浅間
印子金鎖
梅に山鳥図屏風
《煙寺晩鐘図》はありがたく拝見したけど、なんていうか朧な感じが素晴らしいと思うけど、間近で眺めても遠い存在。私はこういう場所に行くと、「モノ」に走ってしまう。肩衝茶入《油屋》は美しいですねえ。茶入れって宝石のよう。小宇宙を内包している。古瀬戸の《円乗坊》は、轆轤の跡が付いているのが珍しいとか。《独楽棗》はいと可愛ゆし。あとは青磁香炉の《浅間》が素敵だった!陶器もいいけど、青磁の滑らかな肌には強く惹き付けられる。透明な色合いが素敵だわ。この日は双眼鏡を忘れたので、ちっと口惜しがりつつ去りがたし。井戸茶碗というのは、今のところ魅力がわかりがたい。あのお椀型の形が、どうも気に入らないのだ。その魅力を確かめるため、《信長》でお茶をいただいてみたい(無理)。ガラスケースの中の《香木蘭奢待》を見つけて、ひたすら憧れをかみしめる。
光悦の《扇面月兎画賛》が会場に華やぎをかもし、愛らしいお道具たちが控えめにキラキラ輝いている感じの、心ときめく展覧会だった。
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2009年11月27日
唐九郎のやきもの教室
面白くて今日一気に読んでしまった。陶芸の巨匠・加藤唐九郎がやきものについてとってもわかりやすく教えてくれる本。写真満載。「やきものってどうやって作るの?」という素朴な疑問に真正面から応えてくれた。
唐九郎のやきもの教室 (とんぼの本)
新潮社 1984-09
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書影がなくて残念〜。唐九郎先生がひいた壷を轆轤から切り離そうとしている写真が表紙です。
以下勉強したことメモをこっそりと。
「やきもの」とは何か
土を焼いて固めたものが陶器、石を焼いて固めたのが磁器。狭義の陶器は吸水性のある素地に釉薬をほどこして強く焼くもの(志野・織部・黄瀬戸・絵瀬戸など瀬戸本焼や唐津焼など)、無釉低温で焼いたのが土器。不吸水性の素地に釉薬をかけずに強く焼いたのが炻器(せっき)(備前焼・常滑焼・信楽焼・古越前など)←焼き締めのことですね。瀬戸ものは中国系で手轆轤を使い、唐津ものは朝鮮系で蹴轆轤を使う。
磁器のこと
長石類を粉砕して形づくって焼いたのが磁器。中国ではカオリン、日本では天草石を使う。カオリンとは景徳鎮のそばの高嶺(カオリン)山から来てる。
土のこと
やきものにいい土はカオリン性の高いもの。カオリンは長石の結晶体が風化分解したもの。瀬戸から美濃あたりで特にいい陶土がとれる。蛙目(がいろめ)と木節土(きぶしつち)。木節土は木が腐食して入っていて、粘力が強く扱いやすい。珪酸性の土(ペルシア陶器で使う)は釉薬をかけると割れやすい、釉薬より縮むので。備前の土は珪酸性なので、釉薬なしで特別にゆっくり焼かないといけない。信楽はカオリンなので釉薬OKなんだけど、焼き締めをしてる。
土をつくる
山からとってきた土を乾燥させて臼でついて砕く。それを水にひたしたのがハタキ土。昔ながらの陶器を作る、ハタキ土をさらに浸して下に沈んだ砂利を取り除いたのがコシ土。磁器向き。土踏み。土を寝かす。土押し(空気を出す)→土もみ(さらに脱泡)。志野や織部は土もみはいらない。
轆轤をひく
身体全体を使う。左右均等に使う。頭も均等に使う。手轆轤は右まわししかできない、蹴轆轤は左右OKだけど速くまわらない。轆轤から切り離す糸をシッピキという。馬の尻尾の毛、藁ミゴがいい。
高台のこと
削高台と付高台(楽、志野、織部に多い)。割高台は空気穴?「削り高台はこうするのじゃ」(笑)
絵付けをする
中部和犬の夏毛で作った筆がよい。
釉のこと
自然釉は薪灰が器にくっついて溶けて膜を生じたもの。ほとんどの釉薬に灰は入っているが、志野の白い色は長石だけ。ちくら石、鬼板(褐鉄鉱)、緑青(炭酸銅)、紅殻(酸化鉄)。
焼く
穴窯と登窯の写真あり。穴窯は薪を食うので「殿様窯」と呼ばれた。トラック一杯の土を焼くのにトラック二十杯分の薪!赤松がよい。950度までは空気をたくさん送り込んで酸化、その上は還元に。一酸化炭素で土や釉の中の酸化物が元の物質に戻る。還元焼成。穴窯は一昼夜半から二昼夜。志野は一週間。登窯は長いと数ヶ月。
味わう
一楽 二萩 三唐津?楽も萩ももろい。茶碗には背勢(男性的)と向勢(女性的)なのがある。利休は向勢を好み武士は背勢を好んだ。織部や志野が背勢、楽は向勢。寒い時期は楽のような焼きが若く熱の逃げない茶碗がよい。萩も。お茶の味には志野や黄瀬戸や唐津が合うのでは。織部は偉大なデザイナー。光悦は不完全主義。伯庵十誓(景色)。火襷(藁の跡)。
名碗十三選
「志野 卯花墻」を誉めて、「茶碗に限らず、実物より大きく見えたり重く感じたりするものほど名品だ」と。
自陶自賛
十作ほど。唐九郎記念館というのが名古屋にありますねー。
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2009年11月26日
白髪一雄展 格闘から生まれた絵画
横須賀美術館で開催中の「白髪一雄展 格闘から生まれた絵画」に行った(12/27マデ)。
日本におけるアクション・ペインターの先駆けとして知られる白髪一雄(1924-2008)は、具体美術協会の代表的な画家であり、戦後の美術を語る上で欠かせない存在です。白髪はキャンバスを床面に置き、その上を滑走するようにして足で描くという独自の手法により、力強く躍動感のある絵画を達成しました。その行為と物質が結びついた絵画は、世界的にも高く評価されています。
Post-War、フット・ペインティング、何それ?な私だったのですが、非常〜に感動しました。苦手な抽象画なのに、なんてストレートに胸に刺さってきたことか。血の色の、この画。
こんな小さい画像しか貼れないけど、実物は凄い迫力。キャンバスを、指でクリムゾンレーキ一色で塗りつぶした「作品」シリーズ。実際には4作展示されていて、その色に、造型に、圧倒された。特にこの放射形のと、ぐるぐる渦巻きの。こんなに胸を打たれた画って最近ないです。
この回顧展は2004年に構想された白髪一雄本人による自選展がベースとのこと。ただし白髪氏は昨年4月に亡くなっていて、今年の4月に安曇野ではじまったこの全国巡回展はご覧になっていない。油彩約50点と規模的には小さく聞こえるけど、大作揃いだからボリュームはすごい。色彩や構図を排除するというコンセプトに従って生まれたアクション・ペインティングだと言うが、初期はパフォーマンスに付随して生まれた作品、という位置づけが、ほどなく作品イメージを想定してからだが生む絵画、に変わったと言う。
創作風景のビデオがあったけど、天井に吊り下げられたロープにつかまって足で絵具をかき回す、という感じだったなあ。でも1作1作の色彩が奇抜で美しく、高粘度の油絵具が厚く盛り上がりテラテラと艶を発し、時に獣や内臓を連想させるような偶然の紋様を見つける。見蕩れた。イノシシの毛皮を貼付けたという《猪狩壱》には血生臭さを感じるはずなんだけど、私には血の匂いは昇華して血潮の熱さだけが残ったように感じられた。色彩に魅せられているのかと思えば《扶桑》のような白一色の世界も豊潤で。素晴らしい。
横須賀美術館の展示室は天井が高く広々していて、国立新美を思わせるところがあった。大作がはえる。激情ほとばしるような白髪作品をしっかり受け止め、安住させていた。彼の作品をまとめて見られる機会はなかなかないそうだ。横須賀まで行って本当によかった。
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2009年11月22日
東京コンテンポラリーアートフェア2009
東京美術倶楽部の東美アートフォーラムで開催中の東京コンテンポラリーアートフェア2009に行ってきた(11/23マデ)。初訪のアートフェア。67軒の画廊とメディア3社が出展。スカイザバスハウスやギャラリー小林は出展なし、ミヅマはアクションの方だけ、でも西村画廊は出ていたし結構知っているギャラリー多数。ブース番号順に気に入った作品をメモ。
3-5 不忍画廊
出展2作家ともモチーフに写真を使っていた。藤浪理恵子さん(1960年生)の、ダークで非現実的だけど透明感のあるフォトモンタージュに目を奪われたが、タイトルが詩的でやや難解。癒される感じではない。
3-7 ギャラリー広田美術
神戸智行(かんべともゆき)さん(1975年生)の静かな日本画にとても惹かれた。和紙に箔を貼って彩色も施す。箔の裏貼りも。紅葉が季節がら美しく目に映ったけど、雲を描いた中型の作品(60万円台?)の構図の面白さ・品の良さ・穏やかさが良かった。逆にもっと「強さ」があるとすごく欲しくなるのかも。12/11〜26まで開廊40周年のグループ展が開かれ神戸さんも出品されるそうなので、是非伺いたい。
3-13 ガルリ ソル
酒巻洋一さん(1964年生)の大理石のブロックで造られたちいさな立体作品が、その質感がよくてツボだった。作品の一部分に金を塗るのが定番みたいだけど、私は金がないものの方が好き。ただし平面作品を見るとちょっと違うかなあという感じが。
4-7 ときの忘れもの
ダンス評論家の乗越センセイの廃墟イベントに出品されていた、人形作家の井桁裕子さんの作品が。表情が妙にリアルな、おかっぱの女性。こんなもの家に置いて時々服を替えたりするんだろうか、そういう生活ってどう?と思いつつ所有してみたいような気持ちも。
4-1 ギャラリー・ショアウッド
泉東臣さん(1979年生)の装飾的な日本画に吸い寄せられたが、質感は素晴らしいのだけど画風があまりに純和風なので、私には合わないだろうと判定。
4-10 YUKARI ART CONTEMPORARY
ここは今水曜は予約制になっていて気軽に行けないのだが、ギャラリーの方は誰かいれば電話もらえばお見せしますよ〜と気軽に言ってくださった。結構センスのよいギャラリーだと思うので、また訪れたい。好きと言うのとは違うんだけど印象の強い伊藤遠平さんの油絵が。今回はまあるい犬。筆致は従来のうねうねなんだけど、モチーフが違うと雰囲気変わるなあと思った。
平日休みにギャラリーをあちこち回るのは結構大変。他にも新作が気になっていた作家の作品をちらりと見ることができて、とても効率の良い時間を過ごせた。
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2009年11月20日
名匠と名品の陶芸史
最近陶芸に興味を持って本を読んだり写真を眺めたりしている。東博や出光で色々良いものを見たせいだろう。いや種類も憶えてないし見所も全然わからないんだけど、知らない世界を知るって楽しいのよね。で、私の場合本から入るのだ。この本は近代陶芸の巨匠13名を豊富な逸話で紹介したもの。著者の黒田草臣氏はしぶや黒田陶苑のご主人であり、黒田陶苑の創業者黒田領治氏の息子さん。領治氏はこれらの陶芸家すべてと交流があり、そのため本書には彼らの人となりが濃くあらわれ、秘話も盛りだくさん。さらに草臣氏の文章はとても読みやすく、ど素人の私でも面白く読むことができた。何も知らずに銀座の黒田陶苑に入ったことがあるが(汗)、意外と敷居は高くなかった。でも今となっては恐れ多くて店主様の目は見られないだろうな〜。
序 現代陶芸の礎を築いた近代陶芸巨匠
第1章 荒川豊藏(1894-1985) 第2章 三輪休和(十代 三輪休雪)(1895-1981) 第3章 石黒宗麿(1893-1968) 第4章 加藤唐九郎(1898-1985) 第5章 板谷波山(1872-1963) 第6章 富本憲吉(1886-1963) 第7章 金重陶陽(1896-1967) 第8章 河井寛次郎(1890-1966) 第9章 加藤土師萌(1900-1968) 第10章 濱田庄司(1894-1978) 第11章 小山冨士夫(1900-1975) 第12章 川喜田半泥子(1878-1963) 第13章 北大路魯山人(1883-1959)
序章で簡潔にまとめられた近代陶芸史が、この本をとっつきやすいものにしている。と感じた。流れの中で各陶芸家の立ち位置がさりげなく示唆されているので、各章を読むごとに序章に戻って確認した。
トップの荒川豊藏(以下敬称略)は先日の染野夫妻陶芸コレクション(感想)で印象的だった人。魯山人の窯場主任を経て独立し、桃山志野の再現を目指して失敗を繰り返しながらひたむきに作陶を続ける。穴窯を使った(窯は取りあえず穴窯と登窯を憶えればよいと聞きました〜)。「荒川志野」は紅の鮮やかな発色が特徴。前述のコレクションではその作品の幅の広さにびっくりしたが、志野や瀬戸黒だけでなく萩や備前など各地の窯で作陶をしたらしい。陶芸家ってそういうものなのね。
ストイックな人生を送ることの多い陶芸家の中で異色だなと思ったのが加藤唐九郎。「永仁の壷」事件の話は聞いたことあったのでどんな生涯を送ったのかと思っていたが、事件後は公的職務を辞任して作陶に専念し、傑作を生み続けたらしい。天才なのだな。彼の志野に当代一流の目利きの某氏が惚れ込み、肌身離さず持っていたおかげで火災で双方失われてしまったという話を読んで、何ともいえない気分になった。茶碗にそこまで執着するなんて・・・。私にとっては未知の世界だ。
川喜田半泥子は趣味人。人がら的にはこの人に一番惹かれた。「昭和の光悦」なんて言われる感性の持ち主とか。銀行頭取や多くの会社の重役を務めつつ、作陶も続けた。日の出と共に朝食を済ませ窯場に入り轆轤をする。朝の10時には銀行に出勤して、帰るとまた轆轤。なんとまあ。すごいを通り越してクールだと思った。作品をじっくり見たいもの。
ラストの魯山人。黒田領治氏は魯山人窯芸研究所の秘書役を務めるなど、深い関わりがあったらしい。この「器作りの神様」の活動がかなり詳細に記録されている。作陶のテクニックも。この辺、私には難しい言葉ばかりでさっぱり理解できなかったが、とにかくその発想の斬新さ、作風の幅広さ、美意識の高さ、すべてが卓越しているのはよくわかった。庶民なので縁遠い世界だが、一流の器とお料理のコラボ、実際どんなものなのか興味がある。
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2009年11月19日
ウィリアム・ド・モーガン 艶と色彩-19世紀タイルアートの巨匠-
パナソニック電工汐留ミュージアムで開催中の「ウィリアム・ド・モーガン 艶と色彩」展に行った(12/20マデ)。我ながらナイスな選択。
ウィリアム・ド・モーガンは、19世紀後半のデザイン活動において、ウィリアム・モリスと並ぶ活躍をみせた芸術家のひとりです。(中略)モリスの影響から、アーツ・アンド・クラフツ運動に共感、以降、モリスが設立したモリス・マーシャル・フォークナー商会にステンド・グラスやタイルなどのデザインを提供するようになります。
今回の展覧会では、ヴィクトリア朝の建築を華やかに彩ったタイルを中心に、壺や皿などウィリアム・ド・モーガンの作品を日本で初めて包括的にご紹介いたします。
アーツ・アンド・クラフツには親近感を持っていたのと、タイル=焼きものということで興味を持って行ってみた。最近自覚したのだが、私って工芸品好き。そしてデザイン好き。絵画作品の重厚さもよいのだけど、「使うための」アートって美意識がコンパクトに凝縮されて、等身大な感じが気持ちいい。さわって撫でて、自分で洗ったり掃除したり。肌身離さず生活する(タイルは壁に固定されちゃうから無理か)。現代の秀逸な工芸品はiPhoneかな、でもあれは量産品だから、アートではない。脱線。
ミュージアムに入ってすぐに目に飛び込んでくるのは、モリスの影響を濃く受けて制作された素朴な花模様のタイル。ブルーの花びらが多く、つるっとした白の背景の上で、葉のくすんだ緑に引き立てられる形で美しく発色している。インテリアだから、気持ちの落ち着く青が多用されるのだろう。作品として一枚一枚を鑑賞する立場でも、心が安らぐ。量産品ではないので丁寧な色塗りが気品を出している。同じパターンで彩色を変えた《モールバラ》のバリエーションは、ちょっとマジカルだ。
ド・モーガンと言えばラスター彩を復活させた人。ステンドグラスの工法にヒントを得て、実験を重ねたと言う。彼はデザイナーだったけど、工房の陶土の調合から焼成まですべて管理したのだそうだ。タイルの1枚1枚に生気を感じるのは、そのせいだろうか。ラスター彩の壷や皿が何点も出展されていたが、一番キラッとしていたのはレリーフ・タイルの《ライオンの紋章》だった。これはド・モーガンのデザインじゃないけど。暖炉脇に飾ることを想定されていたそうで、彩色はシンプルだけど赤銅色の釉がメタリックに輝き、ゴージャスな雰囲気。絵皿はその描線の細かさや深みのある彩色が、目を引いた。また、イスラム圏の陶器の影響を受けているデザインも多く、しゃれている。初期の素朴な花のパターンは今でも人気があるそうだが、エキゾチックな花や動物も想像力を刺激させられて、とても素敵でため息が出た。室内装飾タイルということで額装されたタイルもあって、欲しいな〜とそそられた。
ヴィクトリアン・タイルがふんだんに使われた邸宅に住んでみたい。せめて訪れるだけでも。図録とこの本、どっちを買おうか迷って図録にした。
ヴィクトリアン・タイル 装飾芸術の華 (INAX booklet)
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2009年11月17日
皇室の名宝-日本美の華-2期 正倉院宝物と書・絵巻の名品
私も書きまーす。日曜の夕方、東京国立博物館で開催中の「皇室の名宝-日本美の華-」展第2期を観てきた(11/29マデ)。日曜は6時まで開館しているので、夕方は狙い目。入場に行列は無論なく、人垣ができているところは飛ばしてランダムに見ていったら、結果的にまんべんなくじっくり鑑賞できた。閉館間際はガラガラ。《春日権現験記絵》くらい、行列に参入したのは。
第1章「古の美 考古遺物・法隆寺献納宝物・正倉院宝物」
やっぱり今回の主役は正倉院宝物!ですねえ。《螺鈿紫檀阮咸》の背や竿の、見事な螺鈿細工。阮咸(げんかん)て琵琶ですよね。あれって結構激しく鳴らすものだと思うんだけど(奈良時代は違う?)、貝や琥珀を背の曲面にあんな風に貼付けて、剥がれないなんて(修復はされているが)。鮮やかな紅は何ていう貝なのかと思っていたら、琥珀の下に彩色されているらしい。鸚鵡の羽根の模様が非常に繊細で、まあ双眼鏡で眺める甲斐がおおいにあること。目の保養〜。《平螺鈿背円鏡》、これは貝と琥珀の文様の隙間にちっちゃな青い石が埋め込まれていて、拡大して見ると恐ろしく綺麗。青金石とトルコ石を細かく砕いた粒に金粉が混ぜているらしいですね。光モノ好きなのでぞくぞくした。《沈香木画箱》はびしっとした矩形と細かでシャープな紋様に加えて、香木が貼付けられているというのが優雅で素敵。《黄金瑠璃鈿背十二稜鏡》は緑と黄の鮮やかな七宝釉がつやつや。七宝、いいですねー。さっき友人からのメールに七宝の指輪を下絵から作ってもらっていると書いてあって、うわあおしゃれ〜と感心したところ。テーマを見て笑ったけど、ここには書かない。
第2章「古筆と絵巻の競演」
書はわからないと言うか全く読めないけど、好きなタイプってあるもんだと思う。小野東風や藤原行成と並ぶ三蹟である藤原佐理とやらの字が美しいなあと眺めていたら、この人は残っている書のほとんどが言い訳、詫びの内容なのだと友人に聞いて、笑った。また、すらすらと優美にくずした細書きの書が美しい料紙に載っている様は、なんとも風情があって好い。
《春日権現験記絵》《蒙古襲来絵詞》をうやうやしく拝見。
第3章「中世から近世の宮廷美 宸翰と京都御所のしつらえ」
宸翰(しんかん)、そんなものが見られるなんてなんとも不思議な気持ち。伏見天皇宸筆《伊勢物語絵巻 詞書断簡》は装飾料紙に描かれていて、「楚」「須」「衣」「閑」「野」の“葦手(あしで)”が見られる(勉強になります)。《源氏物語図貝桶・合貝》や蒔絵の硯箱・香箱は皇室っぽい美しく雅やかな品。金屏風でいっぱいの部屋があって、ここはキンキンしていて皆同じに見えてしまったけど、絢爛豪華だ。日本文化の華やかな一面に圧倒される。
第4章「皇室に伝わる名刀」
私の場合一番わからないのは刀。東博常設でよく見てるけど、本展のはやや生々しい感じがした。名刀だからでしょうね。
美しいものを堪能できて、満足。しかし奈良時代の人々の高い美意識はどこから来たんだろう。人間は進化する生き物だけど、毎週のように美術展を見て回っている私なんてロクなセンスを持っていないのに。
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2009年11月16日
ヴェルナー・パントン展
東京オペラシティアートギャラリーで「ヴェルナー・パントン展」を観てきた(12/27マデ)。
プラスチック一体成型という世界初の手法で、流れるようなフォルムを実現したパントン・チェア。ヴェルナー・パントン(1926-98)といえば、このデザイナーズ・チェアを思い浮かべる方も多いことと思います。デンマークに生まれたパントンは、世界の家具メーカーと協働して多くの名作デザインを世に送り出し、ヨーロッパにおける前衛デザイナーの旗手としてその地位を確立します。
フライヤーがこれなんで、ちょっと退き状態で行ってみた。だってどう見ても怪しい。時代遅れのSF映画の雰囲気。それが素敵って言えばそういう場合もあって、スタートレックとかサンダーバードはうわカッコいいと思う。でもアートの世界では、古くも新しくもないものって評価されにくいのよね。
ヴェルナー・パントンは1926年デンマークに生まれデンマーク王立美術アカデミーで建築を学びアルネ・ヤコブセン建築事務所で働き、29歳で建築デザイン事務所を設立。建築、インテリア、量産家具など、多岐にわたるデザインを手掛ける。1967年にパントン・チェア発表。そう、このパントン・チェアがあまりに有名なので、この展覧会に足を運んだわけだ。たくさんありました〜
他のシリーズのチェア、照明、テキスタイルなどパントンのデザインは十分堪能できた感じ。まあ、60年代の「先端」だから既視感はある。今欲しいかって言うと・・・。ただ、この展覧会がよかったのは(そう、難癖つけているようでいて、実はよかったのだ)、体験ゾーン《ファンタジー・ランドスケープ》!ポスターに映っているあれ。パントンのチェアのようなラインを持つ弾性素材の「巣」の中に入り込んで、その曲線に体をまかせる。もちろん靴は脱いで。これがすっごい気持ち良くて、美術館員が中に入る人をいちいち呼び止めて「10分程度で出てください」とクギを刺すのも無理はないと思った。真ん中の高いところに登りたかったけど、目を閉じて音楽を聴いている人とかいて、なかなか動きそうになかったのであきらめて出てきた。先週の日曜の午後行ったんだけど、もっと空いている時間にすればよかったなあ。大きなスクリーンにパントンの映像を流すコーナーにも一部しつらえてあったけど、やっぱりそこに寝そべった人は動く気配がなくて、そっちもあきらめ。あああ、《フライング・チェア》(ほとんどハンモック)といい、眠気を誘う展覧会だこと。
今回、若手作家を支援するproject Nの住田大輔さんの作品がなかなか好みだった。少女がモチーフの非現実的な風景。色や輪郭が浮き上がるようにはっきりしていて、どの作品も見入った。少女を抜いても面白い作品ができるのだろうかと、疑念も持ったりしたけど。
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2009年11月13日
三保谷硝子店-101年目の試作展
1週間近く前に終わってしまった展覧会のことを今更書いて申し訳ないのだけど。またまたKINさんの記事に惹かれて、アクシスギャラリーの「三保谷硝子店-101年目の試作展」に行った(11/8で終了)。「秋のデザインイベントNo.1」と言われちゃね。最終日駆け込みです。
国産のガラスが産声を上げて間もない1909年(明治42)に創業した三保谷硝子店は今年100周年を迎えた。その家業が大きな転機を迎えるのは1970年代、三代目三保谷友彦と鬼才倉俣史朗氏との出会いからである。ここから三保谷硝子は、「デザイン」の領域へと大きくシフトしていく。以後、あの名作「硝子の椅子」をはじめ、溢れる倉俣のインスピレーションを独自の技術力で具現化し支え続けた。
本展は、そうして培われた三保谷硝子の技術力を駆使して、三保谷の心意気に心酔する16組のクリエイターたちが「ガラス・デザイン」の新たな表現に挑む試作展である。
玄人の硝子屋さんとクリエーターのコラボ、とても洗練されていた。杉本博司さんの、限りなく純度の高いガラスの破片を閉じ込めたパーテーションにうっとり。直島の護王神社も好きだもん。しかし「割る」のが好きだなあと、国立国際美まで見に行った「歴史の歴史」を思い出して笑う。「放電場」室の割られた鏡ね。宮島達男さんの球面の鏡に閉じ込められたデジタルカウンターは、なんとなく内向的なところに好感。LEDを使う分他作家の作品からはみ出しているような気もするのだが、これみよがしではないので良いのでしょう。吉岡徳仁さんの、ベンチの回りのSnow flake、なんかパーツひとつは安価そうだけど造型でカッコよく見せている感じがズルい。
他のクリエーターさんのお名前は知らなかったのだけど、弾丸がガラス中央を貫通した瞬間を形取った作品と、ガラス版「空間概念」(フォンタナ)みたいのが面白いなあと思った。元々ガラスやアクリル、ビーズなどキラキラするものが大好きな私。終始ハイテンション。フクヘンさん(http://fukuhen.lammfromm.jp/2009/10/_101.html)のところに写真が多数。
アクシスビルは定期巡回したいところ。9月にSAVOIR VIVREで陶芸家の工藤和彦さんの個展を見たんだけど、使い勝手が良さそうで好かった。今でも店内にお皿やカップが少し置いてあって、ちょっと欲しくなった。旭川の土を使った、粉引の器。
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2009年11月12日
「根来」展
大倉集古館で「根来」展を観てきた(12/13マデ)。
その名を中世の紀州・根来寺一山内で生産された良質な朱漆器に由来する「根来」は、古来から日本人の美意識を体現しながら、その機能性に富む現代的なフォルムと新鮮なまでに明快な色調のコントラストの妙は「用の美」を追求した世界に通用するトップデザインとして、近年富に注目されるようになりました。
渋いです。
根来塗とは「中世に、根来寺で日用のために作られた漆器。黒漆塗りの上に朱漆を塗ったものが多いが、黒根来と呼ばれる黒漆のままのものもある。重厚で雅味があり、特に朱塗りのものは年月を経ると黒漆の斑紋があらわれる。」via三省堂 大辞林。そう、使い込まれた器の、上塗りの朱が擦れてあらわれる黒漆の景色が、茶人に愛されたそうで。そしてそのシンプルな形状。お皿にお盆に盃に茶入れ、机など様々な工芸品が展示されていたが、無駄のない潔いデザインが清々しく、美しい。私のツボはなぜか四角盆だったが、茶入・香合のようなちいさな品の可愛らしさも感に堪えない。
根来ではないけど、昨年弔問に訪れた岩手の友人宅では漆塗りのお椀が愛用されていた。ヒビが入ったら塗り直してもらうのよと、愛おしそうになでる手。ちょっと羨ましかった。
さて最近古いものや日本独特の工芸品に惹かれている私だが、実は本展に行った目的は木彫りの椿。1点だけさりげなく展示されたそれは憧れの須田悦弘さんの作品で、作品リスト(私が訪問した時はまだできていなかった)には載らないであろう逸品。ああ、萎びていても美しかった・・・。ガラスケースの前に座り込んで凝視してしまいました。KINさん、教えてくれてありがとう〜〜
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2009年11月10日
染野夫妻陶芸コレクション ―リーチ・濱田・豊藏・壽雪―
東京国立近代美術館工芸館で「染野夫妻陶芸コレクション ―リーチ・濱田・豊藏・壽雪―」を観た(11/3で終了)。行ったのは会期末の11/1の日曜日で、たまたま無料観覧日だった。もう10日近く経っているし、焼きもののことは全然わかってないのになぜエントリを上げたかと言うと・・・
イギリスの近代陶芸の幕開けに寄与したバーナード・リーチをはじめ、濱田庄司、荒川豊藏、三輪壽雪、三輪休和、塚本快示、岡部嶺男、藤本能道など、染野ご夫妻が収集された陶芸作品には、日本の陶芸の発展をみるうえで非常に重要な作家たちの基準的な作例や代表的作品が数多く含まれています。
本展では、平成20年度に当館がご遺族から寄贈を受けた43点に、山口県立萩美術館・浦上記念館に寄贈された作品を加えて、これら秀逸な陶芸家の作品を中心に、200点余りを展示します。
【左:山口県立萩美術館・浦上記念館蔵】
↑三輪壽雪《鬼萩花冠高台茶碗 銘 命の開花》2003年
↓荒川豊藏《黄瀬戸竹花入》1976年
【右:東京国立近代美術館蔵】
↑バーナード・リーチ《鉄釉抜絵巡礼図皿》1969-72年頃
↓濱田庄司《柿釉赤絵角皿》1970年
東博の「対決!」以来、わからないなりに焼きものに興味はある。現代アートでも割と立体モノが好きなのだ、日本の古来の工芸品もあれこれ素晴らしいと思っている。先日陶器について知りたいと思いこの本を読んで、
魯山人陶説 (中公文庫)
平野 雅章 
「桃山時代以降の焼きものには芸術的価値がない」(意訳)というようなことが書いてあったのでひとまず古陶を知ろうと、友人に本を借りたりして志野やら瀬戸黒やらの名前を頭に入れていたのだが。本コレクションは近現代陶芸作品が中心。ポスターの人、リーチ以外知らないのよね・・・。なので200点余りの陶芸はめまぐるしく私の眼前を過ぎて行ったのだが、特に印象に残ったのは荒川豊蔵。三輪壽雪44点に次いで41点と多数展示されていて、しかも作風が多彩。志野に瀬戸黒に唐津に染付に鼠志野に信楽に色絵皿に赤絵に備前(作品リスト棒読み)。憶えたての名前が羅列。なんといってもその旺盛な創作意欲に圧倒された。この人は《黄瀬戸竹花入》のような作品が代表作なのだと聞いたが、馴染みやすいのはお茶碗かな。志野がたくさん。本で見た桃山時代の志野よりちょっぴり堅そうだなあと思った。三輪壽雪は萩萩萩。萩焼きの三輪窯を継いだ人なのですね。ふたりとも人間国宝。あと、うわ綺麗!と思ったのは塚本快示(多分)の白磁、青白磁。拡大して見た時の磁肌が夢のように美しく。ただ、焼きものは土を楽しむものだなあと思うので、素朴さの残る手触りのやわらかそうなものがいいと思う。
今読み始めたのがこの本。
名匠と名品の陶芸史/黒田草臣 (講談社選書メチエ)
ここに荒川豊蔵やら濱田庄司やら三輪休輪やら石黒宗麿やらがどっと出てくるので、ああ、近美で実物を観たのだなあと思い起こして、エントリを書いてみた次第。見識がなくて恥ずかしいけど。O型はまず頭で理解しようとする。
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2009年11月 8日
いらない図録
ということで、本棚を空けるため溜まってきた図録を整理することにした。捨てる神あれば拾う神ありあり?全然たいしたものはないですが、欲しい方いたら差し上げます。古いのは昨年末に整理したので、最近のもの。
・浮世絵ベルギーロイヤルコレクション展@太田記念美術館
・V&A美術館所蔵浮世絵名品展@太田記念美術館
・写楽 幻の肉筆画@江戸博
・東山魁夷展@近美2008
・都路華香@近美2007
・東本願寺の至宝展@日本橋高島屋
・雪舟と水墨画@千葉市美
・ブラティスラヴァ世界絵本原画展@千葉市美2008
・アーツ&クラフツ@都美
・ルオー大回顧展@出光
・メキシコ20世紀絵画展@世田美
・ルソーの見た夢、ルソーに見る夢@世田美
・静岡県立美術館コレクション選
・上原近代美術館コレクション 日本画編 西洋編
なんでコレ捨てるんだっって言わないでください・・・
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2009年11月 3日
ユートピア -描かれし夢と楽園-
出光美術館で開催中の「ユートピア -描かれし夢と楽園-」展に行った(12/20マデ)。
本展では、鎌倉時代から江戸、そして近代に至るまで、日本美術のすべての分野にわたる豪華な作品によって、画家たちが想い描いた夢空間をご覧いただきます。
という何て言うか漠然としたテーマで、ほとんど所蔵作品で展覧会を成り立たせてしまう出光はすごい(一部三井記念美術館や東京国立博物館から出展あり)。構成も面白いと思った。開催2日目なのでまだ空いていて、見る方も夢見がちなひと時。
I 夢ものがたり -夢見と夢想、そして幻想
「眠り」がテーマ。景徳鎮の《青白磁刻花蓮池文枕》、幸せそうに眠る《布袋図》、伝狩野山楽《馬上残夢図屏風》(ハードな毎日に疲れ果て馬の上でうとうとしながら引退を夢見る官僚)。見ている方もほわーっとなってくる。《佐竹本三十六歌仙絵「柿本人麻」》があって、コレの由来を知ることができて勉強になった。知らなければほとんど見ないで通り過ぎるところだった。六曲一双の《吉野龍田図屏風》、吉野の桜と紅葉の龍田川を描く絢爛な屏風。今根津美術館に展示されているものと、似ているらしい。
II 描かれし蓬莱仙境 -福寿と富貴
老人を描いた画が多く、仙厓の《百寿老画賛》は実際には100人以上ののんびりした表情のおじいさんがいて、和む。田能村竹田の《梅花書屋図》は重文だそうだが、この文人画家自体知らなかった。私は細かいものが好きなので、《堆黒鹿寿老文香合》《螺鈿鶴寿老文香合》の細工が面白くて見入った。あとは鍋島、備前、柿右衛紋門と色絵皿が揃っていたのでよく見ておいた。出光はよいものを持っているらしい。やきものについて勉強中。
III 美人衆芳 -恋と雅
よいタイトルだ。宗達《伊勢物語図色紙「武蔵野」》、勝川春章《美人鑑賞図》など。海北友松《琴棋書画図屏風》が東博から。うーんこういう画の良さはわからないなあ。
IV 花楽園 -永遠なる四季
鈴木其一の《秋草図》がうれしい。東博から出品の俵屋宗雪《秋草図屏風》は11/29まで展示、12/1からは酒井抱一の《十二ヵ月花鳥図貼付屏風》。最近気になる冷泉為恭《雪月花図》、こういう古典的な画が好みだったのかと、我ながら驚く部分あり。建窯の《文字天目茶碗》があったがこういうののカッコよさとか価値とか、まだピンと来ない。名品をたくさん見ることが必要なのだろうか。出光の次回の企画展「麗しのうつわ」が、とても楽しみ。
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2009年11月 1日
七宝 -色と細密の世界-
INAXギャラリーで開催中の「七宝 -色と細密の世界-」展に行った(11/21マデ)。七宝と言えば東博の「皇室の名宝」展の1期(いよいよ11/3で終了)に出ていた並河靖之《七宝四季花鳥図花瓶》の印象が鮮烈。あれを見て七宝に興味を持った人は多いのではないか。ギャラリー1では、あのめくるめく細密で絢爛な世界がかぶりつきで堪能できる。
本展では、七宝の優美な意匠を、並河靖之をはじめとした名工の作品でご覧いただくほか、技法・製作工程を通じ、七宝が綿密な技術の集大成であることを、改めてご紹介します。
そう、明治京都の名工、並河靖之の作品が12点も。素地にテープ状の金属を植線として接着し、釉薬を流し込む「有線七宝」という技法を用いる。彼の開発した黒色透明釉は、色出しの難しい漆黒を魅せる。これは現代では再現できないそうで、1点展示されていた。小さい作品が多かったがそれだけに意匠の細かさが際立ち、これを間近で見る悦びを堪能した。
濤川惣介は、釉薬を差したあと植線を抜いてしまう「無線七宝」。滲みにより筆で描いたような柔らかい表現ができるのだそうで、実際絵のような繊細さをたたえた皿が2点出展されていた。有線の方が七宝らしい感じはするが、有線と無線の併用により遠近感を出したのだと言う。
七宝の名工と言えばあとは林小伝治か。彼は尾張七宝の祖と言われる。七宝は銘がない作品が多いそうで、尾張のものなら林小伝治、と判定されることが多いと某所で聞いた。花鳥風月、の風雅な世界。
その他鎚起七宝、 透胎七宝、省胎七宝など近代に発展した技法による作品も展開。七宝はあまりモダンな図柄よりトラディショナルな文様の方が似合うなあというのが、個人的な感想。奥に七宝制作の道具の展示と有線七宝の制作過程をまとめたビデオがあり、七宝の美しさを目の当たりにした後見るととても興味深い。
近代七宝で知られる京都の清水三年坂美術館は、村田製作所の一族の方の経営とか。まだ訪れたことがないので、今度京都に行ったら是非。
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2009年10月30日
週末のイベント
目をつけているものをいくつか。どれに行くか、迷うなあ。
・エマージング・ディレクターズ・アートフェア「ULTRA002」 @スパイラルガーデン(11/3マデ)
昨年に引き続き。ディレクターに40歳以下という年齢制限を設けたアートフェア。ギャラリー椿さんも参加されますね。先日鈴木亘彦展にお邪魔して、作家さんにお会いした。土日にはex-chamber museumの幕内政治さんのギャラリーツアー “幕内のアートの幕の内”が。参加したいけど無理っぽい。
・神田古本まつり(11/3マデ)
先日神保町の歯医者さんに行った帰りに寄ってみた。平日午前なのに結構混んでいて、1990年の「日本の名陶百選展」の図録だけ買って退散。もう1回、じっくりのぞきに行きたいな。
・MACHI-YATAI project「茶茶茶」@谷中あたり(11/1マデ)
復活したばかりのカヤバコーヒーでオープニングパーティーをやったり、屋外に茶室を造ったり、何だか気になる動きがざわざわ。11/1(日)には、旧吉田屋酒店で12時と16時にダンスイベントが!
