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マラーホフの贈り物 2010 Bプロ 5/21

東京文化会館で「マラーホフの贈り物」Bプロを観た。「カラヴァッジオ」PDDがふたつ入っている時点で楽しみだし、「影の王国」も期待し過ぎちゃいけないと思いつつ期待しちゃうし。見る側のテンションがAプロより高め。

‐第1部‐

「カラヴァッジオ」よりパ・ド・ドゥ(第1幕より)
振付:マウロ・ビゴンゼッティ 音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディより)
ポリーナ・セミオノワ ウラジーミル・マラーホフ

 映像でこのPDDを見て、ポリーナの鍛え抜かれた肢体に目を見張った。おなかはぺったんこで細いのに、筋繊維が見えんばかりの張り。マラーホフも美しい筋肉をしているし、彼のもとにいるとこういうダンサーになるのかなと思っていた。私はコンテ好きなので許せるけど、クラシック踊る時にはどうよ?という懸念も。でも生の舞台で見るとポリーナは適度に華奢で女性らしく、でも細部に渡って筋や腱や関節のコントロールが求められそうなビゴンゼッティの振付けにちゃんとついて行っていた。彼女は「光」なのだそうで、あの輝く美しさはまさに。全幕版の映像ではカーテンコールがクノップの方が多かったような気がして(気のせいか)「?」と思っていたけど、それについては第3部の方のPDDを見て自分の中で納得。

「ディアナとアクティオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ 音楽:チェーザレ・プーニ
ヤーナ・サレンコ ディヌ・タマズラカル

 このPDDは数回見て好きじゃないと思いこんでいたけど、技術と芸術性がきちんとしていればとても楽しめる演目なのだとわかった。

「カジミールの色」
振付:マウロ・ビゴンゼッティ 音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
エリサ・カリッロ・カブレラ ミハイル・カニスキン

 うーん、これもビゴンゼッティなんだけど。このペアは1度見ているしバレエ・フェスではヴィシニョーワとマラーホフがやってるし、ふたり並んだ時の造形は面白いけどすでに飽きてしまったというか。もっと叙情に訴えてくれるダンサーで見たい。

「モノ・リサ」
振付:イツィク・ガリリ 音楽:トーマス・へフス
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメイカー

 ガリリはイスラエル出身の振付家。ステージにスモーク焚いて照明落として、レオタード姿のアイシュバルト様はしばらく立ったままラドメイカーのダンスを眺めているんだけどその姿が「スカして」いると言うか、ちょっと「ツッパリ」系。そう、こういう語彙が出てくるくらい古さを感じる振付けなんだけど、初演は2003年。In the middle somewhat elevatedへのオマージュかしら、あれ系のシャープな作品。しかしアイシュバルト様の身体能力の高さ、タフさには恐れ入った。本来若手のラドメイカーの方が似合いそうな演目なのに、気づいたら彼女の舞台。まさに「どや!」。コンテも完璧なのですね。

「瀕死の白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン 音楽:カミーユ・サン=サーンス
ベアトリス・クノップ

 ここで正当派瀕死を持ってくる、そしてそれを踊るのがクノップということで、すわ、カプツォーワの補充で入った彼女が実はベルリンの芸術要員か、と思ったのだがそれほどでもなかった。背中やや硬い?たおやかだったけれど。でも照明が落ちて拍手しようと待っていたら、暗がりの中からマラーホフが登場してAプロのキャンディア版「瀕死」を踊ったので腑に落ちた。これがやりたかったんだな。実はAプロは初日の3幕も参加していたのでこれで3回目(笑)。何度見てもマラーホフだから許せる振付けだなと。

 
‐第2部‐

「ラ・バヤデール」より"影の王国"
振付:マリウス・プティパ 音楽:レオン・ミンクス
ポリーナ・セミオノワ ウラジーミル・マラーホフ
第1ヴァリエーション:ヤーナ・サレンコ
第2ヴァリエーション:乾友子
第3ヴァリエーション:エリサ・カリッロ・カブレラ
  ほか東京バレエ団

 群舞は置いておいて。ひたすらポリーナを見つめた。彼女はクラシック・チュチュも似合ってバレリーナとして申し分なく美しく、腕のラインや脚の角度や目線などきちんと気を配って踊っている。マラーホフのジエントルなサポートを受けて花開く大輪の薔薇、のはずなんだけどちっともうっとりしなかった。綺麗な彼女が見れるのはファンとして楽しいんだけど、やっぱりコンテの人なのかな?ベルリンの看板として多忙な日々を送るポリーナ、コンテの多いパリ・オペのダンサーは古典とのかけもちで負担が大きく怪我が多いと聞くし、彼女も同じように与えられた役をこなすのに精一杯でまだ余裕がないんじゃ、と思っていたけど。この日は私のバレエ鑑賞の師匠(のひとり)のとーるさんとご一緒していたので、幕間にディープなバレエファンのT氏のお話を聞くことができた。氏はポリーナがボリショイを出たのは失敗だったと言い切る。ザハロワのような不世出のバレリーナになれる素質があったのに、と。私もザハロワ様は大好きだけど彼女のコンテはふにゃふにゃなので、ポリーナはギエムを追いかければいいと思っていて、でもザハロワの後が続かないのは困るしとなんだか悩んでしまった。正直ポリーナはコンテもまだまだこれからな感じ。このポリーナ問題が私にとって今回のガラのキモであり、ここ数日彼女の歩むべき道について色々考えている(大きなお世話!)。