・国際屋外アートフェア2009横浜@横浜市山下公園お祭り広場(10/30-11/1マデ)
コメントでお知らせいただいたイベント。ミシガン州のアンアーバーで開催された屋外アートフェアの出展作家が参加するそうで、サイトの写真を見ると平均年齢が高いような気がするけど、楽しそうですね。
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2009年10月29日
15人の建築家と15人の表現者による対話実験
ワタリウム美術館で開催中の「ルイス・バラガン邸をたずねる」展(1/24マデ)の付随イベントとして、「15人の建築家と15人の表現者による対話実験」というトークショーが木曜日に行われている。ゲストがコンテンポラリー・ダンサーの康本雅子さんの日を見つけて申し込んだところ、いったんは満員とのことで断られたが後日増席のお知らせが来て、めでたく参加することができた。
「身体(からだ)との話」平田晃久(建築家)X 康本雅子(ダンサー・振付家)
司会はこのイベントのコーディネーション・企画担当の、藤原徹平さん。隈研吾建築都市設計事務所の方。平田晃久さんは伊東豊雄建築設計事務所を経て2005年に平田晃久建築設計事務所を設立。すみません、建築に疎いもので両方全く存じ上げなかった。お目当ての康本さんは踊っていなくてもナチュラルに素敵だったけど、平田さんのプレゼンが面白くてびっくり。建築家ってクールで堅実なイメージがあったけど、平田さんは空間彫刻家という感じ。しかもコンセプトの具現化・アピールが巧い。タイプ的に名和さんに近いと思った。
仕事のあと飲まず食わずで駆け込んだので、弱々しく壁にもたれかかりながら聴いた。のでメモなし要約なし。でも今後、私が建築を見る目は変わるでしょう。
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2009年10月28日
Art Point Selection IV
銀座8丁目のギャラリー・アート・ポイントで「Art Point Selection IV」を観てきた(10/31マデ)。若手作家の4人展。飲み友達のいつもブログでお世話になっているあおひーさんが出展されている。去年11月の初個展「いつかのどこか」ではお得意の、ピントをわざとずらした輪郭の曖昧なモノクロ写真を展開されてたけど、今回はカラー!いや〜、綺麗でした〜。フォトアクリル加工も素敵です。私は個人的にガラスやアクリル越しに見える色彩を楽しむような立体作品が好きなので、ツボでした。特に一番左に展示されていた、無題の作品。刹那的で空気感たっぷり。あおひーさんの写真は絵画的と言われるけど、ああいう「余白の美」を感じさせるセンスが、好きなんだなあと思った。
あおひーさんの作品、タグボートにありました(私がリンク貼ってもいいのかなー)、こちら。
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2009年10月27日
東京国立博物館本館
先日の日曜日、久しぶりに東京国立博物館の本館を観てきた。最近古いものに興味があるので、縄文の土偶を見ては「おおう」とうなり(面白怖い顔)、興福寺のガラス玉や瑪瑙玉を見ては「きゃー」となって、最初からテンションが上がってしまう。国宝室の狩野秀頼《観楓図屏風》はとらさんがおっしゃるように赤がシッカリ残っていて、目に楽しい。仏教美術も、昔はどれも同じと思っていたけど、それぞれ味わいがあっていいですねえ。曼荼羅図の緻密さが、私好み。康円作《愛染明王坐像》がとってもカッコよく見えたので、写真を撮らせてもらった。

平安の物語絵も楽しいが、鎌倉~室町の水墨画も品があって良い。そっくり(と思われる)《一休和尚像》があった。彼の書は独特。今回の「屏風と襖絵」室は伝岩佐又兵衛、宗達派、そして応挙。最近「魯山人陶説」という本を読んで焼き物に興味が出てきた。調度コーナーではそうかこれが鼠志野か、織部は好きじゃないな、鍋島は私が見ても品があるな、緑釉というのも味があるかも。と焼き物にやたら目が行った。でもどれが一番?と言われると、仁清《色絵紅葉賀図茶碗》に吸い寄せられてしまう。

今回私的に盛り上がったのはこの辺まで。この後は又兵衛とか蕪村とか冷泉為恭とか、そしておなじみ浮世絵室で春信・歌麿をしっかり見て、出てきた。思わぬ収穫は特集陳列の「中国書画精華」。本来東洋館に展示されるものなのですね。《紅白芙蓉図》も素敵だけど、書が本当に優れていて、何が書いてあるかもわからないまま、1枚1枚楽しんで鑑賞することができた。
1Fを覗くのを忘れたので、また近々行かないと〜。いつ訪れても楽しくて仕方のないところです、東博本館。
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2009年10月26日
夢と追憶の江戸 中期
三井記念美術館で開催中の「高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展」に行った(11/23マデ)。現在中期絶賛開催中(11/1マデ)。前期にも行って作品の良質さにびっくりしたのだが(感想)、今回は更にパワーアップしたような印象を受けた。
美術館入り口近くの、いつも茶器が飾られたガラスケースがいくつもある部屋。今回は茶器を片付けてオール浮世絵部屋。コレクション中特に選りすぐりの逸品と思われるものが展示されるのだが、ここがすごかった。正直、この部屋だけで満足できちゃうくらい。まず冒頭に、前期の《衝立のかげ》に続いて《低唱の後》by菱川師宣。これがのけぞるくらい鮮やかな発色で、特にいちゃつく男女の頬がぽーっと紅くて、見ていて恥ずかしいくらい。海外に流出して里帰りした浮世絵の方が、国内ものより発色が良いのが多いのは周知の事実だが、師宣のこれはすごい。勝った。出品側はこれ1枚で鼻高々ではなかったかなあ。塗り直しました!?っていうくらいの代物。そして私の好きな鈴木春信が3枚。春信は今までかなり見ているけど(人気があるのでたくさん残っている)、この高橋氏の選んだ春信は絶品。別嬪。《鶴上の遊女》の表情の、限りない透明感。春信の描く遊女はほんと清楚だ。あまりに清楚なので、そそられる。なぜ鶴の上に乗っかっているのか不明だが、これはデザイン的にかっこいい。そして鳥居清長もいいけど喜多川歌麿の、美人画の美人なこと〜。ワンパターンを感じる美人大首絵も多いのだが、今回出品の3枚は別格。特に《青楼十二時 続 卯の刻》、美しいわあ。このシリーズは元々好きなんだけど、この遊女は特に瑞々しくて綺麗、同性から見ても憧れてしまう。北斎の富岳三十六景と広重は、西洋画では肖像画は興味なくて風景画が好きなのに浮世絵では逆の私、ふんふんとにこやかに眺めて通り過ぎた。でも良品。最後の写楽は、今回はあんまり気を惹かれなかった。
さて以上はプロローグでこれから本編。年代順に有名作家がくまなく出てきて、もちろん春信も歌麿もさらにどーん。やはりレベルが高い。私的には鳥文斎栄之とか窪俊満とか好きだけど、とにかく作家に関係なく、どれも色がはっきり残っていて素晴らしかった。大好きな月岡芳年の、前回感動した肉筆画はそうでもなかったけど、月百姿2点を含めた版画5点はどれも美品。本当に、類いまれな収集だ。
前・中期と見てきて、高橋コレクションの凄さを思い知った。次は後期、トリですよね。中期でこれだけ盛り上げて、あと失速するとは思えないので、最終兵器とか出てきたりして。怖いなあ、もう他のコレクションを見ても感動できないかも。
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2009年10月22日
皇室の名宝-日本美の華-1期 永徳、若冲から大観、松園まで
東京国立博物館で開催中の「皇室の名宝-日本美の華-」展第1期を観てきた。1期は11/3マデだから会期末の異常混みはギリギリ回避できたかな〜なタイミング。本当は金曜の夜間開館に行きたかったんだけど仕事でムリなので、自分なりに情勢を分析して作戦を立てて、昨日の3時頃ひとりでのりこみました。作戦は、「4時までは混むだろうから会場内をウロウロして場を把握する」「4時半までは第2章の近代作品をじっくり見る」「4時半以降、館内はガラガラという噂。ここで若冲、永徳、又兵衛、抱一をじろじろ見る」。当たりでしたよ。
1章 近世絵画の名品
・狩野永徳・狩野常信《唐獅子図屏風》
京博の永徳展に行ってますので懐かしさでいっぱい。孫・常信のははじめて見たけど筆の勢いが違いますね。永徳の迫力が私は好きなので、うんうんと頷きながら眺めた。
・伊藤若冲《旭日鳳凰図》《動植綵絵》
修復後三の丸尚蔵館で公開された《動植綵絵》は半分くらい観た(たしか4期くらいに分けて展示)。相国寺へ感動の里帰りは、平日休みに日帰りで見に行った。あれは本当に興奮しましたね〜。見知らぬ人と押し合ってひしめき合って、でも眼は若冲に釘付けなので混雑がかえってテンション高めた感じで、いい思い出。そして今回、広ーい平成館の展示室内で1枚1枚を双眼鏡で丹念に舐めるように眺め回す、悦び。前は余裕がなくて色や形を目に焼き付けようと必死だったけど、今は図録も持っているし、絹絵の味わいを楽しみながら無心で見る。全体を見渡して、色や構図で好きなやつをセレクトする。相国寺で見た時は《老松孔雀図》《椶櫚雄鶏図》《梅花小禽図》《梅花群鶴図》がよいって感想を書いていたけど、今回は断然《池辺群虫図》。これ、拡大して見ると驚嘆の描写力。特にアリの姿の正確さにぎゃふんとなって、そのあと死ぬほど嫌いな青虫にいたるまで、1匹1匹を目におさめた。最近バレエをよく見るせいか、自然の群舞に見える《秋塘群雀図》と《芍薬群蝶図》もお気に入り。あとは《紅葉小禽図》の燃えるような赤が美しかった。紅葉を見に行きたーい。
《芍薬群蝶図》
・岩佐又兵衛《小栗判官絵巻》
又兵衛の、こんなに色鮮やかな絵巻があるなんて。さすが皇室。
・酒井抱一《花鳥十二ヶ月図》
眼福。これも双眼鏡で眺めてはじめて、抱一の巧みな技を賞味することができた。
・葛飾北斎《西瓜図》
おっとこれを忘れちゃいけない、布巾の下に透けて見えるスイカの果肉の瑞々しさと、吊り下げられたにょろにょろした皮のユニークさ。北斎らしい。
2章 近代の宮殿装飾と帝室技芸員
すごい作品量、工芸品がいっぱい。過度に華美に見えるものもあった。ここは徒然に、目についたままに。
・川端玉章《群猿之図》
猿と枝の描き分けが巧い。
・並河靖之《七宝四季花鳥図花瓶》
見る人見る人「綺麗〜」と感嘆の声を上げていた。シックな黒地に清楚かつ華やかな花鳥が映える、美品。並河氏の《七宝舞楽図花活》の図柄は好きではなかったけど。
・川之邊一朝ほか《菊蒔絵螺鈿棚》
ゴージャスだけど気品を失わない、細部にいたるまで美しさに隙のない作品。さすが日本人〜。
・沈壽官(十二代)《色絵金彩菊貼付香炉》
ゴテゴテと盛り重ねた外装が、ちょっとグロくて華美。
・富岡鉄斎《武陵桃源・瀛洲神境》
この画家の筆致は得意でないのだが、この作品はそこはかとなくメローな感じが漂っていて良かった。
・川合玉堂《雨後》
画面左手の余白の虹がなんて言うかありがた〜い感じ。
うーん工芸品はもっとたくさん印象に残ったのがあったのだが、メモ取ってないし図録買ってないのですでに忘れました〜。1期にもう1度行くかは、微妙。
そう言えば、こちらに10/5のプレスプレビューと同時開催されたブロガープレビューに参加された方のレポートがまとめてあります。選抜された18名中、6人の方を存じ上げております。みなさん素晴らしいですね〜。
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2009年10月20日
THE ハプスブルク
国立新美術館で開催中の「THEハプスブルク」展に行ってきた(12/14マデ)。日曜だったので混んでいたけど、佳いものは多少環境悪くても、惹きつけますねー。見えるものだけ見て次行こうと思っていたのが、ついつい館内をぐるぐる逡巡、囚われ人になってしまった。絵画って(工芸もよかったけど)素晴らしい。
1.ハプスブルグ家の肖像画
肖像画好きでも歴史好きでもないのでここは流した。ごめんなさい。
2.イタリア絵画
このコーナーに入るとぐーんと雰囲気up(当社比)。イタリア絵画は、調度的に好き。ジョルジョーネやティツィアーノって、ねえ・・・。凄過ぎ。ベルナルディーノ・ルイーニ《聖母子と聖エリザベツ、幼い洗礼者聖ヨハネ》(ブダベスト国立西洋美術館蔵)のえも言われぬ深い色合いと浮かび上がる輪郭を前に、美と宗教に対して敬虔な気持ちになる。
3.ドイツ絵画
激しく好み。デューラーの《バラ冠の祝祭》の模作(ウィーン美術史美術館)、これがまず素敵。華やかで賑やかでリアリズムもあって、ハレの絵。本物を是非観たい。デユーラー《青年の肖像》(BM)が今回の一番のお気に入りかな。兎に角もう、デューラー巧過ぎ。双眼鏡で髪の毛の1本1本まで丹念に見せてもらったけど、落ち度がない〜。しかも青年の表情に人間味が滲み出ていて、実物より本物っぽいかもと思ってしまう。なんでこの絵の画像を公式サイトに載せてくれないの。《若いヴェネツィア女性の肖像》(KHM)の方が人気はあったみたいだけど、私はこっちに張り付いていた。《ヨハンネス・クレーベルガーの肖像》(KHM)もいい。独特の顔立ちが恐ろしく真に迫っている。壁を丸くくり抜いた穴に埋め込まれた肖像という、仔細ありげな演出も面白い。
そしてルーカス・クラナッハ(父)《洗礼者ヨハネの首を持つサロメ》(BM)、なんてまあ生々しい、しかしサロメの肌と顔色がとても人間業と思えないような見事な美しさで(つやつやしてて)、ここでも双眼鏡を握ったまま動けなくなる。私の場合衣装は鱗のように見えて、気味悪いと思っちゃったけど。なんと言っても肌。《聖人と寄進者のいるキリストの哀悼》も前景の人間が異様に小さかったりして曲者な絵なんだけど、非常に磁力のある絵。
4.特別出品
ガラスケースの中に《風俗・物語・花鳥画画帖》、人だかりで見えず。蒔絵棚もあった。
5.工具と武具
す・て・き。煙水晶の器。色とりどりの石を埋め込んだ時計。ソクラテス・プラトンの胸像。妖しく光る真珠貝の王と王妃。貴石象嵌の箱。メデューサの盾などに萌えた。
6.スペイン絵画
スペインものは「好き」度が落ちる。グレコとかムリーリョとかベラスケス(王家の子供の肖像画)とか。
7.フランドル・オランダ絵画
風景画好きとしてはヤン・ブリューゲル(父)《森の風景》(KHM)を挙げておく。
激しく自分の趣味に偏った取り上げ方だけど、仔細を言えばどのコーナーでも色々感じたし感動した。ハプスブルク家に憧れを抱かせるような映像も流されていて、旅情をそそる展覧会。とてもよかったです。
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2009年10月18日
速水御舟 ―日本画への挑戦―
山種美術館で開催中の「速水御舟 ―日本画への挑戦―」に行った(11/29マデ)。広尾の新しいビルに移転した新生山種美術館の、第一弾の展覧会。御舟コレクションで知られているだけあって《炎舞》《名樹散椿》のような見応えのある作品を有しているから、今回の回顧展はスゴそうと思って期待していた。
場所は簡単。恵比寿駅からプライムスクエアの前の道をずーっと登ればよい。途中に何軒もカフェがあって、人通りが少なくよい散歩ルート。元気があれば青山の根津美術館まで歩いちゃってもいいのでは(無謀?)。庭園美術館や松岡美術館はちと遠いかな。でもこの辺、いい感じに定番ミュージアムが集まってきた。アート巡りの楽しさのひとつは歩くこと、だと思っているので、うれしい。
新美術館開催記念特別展である本展では、当館所蔵の《炎舞》《名樹散椿》(重要文化財)をはじめとする120点の御舟作品に加え、初公開となる未完の大作《婦女群像》(個人蔵)および1930年の渡欧日記(個人蔵)も展示します。これらの新出資料を通じて、40歳の若さで急逝した御舟が新たに目指していた方向性が明らかになることでしょう。
御舟と言えば《炎舞》の印象が強く、ひたすら写生して身につけたという精緻な蛾や焔の描写に圧倒されて、雲の上の巨匠だと思っていた。ちょっと怖い絵ですよね、《炎舞》って。それが、今回山種の所蔵品を年代順に見るにつけ、すごく優しい画を描く人だったんだなあとイメージ転換。写実を極めたのちにそれを破壊するような新しい日本画を創っていったのだと聞いたが、その変遷の中でずっと好ましく感じられたのが、線の繊細さ・色の優しさ。自然を描くことが多かったせいだろうか。最近美術展には双眼鏡を持って行くのだが、御舟の作品は拡大して見る甲斐がすごくある。花柱、葉脈、昆虫の足など、肉眼では見えないデティールが異様に細かく描かれているのが面白いし、絵具や胡粉の美しさを堪能することもできる。全体の色バランス自体調和が良いし。三幅対の《供身像》《朝鮮牛図》は、透明感のある明るい色彩が綺麗で、また見たい。なんで笑う埴輪(供身像)を描いたのか〜
ローマ展で渡欧して西洋画の影響を多大に受け、まったく訓練していなかった人物画を始めたくだりは微笑ましかった。写実の名人とは思えないスケッチ。でも丹念に製作を進めていた《婦女群像》、彩色がうまくいかなかったみたいで未完のまま遺されたけど、あれはもうちょっと完成に近いものが見てみたかった。そう言えば東博所蔵の《京の舞妓》は未見だ。御舟の人物像って好きでないけど、興味深くはある。
常設展示室の《牡丹花(墨牡丹)》をはじめとする花の画(スケッチが多いけど)はやわらかくてとても素敵だった。新しい日本画の世界に挑戦し続け、更なる飛躍を、というところで夭折した御舟だけど、自然の美しさをよく知っていた彼は真の芸術家だったのだと思う。この展覧会、と言うか新生山種自体は思ったよりこじんまりとしていて、御舟展の決定版を観たという感じではなかったけど。
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2009年10月15日
名和晃平展「Transcode」
大阪のギャラリーノマルで名和晃平さんの個展「Transcode」を観てきた(10/17マデ)。ノマルに伺うのは前回の名和さんの個展「TORSO」以来。今年の5月にリニューアルopenしたということは知っていたけど(設立20周年とか)、すごくなおしゃれな造りになっていた。超有名な某設計事務所にいらした方が設計されたとか。
左の幕の後方に2Fに向かう階段があるのだけど、そこに至る通路に玉砂利がひいてあったりして、そつがない感じ。地下鉄中央線深江橋駅から徒歩5分、いったん憶えてしまえばすごくわかりやすいところにある。所属作家には大西伸明さんもいらっしゃるから、関西に行った時には立ち寄りたいところ。
肝心の名和さんの個展は、すごくよかったです。memeさんとmoriさんのレポですでに概要は知っていたけど、実際見るとその美しさに圧倒される。見に来て良かったと心底思った。今回のPixCellはビーズのシリーズだけど、画期的なことに被覆するのが動く映像。動画がループするモニタをビーズでおおってしまっている。PixCellビーズシリーズは完成度が高いので、私などはたとえ中身がなくても綺麗〜と思ってしまうのだが、見え隠れする映像が動いた日にはもう。多分あなたの想像をはるかに越えます。ストーカーめいた名和さんのおっかけをやっている私ですが、この美しさは驚愕でした。ビデオアートは興味深いと思いつつ今ひとつ好きになれない分野だったけど、映像をこういう形で差し出されると飛びついてしまう。作品のひとつはネットに流れる名和さん自身の映像だったけど、それを見て「名和さんもうれしいけど、中に踊るザハロワ様(世界最高峰のバレリーナ)を入れたらどんなに素敵か・・・」と妄想した。汎用性のあるビデオフレームとして、ビーズでおおったモニタを大量生産してくれないかしら。
「TORSO」で強烈だったDotシリーズも出品。床Movieです。これも体感しないとすごさがわからないと思う。名和さんの作品はきちんと系統立てられていて、オフィシャルサイトに分類が全部載っているので、是非きっちりと見て欲しいです。
http://www.kohei-nawa.net/
小品も見せていただいた。ちいさなPixCellビーズがあって「すわ!」と思ったがすでに北海道の美術館に収蔵予定とか。来年はじめには東京のスカイザバスハウスでも個展があるようだが、更に新作が見られるもよう。気になっていたのでギャラリーの方に聞いてみたのだが、エルメスの「L_B_S」のヘラジカはスカイの扱いだそう。一体どんなお値段がつくのやら。どなたが購入されるのやら。個人で買われたらコワイ。
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2009年10月12日
古代ローマ帝国の遺産 栄光の都ローマと悲劇の街ボンベイ
国立西洋美術館で開催中の「古代ローマ帝国の遺産」に行った(12/13マデ)。連休中なので結構混んでいたが(中年男性に引率された男の子の団代がいたりして)、空間的に余裕を持たせた展示をしているので閉塞感はなく、見所と思われる素晴らしい彫刻の数々をしっかり堪能できた。
第1章 帝国の誕生
初代ローマ皇帝アウグストゥスを中心に、ローマ帝国の偉人たちの彫像を展示。ここで帝国創建の歴史を概観し、その栄光にあらためて思いをはせる。準備万端。オクタウィアヌスって聡明で意志が強そうな面構えしてるなあと、歴史の教科書を思い出しつつ確認。月桂樹の冠を戴く白大理石の《皇帝座像(アウグストゥス)》後1世紀中頃(ナポリ国立考古学博物館蔵)は高さが215cmもあり、迫力。
第2章 アウグストゥスの帝国とその機構
アウグストゥス=尊厳なる者、人身掌握に長けたオクタウィアヌスは表向き共和政を復活させ、自らを市民に選ばれた者と位置づけ絶対権力者として君臨。内乱で荒れ果てた国土を回復させていく。ここで目を引いたのがまず《カリアティド》前1世紀末-後1世紀初頭(フィレンツェ国立考古学博物館)、これまた2m越えの白大理石の女性立像。衣装のひだの表現は精巧な仏像並みに繊細で、これ1体でローマ帝国の勢いを感じてしまった。うるっと来たのが《ペガサスが表された柱頭断片》前2年頃(ローマ、皇帝広場博物館)、これはふたつあるんだけど右の方。カリアティドといい、こういう素敵な装飾にあふれていたアウグストゥス広場、タイムトリップして訪れてみたい...。ブルーのガラスの骨壺もいいんだけど、彫刻好きとしては《トガ姿の男性像》ティベリウス時代(ボンベイ考古収蔵庫)にいたく惹かれる。表情がリアルだわー。
第3章 帝国の富
西暦79年、ウェスウィウス火山が噴火により火山灰に埋没したポンペイの街からの出土品。金貨、銀器、ゴージャスな装飾品。《バルテウス(馬の胸懸)》後2世紀半ば(アオスタ州立考古学博物館)、こんな造りの細かい立派なモノを馬に付けていたなんて、文化的。庭園の風景、モザイクの噴水などボンベイの人々の精神的にゆとりを持った生活を偲び、ああ私も文化的に、哲学などしたい〜と夢想。なぜか先日見たバラガン邸のゆったりとした空気を思い出す。
さて最後になりましたが、本展で最も感動したのは実は次の2点。
《アレッツォのミネルウァ》前3世紀(フィレンツェ考古学博物館)、特別出品。8年に及ぶ修復を経てお披露目されたそうで、とても珍しいブロンズ像。古代ギリシアのもの。修復しきれない欠落部分もあるものの、非常に美しかった。そのたたずまい、存在感。眼が空洞になっているところがかえって迫力あったりして。
そして《豹を抱くディオニュソス》紀元前後1世紀(ノーラ考古学博物館)。東京大学が2002年からソンマ・ヴェスヴィアーナで行っている大規模な発掘調査で出土。高さ152cmとやや小ぶりな白大理石の立像だけど、顔の造型(特に唇)が愛らしく、特筆すべきはお尻のむっちり感。手を伸ばしてなでたくなりました。
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2009年10月 4日
ルイス・バラガン邸をたずねる
ワタリウム美術館で開催中の「ルイス•バラガン邸をたずねる」展に行った(1/24マデ)。ワタリウム美術館はコンテンポラリーアートを重視した特異な美術館だと認識していたけど、最近前回の「アロイーズ 展」に関わった方とお話する機会があって、あらためて興味を持った。今回は建築を館内に再現するという大胆な試み。あの妹島和世+西沢立衛/SANAAが会場構成担当ということで、期待して出かけたが、元々バラガンをよく知らない私には最初は地味〜な展示に見えた。しかし学芸員さんのガイドを聴き映像によるバラガン建築の紹介を見ているうちに、すっかりバラガン邸の魅力に取りつかれた。毎週水曜日は21時まで延長、入場料1,000円で期間中何度も使えるパスポート制と、とっても行きやすい展覧会。また立ち寄って、あの静寂を味わいたい。
本展では、インターナショナル・スタイルから独自のバラガンスタイルへと変貌を遂げるきっかけとなった「バラガン邸」が主役です。 「バラガン邸」には、情感に満ちたメキシコの時間とシンプルで洗練された空間がみごとに調和します。十字架のような窓枠、金色に輝く光、ブーゲンビリアの花のピンク一色に塗られたダイニング、空を切り取った屋上、そしてバラガンが愛した友人たち、マティアス・ゲーリッツ(彫刻家)、チューチョ・レイエス(画家)などのオリジナル作品も多く展示されます。
メキシコのバラガン邸は世界遺産に登録されている。本展には一部オリジナル家具や飾られているアート作品が実際に運び込まれ、更に忠実に再現された窓やカーペット等が展示されている。日に1回はバラガンの椅子に腰掛けてお茶を頂くこともできるという。バラガンが好んだという分厚い木製家具は相当な重量があるそうだが、あたたかい存在感があって良い。家のいたるところに本棚があり本があふれ、友人のアーティストの作品や骨董品がそこかしこに置かれ、そして静けさに包まれた室内。「孤独を恐れてはいけない」とバラガンは静謐さを建築に求めたそうだが、それがとても共感できる。孤独は時に人を癒すものなんじゃないかと思う。
この写真集は最近の修復後に撮影されたものだそうだ。これをじっくり眺めて、またワタリウム美術館に行きたい。できたら本物のバラガン邸も訪れたいもの。
Luis Barragan Barragan House―世界現代住宅全集2
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2009年9月30日
村田朋泰展「2」
両国のGALLERY MoMoで村田朋泰展 「2」を見た(10/17マデ)。今日はBATIKの舞台も見てきて、いつもだったら舞台優先で感想を書くのだけど、今回の村田さんの展開は予想外だったし好きな路線だったので、先に記録することにした。
と言ってもアート作品の説明って難しい。あんまり具体的に書くとネタばれみたいになるし表現が不味いと作家さんに悪いし。あくまで主観で、とお断りして。ちなみにこれが今回の個展のイメージ画像。不思議な人形でしょう。DMで見た時「あれ?今までとイメージが違う」と思ったんだけど、全体的にいい感じの変化だったので安心した。この村田さんお手製の人形、ちゃんと実物が展示されていた。
私は2006年の目黒区美術館での個展で村田さんのファンになったんだけど、彼の作品には色々なシリーズがあって、それらが満遍なく好きというわけではない。「さかだちくん」みたいなマンガキャラには興味がなくて、あと最近の宇宙人みたいなのが出てくる絵画は苦手。やはりパペットアニメの高い叙情性に惹かれる。TOKYO LOOPに登場したような綺麗系もいいけど。今年の平塚市美術館の個展では「百色旅館」と称して美術館全体をレトロな雰囲気で包んでいたけど、ああいう凝り性気質が好ましいんだと思う。(TOMOYASU MURATA COMPANY.のYouTubeオフィシャルページはこちら)
さて両国のGALLERY MoMo、入り口ウィンドーに見事なインスタレーションがあって、飾られた細々としたオブジェはアニメ製作に使われた素材なんだろうなと思われる。しかしギャラリーに入ると村田さんのイメージが見当たらない。マンガもパペットも過去を引きずる男の影も温泉もないっ。並ぶのは箱庭的ミクストメディア。ちょっと暗くて少女的で、シュヴァンクマイエルとかヘンリー・ダーガーの名が頭をよぎったけど、別に女の子が出てくるわけではない。小石や枯れ葉やおなかの裂けたウサギの人形や古い子供靴、毛糸、小鳥、試験管、ビニルチューブ・・・。だめ、説明できない。過去に他作家において見たことのあるような系統の作品ではあるんだけど、よーく観察すると村田さんらしさがあって、それは作業の細かさや考え抜かれた配置なんていう、気配的なものだったりする。糸の縄梯子が床から天井に伝わっていて、目で追っていくと天井に温室みたいな空間が設えてあったり。軽くぐさっと来る。しみじみと作品のひとつひとつを眺めていたら、すごいツボなヤツがあってあせった。たしか《世界3号/断片》というガラス張りの箱で、バックにライトが仕込んであってこれが不規則に点灯する。もうね高さが1m以上あって(奥行きも20cmくらいあった)コンセントまで付いていて中はオブジェがびっしりで、こんな作り込まれた作品、家にあったら持て余します。でもこれは素敵!ムラムラしました。
実は白眉はギャラリーの奥の部屋の映像を中心としたインスタレーションだったんだけど、これにはもう何も言いますまい。ひとことだけはさめば、村田さんと言えば映像、私的には「檸檬の路」より全然スキ。「あの」人形も奥の奥に鎮座している。このGALLERY MoMo両国に入ったのははじめてで、こんなに広いとは思っていなかったんだけど、スペースの隅から隅まで村田さんは制御し切っていた。今回の路線、実は今年のGEISAI #12で発表されていたそうだけど、そこまではチェックしていなかった(GEISAI行ったけど)。なので私にとっては衝撃的な変化だった。
思ったんだけど、村田さんの真骨頂はあの偏執的とも言える職人気質なのではないか。「関節の入った人形を動かして撮る」という超煩雑な作業を、人形製作からすべて自分でやってしまう村田さん。彼の才能が活かされた今回の個展はすごく良かった。ギャラリーの方によると、現在六本木の方で開催されている常設展「村田朋泰2003-2008」(10/24マデ、こっちも行った)みたいな村田さんが好きな一部のファンには、両国の展開は不評なのだそう。どうなんだろう。すでに今日、ひとりの方にメールを送りひとりの方にはDMを差し上げてこの展覧会をお勧めした。このエントリを読んでくださった方が実際に足を運んで何かを感じてくださったら、うれしいなあと思います。
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2009年9月29日
ウィーン・ミュージアム所蔵 クリムト、シーレ ウィーン世紀末展
高島屋美術館で開催中の「クリムト、シーレ ウィーン世紀末展」に行った(10/12マデ)。サイトは質素だけど、出品リストくれたし受付は丁寧だし、何よりこんな素敵な作品たちを持ってきてくれて、高島屋美術館はよい美術館だ。このあと舞台鑑賞の予定が入っていたので30分ほどしかいられなかったのが、すごく心残りだった。
第1章 装飾美術と風景画
ここは知らない画家ばかりだけど作品量が多く充実していた。私は風景画が好きなので、そちらに目が行く。割と保守的な絵が多かったように思う。でも風景画はオーソドックスな方が楽しめる。光と影のコントラストがやや強めな印象。
第2章 グスタフ・クリムト
うーんクリムトが少なかった。むしろ弟のエルンストの《宝石商》に目が行く。背景がゴールドとか、異様にきらびやかなんだけど結構許容できる装飾性。クリムトを見に来てるんだから、これくらい当たり前って感じ。グスタフはなぜか《彫刻》に一番惹かれた。ドローイングが好きだからだろう。輪郭がやわらかくてうっとり。
第3章 エゴン・シーレ
思ったよりたくさん作品があって、満足度が高い。油彩は4点だけど、私の場合線画が好きだしシーレのやや辛辣な視線による肖像画が好きなので。そう、友人らを描いたと思われるリトグラフや鉛筆画がツボだった。油彩では《ヒマワリ》や《意地悪女》は色の選び方がどうも合わなくて、《アルトゥール・レスラー》が好みだった。歪んだ姿勢とか、気にならないくらい。
第4章 分離派とウィーン工房
好きな作品が多かったところ。と言っても挙げてみるとオットー・ワーグナー《シュタインホーフの教会(草案)》はスケッチだしエミル・オルリク《グスタフ・マーラー》は銅版画、「ウィーン工房のハガキ」なんて商品化されたポストカード。でもデザインものって時代を越えていいものはいいんだと思う。特にメラ・ケーラーの描く女性がおしゃれ系少女マンガのように可愛くて、販売ハガキを買ってしまった。そして家に帰ってから「アーツ&クラフツ」展の図録を開いて「ウィーンにおけるアーツ&クラフツ」のページを見返す。オスカー・ココシュカ。アルフレッド・ロラーが本展とかぶっていた。
第5章 自然主義と表現主義
ここは第1章以上に当たり前な感じの作品が多くて、あと急いでいたせいもあってあまり記憶に残っていない。当時のウィーンを偲ぶ、という感じだったか。
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2009年9月28日
夢と追憶の江戸 -高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展-
三井記念美術館で開催中の「高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展」に行った(11/23マデ)。すでに評判が高いのでいいものが見られるんだろうなあと思っていたが、想像以上に綺麗に色が残ったコレクションで、ぼーっと見入ってしまった。経済学者である故高橋誠一郎氏のコレクションは慶応義塾に委譲され、今回創立150年記念事業として16年ぶりに公開されたのだとか。そう言えば、去年同じく150年記念事業のイベントで三田演説館に入らせてもらった。歴史のある大学っていいなあ。
ふだんは常設の茶器など拝見してから企画展に臨む三井記念美術館だが、今回はいきなりガラスショーケース内に菱川師宣。間髪置かず鈴木春信。東博の常設などを見る時も、春信があるかないかで私の好感度がかなり上下するのだが、これは正しい。しかも《廊下相撲》なんて子供を描いた作品。いーわねー春信のこどもは。歌麿の美人画に北斎、広重、写楽と「王道」が続く。ここまでは掴みの部分だけど、全くもって完璧。
ミニ茶室まで茶器がとっぱらわれて高橋氏関係資料でいっぱいだったのには驚いた。
このあと90点近くの作品を堪能。もちろん春信や歌麿はもっとあったし、窪俊満とか鳥分斎栄之とか何となく憶えていてもうちょっと見たいなと思っている絵師もいるし、小林清親まで見られるので「満遍なく」感が強かった。どれも状態が良いし。しかし最もインパクトがあったのは月岡芳年の肉筆画。《日向の景清》、すごい〜。盲目の景清が月夜に琵琶を弾く。訪ねてきた娘に昔語り。ほとんど墨絵だったような気がするが、陰惨で情念の籠った迫力のある画で、また芳年を見直してしまった。となりに河鍋暁斎の肉筆《おいわ》もあったけど、こっちは今ひとつ。
この展覧会は前・中・後期に分かれているけど、1回行けばいいかなあと思っていた。しかし芳年のアレを見ちゃうと、ちょっと・・・。次回も肉筆あるんですよね。図録で確認してくればよかった。
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2009年9月25日
連休中に行った美術展
潔く、まとめてup。
まずは東京都写真美術館。ガーデンプレイスではビヤフェスティバル「恵比寿麦酒祭」をやっていて盛り上がっていた。海南鶏飯とかそそられたけどスルー。
・北島敬三 1975-1991 コザ/東京/ニューヨーク/東欧/ソ連(10/18マデ)
ザラッザラした写真。日本人はカメラに対して目線を外しているけどNY人は挑戦的にこっちを見据える、そしてソ連の人はすごく誠実にポーズしてくれてるなあと思った。
・コレクション展「旅」第2部「異郷へ 写真家たちのセンチメンタル・ジャーニー」(9/23で終了)
戦後世代の写真家の中でアラーキーの作品には時間によって損なわれることのない人間の本質があると思った。これぞアート。
・心の眼 稲越功一の写真(10/12マデ)
没後はじめての個展とか。商業写真家としてお名前のみ意識していた方だけど、「心の眼」と題するだけあって、氏の静かだけど執拗な視線にシンパシーを感じた。「Out of Season」シリーズには特異な美しさがあり、写真集が欲しくなった。
江戸東京博物館、「よみがえる浮世絵−うるわしき大正新版画」(11/8マデ)。江戸博にしては混んでなかった。浮世絵が衰退し、めぼしい作品はあらかた海外に買われてしまって、そんな中浮世絵(木版画)復興をめざして立ち上がっ人たちがいたとは頼もしい。大正新版画と言えば私的には川瀬巴水で、実際巴水の肉筆画まで見られて大満足だったんだけど、太田記念美術館の「名優たちの系譜」(感想)に続いて大変勉強になる展覧会でもあった。
オークラエリア。ぐるっとパスのおかげでよいものが見られます。「髙島屋史料館所蔵名品」 展@泉屋博古館分館(9/27マデ)。サントリー美術館「小袖」展で髙島屋史料館はいいもの持っているんだなあと感心したが、今回の日本画コレクションも良品揃いで。竹内栖鳳《ベニスの月》が前期展示で見られなかったのは残念だけど、写真だけでも満足。日本画家さんについてもっと学ばねば。「赤 黒 金 銀 緑 青 前田正博の色絵」@菊池寛実記念智美術館(9/23で終了)は前期に続いて後期最終日に駆け込み。やはりモノクロに近い面取りシリーズと、展示レイアウトの妙に感動。焼物の展覧会では作品を手に取れないストレスに悩まされる。こんなに素敵なのに。
ミッドタウンへ。「美しの和紙」@サントリー美術館。たかが和紙、されど和紙と言うか。装飾経ひとつ取っても技巧が凝らされていて目に楽しい。料紙装飾技法には様々あるそうだが、墨と油でマーブル模様をを作るやつが面白いと思った。手漉き和紙作製の工程を以前どこぞの美術館で見た。私も漉いてみたい。21_21 DESIGN SIGHTでは入場無料の「TOKYO FIBER '09-SENSEWARE」展(9/27マデ)。ナノテクとかファイバーとか、仕事上親和性の高い分野だし元々新しモノ好きなので、興奮しながら各種製品を(こっそり)触ってみた。ミントデザインズのマスク〜。猿のやつ仕事で使いたい〜(KINさんのところ参照)。
というわけで、とっても楽しい連休を過ごすことができました。どうもありがとうございました。
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2009年9月24日
狩野派の世界2009
シルバー連休遠征第二弾。愛知県美で加藤美佳さんの作品を見ることは前々から楽しみにしていたのだが、他は予定を決めていなかった。来月京都・大阪に行くつもりだし名古屋の美術館とは相性が良いので名古屋止まりでいいと思っていたんだけど、豊田市美でも徳川美術館(未踏)でもボストン美でも、何なら御園座に行ってもいいな、とすごく適当。memeさんがお勧めとして松坂屋美術館の「東本願寺の至宝展」のチケットを送ってくださったので(東京展には行かなかった)そこは決めていたんだけど、朝新幹線でiPhoneをいじりながら眠い頭で思案。前日Takさん主催のお食事会でお会いしたmemeさんが目を輝かせて絶賛されていた静岡の美術館のことが気にかかる。ブログを拝見するとすでにレポが。やまと絵って別に好きではないのだが、なんだか面白そう〜。ということで静岡県美のサイトをiPhoneにブクマして愛知県美に入ったところ、追い打ちをかけるようにmemeさんから「静岡おすすめ」のメールが入り、ちょうど良い新幹線の時間など教えていただき、万全を期して静岡経由草薙駅に向かったのでした。実は、人の行かないところに行くのが結構好き。
いつになく前置きが長いが、静岡県立美術館で開催中の「狩野派の世界2009」に行ってきた(10/18マデ)(前期:9/10〜27 後期:9/29〜10/18)。近年東博や京博で結構な狩野派の作品を見させてもらっているが、それでも新鮮な喜びを感じる不思議な展覧会だった。なんて言うか、雑な仕上がりの作品がないので、1品1品を見るのに時間がかかるからボリュームも十分(実際には前後期合わせて65点)。最初は元信?永徳?って感じで絵師の名前で見ていたんだけど、元々狩野派の系譜が恥ずかしいくらい頭に入ってない私、いつしか単に「面白い日本画」を観るのに夢中になっていた。
1.室町〜桃山時代の狩野派
2.狩野探幽とその周辺
3.京狩野の系譜
4.江戸狩野の展開、そして近代へ
冒頭、元信印《富士参詣曼荼羅図》(注:前期のみ)を見て、ああ来てよかったなあと思った。参詣曼荼羅図というのを見たのがはじめてで、しかもとても精緻な出来。最上方にちゃんと三尊のお顔が浮かんでいて、キマっている。拡大鏡必須。狩野永徳《松に叭々鳥・柳に白鷺図屏風》、大きな永徳を静かな館内で独り占めできて、それだけで感激。狩野宗眼重信《帝鑑図・咸陽宮図屏風》は色鮮やか、端正で画面の隅々まで緊張感を保った佳作。
狩野探幽《七賢九老図屏風》(前期のみ)は老人らのやわらかく豊かな表情に思わず見惚れる水墨画。巧い〜。《富士山図》(これも前期のみ)のコマコマとして詩的な山麓の人家の描写にもうっとり。
狩野山雪《富士三保松原図屏風》(前期のみ)、薄墨の美しさ。構図の雄大さ。直に見るとため息が出る。狩野永納は《蘭亭曲水図屏風》の完成度の高さもよいけど、若書き(なんと22歳)の《三教図》(前期のみ)がなんだか印象的。狩野永岳《富士山登龍図》は本展の中で眺めると龍の存在が何だかもの珍しかった。
私的ハイライトは狩野栄信《百猿図》。手長でふわふわした毛に包まれた猿ちゃん達の、愛らしさ〜。これが本当に100描かれたと言うんだから!虫みたく小さい猿ちゃんだけど、可愛いから大きさは不問!狩野芳崖《寿老人図》(前期のみ)も見られてうれしい。
特に印象に残った作品だけ挙げたけど、とにかくどうでもいい作品なんてほとんどなかった。1時間半ではとても足りず、前期のみ展示のものを重点的に鑑賞。静岡県美は常設もよいのだけど、駆け足で眺めなければならなかったのが残念(ロダンはスルー)。後期も非常に気になる。昔友人が毎週静岡と東京を行ったり来たりしていたことを思い出し、東京の郊外感覚で行けるかも、と密かに再訪の日程を練っております。遊行さん、yogini教のお告げには従うべし、ですよ。
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2009年9月23日
放課後のはらっぱ 櫃田伸也とその教え子たち
愛知県美術館であいちトリエンナーレ2010プレイベント「放課後のはらっぱ 櫃田伸也とその教え子たち」を観てきた(10/25マデ)。シルバー連休唯一の遠征です。名古屋市美術館でも一部作品展示があるが常設1室を使った小規模なもの(櫃田氏の作品は2点)、メインは愛知県美。
櫃田伸也はすぐれた画家であると同時に、すばらしい先生でもあります。奈良美智、杉戸洋など現代アートのトップランナーの多くが、実は彼の教え子なのです。そのためこの展覧会では、櫃田自身の名作の数々と、教え子であるアーティストの旧作、近作、新作を織り交ぜてご紹介します。画家・櫃田伸也の魅力に改めて気づくと同時に、多くの作家が彼のもとでどのように才能を開花させていったのかも明らかとなるでしょう。
ということで、半分櫃田氏の回顧展、半分は現代アート作家のグループ展といった趣。有名作家の学生時代の習作など見られるので、内容はレアだ。櫃田氏の作品約70点、各作家の新旧作品約130点と、充実した展示内容。
出展作家(敬称略): 櫃田伸也 安藤正子、加藤英人、加藤美佳、木村みちか、城戸保、小林耕平、小林孝亘、佐藤克久、設楽知昭、杉戸洋、登山博文、奈良美智、額田宣彦、長谷川繁、櫃田珠実、古草敦史、村瀬恭子、森北伸、渡辺豪
知らない作家さんもいるけど、豪華、としか言いようがない陣容ですね。私のお目当ては寡作な加藤美佳さん。旧作でも見られればなんでもいいと思っていたのに、新作にも出会えたという感激の日だった。
まず初見の櫃田氏の作品。抽象めいた具象の大型風景画。色遣いが綺麗。肌色など、穏やかで抑えた色調の中に明度の高い色が散っていたり、背景色自体がやわらかな水色だったり、心地よい配色。ところどころで山口薫とクレーを思い出した。前者はクロスオーバーなところ、後者は引っ掻いたような描線と絵具の質感から。アトリエの再現もあり、その後は彼の作品と教え子たちの初期作品が呼応し合うように、混在して並べられていた。櫃田氏の作品の脇には時々「風景」の原景であるスナップ写真やスケッチが掲示されていて、モチーフを読み解く助けになって、良かった。
奈良美智さんファンには堪らない、20代の頃の色鉛筆とアクリルの作品。《無題》とされたおかっぱ・ワンピースの女の子の上半身になぜか白い筒がかかっているものが、質感といい彩色といい、大変美しかった。学生時代のヌード習作からは奈良さんらしさは伝わってこないが、「真面目」な作品より落書きメモを誉められて、現在の作風が育っていったのだそう。
涙ものだったのは、加藤美佳さんの《カナリア》の、タブローのためのエスキース。1日で描きあげて捨てようとしていたところ、櫃田先生に「欲しい」と言われて師の小品と取り替えてもらったとか。加藤さん曰く恩師の作品は「一生の宝物」、でも救われたドローイングの生々しさはぞくっと来るほどのもので、櫃田氏の眼力に今更ながら感謝。モデルになった手作り人形も見られて感激したが、私的に一番じーんとしたのは《つぶつぶ》というミクストメディア。ガラスケースの中に、それはそれは小さな貝殻や石やボタンが、綺麗に並べてある。加藤さんの作品だと思うと、感動ひとしお。加藤さんの感性の繊細さをあらためて感じた。世界で一番欲しいアート作品かも。
小林孝亘さんは若い頃から特徴が出ていたように思う。各作家、別コーナーに近作・新作が展示されていたが(加藤美佳さんの新作《BABY MELON》を見つけて立ちすくんだ)、あたらしく安藤正子さんが好きな作家に仲間入り。渡辺豪さんのくずおれる少女の映像はすでにおなじみだったけど、やっぱり面白い。女性の顔のどアップを舐めまわすように映し出す作品に、乾いたおだやかな空気を感じるのが不思議。
せっかちな私をして2時間鑑賞してもまだまだもの足りない感が残るという、素晴らしい展覧会だった。
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2009年9月21日
NEW DIRECTION #1 exp.シンポジウム 9/20
トーキョーワンダーサイト本郷で開催中の「NEW DIRECTION #1 exp.」展を見てきた(9/27マデ)。
この度トーキョーワンダーサイト本郷では、京都造形芸術大学との連携企画として若き才能を発掘、育成するためのプログラムの一環として「NEW DIRECTION」展を開催いたします。 京都造形芸大教授の後藤繁雄氏が中心となり、東京藝大教授・木幡和枝氏との共同キュレーションにより、全国の美術大学・大学院卒業者の中から「新たな動向」を予感させる才能を選抜し、時代の変化に敏感に反応する彼らの表現の特性を活かし、美術による社会への作用を目指した展覧会です。また出展作家のみならず、展覧会設営にあたっては、アートプロデュースを志向する京都造形芸術大学の学生を中心に選抜し、学校外の現場における実践スキル・批評力などの育成を図ります。
ということで、浅田彰さん(京都造形芸術大学・大学院長)・名和晃平さん(京都造形芸術大学大学院・準教授)を迎えてのシンポジウムがあったのだ。キュレーターの後藤・木幡氏の他に東京ワンダーサイト館長の今村有策氏、昨日のシンポジウムゲストの粟田大輔氏(昨年芸大で開催された「ヴィヴィッド・マテリアル」展のキュレーター)・池田剛介氏(美術家、Fairytale/Diary 童話日記拝読してます)・千葉雅也氏(批評家)らも途中から加わって、2時間ほどだがとっても濃い内容のトークセッションだった。
最初はゆるゆると「NEW DIRECTION exp.」という展覧会タイトルの意味とかキュレーターのおふたりが語ってくださっていたのだが、浅田氏がマイクを握った途端に弾丸トークで場が仕切られた。小柄で細身、名和さん作のユニクロのパックマンTシャツを着こなし張りのある声、50歳越えているとは思えません〜。前フリとして直島にできた大竹伸朗さん作の銭湯「Iラブ湯」の宣伝(名和さんにそのTシャツを着てこさせて、会場で上着を脱がせたため場が沸いた)、所沢ビエンナーレの利部志穂さんのワークショップが素晴らしかった絶対行け勧告。某都知事は最悪だがこのTWSは知事が変わっても存続させようとか、発言が熱め。昨日大阪のギャラリーノマルで個展初日を迎えた名和さん(memeさんが早速レポを挙げてくださってます!)はさすがにお疲れでしょう、本展覧会の感想などをぽつぽつと慎重に語られます。「可愛いものがほとんどない」という言葉になるほど〜と思った。3年くらい前までは、若い作家はマンガやアニメを引用することが多かったけど、自分の教えている学生も今はそういうことはしていないと言う。「模索している感じ」と評し自分自身いつも不安を抱きながら製作している、安易な道は見つかるけどそれにすがったら止まってしまうのだと言う。やはりストイックな方だわ。「展示がうまい」とも。もっと泥臭い人がいるかと思ったら全然違ったと。名和さんは2004年に後藤氏の推薦でKPOキリンプラザ大阪にてシリコンオイルの泡の作品を発表されている(私は未見)そうだが、当時のことなど思い出されていただろう。
さて本展に選抜されたのは7名のアーティスト。小宮太郎(京都造形芸術大学)、しょうじまさる(東北芸術工科大学)、 藤本涼(東京藝術大学)、三井美幸(東京造形大学)、 宮永亮(京都市立芸術大学)、 村田宗一郎(東京藝術大学)、 山下耕平(京都市立芸術大学)さん。初見でなかったのは山下さんのみ、8月にINAXギャラリーでいいなあと思った方。宮永さんの映像は実写にエフェクトをかけるだけでなく人工のモチーフを加えている点が新鮮。ただし藤本さんの写真の方が私の好み。小宮さんの鏡を使った作品はモノとして綺麗だと思った。彼らの作品について浅田・名和氏から言及があり、各作家もコメントを求められたが若手のみなさんは結構寡黙。
話が盛り上がってきたのは名和さんの作品についての討議が始まってから。マテリアルという言葉がキーだった。粟田氏よりポスト(脱)もの派と名和さんの関係を考えたいという発言があると、名和さんは18歳頃からもの派の作家と接点があったと言う。とても活気のあるグループで、越後妻有の原型のようなワークショップをやっていたとか。自分が求める「表現の強さ」を探る時、もの派の影響を感じるとか。へえ〜。浅田氏がゴームリーを引き合いに出して、ゴームリーは自分の体をコピーして像を造るけど、そこには私的な匂いはなくニュートラリティを感じると言うと、名和さんは97年の徳島のゴームリー展でイギリスの彫刻に興味を持ち、留学するきっかけになったと反応。英国の彫刻家はもの派に似ていたとか。話が呼応する。
大学卒業の頃彫刻で物語は表現できないと悟り、それでもつきまとう物語性を排除したくて、物語を解体する=素材・作り方を変えることをある時期はじめた。それがマテリアリティ・テクスチャーへにこだわりになったのですね。流れが見え過ぎていい方へ進みすぎると、アートとして面白くない。いい流れに乗ったり乗らなかったり、を勘でできるといい。選択の連続。等々、名和さんの「こつこつと」した製作の裏話が聴けて感激。
粟田氏・池田氏・千葉氏はマイクを渡されるととても雄弁に自分の考えを語られ、現代アートシーンの断面を垣間みられた感があった。アート関連のトークは面白い。記憶が曖昧なのでこれ以上書けないけど(間違いも多いと思う)、すごく濃いシンポジウムだった。全然理解し切れてないけど、満足〜。
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2009年9月20日
インカ帝国のルーツ 黄金の都シカン
国立科学博物館で開催中の「特別展 インカ帝国のルーツ 黄金の都シカン」に行った(10/12マデ)。「1日ブログ記者」(すでに申し込み終了)というのに認定していただいて、なんとご招待。写真撮影・掲載もOK。実際には平日の朝に行ったにも関わらず会場は混み混みで、写真の撮れる雰囲気ではなかったけど、腕章着けて歩くだけでドキドキした。
巨大地上絵で有名なナスカ、多くの謎を残すマチュピチュなど、世界的にも人気の高い歴史的遺産を有する南米ペルー。「かつてこのペルー北海岸に『黄金国家の都』があった」と考えた日本人考古学者が、島田泉教授(現南イリノイ大学)です。教授は1978年から長年にわたり調査を続け、およそ1000年前のこの地に「インカ帝国のルーツ」ともいわれる壮大な文化を育んだ人々がいたことを解明し、教授はその文化を「シカン」(先住民の言葉で「月の神殿」の意味)と名づけました。本展は、30年にわたる発掘調査によって得られた考古遺物約200件と過去の貴重な映像やCGを3D化した新感覚シアターで、シカン文化の全体像を紹介しています。
東京都美術館の「トリノ・エジプト展」に感動して意識が遺跡づいているので、島田教授のグループの発掘作業がわかりやすく視覚化された本展は、とても興味深かった。ふつうの美術館と違って、科博の展示って史料の再現性を重視しているので、セットにメリハリがあるのよね。子供の頃「夢を掘りあてた人」というシュリーマンの伝記に感銘を受けたせいか、考古学者の情熱には畏敬の念すら抱いている。まずざーっと会場を見て行って、最後に用意された大画面の3D映像に感激。
発掘によって明らかになった、ロロ神殿東の墓の内部の再現。わかりやすい〜
下に、さかさに吊られている(?)のがどうやら墓の主人。「アーモンドアイ」が特徴の「シカンの神」の仮面を着けている。シカンの神ってプリミティブ。古代エジプト神とは対照的。
今度こちらに伺う予定です。楽しみ〜♪
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2009年9月15日
一蝶リターンズ 元禄風流子 英一蝶の画業
板橋区立美術館で「一蝶リターンズ」展を見てきた(10/12マデ)。サブタイトルが「板橋区立美術館開館30周年記念」「御赦免300年記念」「元禄風流子 英一蝶の画業」と賑々しい。英一蝶は最近”キテる”江戸元禄の絵師。アートブロガーさん達が噂してたし、大倉集古館、出光美術館、東博なんかでぽつぽつ作品を見て注目していた。そして初訪問の板橋区立美術館。なかなか粋な美術館と聞いている。ウキウキ、いそいそと行ってきたのです。
多賀朝湖(たがちょうこ)は、浮世の人間模様を生き生きと描いた元禄期の江戸を代表する画家です。
画業のかたわら、芭蕉や其角などの俳諧人と付き合ったり、幇間として吉原に出入りしたりもしていました。しかし、幕府の怒りを買って47歳のときに三宅島へ流罪となります。罪状は、生類憐れみの令に関係することと記録されていますが、真相ははっきりしていません。三宅島で足かけ12年にもおよぶ流人生活を送りますが、そこでも絵を描き続けました。
宝永6年(1709)、将軍代替の大赦によって江戸へ帰ることができ、そのおりに英一蝶(はなぶさいっちょう)と画名を改めます。2009年は、その一蝶御赦免より300年目にあたります。
いただいた作品リストはつつましいもの。前後期合わせて出展数50点。観覧料600円也だし、根性なくてタクシー使う私の場合、交通費の方が断然出費。しかし、行った甲斐があったと思います。岩佐又兵衛や菱川師宣をライバル視して、浮世絵を超える風俗画を志した一蝶の画は、時代を超えた生命力がある。江戸の絵師って曲者が多いけど、私の一蝶に対するイメージは「繊細」。勢いで押す、というところはなくて、巧みな筆捌きで人や風景を細々と描き出すのだけど、然るべきところに筆の終点があって見る側として気持ちよく画に没頭できる。双眼鏡で見ても破綻のない輪郭線は、名人のそれ。そして画題が他愛無く楽しくていい。《屋根葺図》、屋根葺きの最中に茶瓶をひもでするすると引き上げ、休憩。茶を用意したおばあさんの顔つきとかうれしそうな職人の表情とか、微笑ましい。《徒然草 御室法師図》はちと痛い。《布晒舞図》は新体操のように布をはためかせ舞う女と思わず立て膝の囃子方の、場の高揚感が見事。すごく気に入ったのは《源氏物語 帚木巻之図》。墨画なんだけど、理想の女について語り合う貴公子達、の品のよいたたずまいが素敵。源氏物語はどの場面を絵にしても、華やぐ。
Takさんのおっしゃるように「板橋区立美術館の独自キャプション」もいい感じ。下手に長い音声ガイドより、よほど鑑賞の助けになる。
「御赦免」後の作品は彩色が綺麗だしちょっと貫禄。《蟻通図》は紀貫之の故事を描いた作品で、雨を含む空気の質感がよろしい。しかし《不動図》《達磨図》のひねったユーモアや《社人図》の可笑しみ(鳥居に落書き〜)は、円熟期にも失われなかった洒脱さをあらわしていてもっとよろしい。絵具をふんだんに使った《阿弥陀来迎図》は異色だが、その美しさは特筆もの。仏画は絵師が特に力を入れる分野だが、ピンクとオレンジが基調なところに一蝶の色気を感じつつ、双眼鏡で堪能させてもらった。
じっくり見るとおなかいっぱいになります。10/4の日曜美術館で取り上げられるそうです。後期(9/25〜)も行きたいですわ。
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2009年9月14日
トリノ・エジプト展 ーイタリアが愛した美の遺産ー
東京都美術館で開催中のトリノ・エジプト展に行った(10/4マデ)。8/1の開催当時は特に興味を感じなかったのだが、トリノ・エジプト博物館というのは世界屈指のエジプト・コレクションを持っていて、この展覧会すごいよ〜と聞いてしまって。休日はすごく混むという話だったが、しばらく平日に行ける機会がないので我慢できなくて日曜の朝行ってきた。行列ができるような混雑ではなかったけど、人とぶつからないようにするのが大変。
第一章 トリノ・エジプト博物館
ここは入り口なのでめちゃ混み。「都美は混んでたら後ろから見る」が私の攻略法なので、飛ばして本当に最後に見たけど混んでいることには変わりなかったので、切れ切れにしか見てない。小物が多かったような気がする。ステラ(石碑)が気になったのは、以前シュメル人の話を読んだせいかも。紀元前3,000年頃文字を持っていた文明は、エジプトとシュメルくらいなのだ。文字を書けるのはエリートで、書記は高級な職業だったと聞く。王が神よりちょっと小さく描かれるって、健気と言うかわかりやすいな。
第二章 彫像ギャラリー
ここは素晴らしい〜。予備知識なく行ったのでこの展覧会の目玉コーナーだとは知らなかったが、暗い部屋の中で美しくライティングされた王や神々の大きな彫像、人型石棺。ため息〜。《アメン神とツタンカーメン王の像》は王の知名度の高さ故に目を引いたが、《牡羊の頭》の妙な迫力や《ライオン頭のセクメト女神立像》の禍々しさにより惹かれた。個性的なエジプトの神々について勉強したいと思った。《イビの石製人型棺の蓋》は黒っぽくて艶のある石でできていて、この人はたしか役人なんだけど財力があったのでこれだけ精巧な石棺を作らせることができたのだとか。めちゃくちゃ美しい。胴体にぎっしり書かれたヒエログリフが神秘的。美しいと言えば《オシリス神をかたどった王の巨像頭部》、長ーい白冠をかぶっていてそれが特徴的なんだけど、にやりと笑っている彼はなかなか美形。
第三章 祈りの軌跡
ここもステラが印象的。だって文字も絵も綺麗だし、神に死人に現世に遺された人々と、にぎにぎしく描かれて見て楽しい。あと、動物をやたら神格化したということでハヤブサ、トキ、ジャッカルの小像等ありこれが個性的。猫ちゃんもいたなあ、もう1度見たい!オシリス神の壮絶な(笑)物語の解説もあって、ますますエジプト神話に興味が。
第四章 死者の旅立ち
死=再生・復活。これがオシリス信仰。木や石の棺がたくさん。ミイラ作りのため摘出された内蔵を入れる容器とか副葬品とか。脳は鼻から抜いたってあったけど、どうやって?やっぱり人形を遺体と一緒に埋葬していた。
第五章 再生への扉
いましたミイラが。当時の人々は短命で子供のうちに亡くなることも多くて、でも子供だからって手は抜かずにちゃんとミイラにする。金や石の首飾りは死者を慰めるものなのだろうか、エジプト人の美的センスに共感。《葬送用模型船》は木製なのにさほど損なわれずに遺っている。思わず死出の旅を夢見てしまうような、どうにも素敵なミニチュアなのだった。
芸術新潮勧められたので買いました。あと「古代エジプト入門」も。頑張って読んで、この展覧会再訪したい。
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2009年9月11日
鴻池朋子展「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」&[収蔵品展]開館10周年記念「響きあう庭」
9/9は東京オペラシティギャラリー開館10周年記念で、入場無料だった。ぐるっとパスが使えるので別にその日でなくてもよかったのだが、メルマガで知ってなんとなく勢いでコメント欄にてあべまつさんをお誘いしたら乗っていただけたので、ご一緒させていただいた。あべまつさんはたしか古美術・焼物好きな方。退屈させてしまうのでは、と危惧もあったが、鴻池展は内覧会(感想)でチラ見した限り、ふだん現代アートをあまり見ない方にお勧めしたい内容というのが私見。美的感度のよいあべまつさんは、すうっと鴻池さんの世界に溶け込んで、しっかり本質を捉えていらしたみたい。
鴻池朋子展インタ−トラベラー神話と遊ぶ人・オペラシティアートギャラリー あべまつ行脚
恐れ入谷の鬼子母神。深い意味はないが、日本語には色んな表現があってそれを大事にしたいと思っている。それに今日入谷の郵便局に行ってきたし。鴻池朋子展は9/27マデ。まだぐるっとパスが残っているので、もう1回行ってもいいです。今度は澁澤龍彦を読んでからにしたい。
さて前回見逃した収蔵品展、開館10周年記念「響きあう庭」(9/27マデ)は女性人気作家の作品が出ていてイイ、と聞いていたので、楽しみにしていた。最初の部屋は大型抽象画が多数。苦手なので足を止めずに通り過ぎる。難波田親子の作品はここで見てだいぶ馴染んだが、見てるとなんか切なくなるのよね。なまじ作家の生涯など知らない方が、いいような気がする。有元利夫の《花火のある部屋》は素敵。舟越桂のドローイングもあったが、私はお父様のナチュラルな彫刻の方が好き。
細い通路を経て入る第二室。知っている作家がいなかったしメモを取らなかったのでリストアップできないのだが、こちらの作品はどれもツボだった。こんな感じ(美術館サイトの画像を拝借)。

この展示室はすごくいい空間。そして仕切り壁の向こうのコーナーには、なんと伊庭靖子さん!シルクスクリーン3点はまあいいとして、おなじみの陶器に萌える。うっとりしつつ振り向けば、反対側の壁には小西真奈さんの油彩が3点!私がこの方の作品を見出したのは最近だけど、人物を含む風景画の、色の映し方が独特。2006〜2007年の作品。
いつもは感心しないproject N(若手作家支援)だけど、今回の山下美幸さんはやや荒い感じがしたけど悪くなかった。
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2009年9月10日
名優たちの系譜 -幕末・明治の歌舞伎と現在-
太田記念美術館で「名優たちの系譜-幕末・明治の歌舞伎と現在- 」展を見てきた(9/26マデ)。あべまつさんをオペラシティの鴻池展にお誘いしたら、こっちもどお?と言っていただいたのだが、名前の憶えられない幕末〜明治の浮世絵師の作品を俯瞰できて、とても有意義な展覧会だった。
一部の皆さんはご存じのごとく、私は歌舞伎といえば片岡仁左衛門さん一辺倒。せこく幕見などでお姿をかいま見るのが至福の時なのだが、そういう偏った見方をしているので演目の知識が全然たまらない。とりどりの役者絵を見ても何のシーンのどの役なのか、全然わからない。なので純粋に絵師の特徴を楽しむように見て行った。
1.激動の時代を生きた名優たちのすがた
2.幕末・明治の錦絵にみる精緻な彫・摺の世界
3.明治維新と劇場の興亡
4.写真と錦絵との展示で感じる歌舞伎の伝統
構成はこんな感じ。やっぱり一番良かったのは三代歌川豊国かなあ。あべまつさんも好きっておっしゃっていた。鏡のような枠の中に役者の大首絵が描かれたシリーズは、デザイン的にも洗練されていて1枚1枚が長時間の鑑賞に耐えうる出来。特に男子が美男。美化され過ぎ?「三人吉三廓初買」の横長大判の画も、カッコいいなあ。芝居で見たい...。役者絵と共に残存する古い舞台の写真も展示されていて、観劇意欲も誘うのだ。知らない役者ばっかりだけど、通の方は全部ご存じなんでしょうね。歌舞伎役者さん自体、江戸時代まで遡って過去の名優を知るというのは修行のひとつ、ではないか。1Fは肉筆画コーナー以外豊国で占められていて、たくさん見れて良かった。
2Fに移ると百花繚乱。明治に入ると輸入絵具により色が一層鮮やかになり、役者のシルエットをメインビジュアルに使ったり写真的な仕上がりにしてみたり、一部はこれも浮世絵?と思うような逸脱気味の作品もあり、明治の混沌を肌で感じることができる。三代豊国から抜け出せない絵師もいたけど、俄然光っていたのが楊州周廷だ。品の良い造型と色彩は自宅に飾ってみたいくらい、バランスがいい。月岡芳年は役者絵をあまり描かなかったみたい。1点ぼてっとした画があっただけだった。
500円のリーフレットはお得。幕末・明治に建てられた歌舞伎劇場の俯瞰図などもあって、史料展的な面もある展覧会だった。歌舞伎はこじんまりとした小屋で見たいなあ。エレベーターとか、興ざめ。
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2009年9月 8日
テクマクマヤコン
松屋銀座で「追悼 赤塚不二夫展 ~ギャグで駆け抜けた 72年~」展を最終日に見てきた(9/7で終了)。せっかくチケットを頂いたのだからもったいないとせこい考えで行ったのだが、なかなか活気のある構成で、思いがけず楽しく懐かしく過ごすことができた。追悼と言われると、やはり昨年赤塚氏が亡くなった時のタモリの弔辞を思い出してしまう。テレビを見ないので当時は全文をネットで読んだのだが、今日動画を見つけてあらためて感動してしまった。
YT
少女漫画には子供の頃人並みにはまったけど、基本的に漫画全般あまり興味がない。結構速読なので、文字数が圧倒的に足りないと思うのだ。ギャグって一発勝負でしょう。余韻が、深みがないんだよね〜。「発掘!トキワ荘」という当時の写真が並んだコーナは新鮮だったけど、アマチュア時代の肉筆誌とか中学生時代の処女作とかほのぼの系の初期作品とかは、冷めた目で眺める。と言いつつ、お馴染みのニャロメとイヤミは面白い!怖いくらいぶっ飛んでいる。TVアニメで見るとぬるいけど、原作は混沌としていていいね!バカボンのパパは完成形だね!・・・結構浮かれて鑑賞。
しかーし。私にとっての白眉はコレ。「ひみつのアッコちゃん」。そうかこれも赤塚作品だったんだよねーとちょっと驚いた。持ってましたよ、コンパクト。まじでテクマクマヤコンと唱えていたか、記憶は定かではない。うちの妹もアッコちゃんなので、親近感もあった(わたしは魔法のマコちゃん)。3度のアニメ化より原作のレトロなアッコちゃんの方が可愛い。この展覧会は物販が充実してて目がまわったが、厳選の後購入したのはアッコちゃんのチケットケースなのでした。今使っているミヒャエル・ゾーヴァのが傷んできたので、これと替える予定。ogawamaさんがアッコちゃんのチケットケースをバッグから取り出すのを目撃しても、笑わないように!