 さて。マラーホフはソロルのヴァリアシオンを省いていたらしい。この間見たレニ国版でもルジマトフが同じコトしてて、あんまり見られない演目なので仕方ないけどそろそろ体力十分のソロルを見たいところ。まあいいけど。

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‐第3部‐

「ロミオとジュリエット」より第1幕"バルコニーのパ・ド・ドゥ"
振付:ジョン・クランコ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメイカー

 参りました。アイシュバルト様の容姿でジュリエットはどうだ?と思っていたけど完璧に演じ切っていた。手の使い方とか首のかしげ方とか、清純そのもの。しかもそれを保ったままセカセカとしたリフトの連続を狂いなくこなしていて、死角なし。ラドメイカーはどこにでもいそうなふつうのロミオで、素で演じられる若さが素敵だと思った。しかし私もクランコ版は好きじゃない。

「カラヴァッジオ」よりパ・ド・ドゥ(第2幕より)
振付:マウロ・ビゴンゼッティ 音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディより)
ベアトリス・クノップ レオナルド・ヤコヴィーナ

 一番いい「カラヴァッジオ」だった。このふたり、顔が知られていないので匿名性があるし色がついていない。コンテンポラリーにはダンサーの個人的なイメージは不要だと思う。奥村土牛先生じゃないけど、現代の芸術は突き詰めていくと抽象になるわけ。マラーホフとかポリーナみたいなスターって、どしても「○○が踊っている」ふうに見えちゃう。ギエムはどうかって言うと、唯一無二のギエムだから名前が先に来ても許せるって感じ。話が横道に逸れたがクノップは振付けを自分のものにしていて、湧き上がる感情に突き動かされて踊っている感じが素敵。ヤコヴィーナは肉体美とナイーブさが備わっていて、更にナチュラル。実は彼が今回のガラの私のベストダンサーです。

「レ・ブルジョワ」
振付:ベン・ファン・コーウェンベルグ 音楽:ジャック・ブレル
ディヌ・タマズラカル

 2009年のゴールデン・バレエ・コースター ガラで見た演目(ジョシュア・オファルト)。シャツにネクタイのタマズラカルが魅力たっぷりに演じるひとり芝居っぽいダンス。ワシーリエフばりのマネージュも見せて、拍手喝采。いいダンサーだなあ!

「ファンファーレLX」
振付:ダグラス・リー 音楽:マイケル・ナイマン
エリサ・カリッロ・カブレラ ミハイル・カニスキン

 シュツットガルトの芸監リード・アンダーソンの60歳の誕生日を祝うガラのために振り付けられたそうで、まあ1度見ておけばいいかと。赤い体操服みたいな衣装。

「ラクリモーサ」
振付:エドワード・スターリー 音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト
ウラジーミル・マラーホフ

 ふう〜、なかなか密度の濃いプログラムだった。〆のコレ、今のマラーホフによく合う美しくて宗教的な演目。パンチはない。瀕死と同じで、マラーホフだから固唾をのんで見つめられる・・・。たくさん踊ってくれて、ありがとう!来年1月のベルリン国立バレエの来日公演はマラーホフ版「シンデレラ」とエイフマンの「チャイコフスキー」!楽しみ〜♪(エイフマンが)

コメント (2)

noel:

今回は行かなかったのでレポを待ってました!(笑)
アイシュバルトのコンテは見てみたかった!私にはタチアナ@オネーギンがデフォルトな彼女ですがコンテもバツグンなのですね~~ 
ポリーナに対する意見も興味深いですね。いろいろな考えた方はあると思うけど、マラーホフによって開花したのは確かなんだからベルリンに行ったのは必然だったのではと思いますけどね~~

ogawama:

>noelさん
シュツットガルトではコンテ要員ではないらしいのですが、アイシュバルト様に死角なし!
私もタチアナの姿を通じて彼女を崇拝していたのですが、引き出しの多いダンサーみたいです。
ポリーナ、10年くらいたたないと彼女の評価はできないような気がします。
まあ、遅れてきたバレエファンの私にもそれはできそうだから、いいかなー。
今ザハロワと彼女のチケットがあったら、間違いなくザハロワ様を買いますけどね。

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