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2009年9月 7日
中国の陶俑 ―漢の加彩と唐三彩―
出光美術館で「中国の陶俑」展を見てきた(9/6で終了)。出光にしては珍しく最終日でもさほど混んでなくて、でも居合わせた皆さんは夢中になって展示ケースに張り付いているような、「好きな者には堪らない」って感じの展覧会だった。
中国では戦国時代の紀元前5世紀頃から、それまで主人とともに殉葬されていた生身の人間や高価な道具に代えて、陶器や木製品で家屋や調度・什器、従者や家畜などの模型ともいえる俑(よう)を作って副葬するようになります。これら神殿や墓に供えるために作られる器――明器(めいき)である漢時代の灰陶加彩や唐時代の三彩などは、実用には適さないものでしたが、器物は造形美に富み、俑は生気に溢れています。彼らが語ってくれる当時の人々の暮らしにも、ぜひご注目ください。
俑(よう)とは人形(ひとがた)、生身の人間を殉死させていたことを考えれば、洗練された平和な習慣だ。厚葬のおかげで土器に彩色しただけの素朴な陶俑が、前漢時代からさほど形を損なわれることもなく残っている。顔も体つきも素朴で優しそうで、ほのぼの〜。鉛釉(緑釉・褐釉)を釉薬にした器や台、楼閣なども実用品ではないため焼物にしては細かい細工が施されていて、おもちゃっぽくてカワイイ。陶俑が本格開花したのが、漢時代だという。
南北朝〜随の時代は戦乱の世を反映して俑も小型で地味なものになっていったが、官人や胡人など特徴をよく捉えたそれには進化が伺える。唐のものになると、保存状態も良いのか彩色がカラフルになり、女性の造型も様々。表情に個性が出てくるし衣装の描写も細やか。楽人のセットが素敵だ。単体の婦人像に較べると彼女らはスリムで大人しそうな顔つき。琵琶や笛、叩きものらしき楽器を持って、今にも演奏が始まりそう。死者を慰める、絶好の人形だ。男性の像だと鷹匠や御者、胡人など、やはり一目でわかるようななりをしていて、彼らに囲まれているとかの世界にタイムスリップしている気分が味わえる。彩色には唐三彩という、焼成時に溶けて流れる釉薬を活かした艶っぽい技法なども用いられ、1品の完成度が高い。唐の俑は華やかでどれも見飽きなかった。
唐と言えばシルクロード、ということで、駱駝や馬のなかなか精巧な三彩俑も登場。瀟洒な鞍や飾りを付けていたり、人を乗せていたりして、しかも騎乗の人もそれぞれ表情が豊かで、大変よくできていた。個人的にはあまり凝ったものより前出の楽人あたりが好きだなあと思うが。更に墓を守る神将もいて、躍動的なポーズで侵入者を威嚇する様は堂々としている。どれも灰陶だったが、こういったものには釉薬を使わなかったのだろうか。
副葬器物としてエキゾチックな壷や器も数多く出展されていた。やはり三彩のものが美しい。形はややぼてっとしているがバランスは良く、蓋ものはきちんと合っている。緑・褐色の他黄釉、藍釉などあり、組み合わせの妙によって万華鏡のような華やかな表情を見せていた。
布製の人形だとなにか魂がこもっているような気がして親しく見つめる気になれないが、陶俑はほど良くデフォルメされていてかつ風俗には忠実で、また焼き物独特のあたたかな風合いが好ましかった。時代を追って変わって行く様は面白く、歴史は苦手なんだけど壮大な中国史を勉強してみたいと思った。昔は三国志とか読破したんだけど、さっぱり憶えていやしない。それにしても出光の展覧会には外れがない。この日ははじめて陶片室も覗いて、特に鍋島の色合いにうっとりした。
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2009年9月 6日
光 松本陽子/野口里佳
国立新美術館で「光 松本陽子/野口里佳」展を見てきた(10/19マデ)。抽象画の松本陽子さんと写真家の野口里佳さんの二人展。私は松本さんのお名前は知らなくて、野口さんの作品は断片的に見たことがあった。抽象画はかなり苦手な分野なので、評判の高い野口さんの写真をちゃんと見てみたいという気持ちで行ったのだが、松本さんの絵画もなかなか興味深かった。
展覧会の入り口はふたつあって、松本さんと野口さんのどちらか好きな方から鑑賞していくことができる。つまりふたりの展示室はきっちり分けられている。テーマが「光」ということで選ばれただけで、特に共通点はないのだそうだ。年代も違う。松本さんは1936年、野口さんは1971年生まれ。私はまず松本さんの部屋に入った。ポスターなどで目にしていたバラ色のもわもわした大判の抽象画が視界に飛び込む。「雲」をイメージしていたのだが、その作品は羽毛のようだった。予想していたよりは荒いタッチ。刷毛で勢い良く画面を埋めて行ったような印象。そして絵具の塗りの思わぬ薄さが目を引いた。・・・事前の予習なしで見たので意外に感じたこれらの特徴は、松本さんが編み出したアクリル絵画のスタイルの特性だった。表面加工を施していないキャンバス生地に、水溶きのアクリル絵具で彩色する。彼女は早くから抽象の道を志していたそうで、自分の望む「見たことのない抽象画」を、アメリカで出会ったアクリル絵具で実現しようと模索したのだとか。選んだ色はピンク。水溶性の絵具なのでキャンバスを床に敷いて、水分は布で拭きとり乾ききってしまう前に素早く(1日で)仕上げなければならない。何年もの間ずっと絵具の調合など試行錯誤を重ね、ピンク基調の大型絵画を描き続けたとは、すごい情熱だ。あのだだっぴろい新美の展示室を埋めたピンク色の混沌とした世界は、時に地平のようであり時に空であり雲であり、生命そのもののようだったり、不思議な表情を持っていた。かがんで短時間内に集中して大型キャンバスを埋めるという作業は肉体的に大変な負担で、のちにはスタイルを変えて緑主体の油彩など描かれている。緑は「牧場」を強烈に連想させるので抽象画にはタブーだと思っていたため、これは大変なチャレンジだったとか。《夜明けの少し前》だったかしら、これはたしかに完全に抽象の世界だった。黒主体の絵画もあって、単に「黒」を使うのでなく紫など様々な絵具を混ぜて作るというブラックには深みがあった。買わなかったけど、置いてあった図録をじっくり読んでしまった。
さて野口さん。原美術館の所蔵品展のダイバーを撮ったシリーズと、近年ギャラリー小柳で開催された個展の「マラブ」のシリーズくらいしか見たことなくて、まとめて作品を見たいと思っていた方。「光」というテーマによく合う作品展開だった。私が好きだったのは《飛ぶ夢を見た》、青空に小さな飛行機と飛行機雲。空の色の透明感とほど良い冷め具合が目にしみる。近作の《飛ぶ夢を見た2》はちょっとイメージと違うかな。《星の色》は海底遺跡の写真だけど、海の写真特有の美しさと共に静謐さとぞっとするような時の流れを感じた。《フジヤマ》、必然的に石川直樹さんの「Mt.Fuji」を思い出し較べてしまうが、同じ山には見えません〜。野口さんの風景写真の空気感て、独特。砂漠の写真でも眩しさを感じさせない光の捉え方は、土地を見ているというより惑星を眺めているような心持ちにさせられる。《太陽》のシリーズは圧巻だったが、暗くない部屋で見てみたい。島袋道浩さんとの共作の映像があった。島袋さんが好きなので、うれしく眺めた。
なぜか野口さんの感想の方が短くなったが、写真て言葉で表現するのが難しいですよね。作品数が多く充実した展覧会だった。
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2009年9月 3日
8月に行って感想を書いていない美術展リスト
このリスト便利なので、定番化しようと思います。美術館とかたいして行ってるわけじゃないけど、つい感想書きそびれるのよね。と言うか最近は舞台鑑賞も忙しいし、広く浅く見てまわって印象の強かった美術展だけエントリにしようかと。
・染付-藍が彩るアジアの器@東京国立博物館(9/6マデ)
これは良かったので2回行った。焼物の知識は限りなく浅いのだけど、器は美しいし眺めていると和む。工芸品て大体そうだ。良品がわかるように(わかった方が楽しいから)、基礎的なところは押さえたい。本読めばいいのかな。正座できないからお茶はやらないな〜。
・伊勢神宮と神々の美術@東京国立博物館(9/6マデ)
染付2回目と併せて行ってみた。神事は神を宥めるために行うという話を聞いて、神社の清冽なイメージとあわせてなんか腑に落ちるものがあった。仏教は寛容かな。でも近代になって仏教信仰は日本人の拠り所じゃなくなっちゃったし、美術を通じて神道に触れるのもいいかも。
・メアリー・ブレア展@東京都現代美術館(10/4マデ)
ディズニーアニメにもディズニーランドにも思い入れがないので、メアリー・ブレアの初期のセンス抜群の水彩を楽しんだ。yuricoさんもおっしゃっていたけど、夜景が素敵。ああでもダリとか、リチャード・パワーズの「囚人のジレンマ」(小説)を通してディズニーには親しみを感じるなあ。
・生誕150年 ルネ・ラリック 華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ@国立新美術館(9/7マデ)
アクセサリー類はすごくレトロ(古い)に感じた。なので早足で回った。やっぱりガラスのアクセサリーが出てきたところで気持ちが寄っていって、カーマスコットはまあこういうのもあるなと流して、量産品のガラス食器で一番感動したという、私の感覚は多分庶民。
・フランス絵画の19世紀@横浜美術館(8/31で終了)
え、いつの間に終わっていたの(横浜通勤者の呟き)?ラインナップにボリュームがあり、濃密なアカデミズム絵画を堪能できて目の保養になった。ラファエル・コランやジャン=ジャック・エンネルが良かったかなあ。ミレー 《施し》は素敵だった。何が心残りって、特設ショップで売っていたカラーエコバッグを買わなかったこと!
・ビュフェとアナベル -愛と美の軌跡@そごう美術館(8/31で終了)
静岡県のベルナール・ビュフェ美術館の所蔵品から約60点、ということだったけど、あの閉ざされたそごう美術館の空間でみるビュフェはなんだか切羽詰まった感じで良かった。ただ、やっぱり初期作品がいいな〜と思い、彼を自殺に追い込んだ大衆になったような気分になってしまった。そごう美術館の次回の企画はあのミヒャエル・ゾーヴァ展(明日から)!松屋は激混みでちゃんと見られなかったからウレシイけど、物販の誘惑に絶対勝てないので困る・・・
・ミリオンセラーの絵本原画と世界の絵本画家たち@損保ジャパン美術館(8/30で終了)
すごく良かった!だいたい絵本原画の展覧会で感激しないのってないのではないか。ちひろ美術館の所蔵品だし。ドゥシャン・カーライ「魔法のなべと魔法のたま」、ロベルト・ノイチェンテイー「くるみわり人形」、ヴラスタ・バラーンコヴァー「仲間とは違うワニ」、ユゼフ・ヴィルコンの動物シリーズあたりが良かったと、メモが残っていた。しかし絵本作家ってなかなか名前を憶えないな。
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2009年9月 2日
ベルギー幻想美術館 クノップフからデルヴォー、マグリットまで
Bunkamuraザ・ミュージアムで明日(9/3)から開催される「ベルギー幻想美術館」展のプレス内覧会にお邪魔してきた。
近代ヨーロッパの美術界の中で、ベルギーにおいては19世紀後半から20世紀にかけて、心の奥の世界を描き出した象徴主義、夢や無意識の世界を描き出したシュルレアリスムの優れた画家たちが登場し、幻想美術と呼ぶべき系譜を生み出しました。本展覧会は、姫路市立美術館が所蔵する、日本最大級の質と規模のベルギー美術コレクションから、19世紀末のフェルナン・クノップフ、ジャン・デルヴィル、ジェームズ・アンソールらから20世紀のポール・デルヴォー、ルネ・マグリットまでの油彩、素描、版画などにより構成され、まれにみる濃密な展開を示したベルギー近代美術のハイライトを紹介します。
館内をひとしきり見せて頂いた後、Bunkamuraザ・ミュージアム チーフキュレーター宮澤政男さんのギャラリートークがあった。今回の作品はすべて姫路市立美術館所蔵ながら、ふだん総てを公開しているわけではないので、こうして同館の19世紀後半から20世紀ベルギー美術コレクションが展観されるのは珍しいと言う。なるほど。そしてベルギー幻想美術という流派はないんだけど、作品を並べるとこの言葉が一番ぴったりくるのだと言う。へえー。そう言えば最初から最後まで、作品のトーンに一貫性があったような気がする。なんかこう、適度に軽くておしゃれ、一見キレイだけどあれ?と考えさせる複雑さもある・・・。
第1章 世紀末の幻想 象徴主義の画家たち
いきなりだけど、一番ツボなコーナーだった。知らない作家ばかりだけど、どの作品も特別な雰囲気がある。
・グザヴィエ・メルリ 《イタリア・ルネサンス》

タイトル通りイタリアへの憧れがあったのかな...。19世紀末の作品だけど、今時のマンガみたくおしゃれ。
・フェルナン・クノップフ 《ブリュージュにて 聖ヨハネ施療院》
クノップフはこの子供の頃に住んでいたブリュージュというさびれた「死都」を愛し、好んで描いたのだという。心象風景のような暗いパステル画、ものすごい好み。

第2章 魔性の系譜 フェリシアン・ロップス
ベルギー象徴主義の先駆者、ロップス。官能的な裸婦を好んで描く挿絵画家。版画好きの私だがあんまりぴんと来ない。でも展示の仕方がいいなーと思った。

第3章 幻視者の独白 ジェームズ・アンソール
ベルギーの近代美術を代表する画家だと言うが、この人の何が面白いって、油彩から突如版画に転向してしまったところ。なんだか版画の方が後世に残ると信じ込んでいたらしい。転向後第1作は息苦しくなるほど緻密なエッチング《カテドラル》。
第4章 超現実の戯れ ルネ・マグリット
私的ツボは第1章だったけど、ここからがこの展覧会の白眉。ほとんどがリトグラフ・エッチングだけど、外れのない良品が26点も並ぶ。シュルレアリスムは苦手なのだが、マグリットの作品にはあんまり痛さを感じない。本人はいたって地味で真面目な人で、判で押したような平坦な生活を送りながら、あのような現実味のない画を描き続けたのだという。《ジョルジェット》という油彩が素敵だ。タイトル通り妻の肖像画ではあるのだが、彼女の頭は宙に浮いていてしかもふたつあって、海の見える窓やローソクや卵などと共に作品のモチーフと化している。私が肖像画を描いてもらうなら、こんな形の方が愛情を感じるなあと思った。
第5章 優美な白昼夢 ポール・デルヴォー
こちらは42点!デルヴォー好きの人には堪りませんね。
《海は近い》もあった。デルヴォーはキリコに影響を受けたとか。女性に対して憧れと同時に屈折した感情を持っていて、それが作風に表れているとか。実は鉄道好きでもあったとか。
版画が多かったし油彩もみなあっさり目だったので、全体を通して「軽い」という印象があったのだと思う。でもこういうテイストの方が素直に絵を楽しめるなあ。10/25(日)まで開催。デートにお勧め。
写真撮影、画像掲載は許可頂いてます。お誘いくださったTakさん、ありがとうございました!
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2009年8月31日
内海聖史・八木良太・田中真吾さんの個展@京都
8月は休廊するギャラリーが多かったり、世界バレエフェスティバルで頭が一杯だったりして、現代アートへの関心が薄らいでいたのだけど。京都で気になる個展が3つもあったので、昨日行ってみた。週末開催の個展が3件も重なるなんて、ラッキー。どれもとても興味深い世界が展開されていた。
・内海聖史個展 ボイジャー@eN arts (8/30で終了)
八坂神社脇の道沿いの、茶室と地下室を有する小綺麗なギャラリー。内海さん(公式ブログ:http://uchiuminfo.exblog.jp/)の、色鮮やかなドット画は健在だ。ただ、今年は都内だけでラディウム、スパイラル、ギャラリエANDOと個展が続いて、MOTコレクションでも目立っていたのに、更に内容が進化していたのでびっくり。まず小作品で面白いことを。茶室の床の間に飾られた、器の内面を絵具のドットで埋めた作品。もう彫刻の域だ。掛け軸はなんだか忘れちゃったけど、絵具をソフトクリームのように盛り上げる様は名和晃平さんのグルーガン・ドローイングを思い出すほど。絵具が立体素材と化した様を目撃できたのは、収穫だ。素材が何かすごく不思議で思わず内海さんに質問したのは、5cm四方ほどの四角いキャンバスにドットを散りばめた平面作品。たくさん並んで、グリッドを形成している。MOTの「屋上庭園」(やL氏邸)で見たものと同じ形態なのだが、今回のキャンバスの素材は茶色っぽくてザラザラしている。絵具の色もかなり暗い。そうかレンガに彩色したんだ思っていたら、なんとひとつの画の型を取って、青銅で鋳造したのだとおっしゃる。青銅って十円硬貨の素材。ブルーグレーのドットは「錆び」なのだ(急激に錆を発生させる方法がある)。様々な表情を見せるミニミニキャンバスがひとつの印象から創られていたとは。なんか騙された。内海さんの意外な面を見た。一部屋をまるまる占有した巨大ドットの壁画もいいけど。凄みがあったのは地下室。暗幕の向こうのほとんど光が入らない暗室で、赤系のドットの壁画が待っていた。直島のジェームズ・タレルの《南寺》、あれ私大好きなので、今回の趣向も大歓迎。ワクワクしながら目が慣れるのを待っていたら、浮かび上がってきたドットには凄惨な美しさがあった。内海さんのダークサイドを見たと思った。「花が燃えている」と思った。京都だから、祇園だから、花だと思ったのかもしれない。
・八木良太「制作と実験」@京都市立芸術大学(8/30で終了)
この個展が見られたのはひとえにmoriさんのおかげ。京都前日に
80年代生まれの作家としては、かなり注目されてる作家さんの1人。
そんな彼が、先日ARTiTのブログで、8月28日から30日までの3日間プライベートな展覧会を開くと書かれていて、これは行かねば!と。
という記事を読んで、急遽訪問を決めたのだ。八木良太さん(公式サイト:http://www.lyt.jp/)と言えば無人島プロダクションだけど、高円寺は私にとって未知の場所なので行ったことない。アグネスホテルのアートフェアとか原美術館の氷のレコードとかでちらちらと作品を拝見して(あと鴻池さんとか金氏さんの個展で名前が出てた?)、「もっとちゃんと見たい」と常々思っていた方。京都芸大は桂駅から結構離れていて、バスなんて待っている余裕がなかったのでタクシー使ったのだが、1,200円くらいだったかしら。建物自体は東京芸大より近代的だけど、フツーの大学。夏休みなので人っ子一人見かけない構内の一室で、八木さんが作品を広げていた。やっぱりモチーフはレコードが多かった。レコードを割って組み合わせた作品があって、ジム・ランビーみたいと思ったのだが、八木さんはやることがひと味違う。レコードの破片で道路を作って、ミニカーを走らせちゃうのだ。そしてレコードです、当然音楽が鳴ります。ほのぼのします。信号とか道路標識とかホテルのネオンとか、夜間点滅するものばかりを集めた映像があります。へー面白いと思って見ていたのですが、八木さんの説明を聞くともっと感動します。それぞれの点滅の速度を、統一しているのだそうです。つまり映像によっては早送りしたり遅回ししたり、編集しているのです。回っているレコードの上に山や建物やヒトの模型が立っています。レコードだから回りますが、音はしません。単なるオブジェかな、と思うと、違いますっ。外周の模型ほど遅い回転で回されているのです。これを真横から眺めます。車窓の風景になります。扇風機にレコードが貼ってあります。単に大きさがぴったりなので貼ってみたそうですが、これを回しながら点滅するLEDをあてると・・・・・。もうキリがなく、八木さんの発想に感心させられっぱなしの個展だった。根底のテーマは時間。それを操作する。だったかしら。理系好きな私としてはたまらない世界。しかも八木さんキュートな方でした。
・田中真吾「灯に照らされた闇」@ studio90(9/27マデ土日のみオープン)
さて、実は今回の遠征の一番の目的はこちら。上記八木さんの個展をご紹介くださった、moriさん(八木さんの記事とは違う場所にリンク貼ってます)のスタジオの展覧会。moriさんのブログはイギリス留学時代から拝読していたのだが、帰国されてから弾丸のように国内各地の展覧会を回られて精力的にレビューを挙げられているので、私が現代アートを観る上で一番の指針とさせて頂いている。ご自身がアーティストであるので、本当に鋭い批評眼をお持ちだと思う。大阪在住の彼のブログを見ながら都内で回る展覧会を決めてる私って、何?と思うけど、これからもよろしくお願いしたいと思いつつ。studio90の田中さんの壁画は、すごく良かった。ネタばれを避けるため暗示的ワードのみあげると。漆喰。蔡國強。内海さんの地下室と同じように、暗闇の中に壁画が展示されているのだが、こちらは鑑賞者が蠟燭の灯った燭台を持たされる。限られた光量だから作品を見られる範囲は限られるのだが、自分の意志で視界をコントロールできる自由が、内海さんの作品と違う。地下室では自分の目が慣れるのをひたすら待つという受動的かつ服従的な体験を強いられるのだが、田中さんは鑑賞者に「ゆだねて」くれるのだ。アート作品の近くに火を持って行くなんて、常識的にはタブーな行為なんだけど、田中さんは余裕。そりゃあ扱い慣れてますものね。絵具を使わない絵画作品、という意味では、これも名和さんのドローイングと共通するところがあるように思われる。しかしその視覚的効果は、あくまで絵画的。とても美しい色をしていた。通常は明るい光の元で作品を展示するのだけど、今回はスタジオの特性を活かしてみたと田中さんおっしゃっていた。すごく良かった。本当に。studio90は住宅地の中にあってわかりにくいけど、最寄りのJR向日町駅からタクシーで行くのが簡単だと思う、桂駅発のバスを使う時間の余裕がない場合。ワンメーターくらいだった。運転手さんには「ライオンズマンション向日町の近く」と言うと、すんなり通じるらしい。ギャラリーを通さず自分たちで発表の場を作るという姿勢が素晴らしいと思うし、関西に行ったら(京都に限らず!)、訪れてみて欲しい。moriさんにお会いできなかったのは残念だけど(かつほっとしている)、今度差し入れ送るので、この記事ご覧になったらリクエストください。なければ勝手に送ります。感謝の意を込めて。
以上長文だけど、今日はあえてたたまずにこのままup。
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2009年8月25日
メキシコ20世紀絵画展
世田谷美術館で「メキシコ20世紀絵画展」を観た(8/30マデ)。ポスターに使われているフリーダ・カーロの自画像のイメージが強くて、後は似たり寄ったりな絵ばかりだろうなあと勝手に想像していたのだが、意外と好ましい作品が多くて、浮き浮きしながら見てまわった。全体のボリュームは小さめ。名古屋市美所蔵のホセ・グァダルーペ・ポサダの作品展示が別途あったせいだろう。こちらは版画の風刺画で、数は多かったが時間がなくてスルーしてしまった。
他のブロガーさん達もこぞって不満をもらしていらっしゃるけど、この展覧会の作品リスト、展示順と全然違いますね。トップは庭に面した小部屋にフリーダ・カーロ《メダリオンをつけた自画像》がひとつ、私が目玉よ〜という感じで掲げられていた。好きじゃないのでここでは立ち止まりません。次の部屋から怒濤のメキシカン・アート。まずラモン・カノ・マニリャ《ソチトル・ピサウアクに捧げるダンス》、ディアゴ・リベラ《死者の日》が大変気に入る。どちらも焔に照らされた夜の風景で、民衆の素朴な信仰心に愛おしさを感じる。リベラは多分はじめて見たけど、とてもいい。この展覧会の中で一番好きな画家だった。ラウル・アンギアーノ《刺を抜く人》はリトグラフ。長髪の青年の横顔やまとった長衣、バックのデフォルメされた山。こういうシンプルで影をきかせた版画って好き。アンギアーノの《足場》も、文字通り足場の幾何学的な形態が面白かった。この人の構図が好きなのかもしれない。
この3作でノリノリになって、駆け足で会場内を見て回った。実は西巣鴨のイデビアン・クルーの舞台を控えていたので、目は喜びつつ早足にならざるを得なかったのだ。替わりに図録を買って思い出している。
なんと言っても印象が強かったのは、メキシコ唯一の印象派と言われる(多分)ホアキン・クラウセル。アマチュア画家として、作品に署名を入れなかったという頑固者さん。メキシコの風景ってオレンジ、または茶色がかったイメージがあるのだけど、彼の描く水の抑えたブルーはとてもマッチする。太陽の光が濃い感じ。
ディアゴ・リベラは全部で5作あったが、全部良かった。なんであんなふうに点在させたのかな。奇妙な《夜の風景》を見て「うーんメキシコ的」と言ってしまう私はリベラの思う壷。《字を書く子供》は人物の頭を卵形に描いていた時期の作品とのことだが、言われてみれば確かに卵だけど違和感なかった。少年の瞳が雄弁。色々歪んだ人物画が多かったので、私はこれが肖像画ベストだった。
あ・と・は。版画が良かった!数も結構あって。版画って描線にごまかしがきかないから、細部がうんとリアルになるところが好き。アンヘル・ブラチョ《橋とごみを拾う人》は単色刷りのリトグラフで、下層の人々の姿を彼らと同じ視点から描いている。アンヘル・ブラチョ《無題》はあまり好きではない木版画、でもウシの頭が人間の4倍くらいあって、ウシが主役!って感じで清々しい。レオポルド・メンデス、パブロ・オイギンス、ホセ・クレメンテ・オロスコはさほど。版画なら何でもいいってわけではない。
マヌエル・ロドリゲス・ロサノの《売春婦》いいなあと思って見てたら、「素人向けにわかりやすく描かれた」とキャプションにあって、ガクッとなった。
挙げなかった作品には死を思わせる画がかなりあった。濃いラインナップだなあと思ったけど、20世紀メキシコ絵画を約70点に集約できるはずはない。かなり端折られた面もあるんだろうなあと思った。
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2009年8月24日
大倉集古館「館蔵品展 花・華 -日本・ 東洋美術に咲いた花-」
大倉集古館で開催中の「館蔵品展 花・華 -日本・ 東洋美術に咲いた花-」を観てきた(9/27マデ)。この界隈は智美術館や泉屋博古館分館もあり日本美術の名品に遭えるエリアなのだが、勤勉でない私はスルーしがち。しかし今回大倉集古館の「お宝」を目の当たりにして、深ーく感動したのでこれからは心を入れ替えて通いたいと思ってます。
花を取り巻く華やいだイメージは、時代や地域を問わず、人々を魅了してきました。日本では、季節ごとに移ろう花々に心を寄せ、情緒とともにそ の姿を表現することが好まれますが、中国では古来、花は吉祥モティーフとして、季節に関係なく美術や工芸にあらわされてきました。(中略)本展では大倉集古館の所蔵品の中から、日本・東洋美術にみられる花モティーフの諸相を、梅・桜・牡丹・蘭・菊など、花ごとのテーマで紹介いたします。
この「花・華」展がいいというのはTakさんから聞いていたが、「栄光のオランダ絵画展」の招待券に集古館の入場券が付いていたので、まず下見で行ってみた。す、すごい。金地の草花図に華麗な団扇に黄金の法華経に、涅槃図に染付に英一蝶!螺鈿に探幽のスケッチに源氏かるたに平蒔絵に酒井抱一!端麗能衣装!墨の梅!ってな具合で、すっかり圧倒されて帰ってきたのでした。この夏の目玉はコレかな、と確信を抱いて。
ということで、時間をゆったり取って昨日再訪してきた。うれしいことにぐるっとパスで無料で入館。この界隈では智美術館と泉屋博古館分館の企画展も入れるから、効率的だ。この時期、「オランダ絵画展」のついでに大倉集古館へ訪れる人が多そうだけど、こっちの方が断然深い。まずは松村景文の《四季草花図》で、細やかに描かれた四季の花を愛でる。金地に、群青の水が鮮やか。《法華経 随喜功徳品第十八》は大正時代の模本ながら、完璧な出来映え。読めないけど、ひたすら美麗。《仏涅槃図》は嘆く衆生の表情が本当に哀しげにひしゃげてて、心がこもっている。大作。《染付三方唐花文皿》は鍋島。理知的な文様と鮮やかな濃青に気品がある。能装束《紅白段市松地紋牡丹鳥尽唐織》は紅白の市松模様に牡丹の刺繍がくっきりと浮かび上がる。ここで英一蝶の《牡丹図 雑画帖より》に遭遇、典雅です。伝藤原光信《桜に杉図》は金地に桜と杉の木が交互に、リズミカルに並んだ変わった作品で、好みではないがいわゆる大作の趣。
2Fへ。横山大観の庭の草花のスケッチは、あの「ローマ展」の前年に描かれたものだが、すこっと抜けた穏やかな味わいがいい。こういう大観は好きだ。前嶋宗佑《鶏頭小禽図》は、細い枝に止まった小鳥が花を見るため頭を傾け、ほとんど逆立ちしているように見える一瞬を捉えた画。主役は花だと思うけど、こういう刹那的なモチーフが小さな生命の力を主張している。探幽縮図《和漢古画帖》《道釈人物花鳥図画帖》は墨線にほんのりのせられた色が品良く、美しい。《文昌物語絵巻》《奈良絵本 忍びね物語》は実は絵より物語自体をへ〜と楽しんだ。住吉如慶《秋草図》!能装束《白地石畳菊唐草模様唐織》がまた、八重菊と乱菊のまわりを葡萄の房と葉と蔓が囲む、凝った意匠で見入る。そしてはじめて見た酒井抱一の《重陽宴(五節句図のうち)》がなんとも雅やかで、うっとり〜〜。これショップでブックマークにして売っている。5枚全部ほしかったけど、栞はすぐなくすのでやめた。でも入場券がなくてもショップには入れるそうなので、そのうち買ってしまうかもしれない(今回は《百鬼夜行図》のマウスパッドを購入)。狩野常信《梅に鶯図》は三分割のデザインが面白かった。そして伝王冕(おうべん)《墨梅図》。うーん本物なのかさっぱりわからないけど、いい画だと思ったなあ、中国の墨絵好き。
私の説明よりこっちを見た方が行きたくなりますね☆
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2009年8月21日
せめて関西に行きたい
8月はめまぐるしく、越後妻有も金沢21も発電所も行けないまま終わる。ガンダムも見ていません(興味ないからだけど)。土曜出勤なので元々遠出しにくいのだが、この夏の身動きの取れなさったら。来週は週6日出勤なので、ひたすら体調を崩さないよう自重の日々。
なのでせめて関西に行きたいと、案件整理。9月後半名和さんの個展が始まるのでそこで1回は行くのだが、他にも気になるイベントが・・・。
・8/23(土)マデ ART OSAKA@堂島ホテル
行ったことのないアートフェア。ノマルが出品するから、名和さん未見作品に会えるかも。残念ながら日曜はイデビアン・クルーの公演のチケットを取ってあるので私が堂島ホテルに出現する可能性は低いのだが、さっき明日(土曜)のイデ・クルのチケットも予約した。舞台がうんと良ければ2日連続で行くかもしれないし、さもなければ。。でも来週は仕事最優先なので、やめておいた方がいいだろうな。
・8/30(日)マデ 内海聖史個展ボイジャー@en-arts (金・土・日のみ)
評判高いですよね。ハコが面白いらしい。行った方のブログを読んだけど、自分の目で見ないと絶対イメージ掴めないはず。
・9/6(日)マデ 名和晃平ワークショップ制作作品展@京都精華大学情報館1階メディアセンタースタジオ
はははもはや名和さんマニアですねえ
・9/6(日)マデ 堂島リバービエンナーレ@堂島リバーフォーラム
あまり話題になっていないようだけど、moriさんのエントリ読んでから気になっている
・9/6(日)マデ 相国寺 金閣 銀閣名宝展~パリからの帰国~@相国寺承天閣美術館
この展覧会は前期に見て素晴らしかったので、後期も絶対行こうと思っていた。終わってしまう〜
ここらへんに関していまあせっている。エントリ書きながらどうしようか思案中。あとは。
・9/23(水)マデ 塩田千春展ー流れる水@発電所美術館
祝!会期延長っ。関西じゃないけど。
・9/27田中真吾灯に照らされた闇 @studio90(土日のみ(9/21-23は要予約))
行ってみたいんですよねえ、studio90。遠いらしいけど。
こんなのもあります。
・08/28(金)-10/25(日)あいちトリエンナーレ2010プレイベント 放課後のはらっぱ 櫃田伸也とその教え子たち@愛知県美術館
加藤美佳さんが参加されると聞いて、かなり前から狙っていた。概要はよく知らない。関西というより名古屋遠征を独立させてもいいかも。
そして真打ち♡
・9/19(土)-10/17(土) 名和晃平展Transcode@nomart contemporary art
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2009年8月20日
昨日の続き
昨日のギャラリー巡りの一番のヒットはMA2ギャラリーだったので、出展作家の個展の予定を追加メモ。
・近藤恵介「このへんからそのへん、そしてあそこらへん」@Gallery Countach(西落合) 9/5(土)〜10/3(土)
「BLACK, WHITE & GRAY」展に出ていた関根直子さんの個展のお知らせもあった。あの鉛筆画の...
・関根直子「9月の庭」@ASK?(京橋) 8/31(月)〜9/12(土)
あと、恵比寿駅からMA2ギャラリーに向かって延々と歩いて行った途中にあったラーメン屋さん。1年ほど前にできたらしい。
朝からウィダーインゼリーしかおなかに入れていなかったので、「浅蜊ラーメン」の名に惹かれて飛び込んでしまった。思ったよりアサリがたくさん入っていて、殻入れが一緒に出て来た。脂ギトギトは苦手なので、すっきりしてて好み。感動するような味と言うんじゃないけど、ラーメンはラーメンなんだからほどほどに美味しくて、適度に野菜がのっかっていれば私はOKだ。
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2009年8月19日
MA2ギャラリー「My story -ひとりあそび」他
8月はもうギャラリーに行ける日がないので(日曜もやっているところは別)、今日は頑張って5軒まわった。当初の目標は10軒だったけど、ヘアサロン行ったり色々野暮用があって、達成できず。
・山下耕平 展 -ケルン・現在位置-@INAXギャラリー2(8/22マデ)
期待しないで行ったのだが、思いの外好かった。モチーフはずばり「登山」で、濃密な色に包まれたコラージュや立体が会場の温度を高めていた。ひとつひとつの作品にはさほど衝撃はないが、ただ山を登るという行為にまつわるイメージを色々な方法で表現していて、アーティストの力量を感じた。間近で見るとモチーフを構成する細部が細胞っぽくて、ちょっと気持ち悪いけど。
・My story -ひとりあそび@MA2Gallery(8/29マデ)
駅から遠いのであまり行かないけど、行けば絶対夢中になる、希有なギャラリー。最初は鬼頭健吾さん目当てで行ったのだけど、ここで展示される作家はみんないい。大庭大介さんともここで出会ったのよね...。割と抽象的な、テクスチャーを楽しむような作品が専門かなあと思っていたけど、今回は「絵本」をめくっているような、かわいらしくて想像力を刺激する絵画中心のラインナップだった。詳細はex-chamber museumさんで。
まず牡丹靖佳さん。天井の高いギャラリーの大きな壁を、ぼんやりしたドローイングが覆う。紙の端っこが丸まっているけど、左右対称なので明らかに作為的。捉えどころのないモチーフだけど、ふっと動物の姿が見えたり、あれは明らかに風景画だ。スケッチブックを壁に取り付けたような作品もあって、後ろの壁が黒っぽく塗られてそこから絵具が滴っていたりして、絵画というよりインスタレーション。面白い。
近藤恵介さんはキャンバスにミニマルなイラスト風絵画。上方の、大きな余白が大胆。テーブルとかグリーンとか、リビングの風景を描いているように見えるけど、全部横一列に並んでいる不思議。奥行きがないのでモチーフが記号っぽくも見えて、非日常的な世界がのほほんと存在している。彩色のセンスがいいし、すごーく好きな絵。壁に直接描いちゃっている作品もあり。もったいない。これらは1Fにあったのだけど、2Fに1枚優しいペパーミントグリーンの中にちっちゃな女性の顔が浮かんだ作品もあり、全体に漂うユーモア感が心地よい。
Aurelie Mathigotさんは、二重に見える室内画。一部に紗がかかったような質感になっているので不思議に思って近寄ってみたら、逆に色がはっきりしたところは刺繍は施されているのだった。すごい発想と、手作業だ。しかし作品自体に漂う雰囲気は平和で、永遠を切り取るにはこういう表現もありかも、と思った。作家のオフィシャルサイト(http://www.aureliemathigot.com/)に過去作品の画像あり。
黒嶋亮子さんは、白い布に水彩で落書きのような模様が描かれていて、じーっと見ると一部に刺繍があったような。これは完全な抽象に見えたけど、それでも何を語っているのかわかりやすいような素直さを感じた。綺麗な彩色で、浴衣にしたらいいかも、などと思ってしまった。
・大巻伸嗣「絶・景 -真空のゆらぎ」@東京ワンダーサイト渋谷(11/8マデ)
いつもブログでお世話になっているmoriさんの記事を見て、行って来た。TWSの玄関を入った瞬間にサンダルの裏がジャリっとした。ああ、すぐそこに土を使った作品があるんだなあと思ったんだけど、正確には「ゴミを燃やして出来るスラブ」なんですね。環境問題に取り組んだアートとのことだけど、まずはあの黒い土を見て、踏みしめて、ゴミ焼却炉の業火のような炎を見て。天井の上の土の重みを感じて。そしてそれからゴミ問題を考えるといい。ずしっと来る。アートで社会に変えようとするのは素晴らしいことだと、アイ・ウェイウェイを思い出して頷く。
・元田久治展 @hpgrp GALLERY東京(8/30マデ)
この展覧会はあれ?と思った。元田さん好きだったはずなのに、以前と同じ廃墟シリーズなのになぜ感じるところがないの?と。馬鹿でした。私が好きなのはリトグラフで、今回はペインティング。そっか色がのると、描線が変わるとこれだけ感じが違うんだなあと、びっくり。でも気になる作家さんがいるなら、色々な面を見ておくべき。なので行ってよかったと思っている。
・トランス 小池一馬展@アイショウミウラアーツ(9/6マデ)
ずっと追いかけている小池さんの個展。最初に惹かれたのは水彩の繊細で理知的な色、そして異国的なモチーフだったけど、最近だいぶ変わってきた。水彩作品の余白が微妙に減り、木の彫刻作品はより大胆になり。そしてあの油彩。絵具のドット(正確には点じゃないけど)でキャンバスを埋め尽くす手法は、色彩の強烈さとあいまってかなり刺激的。モチーフは相変わらず神的だけど、何が描かれているのかわかりにくいくらい、密に彩色されている。以前名和晃平さんが青山悟さんとの対談で「刺繍は点や線をつないでいくから、デジタル」とおっしゃっていたけど、小池さんの油彩にも同じイメージを感じた。
以下行けなかったギャラリー。
・梅津庸一「ゴールドデッサン」@ARATANIURANO(道に迷って辿り着けなかったのだが、twitterで愚痴ったらTakさんとSeinaさんが慰めてくれた)はあきらめざるを得ない。くやしい。
・長坂常 : スキーマ建築計画「 HAPPA ホテル 」@青山|目黒は8/29までかあ、これも無理。
・青木淳 「夏休みの植物群」@TARONASU(9/5マデ)はなんとか。
・「変成態-リアルな現代の物質性」 Vol.3 「のようなもの」の生成 泉孝昭X上村卓大@galleryαM(9/5マデ)も大丈夫。
・neoneo展 Part1[男子]ネオネオ・ボーイズは草食系? @高橋コレクション(10/18マデ)は余裕ですな。日曜もやってるし。
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2009年8月18日
牧島如鳩展 〜神と仏の場所〜
三鷹市美術ギャラリーで「牧島如鳩(にょきゅう)展 〜神と仏の場所〜」を見てきた(8/23マデ)。
今回の展覧会チラシの表面に掲載されている《大自在千手観世音菩薩》の異様な迫力には驚かれたかもしれません。この鮮やかな色彩と洋画的な立体感を持つ不可思議な仏画の作者牧島如鳩(1892-1975)は、現在の栃木県足利市に生まれました。父の閑雲はハリストス正教を信奉し日本画家でもあった教養人で、幼児洗礼を受けた如鳩は父から絵の手ほどきを受け幼い頃からその画才を現しました。16才で御茶ノ水にあるニコライ堂の神学校に入学。そこで日本最初のイコン画家である山下りん(1857-1939)よりイコンを学んだとされています。卒業後は伝教者として各地のハリストス正教会に赴任してイコンを制作しました。
この展覧会、今ちょっとした話題になっていますよね。私はmemeさんに勧められて行ったのだけど、チケットの画像を見た瞬間「何だこれは!」と思った。派手でエグい。描かれているのは神聖な存在なんだけど、下品に堕ちそうな際どいところまで行っている。昔の少女小説の挿絵のような、いかがわしさもある(遊行さんゴメンナサイ)。実物はどんなんだと、自分の目で確かめずにはいられなかった。
展示室に入ると、賛美歌が静かに流れているのが泣ける。日本ハリスト正教会の正教会聖歌だそうだ。まずは「I.イコンと仏画」コーナー。神々しい《祈祷の天使》《ゲフシマニアの祈り》のようなキリスト教絵画を見ると敬虔な気持ちになるが、どうも背景の空の色が私には気になる。とっても綺麗でファンシーなブルーが塗られていて、「昇華」「現実離れ」という単語が頭に浮かぶ。イコン画家ながら生活のために請われれば仏画も描いていたそうで、墨絵の《達磨図》なんて達者だったなあ。《涅槃》という作品が2つあって、掛軸の方は品のよい美しさがあった。夜空がスミレ色で、真ん中にお月様があって・・。もう1コは書き込みが激しくて色も強烈で(空も濃ゆい青)、くどい感じだけど。《護り本尊図》を現代風にアレンジすれば山口晃さんかなあなんて、勝手に思ったり。
「II.足利での共同生活」では、結核だった奥様の主治医に贈ったという《医術》が目を引く。画面の中に様々な光景が詰め込まれていて、なんかキリストも菩薩もいたような。帝王切開中のシーンなど見ると今度は横尾忠則氏を連想。でも奥様は亡くなってしまって・・・。河野通勢と九如会なんてやっていたのですね。なんとなく、ふたりの関連に納得。
「III.小浜時代およびイコンと仏画の融合」、このへんから強烈な作品が。基本的に「濃い」ので、あんまりごちゃごちゃした画は流してみた(《魚籃観音像》とか)。うるさいのはキライだ。《慈母観音像》《聖母子像》のようにシンプルな作品ですら、めちゃくちゃアピールしてくるんだもの。もう観音様もマリアも一緒だなあと、ちょっとあきれ気味に眺めるけど、如鳩は自信を持って妖しくアクの強いタッチでどーんと責めて来る。受け入れざるを得ない。仏教とキリスト教が混じり合っても、それはそれで日本ぽくていいよね、とか。《大自在千手観世音菩薩》はポスター等に使われたあれ(最下方に画像)。多分、この1作しかなかったとしても、私はこの展覧会に来たこと、納得したかも。ポストカード買ってしまった。ああ《龍ケ澤大辯財天像》は、龍がかっこよくて良かった。
「IV.足利・東京放浪」、ちょっと枯れてきた?風景画とかあって、まああんまり感心はしなかったけど、《バラ図》の思わせぶりな暗さは気に入った。
さて、まだまだ。「V.願行寺に庵を結ぶ」、イコン画家が寺で庵?如鳩のこの頃の宗教観てどんなだったんだろうと思うが、画を見てもまだ混沌としてしまう。《極楽鳥》の威風堂々とした鳥より、バックの明る過ぎる青空がやはり気になった。彼の特異なセンスは晩年まで生きていたんだなあと思った。裏側の墨絵の《ぶっぽうそう》も、悪くなかったけど。こんなものを描くのは、禅寺における精神修養だったのかなあと思ったり。
この展覧会、今週の日曜までですよ。コレ見たら、行きたくなりますよね。
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2009年8月17日
美しきアジアの玉手箱―シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展
サントリー美術館で「美しきアジアの玉手箱―シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展」を観た(9/6マデ)。確か開催2日目に行ったのだが、すごーくいい展覧会だったのだが、、、、、ズルズルと感想を書くのを引き延ばし、今日に至ってしまいました。
日本と非常に馴染みが深いワシントン州最大の港湾都市シアトル。シアトル美術館は地質学者にして美術コレクターであったリチャード・E・フラー博士(1897~1976)により1933年に設立され、造形美術の交流と対比をテーマに、東洋美術・西洋美術・アフリカ美術にわたる世界各国の美術品を所蔵しています。 この度、同館が所蔵する日本および東洋美術コレクション(約7,000件)の中より、選りすぐりの優品約100件が日本に貸し出されることになりました。
いまだ強い印象が残っている作品だけpick up。
・《鹿下絵和歌巻》本阿弥光悦書 俵屋宗達画
この展覧会の真ん中でキラキラ光っていた作品。シアトル美蔵の分断されてない後半部分がだーっと広げてあって、角がないとあんまり鹿に見えない可愛い鹿ちゃんらが随所で群れている。ヘタうまと言うか、これで宗達?と思わないでもない結構適当な描写。でもこれが光悦の書とデザイン的にいい具合に調和して、とても雅やかな世界を展開している。これのおかげで集結した前半の断簡も楽しく見ることができた。光悦主体のコラボレーションかもしれないけど、こういう宗達の「幅」が好き。
・《五美人図》葛飾北斎
北斎の描く美人はあんまり美人に見えないのだが、でも描写の巧みさと縦長の構図の良さにやられた。北斎ってほんとセンスがいい...。
・《墨梅図》楊煇筆
中国の水墨画って枯れているんだけど厚み・ボリュームを感じる。大陸のパワーか。他の画も好くて、シアトル美は趣味いいなあと感心したものだ(しかしどんな作品があったか忘れた)。中国コーナーはみっちり充実してて、白磁とか青花とか素敵な焼き物もある。
・《インドラ坐像》
韓国美術・その他のアジア美術のコーナーにあった。コレと隣の像(《仏坐像》?)がひどく気に入って、本展の印象がすこぶる良くなった感すらある。あぐらをかいてクネッと体を傾けたインドラの姿の仄かな色気。日本より東南アジアの仏像の方が好きなのです。
感想を書いているうちにまた見たくなってしまった。サントリー美術館は水~土は20時まで開館しているから、行き易いし。
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2009年8月12日
アイ・ウェイウェイ展−何に因って?
森美術館で「アイ・ウェイウェイ展」を観てきた(11/8マデ)。行ったのは7月最終週だから、もう2週間くらい経ってしまっているけど、良い展覧会だったので記録を残さねばと書いております。
アイ・ウェイウェイ[艾未未]は、現代中国を代表するクリエイターのひとりです。美術、建築、デザイン、出版、展覧会企画など多岐にわたる分野で活躍していますが、とくに2007年の「ドクメンタ12」(カッセル、ドイツ)、2008年の北京オリンピックスタジアム設計に際するヘルツォーク&ド・ムーロンとのコラボレーションによって国際的な評価を高めました。
以前中国系アーティストばかり扱うギャラリーに行った時、同じアジア人でも大陸の人間はパワーが違うよものすごいタフだよと、オーナーさんは話されていた。その時、そしてそれ以後見た彼らの作品は、確かにダイナミックで圧倒されるけど、どうも微妙に高い敷居があって入り込めない、素直に感動できない感がずっとあった。絵画は特にその傾向が強い。蔡國強なんかいいと思うけど、やっぱりへえ〜と口をぽかんと開けて眺める感じ。あくまで個人的なイメージですけど。
アイ・ウェイウェイは良かった。アクは強いけど、中国色を強く出してくるアーティストだけど、感動のツボを心得ている。鑑賞者に媚びているわけではなく、彼の創作センスは人間の本質にマッチしていると思う。すごくストレート。作品は立体とインスタレーションだけど、さすが建築に強い作家だけあってそれらは空間を大きく支配して、鑑賞者も包み込むようなおおらかさがある。そして理知的。
この展覧会は写真撮影OKで、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスにのっとってブログにも掲載可。離れて、もしくは上方から撮りたい作品が多かったので私は撮っていないけど(それに正直作品の魅力を捉えた写真を撮る自信がなかった)、プレビューにいらしたTakさんが見事に俯瞰的な写真をupしてらっしゃいます。
個人的に気に入った作品は、子供が水浴びできるくらい大きなお椀に山盛りの淡水パール。キッチュだけど可愛い綺麗。一定の容量を内包した木のキューブをずらりと並べたインスタレーション。古い椅子をだまし絵的に改造した、座れない椅子。「中国人は飛んでるものは飛行機以外、4本足のものは机と椅子以外食べる」を思い出した。そして、古箪笥の月の満ち欠け!穴を空けた廃箪笥を並列させて、穴を覗くと微妙に変わる月の形が見えるという趣向で、7竿くらいあったかしら。このインスタレーションはもっとたくさんの箪笥を使う場合もあるってキャプションにあったような気がするけど、ダイナミックかつリリカルで感動した。月を眺めるのが嫌いな女はいません。最近車に押されて少なくなったという自転車を組み合わせて作った巨大な輪っかも、含む意は多いけど、単純に躍動感とか機能美を楽しめる。
最後の巨大スクリーンの部屋でドクメンタ12に出品されたドキュメンタリー映像が流されていて、インタビューを受けるアーティストの姿にインパクトがあった。この映像が作品の中で一番強烈だったかも。なんて強い目をしているのでしょう。なんて環境の中でアートを続けてきたのか。中国人1001人をドイツに連れて行くというプロジェクト自体、大き過ぎる。アートは社会活動でもあるなあと、思い知った。並べられた椅子自体プロジェクトで使われたもので、実際座ることができてうれしい。
お一人様1枚で、建築写真を頂くことができた。私が選んだのはコレ。SOHO "CONCRETE"@BEIJING
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2009年8月11日
第15回 秘蔵の名品 アートコレクション展「栄光のオランダ展」
ホテルオークラのアスコットホールで開催中の第15回 秘蔵の名品 アートコレクション展に行った(8/30マデ)。実は過去の実績に較べると少々物足りないという噂を聞いて、3倍速くらいで鑑賞する予定だったのだが、20-21世紀絵画のところで足が止まり時間延長。「レンブラント、ゴッホ、そして現在。」という副題は忘れて「オランダあれこれ展」とでも思って行けば、結構面白い展覧会なのではと思う。
「日蘭通商400周年」となる本年は、世界屈指のコレクションを誇るアムステルダム国立美術館をはじめ、INGグループ、オランダ銀行などが所蔵する、日本初公開の作品を含むオランダ絵画の名品約70点が今夏、海を渡ってまいります。
ということで、最初の部屋にゴッホ等19世紀オランダ絵画、次の大きな部屋に20-21世紀もの、そして最後の部屋にレンブラントを中心とした17世紀絵画が展示されている。今まで「秘蔵の名品展」に行ったことのある方ならわかると思うけど、この割り振りだと断然近代〜現代アートの作品数が多いわけで。ゴッホは吉野石膏とかの国内所蔵品がほとんど。初期のもの。同時代の作品はいかにも〜な風景画で、風景画好き(私)にはいいけどちょっと退屈。
で、20世紀に入って。知らない作家ばかりだったけど、最初は静物画ばかりで、静物画好きとしてはいい感じで見れた。ラオル・ハインケスの冷めたリアリズム、ディック・ケットの斜め上からの俯瞰、ピート・セーベンスのピンクのスモックや少女の赤いガウンなど可愛いモチーフ、アドリアーナ・ファン・ズーストの黒バックがかっこいいシャープな小枝等に惹かれた。静物画というだけでオランダらしいと思ってしまう、不思議。
現代アートになると賛否両論。タケシの肖像画なんて別に見たくないし美しくない写真作品はどうでもいい。バーレント・ブランケルト《ひじかけいす》《ヴァイオリンとテーブル》が伊庭靖子さんぽくて良かった。あくまで作家のフィルターを通した、リアリズム。甘くないピンクを基調とした色調が気に入ったこともある。この作家はバルテュスの影響を受けた人物画も数多く描いているとキャプションにあって、ああ見てみたいなあと思った。
レンブラントは版画。工房作の油彩が1点。
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2009年8月10日
混沌から躍り出る星たち2009
金曜日に閉館間際のスパイラルに駆け込んで見てきた、「混沌から躍り出る星たち2009」(8/8で終了)。
「混沌から躍り出る星たち2009」は、2008年度「京都造形芸術大学卒業制作展」と「京都造形芸術大学大学院修了展」の中から選抜された25組の新人アーティストと、社会で活躍されている卒業生をゲストアーティストに迎えた展覧会です。2001年より東京にて開催され、今年で9回目を迎えます。
具体的にははろるどさんとmemeさんの記事をご覧になるとよろしいかと(いつもお世話になっております〜)。私は自分が気に入った作品だけ、ピックアップ♪
・目良真弓さん
限りなくダークなメゾチント。なんと言っても、皮のコートの後ろ姿を描いた作品が秀逸。かっこいい〜、ドツボ。その他脚かと思ったらストッキングとか、自画像と称して片方の肩が大きく下がったカーディガンを描いてみせるとか、なかなか思わせぶりな作家さん。ポートフォリオを見ても好感度高し。私好みだってこと、memeさんにすっかり見抜かれていましたね。
・松本高志さん
「荒れ野の遭難者たち」という大作1点。赤系の破天荒な具象画、だったかな。ぱっと見は雑だなあとか失礼なこと思ったけど、私の好きなビーズが随所にコラージュしてあって、あらキッチュで可愛いじゃない?漢字の書き込みは趣味に合わないけど、含有するイメージの豊富さに次第に目が離せなくなり、閉館間際に見入っていたのがこの画。まさに「混沌から躍り出る」といった趣。
寺村利規さんのアートアワード東京受賞作「無題」、の存在感はたしかなものだった。同じくAAT受賞の藤居典子さんの板に描かれた鉛筆画は非常に精細なもので、本来なら好みなのだがモチーフに湿っぽさを感じて素直に向き合えなかった。藤井秀全さんの発光作品もAATで惹かれたが、やや大味だと思った。それにスパイラルで見ると変に眩しくて、ゆっくり鑑賞する気になれなかった。えーと、以上好きなんだけど一番ではなかった理由であって、ケチをつけているわけではありませんので悪しからず。。。
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2009年8月 6日
今週のギャラリー巡り
そろそろ夏休みなんで、行くとこ行っておこうと。しかし既に休廊中のギャラリーも多く、へこんだ。
・浅草橋
ラディウムに行けば何か面いものが見られるだろうと浅草橋。しかし休廊。8月は丸々お休みなんですね...。調べてから行こうよ自分。お隣のCASHIの「「不死鳥と雉鳩-真夏の夜の夢2-」(8/8マデ)は結構面白かった。苦手なギャラリーと思っていたけど、今までで一番好感高し。徳本茉莉子さんの顔のない女性の荒くれ具合が夏に似合っていた
・両国
まだ行ったことのないMoMo両国を目指したのだが、休廊。ドアが開いていたのでうっかり入ってしまったら、中でアーティストが作品の手直しをしていた。明るいいい感じの大型油彩がギャラリーに点在。あれ、誰だったんだろう。振り上げた拳を下ろすため、江戸博「写楽」を再訪。意外と混んでなくて、入り口付近のの狩野派の作品なんかもじっくり見れた。
・銀座
ギャラリー小柳にて「石上純也 + 杉本博司」展(8/29マデ)。最近建築に興味を持とうとしているogawamaさんです。杉本さん設計のギャラリーとかカッコ良かったけど、建築的に正しいものなんだろうか。ART IT編集長の小崎氏が建築好きなアーティストとして名和さんと杉本さんが類するとしていたが、杉本さんはすでに深入りしているんだなあ。護王神社は見たからいいけど、小田原に造られる能舞台、興味津々(杉本氏のインタビュー)。
・清澄
小山登美夫ギャラリーで「建築以前、建築以後」展(8/29マデ)。ギャラリー小柳と共に、ARCHITECT TOKYO 2009の一環。菊竹清訓・伊東豊雄・妹島和世・西沢立衛・SANAAの、模型とかメモとかドローイングとか。西沢立衛さんの「ガーデンアンドハウス」が身近で心惹かれた。ご親切なことに、ギャラリーサイトでDLできるフロアマップをプリントした冊子を貸し出してくれる。建築展て今ひとつ感動しにくいんだけど、模型の植物とかちっこいニンゲンとかをかわいーと眺めた。タカイシイギャラリーは平田晃久「Flame Frame」展(12/31マデ)、入り口んところのオブジェがそれ。うーんあのシルバーの「飾り」が「建築の可能性を追求して」いるのか...。hiromiyoshiiでも、「生成の世代」と題して若手建築家の模型やらが展示されていた。シュウゴアーツではグループ展「Gallery Show」(8/22マデ)、藤本由紀夫・金氏徹平・ボリス・ミハイロフ・森村泰昌。お値段がわかって勉強になる。キドプレスでは若林佳代子 「心証」展。版画好きとしては目を細めて眺めるが、買って帰りたいかというとそれほどではない。
清澄のギャラリービルに行くと、いつも「負けた・・・」と思ってしまう。私には難解と言うか、アートを楽しむと言うより胸を借りて勉強させてもらった感。ここで力尽きてギャラリー巡りは終了、この後六本木で用事を済ませて原宿に芝居を見に行ったのだが、開演3分前駆け込みという慌ただしさだった。
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2009年7月31日
7月に行って感想を書いていない美術展リスト
7月最終日。心の準備のできていないまま、夏本番が始まる。8月は諸事情で、妻有は厳しい(泣)。7月だって、後半は週に2回のペースで舞台鑑賞に行っていたせいか、見てきた美術展の感想が全然書けてません。感想を書くというのは自分のためにやっていることなので、怠ると気持ち悪い。でも書く時間がない。仕方ないのでまずはリストアップして、整頓しておく。
【美術館篇】
・鴻池朋子 「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」@オペラシティ
これはまあプレビューに20分ほどお邪魔しただけなんで。ふだん美術館に行かないような人(=私の周囲の人ほとんど)に、おすすめ。
・ステッチ・バイ・ステッチ:針と糸で描くわたし@庭園美術館
青山悟さんが出ていないのが不満。なんだかんだ言って、手塚愛子さんは抜きん出ているなあと思った。彼女の作品がなかったら、、、以下自粛。
・エコール・ド・パリ展@松岡美術館
はじめて行った。目黒在住時代あのあたりは散歩コースだったのに、詰めが甘かった。エコール・ド・パリより、豊富な所蔵彫刻群に圧倒される。プールデル《ペネロープ》の大きさにぎゃっとなる。
・ラリック@国立新美術館
量産されたグラスのシリーズの繊細な美しさに感動。アクセサリは「古いな〜」と思ってしまった。
・シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展@サントリー美術館
良かったです。光悦・宗達のコラボが何と言っても美しいんだけど、北斎の肉筆とか元代の水墨画とかインドネシアの仏像とか、ぐっと来るものがあった。これはちゃんとエントリにしたい。
・アイ・ウェイウェイ@森美術館
これも良かった。アーティストって思想する人なんだなあと思った。映像で見る作家の姿から溢れるオーラがすごい。彼が評判になったドクメンタ12のドキュメンタリー映像が。行ってみたかった。もちろん設置作品もグー。ストイックだけど豊かなのよね。
・ビュフェとアナベル愛と美の軌跡展@そごう美術館
メインの作品群はふたりが出会う前のものだったように思うが、展示数が多く密度が高かった。ビュフェ美術館から持ってきた作品だけど、あそこはなかなか行けないので見ておくといいと思う。
・フランス絵画の19世紀@横浜美術館
夜間開館を利用して今日行ってきた。ベタだなあという先入観、実際見たら吹き飛んだ。おフランスでもてはやされた絵画は、見事に美麗。目の保養になった。
【ギャラリー篇】
・内海 聖史 展 ー 千手 ー@ギャラリエアンドウ
すでに終了しているけど、素敵だった。ドットの大きさが揃っていたので、純粋に色で好みを選ぶ感じ。現代作家はインスタレーション力がないとダメって聞いたことあるけど、彼はどんな会場でも自分の世界を作り上げてしまう。内海さんのブログは購読させて頂いているが、自分の作品に対する言及ブログをチェックされリストアップしてくださっていて、「考える」方なんだなあと感心しております。
・A House is not A Home@スカイザバスハウス
終了。4人展。永山祐子さんのアートピースが面白かった。安部典子さんの紙作品は以前にも見たことありすごいと思ったが、塩保朋子さんとか見ちゃうと「こういうのもあるね」ってなってしまう。
・ヘルシンキ・スクール@資生堂ギャラリー
Tiina Itkonenの氷河を見て無意識のうちに石川直樹さんと比較していた。
・L_B_S展@メゾンエルメス
まだ3回目です。作品に変化なし、やはり精度が高いのです。終了日まで見守っていくつもり。
※最近ギャラリー巡りはさぼってます。名和さんの講演を聞いてから、作家のコンセプトもわからずに現代アートをつまみ食いして行くのが空しくなってしまった。アーティストのトーク、例えばコレのセッションとか聴きに行きたいけど、時間が合わない。
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2009年7月30日
ルーシー・リーの器を愛でながら「懐食みちば」の創作和食をいただいた
このタイトルだけで完結するような気もするが。銀座の「懐食みちば」にルーシー・リーの陶芸が展示されていると言うので、ランチを頂きがてら行ってきた。「みちば」とは当然道場六三郎さんの店。道場氏の知り合いのコレクターの作品を期間限定で展示しているのだそうで、すでにact.5となっている。
店の許可を頂いて、撮影させていただいた。何がすごいって、ルーシー・リーの器がテーブル席の後ろに、ガラスケースもなしに置いてある。上から《マンガン釉象嵌/掻き落としの鉢》《緑釉の鉢》《スパイラル文様の花生》。うふふ一番気に入ったやつを大きめに載せてみた。私はこの「掻き落とし」が好き。21_21 DESIGN SIGHT で行なわれた「うつわ U-Tsu-Wa」展では、ルーシー・リーがフリーハンドで線を引く映像を見た(なんとインタビューを受けながら)。彼女はこの文様を好んだらしい。引っ掻くことにより生まれるマチエールは、エッチングや線画好きな私のツボ。先日観た智美術館の前田正博展(感想)の、重ねた絵具を引っ掻いて下の色をのぞかせた色絵磁器とか。横浜そごうで始まったビュフェ展の、静岡のビュフェ美術館からごっそり持ってこられたビュフェの初期のあのモノクロ油彩を引っ掻いてできたラインとか。ルーシー・リーのはずっと繊細で洗練されているけど、人の手を感じるのであたたかい。
それにこの色のセンスがいいのよね。ビデオではまるで料理を作るように釉薬を配合していたけど、こんな色が出そうという「勘」で焼いていたようだ。塩梅と言っていいのかな。器の形も独特。薄くて、高台が妙に高い(のが多い)。一目でルーシー・リーってわかる。
「懐食みちば」ではしばらくこのコレクション展を続けていくらしい。場所がらギャラリー関係者のお客様も多く、有名作家の作品が壁にでーんと飾られていた。そして来年の春には、国立新美術館でルーシー・リーの本格回顧展が開催される(公式サイト)。益子陶芸美術館・MOA美術館・大阪市立東洋陶磁美術館・パラミタミュージアム・山口県立萩美術館/浦上記念館巡回予定という、大規模なもののようだ。
う、美しい・・・。
さてお楽しみのお料理。
一の膳
生湯葉モロヘイヤ
本日のお造り あしらい色々
二の膳
稚鮎素麺
夏とまと焼 粒貝、玉葱
芝海老オーロラソース ベビーリーフ
食事(これはプリフィクス)
温かいさぬきうどん
水菓子
本日のデザート(小豆のムース)
夏場でも食欲をそそるようなメリハリが好感度大。麺好きとしては、薄く切った葱とザーサイなど入った温かいうどんがうれしかったわ。
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2009年7月27日
コレクションの誕生、成長、変容―藝大美術館所蔵品選―
東京藝術大学美術館で開催中の「コレクションの誕生、成長、変容」展に行った(8/16マデ)。一村雨さんのお勧めなので多少は期待していたけど、展示室に入ってびっくり仰天。こんなにさりげなく出していいの?という名品が続々。諸事情で実際見てからブログに書くのに2wks近くかかってしまったけど、藝大を出た直後にtwitterで「お口ぽかんの世界」と呟いたほど、印象の強い展覧会だった。
第1章 コレクションの誕生 岡倉天心と東京美術学校初期の収蔵品
・狩野芳崖《岩石》《悲母観音》
初っ端から良いものが〜。狩野芳崖に対する思い入れは昨年の藝大の回顧展で植え付けられたのだが、早くも《悲母観音》に再会できるとは、嬉しい限り。《岩石》は本当に岩石しか描いていないところが笑える。絵師として生活苦に喘ぐ時期もあっただろうに、こうして好きなモチーフだけの作品を残すとは、さすが。
・曾我蕭白《群仙図屏風》《山水図屏風》
東博「対決!」の興奮が生々しく蘇ってくる。
・伊藤若冲《鯉図》
割と若い頃の作品だそうで、鯉と水草が真面目に描いてあるんだけど、すでに若冲っぽさの萌芽があって見飽きない。若冲はたくさん見ているのに、どうしてこういちいち目が止まってしまうのか。
第2章 正木直彦校長時代のコレクション
・曾我蕭白《柳下鬼女図屏風》
また蕭白!ちょっとゆるめ。
・川合玉堂《鵜飼》
好きな画家ではないのだが、これには参った。この波の、水しぶきのリアルさ。有無を言わせない。
・上村松園《序の舞》
キャプションを見て、名取裕子主演の映画「序の舞」のモデルが松園だったことにはじめて気付きました。馬鹿ですみません〜。
・山口蓬春《晩秋(深草)・雨霽(伏見)/洛南の巻六題の内》
たしか学生時代の作品だったと思うが、ちょっとぼんやりとして透明感があって、やわらかく優しい色合いがとても綺麗。若い頃から独特のセンスを持っていたのだなと感心。
・セーヴル国立陶磁製作所《舞踏人形》
洋画コーナーに置いてあったけど。これは感激。両手を挙げて薄布をはためかせながら舞う長衣の女性の姿が大変優美。こんな繊細な像が造れたなんて。
第3章 黒田清輝と西洋画コレクション
・原田直次郎《 靴屋の親爺》《老人》
「日本人の」描いた洋画に見えない。
・藤田嗣治《婦人像》
卒制の《自画像》以前の丁寧な油彩。女性の横顔に独特の情感があって、この人は若い頃から女性に対するこだわりがはっきりしていたんだなあと思った。
第4章 平櫛田中の彫刻コレクション
このあたりすごく気に入った像が2体ほどあったのだが、2週間のうちに忘れてしまった。orz
見に行かれた方が次々に絶賛されているけど、私も推薦します。驚きに満ちたコレクションだった。藝大は後世に残る芸術家たちの、学生時代の作品まで有しているのだから、とてもかなわない。コレクションの全貌が知りたいものだ。
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2009年7月24日
赤 黒 金 銀 緑 青 前田正博の色絵
菊池寛実記念 智美術館(きくちかんじつきねん ともびじゅつかん)で「赤 黒 金 銀 緑 青 前田正博の色絵」展を観てきた(9/23マデ)。智美術館はオークラの大倉集古館の近所にある。2003年竣工だが、私はその名すら聞いたことがなかった。先日落ち込む出来事があって、舞台鑑賞まで時間を潰したいけどどこにも行く気がしないわ〜とやさぐれつつ、ぐるっとパスとチケットケースを物色していて目についたのがこちらの招待券。いつもお世話になっているTakさんに頂いたのだけど、この「赤黒金銀緑青」というタイトルに妙に惹かれたのよね。虎ノ門なら大倉集古館と泉屋博古館分館もハシゴするぞっと(全然落ち込んでない)張り切って出かけたのだけど、気付いたら2館は閉館。でも智美術館1軒で満ち足りた。
ということで、これは色絵磁器の展覧会です。前田正博氏は1948年生まれ、磁器に洋絵具で絵付けをしたモダンな器を作ってこられた。絵付けと言っても白い磁肌を塗り尽くしてしまうのだが、更に色を重ねては焼成を繰り返すという丹念な作業で、何と言うか哲学的なテクスチャーを実現している。磁器そのものの造型もシンプルかつ大胆で、惚れ惚れする。
しかし感動を高めたのは場の力。ここはすごいゴージャスな美術館なのです。地味派手と言うか。地階に降りて行く螺旋階段を包む壁面には銀の和紙が貼られ、「いろは歌」の料紙がコラージュされている。階段の手すりはガラス工芸品。掴まっていいのかしら。キラキラしているからつい触りたくなるんだけど。うーんこれで展示室がギラギラだったら悪趣味だなあと思ったけど、中は照明を落とした和テイストのシックな空間だった。コーナーによって設えが違う。壁が塗り壁だったり木だったり、組み木の棚をバックに作品が置かれていたり。置き台自体がアート作品かと思うような趣のある内装の中で、静かな存在感を放っていたのが前田氏の作品。
初期の鳥・サボテン・月などの文様は見事に写実を離れユニークな調和を見せるが、個人的に好みだったのは面取のシリーズ。赤や青を大胆に組み合わせた配色も良いが、ストイックなモノクロのシリーズが堪らなく美しい。重厚に見えるけど金や銀の絵具が混ぜられているから、微妙〜に発光する。吸い込まれる。2ヶ所ほど壁に違い棚をしつらえて小品をいっぺんに眺められるようにした一画があって、そこは盗撮したいほど素晴らしかったのだが、特にモノクロ面取のコーナーが悶絶ものだった。モノクロかと思って壷の中を覗くと青塗りだったりするのも、泣けた。ハイソな雰囲気に押されて悪いコトはしなかったけど、あれぞ眼福、8/4以降展示替えがあるようなので、また見に行きたいと思っている。
最終の部屋は真っ黒な内装。照明に浮かび上がる香炉や鉢や盤は、彫刻作品のようだった。洋でも和でもない、純粋な美意識に満ちた世界。陶芸のことは全くわからないのでうまい説明ができなくて申し訳ないのだけど、とにかく感動した。
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2009年7月22日
写楽 幻の肉筆画 ギリシャに眠る日本美術~マノスコレクションより
東京江戸博物館で「写楽 幻の肉筆画」展を見てきた(9/6マデ)。
2007 年に世界遺産に登録されたギリシャ・コルフ島にある国立コルフ・アジア美術館には、ウィーン駐在ギリシャ大使のグレゴリオス・マノス氏が、 19 世紀末から 20 世紀初頭にかけて、パリとウィーンで購入した 1 万点以上におよぶ美術が所蔵されています。 そのコレクションは 1 世紀のあいだほとんど人の目に触れることがありませんでした。しかし、 2008 年 7 月に日本の研究者による大々的な学術調査が行われ、謎の浮世絵師、東洲斎写楽による肉筆扇面画が発見されたのです。これは写楽が版画での活動を終えた後の 1795 年(寛政7) 5 月に描かれたものとみられ、従来の写楽研究に大きな影響を与える大発見となりました。
私は基本現代アート好きだが、雑食なので何でも見る。特に西洋版画と浮世絵は別腹という感じで、この関係の展覧会には可能な限り足を運ぶ。最近は海外から里帰りした浮世絵を見る機会が多く、その度に「こんなのもあったのか」と感心することしきりだが、今回も然り。目玉は「幻の」とされる写楽の肉筆画だが、出品された120点のコレクションは重厚で、全般見応えがあった。記憶に残る展覧会のひとつになりそう。
個人コレクションはコレクターの好みが強く反映されていて、それが自分のツボにはまるととってもうれしい。マノス・コレクションの場合は、私的には「興味深い」ラインナップだった。「1章 日本版画」「2章 初期版画」「3章 中期版画」「4章 摺物・絵本」「5章 後期版画」と分かれていて、各章後世に名の残る浮世絵師の作品が、割と均等に並べられている。セレクトの仕方のせいかもしれないけど、几帳面な展開だなあと思った。人気の春信や歌麿が突出しているわけではない。その辺がかえって新鮮な感じだった。コレクション数が膨大で保存状態も良いから、浮世絵史を忠実に再現するような展示ができたのかなと、勝手に判断。自分の浮世絵の勉強の資料として、図録を買った。
写楽の肉筆画《四代目松本幸四郎の加古川本蔵と松本米三郎の小浪》は、扇絵なので小振りだけど、とても好ましい画だった。これ↓は江戸博サイトの画像を拝借したのだが、たった52KB。是非本物を見て欲しい。私は細やかなものが好きなので、こういう肉筆画の繊細さが気持ちに合う。
印象に残った作品は以下の通り。懐月堂派、周幽斎夏龍、藤麿の彩色美人画。佐川近信のヘタウマな花売り娘。春信の《見立菊慈童》、これは品があるし色もキレイ!勝川春章の一連の役者絵。1点だけだけど窪俊満の群像美人絵。歌麿の《深く忍恋》は瑞々しい美人大首絵で、女が女に惚れてしまう好品。あと歌川豊国がたくさんあって、その賑々しさや風俗画としての価値に結構感動した。
作品数が多いのと、江戸博は館内が冷えるので後半は飛ばし気味。行ってからすでに1週間経っているので、折を見て再訪して、見事なコレクションを眼に焼き付けておきたい。
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2009年7月20日
DAY STUDIO★100「現代アート作家/名和晃平 ART IT編集長/小崎哲哉」7/20
Vantanデザイン研究所渋谷校で開催されたセミナー、DAY STUDIO★100「現代アート作家/名和晃平 ART IT編集長/小崎哲哉」に参加してきた。2時間みっちり、名和さんの創作裏話的なことを聴きまくる、とても充実したトークセッションだった。このイベントのことを知ったのは前日夜。ネット予約で滑り込み。情報をくださったmoriさんにひたすら感謝!です。
トークの構成としては、名和さんがスライドショーで作品のポートフォリオを解説を交えて披露、小崎氏が更に突っ込んでその魅力に迫り、最後に質疑応答、という感じだった。なのでまずはたっぷり名和さんのお話を聴くことができて、大満足。名和さんは「BEADS」「PRISM」「LIQUID」というように作品をきっちりカテゴライズされ、それを発展させる形で作品を作られてきている。このカテゴリ分けは大学の博士課程を終える頃には完成していたそうで、以前からオフィシャルサイト(http://www.kohei-nawa.net/)で公開されているのでじっくり拝見していたが、今回はご本人が写真を流しながらコンセプトや制作方法を語ってくださったので、めちゃくちゃわかりやすかった。最初に出されたのがドローイングのシリーズ。名和さんはビーズ作品がトレードマークのようになっていて、制作の中心も立体だと思っていたのだが、このドローイングをとても大切にされているそうだ。意外だった。私は基本的に線画が好きだけど、名和さんのドローイングは別種。まず描くものに具象性がないし、テクスチャーを重視されている。普通の絵具に混ぜ物をして(曰く「絵具のカクテル」)、粘度をコントロールして操る。この辺は横浜トリエンナーレのトークイベントで伺っていたが、その作業が彫刻作品の発想源になっているとは思っていなかった。次々と画像で現れるドローイング作品は繊細で生命力も感じさせ、特にVoca展2009の出品作の美しさを思い出すと鳥肌が立ってしまう。
BEADSのモチーフに鹿が多いのは、ずばり日本のネットオークションに出回る剥製に鹿が多いから。PRISMはBEADSの発展型。MOTのパラレル・ワールド展ではコンセプトにぴったり合うのでPRISMを出品したが、展示空間も全て名和さんが設計されたそう。あれは単なるホワイトキューブではなく、壁も床も質感からして日常を逸脱したものでなくてはならず、更に照明すら商業空間とは異質の色濃度のものを使って無影空間を作り出したのだとか。あの展示、素晴らしかったですよね。思い返して感動が蘇りました。名和さんの中では絵画=切り取られた世界、彫刻=現実そのもの。彫刻作品は「体験を作る」ものであり、故に展示空間にも配慮が必要なのだそうだ。
自分用メモのつもりで勢いに乗って書いているけど、トークイベントの内容を講演者本人の承諾なしにネットに載せていいのか、実は判断に迷う。このブログを見るのはごくごく少数の人だと思うけど、注意が来たら削除します。
で、続きはかいつまんで。SCUMシリーズはどんどん大きくしている。六本木クロッシングの作品が過去最大。LIQUIDは管理が難しく、今までは短期間しか駆動させていなかった。エルメスに展示中のものは非常にシンプルな構造になっている。新丸ビルのオフィスエリアにある《Water Cell》は10年間の展示を想定して作った、内部には一切不純物が入っていない。《Catalyst - Twist 》には銀鏡加工したものがあるが、その工程は単に水を吹き付けているだけのように見えるので、面白い。接着ではなく磁力のみで固めた作品もある。磁力の方向に沿って球をつなげて行けばよい、原子の世界と同じ原理。
BEADSの制作過程の写真も見せて頂いた。あれはモチーフを回転させて、常に真上からガラス球を接着しているそうで、そのためとてつもなく時間がかかるらしい。はじめは発砲スチロールの玉でシミュレーションするらしいです(行き当たりばったりに球をくっつけるわけでなない)。小崎哲哉氏は名和さんの素材に対する探究心を強調されていたように思う。あと、あえて海外に出て行かないで京都で制作を続ける理由について。日本ほど材料を入手し易い国はないし、培って来た地元専門業者とのネットワークもひとつの財産ということらしい。彫刻は使う物質の物性を理解していなければならない、というところはとても納得できた。私の仕事でも、材料による収縮率の違いを補正することが接着のポイントとなっている。
印象に残った点。名和さんが何度も「かっこいい」という言葉を使われるのを聞いて、なんか安心した。私もかっこいいものが好き。アート作品はコンセプトも重要だけど、美しい方が愛でやすいので。とても先鋭的な作品を作られているけど、PixCellは彫刻史を意識しているのだと言う。これはへえ〜、と思った。モチーフの表層を変えるというのが、彫刻の進化形ということか。あと、建築にとても興味を持っていらした。建築家のお友達が多いそうで、コラボして京都のサンドイッチ工場を改装してスタジオを建造中。壁を剥がす作業の過程で建築物の構造を知ったため、既存の建物に対しても自分なりのアイデアを持つようになったとか。トークのお相手の小崎氏はとても話が上手い方で、時に饒舌になるのだけど、名和さんも負けずに語られる。そう言えばトークで詰まっているのを見たことがないなあ、頭の回転が速いのだろうけど、きつい感じが一切ないのは微妙に混じる関西弁の柔らかさのせいかしら。でもディベートなんか強そう。タフな感じ。そう言えば名和さん、あのユニクロのTシャツを着ていらした。カッコよかった。実は私、いまだ購入していなかったのだけど、もう観念してココで買うことにします。
ちなみに小崎哲哉氏がホストを務められるこのトークショー、前回のゲストは会田誠さんで次回は小山登美夫氏。8/22だったかな。多分行けないけど興味はあります。
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2009年7月17日
東京オペラシティーアートギャラリーの鴻池朋子展内覧会に行った
明日から東京オペラシティーアートギャラリーではじまる「鴻池朋子展 インタートラベラー 神話と遊ぶ人」の内覧会に行ってきた。Oさん、招待状ありがとうございます。横浜勤務民なので終了間際に駆け込んできたのだが、何あの盛り上がりよう。エントランスの人・人・人に押し返されて、入れないかと思った。着ぐるみの人とかいるしさ。
鴻池さんの作品はミヅマアートギャラリーを始め各所で拝見していたけれど、この展覧会は今までのイメージをupgradeしたもの。動線に無理があるなあと思うことの多かったこの美術館を見事に使いこなして、ときめくInter-Traveller体験をさせてもらった。新作インスタレーションが強烈。これは「すごいものがあるよ」と親しい人々に教えてあげたいような、理屈抜きでクラクラさせてもらえる作品。
新国立劇場に行かれる舞台ファンの皆様にも、楽しんで頂ける展覧会。鴻池さんの細やかな演出には恐れ入りました。あの方、舞台美術などなされても相当いいもの創られるように思います。
http://yfrog.com/5ad02lj
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2009年7月16日
「ピロスマニ」下高井戸シネマ 白夜映画祭III
下高井戸シネマで「ピロスマニ」を見てきた。白夜映画祭III2回目参加。本当は全作見たいところだけど、レイトショーなので帰宅が0時になってしまうから厳選。いや〜、ロシア映画って素晴らしい。特にこの「ピロスマニ」はまごうかたなき名作だし、ロシア絵画の好きなアートファンは必見。7/31(金)~8/2(日) はアフタヌーンショーやってます。
画家ピロスマニと言えば去年Bunkamuraザ・ミュージアムで開催された「青春のロシア・アヴァンギャルド」展が思い出される。結構な数の作品が展示されましたよね。ロシア・アヴァンギャルド自体は好みではなかったけど(抽象系苦手)、ピロスマニの素朴で幻想的な作品、特に動物画には強く惹かれた。この人はグルジアの国民的画家と呼ばれているけど生前は不遇で、酒に溺れて孤独の内に亡くなったらしい。典型的な「破滅型天才」と言っていいのか。
でもこの映画には湿っぽい暗さはなかった。タッチはドキュメンタリー風なんだけど、グルジアの風景自体が詩的で美しく、全編夢を見ているよう。元々豊かな土地で、人々は独自の言語と信仰を大切にし、仲間意識が強いようだ。ロシア映画って呑みながら軽食摂ったりお茶したりするシーンが実に多くて、食いしん坊の国って感じがする。ピロスマニは生まれながらにして孤高の芸術家。みんなに「ニコ」「ニコ」と呼ばれ結構人気者なんだけど、頑に定職に付かず家庭を持たず(試みたがうまくいかない)、放浪しながら衣食と引き換えに画を描いて暮らす。ピーク時は街中の居酒屋がピロスマニの絵でいっぱいという状況で、どのシーンにもバックに彼の作品があるのでアートブックのような映画だなあと思った。長身で飄々とした風貌のピロスマニ役の俳優は、実物の写真と似てた。いやアフタンジル・ワラジは俳優ではなくて、グルジアの画家なのだそうだ。
この映画の魅力は、モノローグの少なさかな。ピロスマニの眼に映る風景がすべてを物語ってしまう。彼が馬車に乗って通り過ぎる女性の顔をはっとした表情で見つめる時、その胸に去来する初恋の女性の面影を、私たちは確信を持って思い浮かべる。モスクワの中央画壇に紹介されてもて囃されて、あっと言う間に「稚拙」と突き落とされた時、彼は「僕は何も悪いことはしていない」と呟くのみだが、馴染みの店々から彼の画が容赦なく取り払われたのを、一緒に眺めなくてはならない。女優マルガリータの舞台を、無言のままむさぼるように見つめるピロスマニ。「百万本のバラ」のモデルが彼らなのだが、映画にはそんな派手なエピソードは出て来ない。彼は彼女を見て、彼女の絵を描くだけ。
バックの音楽が少ない分、グルジアの人々の唄声が艶やかに響く。婚礼の日のダンス。放牧されるウシや山羊。タマラ女王の伝説。復活祭のキス。こんなに無垢で美しい映画は、なかなかない。ねー、marcoさん。
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2009年7月14日
ゴーギャン展 2009
東京国立近代美術館で、ゴーギャン展 2009を観てきた。えーっと、もう10日前のこと。開催2日目の夜間開館の時間に、仕事の後飛び込んだのだった。職場から駅までタクシー、駅から近美までタクシーと頑張ったのは、あの時の感動を1日でも早く味わいたかったから。1987年の近美のゴーギャン展。私がはじめて夢中になった美術展だった。
当時はブログなんてなかったから、ネットにはあの展覧会の情報はほとんど残っていない。おぼろげな記憶の中で、私はゴーギャンの装飾性豊かな「色」に感動して、でも図録と実物の色は全然違うことに気付いて、仕方ないから全部憶えて帰ろうと(大真面目)3周も4周もしてお気に入りの作品を凝視しまくった。特に好きだったのがあたたかいピンク。このピンクと、緑や青紫や黄色との配色の妙が絶妙で、描かれている対象は南の島の素朴な人や風景なんだけど、なんて洗練された絵なのだろうと大興奮したものだった。
なので今回のゴーギャン展で期待したのは、鮮やかな色彩、特にピンク。あの色と再会して、20年以上前の自分の感動とシンクロする瞬間をドキドキしながら待ったのだけど(「時をかける少女」のラベンダーの香りみたいな)、その時は訪れなかった。ちょっと拍子抜け。海外から来ている作品にいくつかはっとするような佳品があったが、色味は渋め。配色のセンスは素晴らしいのだけど、「派手さ」に欠けるのよね。それに作品数が少ない。1987年のゴーギャン展はなんと150点も出展されていたそうだから、50点の今回は落差が激しい。ただ、1987年の大回顧展には欠けていた《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》がそこにあることで、この展覧会の開催意義は強く感じた。
いいなと思った作品は以下の通り。
・《洗濯する女たち、アルル》(ニューヨーク近代美術館蔵)
タヒチに行かずこの路線で進んでくれても良かったと思う。地味ながら、良く見ると唸ってしまうような見事なカラリング。

・《二人のブルターニュ女のいる風景》(ボストン美術館蔵)
調和の取れた穏やかな色彩の画面を斜めに横切る木のラインが、大胆。
・《エ・ハレ・オエ・イ・ヒア(どこへ行くの?)》 (シュトゥットガルト州立美術館蔵)
1987年のゴーギャン展のイメージに一番近かった。ピンクはないけど。

・《浅瀬(逃走)》(プーシキン美術館蔵)
1987年にも来ていた画。ほら、懐かしいピンクがちらっと。死のイメージを持つ不思議な作品。

・《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》(ボストン美術館蔵)
沈んだブルーが美しい。ゴーギャンにとって青は死のイメージなのかも。《浅瀬(逃走)》の人物が渡ろうとしている青い浅瀬は「死の淵」の象徴と取れるそうだし。上端両隅にのぞく黄色の縁取りのような部分が、この画の装飾度をぐんと高めている。各人物について細かい解説が付されていたが、まあ理屈抜きで対峙してもゴーギャンの深い精神が流れ込んでくるようで、圧倒される。
ネットの古本屋で1987年回顧展の図録を入手した。昔持っていたけど捨ててしまっていたので。これでもう少し昔の記憶を掘り起こしてから、本展を再訪します。
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2009年7月12日
かたちは、うつる―国立西洋美術館所蔵版画展
国立西洋美術館で開催中の「かたちは、うつる―国立西洋美術館所蔵版画展」に行った(8/16マデ)。新館の改修を終え開館50周年を向かえた西美が、3,747点という膨大な版画コレクションから選んだ約130点(若干の素描作例及び書籍を含む)を、地下の企画展示館で堂々と披露する。期間は1ヶ月余と短いが、気合の入った企画だと思う。私は西洋版画ファンなので、開催2日目に張り切って出かけてきました。
西美の版画コレクションは、ほとんどが1970年代以降に収集されたものなのだそうだ。開館当時の母体となった旧松方コレクションの内、版画は24点だけ(しかも仏近代作家のみ)。80年代にマンテーニャ《海神の闘い》、デューラー《アダムとエヴァ》、ピラネージ《牢獄》《ローマの景観》、ドラクロワのリトグラグ連作、ジャック・カロ420点(うわー)等が購入されコレクションが本格的なものになり、90年代はゴヤの連作やオランダ・マニエリスム版画123点、2000年代にドーミエ1,701点とか、盛んな収集活動が続いているとか。この辺は図録を書き写してます。敬意を持って。
本展の構成は、
序 うつろ-憂鬱・思惟・夢
第1部 現出するイメージ
第2部 回帰するイメージ
に分かれている。
「序 うつろ」のところは8点のみの展示だけど、ここがとても印象的だった。まずドイツ・ルネサンスの巨匠アルブレヒト・デューラーの「三大銅版画」の1点《メランコリアI》が、どーん。女性の表情とか怖い感じであんまり好きじゃないんだけど、図録の表紙になっている名作。レンブラント《蝋燭の明かりのもとで机に向かう書生》は、小品ながら黒味の強い画面に浮かぶロウソクの焔がものすごく印象的で、見事だ。そしてパブロ・ピカソの《貧しき食事》が、素晴らしい。

ピカソは青の時代以外苦手なのだが、その青の時代と同時期に描かれたこのピカソ最初のエッチングは、若書きとは思えない洗練された美しさ。モデルと生き写しなのではと思わせる高い描写力と二人の暗示的な手と腕のラインが、カッコ良すぎ。本展ベストです。
「第1部 現出するイメージ」は
「うつし絵の誘惑Iー顔・投影・転写」「うつし絵の誘惑IIー横顔・影・他者」「うつし出す顔ー肖像と性格」「うつる世界Iー原初の景色」「うつる世界IIー視線と光景」「うつせみIー虚と現実のあいだのからだ」「うつせみIIー身体の内と外」
と細かく分類されている。
おおまかに言うと人物画→風景画→神話・宗教・寓意の世界。時系列に沿って作品が並べられているわけではないので、ジャック・カロ、オノレ・ドーミエ、デューラーなどの大御所が繰り返し出てくる。もちろんレンブラントもあるし、ドラクロワ、カリエール、マティス、ムンクと多彩。印象に残ったのはマティスとムンクの自画像、カリエール《ポール・ヴェルレーヌ》(モノクロの版画でも、タッチでこれぞカリエール、とわかる)、マティス《レース襟のエマ》(マティスの「線」)、ドーミエ《1831年の仮面たち》(男性の顔の見事な描き分け)、ピラネージ《骸骨》《通称ミネルヴァ・メディカ神殿》(ピラネージがない版画展なんて!)、カロ《ルーヴル宮の見える光景》(カロの風景画が好きだ)、マティス《マグノリアのあるオダリスク》(マティスは写実画も巧い)、アゴスティーノ・カラッチ《懺悔する聖ヒエロニムス》(筋肉の表現がすごいんだけど、芸術性も高い)、ウィリアム・ホガース《残酷の報酬》(グログロ)等。でもここのベストはコレね。
ロドルフ・ブレダン《死の喜劇》
髑髏、骸骨〜。いやそれが気に入ったんじゃなくて、その異様に精密で繊細で、苔のような独特のタッチ。思わず現代作家の池田学さんを連想してしまった。
「第2部 回帰するイメージ」は
「落ちる肉体」「受苦の肉体」「暴力の身振り」「人間≒動物の情念」「踊る身体」「輪舞」
こちらは毛色の変わった作品が多い。
デューラー大活躍。この人の理知的で正確で完璧でドラマチックな描線はもうたまらないです。あとは西美が頑張ってたくさん購入してくれた、フランシス・ゴヤの「戦争の惨禍」シリーズが素晴らしい。人間の浅ましさを赤裸々に描いているけど、どこかやわらかいタッチ。ドラクロワの版画は、とても文学的。《安息日の夜、馬を駆るファウストとメフィストフェレス》、馬が亡霊のようよ。群舞が結構好きなので、「輪舞」コーナーは個人的に受けた。ロダンのドライポイントなんて見慣れないものがあった。これはゴヤ《陽気の妄》。音楽が聴こえてきそうだ。
私が西洋版画好きになったのは2年前くらいからで、千葉市美術館の「都市のフランス 自然のイギリス」展(2007/09、感想)ではっきりと自覚した。この時は主にドレにやられた。名古屋ボストン美術館の「レンブラント版画展」(2007/11、感想)で巨匠の技に酔い、埼玉県立近代美術館の「いとも美しき西洋版画の世界」展(2008/05、感想)で何となく体系的なものを知り(あとカロ萌え)、藝大美術館の「線の巨匠たち」展(2008/10、感想)でちょっとあたしこういうの好き過ぎるかも~、と悶えました。町田市立国際版画美術館の「ピラネージ版画展」(2008/11、感想)も良かった。
今回は大好きな西美の所蔵作展だから、通っちゃおうと思っている。「何回行くんですか?」と招待券を2枚もくださったTakさんに、感謝〜♪
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2009年7月10日
"The Music of Regret" directed by Laurie Simmons
渋谷のライズXで見てきた。ローリー・シモンズが、フィルムは写真と違ってうつす度に色が変わるからイヤ、と言っていた。今日のはあんまりキレイじゃないって。いや綺麗だったけど。明日マデ。
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2009年7月 7日
日曜のギャラリー&美術館巡り
絵日記ふうに。
目黒で用事を済ませたあと、白金高輪でyuricoさんお勧めのMARUICHI BAGELへ行ってみた。あの、山本現代とかに行くとき通るおからケーキの店の前にある、テイクアウトのみのベーグル屋さん。パン好きでベーグル大好きなので、いつか行ってやろうと野心を燃やしていた。ポテトサラダ&ドライトマトクリームチーズのハーフ&ハーフを注文。ベーグルは全粒粉。フィリングの厚さに注目。これくらいみっちり詰まっていると、クリームチーズがいかにベーグルと合うかよくわかります。近所のカフェに勝手に持ち込んでランチ♪
そこから一路表参道へ。もちろん「内海聖史 - 色彩のこと - 」@スパイラルガーデンを観るため。内海さんのドット絵は見る度に欲しくなる。必ず「買うならこれかな〜」とあたりを付けるのだが、すみません買ったことありません。私は一番小さいドットが好きで、青を選ぶことが多い。しかし同じパターンでよくこれだけ豊かな世界を繰り広げられること。同系色もいいし色の対比を楽しむのもよし、この世界は無限なんだろうか。marcoさん情報でスパイラルにはベアリンググロッケンがまだ置いてあることも知っていたので、しっかり楽しむ。
そして上野。ネオテニーが空いていると聞いたのでじゃあ行こうと思ったんだけど、入り口には短いけど行列。なので東博へ。パスポートが切れていたので更新して、本館常設へ。相変わらず素晴らしい場所ね。先日感動した出光の「やまと絵の譜」を思い出させるかのように、英一蝶《雨宿り図屏風》《花鳥図》(↓写真)とか菱川師宣《歌舞伎図屏風》とか冷泉為恭《鏡売図》とかあって、ぞくぞくする。美術館同士で牽制?コラボ?
結局ネオテニーにも行った。酷くはない程度の混み具合で、いい感じ。名和さんにヤラれて加藤美佳さんに見惚れて、まあ前回(感想)と一緒な感動の仕方をする。4時になったのでいったん館外に出て、伊藤存さんの水ドローイングをちらと見て、ああ今なら中が空いてるなーと戻って、また名和さんに(以下略)。本当に何度でも楽しめるコレクションだ。
それからlysanderさんがいらした北千住のシンポジウムに行こうとしたんだけど時間が早過ぎたこともあって、近くまで行って退散。なんか疲れたので帰宅してオペラのDVDを見ようと思ったんだけど、日暮里のお蕎麦屋さんでビールと冷酒を頂いたらすっかり眠くなってしまって、DVDはリッピングすることにした。
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2009年7月 5日
先週のギャラリー&美術館巡り
色々あってメランコリック。早く経済が良くなってほしい。真面目に働いて派手に遊びたい。世界中の美しいものを、みんな観たい。
ということで、うだうだしつつも数軒まわった。
・マティスの時代ーフランスの野生と洗練@ブリヂストン美術館(7/5マデ)
いい展覧会だった。まず受付で作品リストをかねたカラーの小冊子を頂く。解説や作品のミニ画像がみっちり記載されていて、タダでいいのっと恐縮してしまうような立派なもの。作品リストすら作ってくれない美術館も多いのに、太っ腹だわ〜。ラインナップ自体は見慣れたものが多いけど、常設展示のプールデル《風の中のベートーヴェン》(彫刻)(《ペネロープ》は以前見ていた)とピエール・ボナール《灯下》(油彩)が新たにお気に入りに加わった。
・Seven 西村画廊35周年記念展(7/25マデ)
押江千衣子、小林孝亘、曽谷朝絵、樋口佳絵、舟越桂、町田久美、三沢厚彦のセブン。町田久美さんは2点、うち新作の小品が大変良かった。新境地と言っていいのかな。「画」としてとても美しい。バランスが取れていて複雑で陰があって・・・。当然soldだったが、あれを買われた方がものすごーく羨ましい。
・オルタナ美術ショーケース展@CCAAアートプラザ・ランプ坂ギャラリー ランプ1・2(7/5マデ)
NPO法人が四谷の廃校になった小学校をギャラリーとして使用している。靴箱とか図工室とかそのまま残っていて、いい雰囲気の会場。目当ての展示室に入る前に小さな木椅子に腰掛けて、和みつつ冷えたコーラを飲んだ。一緒にサプリを飲んだんだけど、炭酸でタブレットって飲み込みにくいのね。ここはブログを通じてお世話になっているkurohaniさんこと橋村至星さんの作品を見に行ったのだけど、同人+一般参加の総勢55名の作品は、素直に心に触れるものが多くて良かった。特に入り口から左手に入った部屋、真ん中に赤い細いモールで作った小さな椅子が並べてあって、レコードを紙ヤスリで鳴らす(?)作品の奏でるエンドレスな素朴な音や、キッチュな立体作品等全体ですごくいい雰囲気を作り出していた。思わず写真撮っていいですかと聞いたらOKだったけどブログに載せるのはダメと言われて、なんか萎えて撮るのをやめた。もちろん橋村さんの作品はすぐに見つけました。橋村さんの人物画って一目でわかる「色」があります。
・ゴーギャン展2009@東京国立近代美術館(9/23マデ)
金・土は20時まで開館と聞いて混む前に見ておけ、と仕事のあと行って来た。これはさすがに独立エントリ立てないといけないでしょうね。後日書きます。
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2009年7月 3日
日本の美・発見II やまと絵の譜
出光美術館で開催中の「やまと絵の譜」展に行った(7/20マデ)。やまと絵って実体が今ひとつわからないけど、個人的にはあまり興味がない。永徳の洛中洛外図みたいに緻密なのは別として、特に風俗画の類いは好みから外れる。ただ、出光の展覧会にはいつもヤられるので(特に前回の「水墨画の輝き」)、しっかり時間を取って行ってみたらこれが素晴らしかった。ツボ!の連続。
第一章「うつつ」をうつすー「やまと絵」と浮世絵
菱川師宣、懐月堂、英一蝶、岩佐又兵衛!それぞれ特徴がはっきりしていて較べると面白い。特に又兵衛の、光源氏と業平の面長顔がなんだか笑える。でも源氏の《野々宮図》は墨絵、つまりモノクロで、背景のぼやけ具合がこの世のものと思えない雰囲気を醸し出していることに気づいて、笑った後で背筋がすーっと涼しくなる。背景がここまで雄弁に心象を表す画って、なかなかない。師宣の人物はどこかマンガのキャラっぽく、《江戸風俗絵巻》なんてひとりひとりがあんなに小さいのに髪型や着物の色柄まできっちり描き分けられていて、完成度が高い。英一蝶は箱庭っぽい端正さと、線がちょっと弱い感じがかえって特徴的に見えた。他に作者不詳の風俗画があったけど、とにかくこのコーナーは各画が互いを引き立て合っているような、対比と調和のバランスが良かった。
第二章「物語」をうつす―「やまと絵」絵巻の諸相
ここは古いものが多かった。本来私が得意でない、細々した筆致で風俗を描いた絵巻が多いのだけど、セレクションのセンスが良くて絵として美しいと感じられる物ばかりだった。特に冷泉為恭の《大江千里観月図》《雪月花図》にうーっとり。本展ベストだ。墨で繊細に描かれた背景や家屋の中に彩色された人物が配されるという斬新な工夫が、ごく上品にまとめられている。やまと絵のイメージは彩りの美しさだが、水墨の暗示的な力を利用することで、更に内包する世界が深くなっている。またお目にかかりたいわ。
第三章「自然」をうつすー「やまと絵」屏風とその展開
屏風はやっぱり迫力があっていい。伝土佐光信の《四季花鳥図》とか作者不詳の《日月四季花鳥図屏風》とか、褪色していてもどーんとした重みがある。源氏物語はお約束的だけど、狩野探幽《澪標図屏風》は好きなシーンなので見入った。作品リスト(PDF)には載っていないけれど焼物や蒔絵の工芸品なども多数展示されていて、ああ日本人の美意識って素敵だなあとあらためて思う。
英一蝶《四季日待図巻(部分)》
今年見た中で特筆すべき、優れた展覧会だった。やまと絵にはデザイン的な面白さがあるのだなと思ったので、図録を買った。2,000円でお釣りが来た、安い。
出光に入る前、帝劇ビルB2Fの「きくかわ」に行った。ここはむかーしお世話になった方に何度もランチをごちそうになった店で、何年ぶりになるのか。
うな重(イ)
食べ始めはタレの味が立っている感じだけど、進むにつれて口の中がまったりしてきてちょうどよくなる。食の快楽。ごはんを一粒たりとも残したことは、この店ではない。
キャベジン
定番。胃を守るためって言われたけど、美味しいのでいつも頼む。
今度骨の唐揚げとか白焼きとかで一杯やりたいです。
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2009年6月26日
ギャラリー巡り〜
銀座でちょっとだけギャラリー巡りをした。
まずは当然メゾンエルメス。「L_B_S」展再訪(9/23マデ)。前回の訪問(感想)が夜だったので、今度は明るい内に観たいと思って。いや〜、BEADSを見直して「名和さんとんでもないもの創ったなー」と感心しました。ガラスごしの太陽光を反射して、眩いこと。あの大きさはやっぱりただごとじゃない。あの会場にはあのサイズが必要だったのですね。SCUMには清潔感を感じた。やっぱり自然光のせいか。LIQUIDは、内部からの照明が消えている分おとなしく感じた。でもあの果てしない循環は、視覚以外の感覚まで狂わせようとしているようで、油断ならない。3ヶ月間ずーっとポンプを止めないのだそうですね。シリコンオイルは固まったりしないのだけど、ポンプの逆流を防ぐためとか。徹底しているなあ。
続いてギンザ・グラフィック・ギャラリーで「Max Huber - a graphic designer」(6/29マデ)。「20世紀のグラフィックデザイン界を牽引してきたスイスのグラフィックデザイナー」というので何となく行ったが、品の良いカラフルさと今見ても新鮮に感じるデザインが素敵すぎ。写真や掲示された周囲の人のコメントとか見ると、人柄に温かさを感じる。ジャズ好きだったらしい。「JazzTime+」@Gallery 5610(6/29マデ)も行きたいが・・・。
クリエイションギャラリーG8の「JAGDA新人賞受賞作家作品展 2009」にも行った。榮良太さんの作品が目を引いたが、どうもマックス・フーバーの後に見たのがまずかったらしい。すべての受賞作に物足りなさを感じてしまった。
今まで画像を置くのに使っていたPicasaWebAlbumのアルバム数が上限に達して、画像をupしにくくなった。有料の拡張を申し込んだのだが、24時間で処理が終わるとあったのに3日たっても反応がない。Google日本法人てもしかしてぼんやりさん?
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2009年6月23日
「しんりょく!展:新収蔵品を中心に」豊田市美術館常設特別展
豊田市美術館で「ヤノベケンジ―ウルトラ展」(感想)と併せて観たのが常設特別展「しんりょく!展」(6/21で終了)。谷口吉生建築だけでひとつのアートであり、美術館の空気を吸うだけで晴れやかな気持ちになるのだが、豊田市美のコレクションはとてもセンスが良く数も多い。現代アートが多いがクリムトやシーレの名品も持ち、更に日本画コレクションも。しばらく企画ごとに通って全点制覇したい欲望にかられる。
まず2F入り口の展示室1:「湧き出すイメージ」ではミシャ・クバルの写真連作《メガサイン》が素敵。昨年末個展が開かれたようですね。今更ながら、見たかった。展示室2−3:「目を閉じるイメージ」では階段を上ってすぐに目に入る川内倫子さんのUntitledシリーズ「SEMEAR」、絵皿に乗る葡萄の写真が鮮やか。思わず小走りで寄って行ってしまったほど。この作品はFOILギャラリーで見たような気がするのだが、格段に美しく感じた。
| 自分が写らないように斜め方向から撮ってます 20090621_01 |
コンスタンティン・ブランクーシ《眠る幼児》は本当にこんなふうにごろんと転がっている。
| 手に取りたい 20090621_01 |
展示室4(手前):「布と絵画」には手塚愛子《縦糸を引き抜く新しい量として》が。豊田に来ていたんですね。宮脇綾子さんの布の切り絵みたいなシリーズがラブリー。そして圧巻なのが、展示室4(奥):「自画像と肖像」。華やかなグスタフ・クリムト《オイゲニア・プリマフェージの肖像》の近辺に
| こんなに堂々と撮ってしまってよいのだろうか... 20090621_01 |
国吉康雄《花飾りをつけた女》
| ogawamaさん、国吉康雄に開眼か 20090621_01 |
オスカー・ココシュカ《絵筆を持つ自画像》
| 深い画です 20090621_01 |
宮脇晴《自画像》、水彩・鉛筆・油彩
| 天才少年〜 20090621_01 |
森村泰昌《肖像 (カミーユ・ルーラン)》
| 森村さん苦手だけどコレはいい 20090621_01 |
興奮しますね。さて展示室5:「更新されていく日本の絵画」がまた渋い。速水御舟が5点もある。今村紫紅とか。ガラスケースに守られたそれらの向かい側に、会田誠《あぜ道》が。会田さんは微妙なところなんですが、この作品は名作ですね。ユーモアと、背景の高度な描写力と。私を去年豊田市美に呼び寄せたフジイフランソワ2点の内、《桃太郎》
| グロ渋可愛い 20090621_01 |
立石大河亜なんかもあって、実にいい感じのセレクション。
あと、展示室4の外にあった古池大介《ディソリューション》は人の顔が変異していくビデオインスタレーションで、デジタルってすごいなあとほとほと感心。この人の他の作品が見たい。
既知の作家の作品であっても、良品ばかりなので新鮮。次回のジュゼッペ・ペノーネ展(7/7〜9/23)にも来て、更に所蔵コレクションを堪能したいです。
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2009年6月22日
ヤノベケンジ―ウルトラ展
豊田市美術館で開催されていた「ヤノベケンジ―ウルトラ展」に行った(6/21マデ)。なんと最終日の昨日。背景には複合的な事情があるのだけど(「日本の名品展」や「だまし絵展」で豊田市美所蔵のよい作品を見かけた。前回訪れた時は御園座のミュージカルと抱き合わせだったので館内に1時間しかいられなかった。ヤノベ氏が舞台美術を手がけたパパ・タラフマラ「ガリバー&スウィフト」が面白かった。等々)、名古屋日帰り遠征の決めてはこれです。「ドキュメント・ウルトラファクトリー」展(6/21マデ)。ウルトラ展は4/11から開催されていたけど、こちらは6/9からと短期間。めざとい私はラインナップの中に
「ULTRA x KNA」名和晃平アートプロジェクト(2008-2009)
というのを見つけ、駆けつけることにしたのでした。と言っても先日メゾンエルメスで名和さんとお話させて頂いた時に内容をうかがったら、学生とやっているプロジェクトを紹介しただけだから「それ目当てで」行くことはないと言われて、ちょっと迷ったのだけど。でも尊敬するアーティストの活動には常に興味あり。行った。
名和さんのコーナーはドキュメント・ウルトラファクトリー展の会場の片隅に。
| 「ULTRA x KNA」名和晃平アートプロジェクトのコーナー 20090621_nawa |
| 「京都にクリエーターのプラットフォームを作る」SANDWICHプロジェクト 20090621_nawa |
| 「学生たちがワークショップ形式で様々な素材を体感」製作プロジェクト 20090621_nawa |
| 素材のサンプル 20090621_nawa |
これだけでも、私には貴重な情報。やっぱり行って良かった!しかし名和さんのプロジェクトには女子ばっかり参加しているのが気になります〜。
ウルトラファクトリーとは京都造形芸術大学のプロジェクト型実践授業(詳しくはこちらを)。現在ヤノベさんと名和さんを中心に、活動しているもよう。ヤノベさんの本展の新作《ウルトラー黒い太陽》も学生さんが製作に関わっている(豊田市美にも設置に来ていたとか)。
で、ヤノベケンジさんの個展が素晴らしかった。最終日ということで、アーティストトークにヤマダタツヤ・ライブパフォーマンスにヤノベさんのサイン会と、盛りだくさんのファイナルイベントが。かなりの人出。まず何となく列に並んだらトークショーの整理券がもらえたので(定員150名中146番。外れた方多数)聴いてみたら、面白かった。トヨタ・ショックで予算が削減されて、次回のジュゼッペ・ペノーネ展と併催されるはずだったヤノベ展が単独個展になったとか(でも予算は増えず)、ウルトラプロジェクト内でどのように新作が創られていったかとか。ヤマダタツヤ・ライブパフォーマンスはMAS/Tyme.のヤマダさんの演奏をバックに《黒い太陽》を起動させるというもの。毎回すごい人気で、会場は超満員。
| これが《ウルトラー黒い太陽》周囲に水が張ってある 20090621_01 |
会場が真っ暗になった後、穴から見える中央の柱の上でテスラーコイルが激しく放電する。大音響〜〜
会場全体の様子は美術館のサイトを見てください。展覧会というよりアトラクションに行った感じだった。これに加えて素敵な常設を見てまわったのでこの日は徳川美術館にも行く予定だったんだけど、断念した。
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2009年6月19日
L_B_S/名和晃平
メゾンエルメス8階フォーラムで今日から始まった名和晃平さんの個展「L_B_S」に行ってきた(9/23マデ)。当然初日です。
会期:2009年6月19日(金)~2009年9月23日(水) 月~土曜 11:00~20:00(最終入場19:30) 日曜 11:00~19:00(最終入場18:30) 会期中無休(但し7月15日(水)、9月16日(水)除く) 入場無料 会場:メゾンエルメス8Fフォーラム 中央区銀座5-4-1 TEL:03-3569-3300 主催:エルメス財団
2006年に原美術館の「アート・スコープ」展で見て以来、名和さんは私にとって最重要な現代作家。作品の美しさだけでなく、ご本人が語られるコンセプト、「彫刻の方法論」にとても惹かれている。PixCellがPixel(画素)+Cell(細胞・器)だと知った時、すごい理知的な作家さんなんだなあと思った。私が見ているものは物質の本当の姿ではない。すぐそこにあるけれどそれは映像なのだ。
読書に没頭したあと我に還って周囲を見回した時、世界と自分の間にぶ厚いガラスが存在するような気がする。と常々思っていた。ガラス越しに見る世界は存在感が希薄で、ついでに自分も希薄。そんな個人的な感覚も思い起こさせる、名和さんの作品のテクスチャー。
「L_B_S」のLは<LIQUID>。シリコンオイルの泡。オイルが手に付くと全く取れないそうです。Bは当然<BEADS>。中にいるのはエルク(ヘラ鹿)。でかい。Sは<SCUM>。これは種々雑多なモチーフをポリウレタン樹脂でコーティング。どれも大作であり、完成度がすごく高い。美しいメゾンエルメスのガラスブロックの壁に囲まれて、ただただ神々しくて(SCUMはカワイイ系かなーと思ったけど)・・・。
実は今夜は足が地についていません。閉館間際のメゾンエルメスで、名和さんご本人に遭遇したのだ。関係者と思われる方と会話されていたので離れた地点で作品を鑑賞していたのだが(途中メゾンエルメスの女性が作品解説をしてくださって、とてもうれしかった)、ぼーっとBEADSを眺めでいたところでそばに名和さんが!ひとりで!思い切って声をかけてしまった。BEADSの球体が一部すごく大きいので(現美の常設もそうだったし)なんでですか?と聞いたような気がする。名和さんの言葉を正確に再現はできないから、コンセプト的なことはここでは書かないけど、なるほど、うーんと思った。今までBEADSはすごくクールな作品だと感じていたのだけど、製作過程とか考えてもそればっかりじゃないかも。球体はアクリルと勘違いしてたけど、水晶とガラスがほとんどらしい。緑色がかっているのがガラスと教えられて、ビー玉を思い出した。今回の個展の製作に半年かかりきりだったこと、ほとんど京都で作られたこと、新しいアトリエができるのは2-3年先ということ、作品の大きさは展示会場に合わせて考えるとかエルクがエルメスに入るかがまず問題だったとか、等々伺ったように思う。今書いておかないと忘れるなー。SCUMを見てハマ美の金氏徹平さんの作品を思い出したと言ったら後輩だとおっしゃっていた。
話の流れでほとんどストーカーのように名和さんを追いかけていることが知れてしまって笑われたが、「ありがとうございます」と言っていただいてとてもうれしかった。帰りの電車ではにやけっぱなしの頬を押さえていた。先日友人に「名和さんと作品とどっちが好きなの」と聞かれたが、作品と作家って同体でしょ。まあ作品は一人歩きするとか言うけどそれは作家視点で、ファンからすれば一緒だなあ。特に現代作家に関しては。
名和さんは作品もご本人もかっこいいです。
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| あそこに名和さんがいらした! 20090619 |
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2009年6月18日
国立西洋美術館開館50周年記念事業「ル・コルビュジエと国立西洋美術館」、と常設
国立西洋美術館に行ってきた。あの「ルーヴル美術館展」が終了して静けさを取り戻した西美。「ル・コルビュジエと国立西洋美術館」(8/30マデ)よりむしろやっと改装が終わった常設展示室を楽しみに出かけたのだけど、コルビュジエ展も良かった。いつも彫刻がある常設入り口室と、版画室の2ヶ所に分けて写真や図面、模型を展示。コルビュジエが設計したのは本館だけで、現場監理は坂倉準三、前川國男、吉阪隆正三氏が行ったそうだけど、模型を見るとまさしくコルビュジエだなあと思う。版画室にあったオリジナルの本館のバーチャル映像が大変素敵で、そこには西美をなんとかして世界遺産に、という意気込みもあるらしい。東京文化会館といい東京国立博物館といい、上野にはすばらしい建築がたくさんあってしかも常に人で溢れている。現役で愛され続ける名建築。誇らしいわ〜。
というわけで、新館が解放されて広ーくなった常設展へ。なんか、ゆったりとした配分で作品が並べられているせいか、画が映える。
| 《キリスト降誕》《聖アウグスティヌス》 20090618 |
15世紀のテンペラ画。祭壇画などもあり、この一画がめちゃくちゃ気に入った。
| ブーケラール《十字架を運ぶキリスト》 20090618 |
画家の若い頃の作品だそうだが、浮き上がるような人物の描き方が好み。
| ヘーム《果物籠のある静物》 20090618 |
この手の静物画はたくさん見る機会があるけど、これは瑞々しさが絶品。皮を剥いたレモンがポイント。
| オスターデ《宿屋の前の旅人たち》 20090618 |
「ホビットの冒険」を思い出しちゃう光景。森の描き方がツボ。
| ドレ《ラ・シエスタ、スペインの思い出》 20090618 |
ドレの版画が好きなばっかりに、この大作がお気に入り。改装中は陽光の届きにくい狭いスペースに展示されていたので、明るい新館に帰って来てくれてうれしい。この大げさな光と影の描写、意味ありげな子供の表情がドレらしいドラマティックさなのだ。
| クールベ《馬小屋》 20090618 |
光線の具合がいいのか、説明しがたいんだけど昔から好き。
| セガンティーニ《羊の繊毛》(新収蔵) 20090618 |
タッチは精緻ではないんだけど、空気感がいい。硬質な光を感じる。
| エルンスト《石化した森》 20090618 |
このシリーズが好き。川村の《石化せる森》とか。
7/7(火)からは「かたちは、うつるー国立西洋美術館所蔵版画展」がはじまる。版画好きにとって、期待度超弩級。
開館当時には24点を数えるばかりであった版画のコレクションは、現在では3,747点にまで膨らみ、いまや当館の所蔵作品全体のなかにも、かなり大きな比重を占めるものへと成長しました。そこには、ルネサンス期のデューラーらにはじまり、17世紀のカロやレンブラント、18世紀のピラネージやゴヤ、19世紀のドーミエやクリンガーなどに至る、西洋版画史を語るうえで欠かすことのできない重要な芸術家たちの有品が、数多く含まれています。本展はこうした当館自身の版画コレクションを、若干の素描作例及び書籍とあわせた約130点によって、はじめてまとまった形で紹介する機会となります。
通いたい〜
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2009年6月17日
山中俊治ディレクション「骨」展
21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「骨」展に行った(8/30マデ)。職業がら私は顎骨フェチ(と言っていいと思っている)なので、この展覧会はポスターを見た瞬間からとても楽しみにしていた。
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| このポスターのどこがいいんだという声は受け付けません 20090617 |
出展作家:湯沢英治、ニック・ヴィーシー、前田幸太郎、慶應義塾大学 山中俊治研究室、MONGOOSE STUDIO、エルネスト・ネト、takram design engineering、明和電機、緒方壽人 + 五十嵐健夫、玉屋庄兵衛 + 山中俊治、THA/中村勇吾、参
すごいツボだったので買い控えている図録買いました!控えている割に増える一方だけど!正当派アートの展覧会ではないけど、私と周波数の合う「美しさ」に溢れた企画。以下お気に入りを画像付きでpick up。
・湯沢英治 写真集『BONES—動物の骨格と機能美』より
骨格標本のモノクローム写真。強烈に好き、生の骨を収集したいとは思わないけど。生物は神が造ったのだなあと敬虔な気持ちになる。
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| ハブ(多分) 20090617 |
・ニック・ヴィーシー 写真集『X-RAY』より
これもすっごく綺麗。何でもレ線で撮っちゃう。湯沢氏とは対照的だけど、工業製品に息づく美しさを思い知る。この後のコーナーに腕時計を解体したものとか展示されていて、ワクワクした。子供の頃目覚まし時計分解して遊んだなあ。
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| ドライヤー 20090617 |
・前田幸太郎「骨蜘蛛」
あの中庭のところにこいつらがいっぱいいて、それはそれはそそられた。蜘蛛に骨はないから架空の石膏彫刻なんだけど、すごくリアル。
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| 蜘蛛は外骨格なのです 20090617 |
・エルネスト・ネト「Mientras estamos aquí(私たちがここにいる間)」
木の骨組みを使った点がネトの作品としては珍しいらしい。中に入れる。入ってもどってことないけど。
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| 20090617 |
・takram design engineering「Phasma」
六足走行ロボット。この画像からは想像できない、素晴らしい動きを見せてくれる。実物は移動できないよう括ってあるけど、実演映像と製作者の解説ビデオあり。Phasma飼いたい。
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| Phasma 20090617 |
・参 「失われた弦のためのパヴァーヌ」
弦なしピアノ。弾くことができます。猫ふんじゃった弾こうと思ったけど最初にどこを叩くのか忘れちゃってたので弾けなかった。アート作品としては一番好きだった。
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| 20090617 |
名作チェアを解体して見せる展示もあった。21_21 は20時まで開館しているところが素晴らしい。
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2009年6月16日
東京国立博物館 本館常設6/14
6/14(日)は午前中東京国立博物館 本館を見に行っていた。ここは本当に素晴らしいところ。写真撮影OKだし空調はきつくないし(この日の夕方行ったサントリー美術館は極寒で、10分で出てきてしまった。会員なのでいつでも行けるし)サイトの画像はとても綺麗だし、何よりお宝がザクザク。言うことない。今回の収穫は、「特集陳列 平成20年度新収品」(6/14で終了)かな。
髡残《霧中群峰図》、清の時代の複雑な筆致の山水。丁仁《梅花図》、鬱蒼とした墨絵の梅花。呉俊卿《墨梅自寿図》、これも墨の梅だけど、筆致は奔放。そして羅振玉《臨金文四屏》、文句なく美しい。素人ながら、東博のお買い物にいちいち納得してしまうラインナップだった。
| 羅振玉《臨金文四屏》 20090616 |
青銅器の鋳込まれた銘文4種を、彩色の美しい料紙に臨書したもの
ここだけでかなりの満足感を得られたので、軽ーい気持ちで2F常設を見て回る。鍋島のタンポポのお皿が可憐。英一蝶の《花鳥図》は独特のシルエットがモダン。酒井抱一の《宇治蛍狩図》は、色鮮やかでとても躍動的。浮世絵コーナーでは、春信と歌麿は1点ずつだったが、亜欧堂田善の銅版墨摺の風景画が新鮮だった。
1Fの近代美術の部屋に上村松園の《焔》があった。これも6/14までの展示だったようだ。この凄絶な画を見るのは2回目。この絵を知ってるから松園のおとなしい美人画も好き、というところがある。
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2009年6月15日
奇想の王国 だまし絵展
Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「奇想の王国 だまし絵展」に行った(8/16マデ)。土曜日の夜間開館を利用しまして、初日の13日に、仕事でくたびれた体をひきずって行ったのです。Takさんから細見10周年記念展のエントリにいただいたこのコメントのせいおかげ。
今日からBunkamuraで始まるだまし絵展に其一の良い作品が数点出ています!
Bunkamuraで日本絵画も中々でしたよ~
この日は忙しくて夕方にはぐったりしていたのだが、最後のお客さまが遅刻してしかも手厳しいことをおっしゃるので、粘って30分延長。まっすぐ帰ろうかな〜と思ったけど、「良い其一」見たさに渋谷に向かった。電車でブログチェックしていたら、Takさん速報upされてるし!
Bunkamuraに到着したのが19:45くらい。VIRONのパンを買いたかったが(ともりんさんの記事を見て)あきらめてミュージアムに入館すると、意外な賑わいでびっくりした。ガラガラの美術館でアートに囲まれ癒されるつもりだったのにー。ということでちょっと上の空で見始めた「1.トロンプルイユの伝統」。オランダ静物画の展覧会で似たようなものをたくさん見ているので、「なぞる」感覚で眺める。私的にはどう見ても「絵」にしか見えない。当時の風俗を垣間見て楽しむ感じのもの。ペレ・ポレル・デル・カソ《非難を逃れて》の額から飛び出そうとする男の子は良かったけど。表情が生き生きとしていて、ディカプリオみたい。19世紀の絵に見えない。しかし30点近くのトロンプルイユは実は迫力があった。20:30くらいにはだいぶ人がいなくなってのびのびと鑑賞できる状況になったのだけど、このコーナーを独り占めして部屋の真ん中で17-19世紀のだまし絵に囲まれみると、クラクラしてちょっと危険な気分になった。
「2.アメリカン・トロンプルイユ」ではアレグザンダー・ポープが良かった。アメリカっぽいリアリズム。金網に顔を押し付ける仔犬がキュートな《エサをやらないでください》はブランディーワイン・リバー美術館というホビット床にありそうな名の美術館蔵。ここはたしかワイエスを多く所蔵するところ。いつか行ってみたいと思っている。
「3.イメージ詐術(トリック)の古典」では呼び物のジュゼッペ・アルチンボルドの《ウェルトゥムヌス(ルドルフ2世)》より、アタナシウス・キルヒャー《光と影の魔術》(ほんとの魔術書みたい)とウィリアム・ホガース《間違った遠近法》が気に入る。後者は版画である点がポイント高い。実はポストカードを買ったのはこの1枚のみ。私ってホント線画・版画好き。ホガースは18世紀イギリスの画家で、調べると《娼婦一代記》なんて版画も出している。たしか千葉市美か国際版画美で、見たぞ。
ひとりで盛り上がってきた。長くなりそう。
「4.日本のだまし絵」はお待ちかねの。鈴木其一は描表装のコーナーに。前期は《紙雛図》1点。これはとても可愛くて、調度品として現代的なセンスのある掛け軸。他とは一線を画す。迫力があるのは河鍋暁斎の《幽霊図》。京博まで暁斎展を見に行ったので思い入れあるのですが、暁斎の幽霊は本当に怖い。でも今回のは、画面構成の一工夫が光る逸品。歌川国芳の人でできた人の顔と、広重の体を張った影絵は、はじめて見る人にはめちゃくちゃ面白いと思う。ここは展示替えが激しいので、後期を見逃さないようにしないと。
「5.20世紀の巨匠たち ーマグリット・ダリ・エッシャー」はとてもエレガントなコーナー。マグリットが多いから、そう感じたのだと思う。色遣いが優しくて好き。エッシャーは「だまし絵」の真骨頂。不可思議だしデザイン的に美しいしタッチが独特だし、何度見ても飽きることがない。
最後は「6.多様なイリュージョニズム ー現代美術におけるイメージの策謀」。何とも野心的なタイトルだけど、中身が負けていなかった。カプーア《虚空No.3》デュシャン《アネミック・シネマ》高松次郎《影A》マン・レイ《だまし卵》、ね、ほら。ここに本城直季さんを置くセンスは正しい。杉本博司さんの蝋人形シリーズも、確かにだまし絵よね。しかし衝撃的だったのは、パトリック・ヒューズ《水の都》。出口直前にあってぼーっとして通り過ぎようとした時に目に映ったゆらゆらする水面。なんだこれはーっと、近づいたり離れたり行ったり来たりして、その正体を見極めるまでにだいぶかかった。こういう作品は理知的で良い。
楽しかった。後期も行きます。
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| ペレ・ボレル・デル・カソ《非難を逃れて》 20090615 |
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2009年6月14日
「ウィンター・ガーデン 日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」
原美術館で開催中の「ウィンター・ガーデン 」展を見た(7/20マデ)。「日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」と聞けば2007年水戸芸術館の「夏への扉-マイクロポップの時代」を思い出すが、つまりキュレーターが同じ、松井みどりさんということだ。私は水戸芸に行かなかったので初「マイクロ・ポップ」ということになるが、イメージ的に既視感があって、それは=古いという感じで、本展覧会にはあまり期待していなかった。八木良太さんの氷のレコードが実演されるというので(火〜土:13:00、15:00、水曜のみ19:00も。日・祝:11:30、14:30、15:30。)、それ目当てで時間を合わせて赴いた。
出展作家:青木陵子、泉太郎、落合多武、工藤麻紀子、國方真秀未、佐伯洋江、杉戸洋、タカノ綾、 田中功起、千葉正也、Chim↑Pom、半田真規、八木良太、山本桂輔
レコード演奏予定時間の1時間も前に美術館に着いてしまって、間が持つだろうかというのが最初の不安。映像作品がいくつかあったがそれはチラッと見るだけにしておいて、展示を全周するのに15分かかっただろうか。 田中功起さんの燃えるコードの映像しか頭に残っていない。うーん困った。仕方ないので昔からある常設、須田さん、宮島さん、奈良さん、森村さんをじっくり眺めて(3Fは階段登るのが面倒なので略)、時間を潰す。昔はいい作品があったよねえ、とか懐古ムードにひたりつつ。で、それから気合いを入れて「マイクロポップ」を再鑑賞してみた。
・・・どの作品も、ギャラリーで見れば好感が持てそうなのよね。こちらから歩み寄って、親密な気持ちで向き合うとその世界が開けてくる、みたいな。杉戸洋さんの淡い具象画が、落ち着いて見るととても好ましかった。びっくりさせられたのは工藤麻紀子さん。今までどちらかと言うと苦手な作家だったのだが(ネオテニーでもスルー)、3点ほど大型油彩の内《よるにもとべる》という少年と少女(?)が抽象的なバックの前で立っている作品が、すごく鮮烈だった。子供の落書きみたいなタッチなんだけど、色と構図がツボだったのだろうか。これすごい絵じゃん!と思ったら今まで素通りしていた工藤さんだったと言う。こういことってあるんですね。一見稚拙なタッチも、プリミティブという言葉を使うとすごく深遠な世界に化ける。いやでもあれは言葉遊びではなくとてもいい作品だった。おかげで他の作品も急に気になり、しげしげと見直す私。ネオテニー再訪の際は工藤さんに注目しないと。
八木良太さんの《VINYL》は、儀式みたいな感じだった。冷凍庫からうやうやしくシリコンのコアで作られた氷のレコードを取り出して、針を載せる瞬間の緊張感。本当に曲が聞こえた。すでに溝が溶け出していて同じフレーズを繰り返すので、学芸員さんが時々針の位置を変える。でもほどなく雑音が大きくなり、音楽は聴こえなくなる。時間軸を具現化した作品、と言うのかな。
結局八木さんの作品を見られたことで、原美術館を出る時には結構な満足感を持つことができた。頼りなげな「マイクロポップ」(この呼び方には違和感あり)世代は、アクは強くないけど不思議な手触りがある。彼らの作品と較べると、さすがに宮島さんら古参の現代作家の作品にはクラシックな匂いが強かった。原美以外で見ている近作のイメージを含め。
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2009年6月12日
細見美術館開館10周年記念展「日本の美と出会う−琳派・若冲・数寄の心−」
日本橋高島屋8階ホールで開催中の「日本の美と出会う−琳派・若冲・数寄の心−」展に行った(6/15マデ)。なんか知っているアート好きブロガーさんが軒並み観て誉めていらして、行く前から満足は確約されたような展覧会だったんだけど、期待通りとても楽しめた。細見美術館は京都に行ったら必ず寄る、ということはないけれど、必ずチェックてしてスケジュールに組み込むか検討するところ。「小綺麗な琳派が見られる美術館」と勝手に認識している。
さすが開館10周年記念。ここあそこで見たような作品が散見されるが、こうしてまとめてコレクションを拝見すると、その豊かさにびっくりしてしまう。デパートのホールが、とても広く感じられた。
第1章「琳派の花づくし」
ここではまず中村芳中のカワイさにニヤニヤしてしまう。《白梅小禽図屏風》の、樹の幹には技巧をこらしているのに梅の花や小鳥ちゃんは単純化されて丸っこくなっているところが面白い。他の作品にも「らしさ」があって、知らない画家だったんだけど妙なインパクトがあった。本命は鈴木其一。「大琳派展」以来琳派の中で格別に気に入っている存在。《糸瓜に朝顔図》、朝顔の蔓のうねうねが気持ちいい〜。《雪中竹梅小禽図》、雪の重みや飛び立つ雀の軽やかさが、その瞬間を捉えた其一の美意識を浮かび上がらせる。酒井抱一もいいんですよ。《白蓮図》は、再会できてとにかくウレシイのひとこと。《桜に小禽図》も素晴らしい。前景に遮られる部分の幹の色がかすれちゃっているのは、そういう「手法」があったからなんだろうか。私から見ると何とも斬新で、目を丸くして見入ってしまった。神坂雪佳は上品でキレイだけど、絵画よりデザイン画の方がずっと好きだ。
第2章「若冲・北斎と江戸絵画の世界」
んもう、若冲の面白さを今更ながら再認識させてくれるコレクションだった。なんと言っても《糸瓜群虫図》の、筆の巧みさと構図のセンスに圧倒されてしまう。《花鳥図押絵貼屏風》は勢いのある水墨画で、今まで散々見てきたと思うのに、ここでまた若冲の鶏の百面相に心を奪われてしまう。北斎の《五美人図》は以前細見で見た時は「ふーん」で終わってしまったのが、名品を経て高揚していたせいか大変美しく感じられた。すごい描写力だ。北斎はデフォルメしても真面目に描いても、どっちも抜群にうまい。その他見事な風俗画が何点も出ていたが、元々好きではないので流してみた。
第3章「数寄の美とかざり」
この辺は渋くて、あんまりわからないままぼーっと眺めて過ぎてしまった。
タカシマヤカードを持っていると半額で入れます。少し前に景品のベアーにつられて作ったんだけど、今回はじめて「使った」かも。Takさん、作品リスト公開ありがとうございました〜。
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2009年6月10日
ロバート・ハインデルと妻木良三展、その他
何軒かギャラリーに行った。
まず代官山。naomiさんが紹介されていたロバート・ハインデルの展覧会@代官山ヒルサイドフォーラム(6/14マデ)。ロバート・ハインデルは「現代のドガ」と言われる米国現代美術作家で、2005年に逝去するまでダンサーや舞台美術を情熱的に描き続けた。私は初見だったが、バレエ・ファンとしては胸が熱くなる作品の数々。ミュージカルや日本の伝統芸能にまで作品の幅を広げていて、勢いのある筆のタッチと鮮やかな色使いが刹那的(=舞台的)で良かった。ドローイングが好き。あと、晩年のシリーズは写真のようなブレを画に取り入れていて、これまた躍動的だった。フランシス・ベーコンに傾倒していたらしい。そのキャプションを読んで、今まで苦手としていたベーコンに、あらたな興味を感じた。大判のポストカードを購入しようと思ったが、欲しい画がFさんとかぶるので遠慮しておいた。先輩のテリトリーを侵すようで(笑)。
近くのSPEAK FORというギャラリーでバユン・ワラシャナナンというタイ出身のイラストレーターの個展をやっていたので、それも見た(本日終了)。オピー風とくくってしまったら、失礼かな。私としては賛辞のつもりだけど。タイ製のオリジナルTシャツが800円台で売っていて、1枚と言わずもっと買えば良かったと後悔。Tシャツはくたびれたらパジャマにしているので、いくらあっても困りません〜。
さていきなり浅草橋。私の数少ない定点観測ギャラリー、ラディウムへ。妻木良三 「境景」展を観る(6/27マデ)。実は何をやっているか把握せず行ったのだけど、一目であの「線の迷宮<ラビリンス>II 」展@目黒区美術館で見た作家だと理解する。超絶的な鉛筆画、だけど妻木さんの場合は精密なのに抽象性もあって、欲しい作品ではないけどむぅーっと凝視してしまう。これがお隣のCASHIだと、目が泳ぐばっかりなんだけど。ラディウムの作家って「強い」よなあと思う。ちなみにCASHIの「100 degrees Fahrenheit vol.1」(6/27マデ)は悪かったわけじゃない。このギャラリーも抽象的な作品を多く扱うけども、ラディウムのようにカラーがはっきりしていないので(=私が掴めていない)、散漫な印象を持ってしまうだけかもしれない。彦坂敏昭さん以外は馴染めなかった。
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2009年6月 9日
日本の美術館名品展 2回目!
東京都美術館で開催中の「日本の美術館名品展」に行った(7/5マデ)。会期はじめの4月末に続いて2回目だ(前回の感想)。6/2から後期展示が始まったのと、この日はろるどさんとTakさんが企画してくださったオフ会の二次会に参加させて頂く予定だったので、行っておいた。オフ会は、お琴の演奏会があったので一次会の鑑賞会には参加できなかったのだが、なんとあべまつさんがいらしていたと後から知って、とても残念だった。あべまつさんは二次会不参加。飲み会のもようはとんとんさんが写真をupされている(ogawamaさんもばっちり写っております)。
さて「日本の美術館名品展」、2回目なのに1周しただけで頭が飽和してしまうほどの、高い内容。全国の公立美術館から集結した名品たちはすごくて、やっぱり質・量共にふつうの美術展3回分はある。展示替えと言っても、1Fの洋画と2Fの日本の洋画の交代作品は少なくて、3Fの日本画と版画が激しく入れ替わっていた。私の好みは1Fに集中している。
今回まじまじと眺めた作品、まず1Fの洋画(1回目とかぶる)。
・カミーユ・ピサロ《エラニーの牛を追う娘》(埼玉県立近代美術館蔵)《エラニーの菜園》(福島県立美術館蔵)に続いて展示されていた、モネ《ポール・ドモワの洞窟》(茨城近代美術館蔵)
ピサロはやっぱりいいなあと熱い目で眺めていたら目に入ってきたモネ。穏やかな海の青(〜緑)がとてもさわやかで、初夏にぴったりの絵。近寄ると全然崖や海に見えないのに、ちょっと離れると自然の景色そのもの。モネのマジック。
・ベン・ニコルソン《1933(絵画)》(広島県立美術館蔵)
抽象画は苦手なのになぜか目が離せなかった。幾何学的な線がなぜか無意味に思われず、風景を眺めているような気持ちになる。後で調べたらこの作家は彫刻家のバーバラ・ヘップワースの夫なのだった。ヘップワースの《ネスティング・ストーンズ》(これも広島県立美術館蔵)は今回特に好きな作品のひとつ。
・ジャクソン・ポロック《無題》(富山県立美術館蔵)
ど、どうしたんだ!また抽象画にはまっている。こんな明らかに何も具体的な物は描いていない迷走した線と色彩の絵に、なぜ惹き付けられるのか。エナメルの線がポイントなのかな。日によって好みって変わるけど、ポロックの前で立ち止まったのは始めてではないか。
・アンディ・ウォーホル《ダイヤモンド・ダスト・シリーズ》(金沢21世紀美術館蔵)
前期にはなかった作品。靴のプリント。渋いピンクがガラスできらきら光っていて、日本家屋の砂壁みたい。金沢21美にはこんなのもあるんだと、未踏の美術館に対する憧れが高まる。
そして彫刻。ブールデル《両手のベートーヴェン》もポンポン《シロクマ》もヘップワースももちろんいいんだけど
・メダルド・ロッソ《ユダヤの少年》(札幌芸術の森美術館蔵)
蜜蠟の頭像。大理石やブロンズの確固とした質感と違って、蜜蠟と言うだけでなにかとろけるような切ない心もちがする。しかも泣いているような笑っているような、印象のはっきりしない少年の表情。子供らしい丸い輪郭は保護欲をそそるのだが。オフ会で今回のベストとして挙げた。
・アルベルト・ジャコメッテイ《ディエゴの肖像》(豊田市美術館蔵)
先日川村記念美術館に行ってジャコメッティ展のことを思い出していたせいか、あらためていいなあと感じた。その手法、見事と言うしか。
2Fの日本洋画は、作品をまとめて見たことのある作家にやはり親しみを覚えた。萬鐵五郎とか坂本繁次郎とか河野通勢とかフジタとか岡鹿之助とか佐伯祐三とか松本俊介とか山口薫とか熊谷守一とか。でも日本の洋画はまとめて見ちゃうと色調が地味で画風が真面目・重厚という印象が強い。小杉放庵の《金太郎遊行》(栃木県立美術館蔵)みたいのが、カラッと明るくていいなあと思った。
3Fの日本画。実を言うとお気に入りは前半出品作に集中していたみたいで、ああこれもないんだーとちょっとがっかりしなから見て回った。特に狩野芳崖《伏龍羅漢図》と竹内栖鳳《絵になる最初》。前後期通じて気になったのは山口蓬春。先日東京国立近代美術館の常設でも惹かれたし、そろそろまとめて作品を見たいもの。今作品リストを見ていて気づいたけど、舟越保武《萩原朔太郎像》(岩手県立美術館蔵)を見逃した〜。でもまあ、去年岩手で見てきたばっかりだから、いいわ。この間弟の家に行ったら保武さんのちっちゃな頭像が飾ってあって超びっくりした(頂いたらしい...)。
版画も、前期の方が好みだった。でも、日本の版画をまとめて見る機会ってあんまりないから、少しでも版画好きな人は必見。土曜日に横浜そごう美術館の川上澄生展を再訪したばかりだったので、《幻想の阿媽港》(栃木県立美術館蔵)を見て何となくにやりとした。
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| 20090609 |
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2009年6月 8日
没後60周年 上村松園 美人画の粋
山種美術館で開催中の「上村松園 美人画の粋」展に行った(7/26マデ)。好きな美術館であるが最近ご無沙汰していた。「 桜さくらサクラ・2009 」をもって広尾に移転するのだと思っていたくらいで、上村松園展をやっていること自体把握していなかった。たまたま招待券を頂いたので思い立って出かけたのだが、これが大変良かった。持つべきはアート仲間だわあ。ナ××さんありがとうございました〜。
上村松園展と言っても、出品作はバラエティに富んでいる。いわゆる鏑木清方などのその筋の美人画の他、元祖美人画である浮世絵、奥村土牛や小倉遊亀など由緒正しい日本画家の女性像、近年の作家の少女の油彩2点等々。この辺のアレンジの手際の良さが、さすが山種だ。日本画専門と言いつつ所蔵品の幅が広いので、ピリッとスパイスの効いたラインナップが可能。今回も知らない現代作家に感心したりして、すごく新鮮だった。実は最近山種に行かなかったのは、展覧会ごとに見知った作品が多くなってきたからなんだけど、まだまだ甘かったです。
出品作品:上村松園《砧》、《新蛍》、《牡丹雪》、《春芳》《つれづれ》など18点、鏑木清方《伽羅》、池田輝方《夕立》、村上華岳《裸婦図》、奥村土牛《舞妓》、小倉遊亀《舞う(舞妓)》《舞う(芸者)》、 伊東深水《婦人像》、《雪中美人》、橋本明治《秋意》、石本正《のれん》ほか 浮世絵:鈴木春信《梅の枝折り》、喜多川歌麿《美人五面相 う満相》 洋画:和田英作《黄衣の少女》 ほか約50点
昔は美人画って趣味じゃなかった。生身の美人さんは好きだけど、お人形さんみたいに笑っている古風な女性像のどこがいいのかと。それが、山種に来る度松園の絵を目にして、なんか慣らされたと言うか・・・。東博で《焔》を観た衝撃も忘れてはならない。いつしか松園の美人画は私の中で確固として地位を築いていた。頬の淡ーい色づきとか紅いおちょぼ口とか、今ではツボ。女性として、彼女らのたおやかさを見習わなければ。《春のよそおひ》《牡丹雪》《新蛍》あたりが特に好き。
今回狂喜したのはマイラブ鈴木春信の《梅の枝折り》。春信は結構あちこちで見させてもらっているが、コレは保存状態が恐ろしく良くて、少女がもうひとりを背負って枝を折らせるという構図がとっても新鮮。ついでに《柿の実とり》も同じような図柄で、でも食い気に走っているあたりが可愛い。喜多川歌麿の小町や美人も若めで初々しく、鳥居清長は登場人物が多くて豪華。こんなに上質な浮世絵を見られるなんて思っていなかったから、このコーナーだけで大変な収穫。
土牛は元々好きなので、ちょっとおへちゃな《舞妓》さんもご愛嬌。伊東深水は好きではない。鏑木清方はちょっとしかなかったけど、独特の清涼感にそそられる。1室から2室に行く壁際に油彩の林武《少女》、和田英作《黄衣の少女》があって、特に後者の写実性の高さにはっとした。舞妓さんばっかり見ていたから、余計新鮮。好きとは違うのだけど、妙に色っぽくてドキッとしたのが池田輝方《夕立》。少女小説の挿絵のような紅顔の美青年と美女らが、夕立に髪を濡らして雨がやむのを待っている。その表情の甘さがなんとも、萌え。
画像満載、丁寧な解説ぎっしりの記事はTakさんのところでどうぞ。
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| 20090608 |
新生山種は10/1に「速水御舟 日本画への挑戦」展でスタート。楽しみです。
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2009年6月 5日
月岡芳年・青木良太・鈴木理策展
2時間かけて佐倉から戻ってきた(昨日のエントリ参照)私が向かったのは、原宿。別に原宿クエストで傷もの1万円のバッグや8千円のサンダルを買うためでも、ソフトバンク表参道にiPhoneの「TV& バッテリー」がないか調べるためでもない(やっぱり品切れ)。
太田記念美術館で「芳年 -「風俗三十二相」と「月百姿」-」展を見るためだ(6/26マデ)。すでに5/26までの前期は鑑賞済み。諸先輩方に教え導かれ、浮世絵ファンの道をゆっくりと歩んでいる私ですが、この芳年の「月百姿」は主にとらさんのナビゲートで追いかけてきた。芳年という文明開化時の浮世絵界の巨星は、時に血みどろ絵など描くので、作品全般がお気に入りというわけではない。でも、月百姿はいい。私にとってこれが版画であるという事実はどうでも良くて、ただ版画ならではの巧みな線遣いがとても好き。「孝子の月」(前期)の小野篁の着物のラインとか「月のものくるひ文ひろけ」(後期)の中空に舞う文の生き物のような様とか、素敵です。
さて、ここまで来たんだから代官山へ。もうすぐ閉鎖のTKG代官山の青木良太展(6/20マデ)。青木さんの、器以外の作品ははじめて見た。剣やサボテンみたいなオブジェの数々。小池一馬さんを思い出すような、神性。セラミック至上主義者として(仕事柄〜)、その焼き上がりの艶とか風合いとか色の溶け具合を愛おしく眺める。これはろくろを使うんじゃないよね、ほとんど彫刻家の仕事だけど焼いたらポロッと欠けちゃったりして、脱力するんだろうなあ、等々考えながら。やっぱり銀塗りが好きかな。ギャラリーに「日々」という季刊誌があって青木さんの写真付きインタビューが載っていたが、購入してよく読んだら2006年出版だった。ああでもコレに載ってる料理とかって、すごい好み。
帰宅体制に入り、銀座へ。向かうはギャラリー小柳、鈴木理策 展「WHITE」(7/11マデ)。これはすごかった。好きなアーティストの新作を見る時、保守的な鑑賞者の印象はふたつに分かれがち。1.既知の作品を踏襲しているので新鮮味はないがやっぱり好き。2.今までと路線違う、これも認めるけど前ほど好きになれるか自信ない。でも、鈴木さんの作品には意表をつかれた。自分の写真を更に加工している。この人はただの写真家ではなかったのですね?私はパフォーマンスを眺めるような気持ちで作品を凝視していた。見えるようで見えないような、幽玄な雪の世界。儚くて、綺麗〜。組写真なんて、樹の後ろから天女が現れて来そう。以前の個展、東京都写真美術館の「熊野・雪・桜」もとても良かったけど、あれは写真自体のフレームはふつうで直球勝負な感じだった。今回は、自分の美しさを熟知している女性が一番イイ角度でこっちを流し見ているような、遊びが感じられた。でも一番好きな作品は、ごくナチュラルなパウダースノー。思わず手を伸ばしそうになった。
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| 《WHITE》ギャラリーのサイトから 20090605 |
この日は見るもの見るもの当たりばっかりで、気分が良くて。銀座インズでyuricoさんに教えていただいたインディアン・ジュエリーの店に寄って、ターコイズのリングと糸みたいなシルバーのチェーンを購入。なぜかおまけにウェスタンシャツまでもらって、更にいい気分で帰宅。
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2009年6月 4日
マーク・ロスコ 瞑想する絵画
川村記念美術館で開催中の「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」展に行った(6/7マデ→6/11マデ:会期延長)。
このたびの展覧会では、50年以上にわたって散逸したままだった〈シーグラム壁画〉の半数となる15点が初めて一堂に会し、あらたなロスコ空間を創り上げます。おそらく二度と見ることができない千載一遇の機会となることでしょう。
つまりこれはマストな展覧会。
NYのレストランに飾られるはずだったロスコの30点の「シーグラム絵画」の一部、7点は1990年来川村記念美術館に展示されている。私が川村のロスコ・ルームにはじめて入ったのは2006年の「パウル・クレー展」の時。この夏上野の実家に引っ越したばかりでバタバタしていたんだけど、ようやく生活に慣れてアートに飢えはじめていた頃。クレー展も良かったんだけど、ロスコ・ルームの深遠な空間はインパクトが強かった。薄暗い部屋の中に巨大な沈んだ赤と黒の四角が浮かんでいて、こっちを見下ろしている。抽象画は意味を考えなくちゃいけないのが苦痛で(考えなくても良いのかな?)好きじゃないんだけど、ロスコの絵は抽象的だけど変におさまりが良くて、何にも促してこない。眩しいと意識ってかき乱されるけど、沈んだ赤と黒はビロードのように目に優しくて、その暗さの中でいつの間にか私の心は漂流しはじめた。目を閉じて夢想に耽るように。ロスコと対峙しながら視覚を通じて自由を得る私の魂。くっだらないことしか考えていなくても、それは貴重で贅沢な時間。
次に川村に行ったのがジャコメッティ展で、それから改装後の「マティスとボナール」にも行った(新ロスコ・ルーム)。テート・モダンにも行った。毎度ロスコ・ルームは特別な存在。閉所恐怖症に陥るから嫌い、という方もいるけど、私は閉じられた空間が嫌いじゃない。子供の頃学習机の下にぎっちり漫画誌を並べて、そこに潜り込んで好きな漫画を何度も読み返していたなあ。あの時私はどれだけ自由だったか。なんて思い出す。その時の体調や精神状態によって得られる自由度は違うんだけど、とにかくロスコは人の内面に入り込んで何か化学反応を起こさせる、触媒みたいなものを画に仕込んでいるよう思われる。
ということで。
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| お庭にて 20090604 |
今回の展覧会に関しては、私は物足りなさを感じた。「陽光」「高い位置に展示」がシーグラム絵画に対するロスコの本来の希望ということだが、なんか落ち着かなくて・・・。いや、明るさも位置も悪くはないんだけど、テンポラリーな空間で見る、というのに馴染めなかったのかもしれない。よくわからない。とにかくロスコ・ルームでのように画に没頭することはできなかった。むしろ好きだったのはシーグラム絵画以外。黒のシリーズも新鮮だったが、やぱり私はロスコの赤が好き。あんな色をまといたい。毛布でもストールでもいいから、あの色が欲しい。シーグラムにこだわらないロスコの回顧展が見たい。
昔のエントリを読んで笑ったけど、最初に川村に行った時に目を止めた常設の作品、今回と同じだった。すなわちマグリット『感傷的な対話 II』とエルンスト『石化する森』。フジタのあの女性像も好きだけど。これらとロスコ・ルームがあるから2時間かけて佐倉まで行くのよねえ、と思った。本展覧会中はロスコ・ルームは閉鎖ですが。
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2009年6月 3日
ART AWARD TOKYO 丸の内2009
5/31に終了したアート アワード トーキョー 丸の内2009の写真。気に入った作品だけ撮った。ガラスケースに周囲が映りこむので斜め方向から撮ったけどそれでもテカッてしまった。マイベストは京都市立芸術大学の村山春菜さんの作品。グランプリ作品は撮らなかったなあ・・・。
| 藤居典子さん 20090603 |
| 村山春菜さん 20090603 |
| 平川ヒロさん 20090603 |
| 土屋裕介さん 20090603 |
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2009年6月 2日
「池田亮司展 +/-」とMOT常設
東京都現代美術館で「池田亮司展 +/-」を観た(6/21マデ)。
日本の電子音楽分野の第一人者として、世界中から注目されている作曲家/アーティスト、池田亮司。絶えず人間の感覚能力とテクノロジーの臨界点に挑むような、洗練された彼の作品やパフォーマンスの数々は、今や音楽だけでなく建築、映像、ダンスといった表現ジャンルを超えて、幅広く大きな影響を与えています。
ということですが、私は特に注目していなかった。なんかダムタイプの音楽の人と聞いていたので、ああダムタイプ体験したくて去年ICCに古橋悌二さんのショー映像(「S/N」)見に行ったなあと思い出すくらい。はっきり言ってMOTのリニューアルぶりと噂の常設を見るついでに寄ったのだが、結構面白い展覧会だった。
1Fの黒の部屋のインスタレーションが良かった。入り口の正方形の塊には上部に細かい模様。それはよく見ると数字で、円周率なのだった。ふーんそういう人なのかと、ちょっとテンションが下がる。数学苦手。ただ、中ほどに進むと視野に入ってくる壁に並んだプロジェクタに流れるように数字や図形が落ちて行く様が、滝のようで清々しい。映画の「マトリックス」みたいだけど、モノクロだから新鮮。そう私はマトリックスでキアヌ・リーブスのファンになったのだ。マト以降の主演DVDは結構買ってるし「地球が静止する日」も見たわ。彼は「地球」みたいな人間離れした役が似合うの。「イルマーレ」みたいに必死で女を追ってはダメよ(ちょっとSF要素あったのは救いだけど)。今度ジキルとハイドをやるんですって?コケるような気がするわ・・・。
話が逸れたが、とにかく整列した映像たちはクールででも生命力を感じて、好み。ただしずーと眺めているほど数字好きではないので早々に通り過ぎた。と、今度は壁一面の映像が出現。MOTの天井の高さを活かしたあまりに巨大な画面は圧倒的だが、やはり早いテンポで図形とか数字とかコードみたいのとか流れていって、それらはデジタルなんだけど明らかに生命に関与している意味ある記号と思われ、点滅や暗転や再生の波が心地よい。ほとんどの人が座り込んで見ていた。通り過ぎるのを途中で止めた私は、出口付近で壁に寄りかかってぼ〜っと眺めた。壮快だった。
BIFは白い世界。強制的に靴を脱がされるのは嫌いだし、まああんまり見るべきものもないなあとささっと廻った。巨大スピーカの間を通り抜け音が変化するのを確かめる。後から知ったけど、池田さんて杉本博司氏の「時間の終わり」展で《海景》のサウンド・インスタレーションを手がけた方だったのですね。アレは私好きだった。なので今回も割と違和感なくこういうのもありね〜と鑑賞できた。
さて。カフェで遅いお昼を食べて本目的の常設へ。ネオテニー・ジャパンに行ったばかりなので感動は薄いが、大好きな名和晃平さんと加藤美佳さんの作品を見ると脈拍が上がる。いやいやその前に。1Fでヤノベケンジの《ジャイアント・トらやん》を見て、これが六本木で火を噴いたやつ?あの日は疲れていたので仕事の後マッサージに行ってよろよろと帰宅したのだった。大竹伸朗さんの線が好きなので、《日本景/ぬりどき日本列島》はよい。大岩オスカール氏の《虹》に再会、うれしい












































































































































ニコ・ピロスマニ ≪小熊を連れた母白熊≫



















