ゆうぽうとホールで「マニュエル・ルグリの新しき世界 ルグリ×ド・バナ×東京バレエ団 スーパーコラボレーション」を観てきた。
ロビンズ、ノイマイヤー、キリアン、ベジャール…あらゆるスタイルのダンスを最高の形で表現し、巨匠振付家たちを魅了してきたルグリが、今、同世代の気鋭振付家に注目しています。パトリック・ド・バナ。ベジャール、ナチョ・ドゥアトらの薫陶を受け、欧州各地で活躍の場を広げている彼と、ルグリ、そして東京バレエ団との夢のコラボレーションが実現します!
新興バレエファンである私は、生ルグリを数える程しか見たことない。おととし東京バレエ団と「ジゼル」を踊った時など、もうすぐ引退のエトワールだし、ちょっとお疲れかな〜なんて失礼なことを思った(この時は不調だったらしく、続く大阪公演を怪我で降板した)。でも映像で見るルグリはこの上なく立派な、ノーブルな、エレガントな、成熟した、非の打ち所のないダンサー。コレなんて、もう世界最高峰のロミオでした。
で、期待は裏切られなかった。ルグリ本人のパフォーマンスだけでなく、舞台全体が出色の出来だったのだ。あんなに輝いている東京バレエ団を見るのははじめて。
「クリアチュア Creatures」(日本初演)
音楽:デム・トリオ(トルコの伝統音楽)、マジード・ハラジ、ダファー・ヨーゼフ
出演:オレリー・デュポン、フリーデマン・フォーゲル
奈良春夏、矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子、河谷まりあ
長瀬直義、井上良太、柄本弾、杉山優一、森川茉央
「ザ・ピクチャー・オブ・・・ The Picture of..」
音楽:ヘンリー・パーセル
出演:マニュエル・ルグリ Manuel Legris
誉めておいてアレだけど、すごい睡眠不足だったのでこの2演目は半分くらい朦朧としてた(汗)。シンプルで綺麗な舞台だったんだけど、それが心地よすぎたと言うか...。オレリーはバレエフェスで見た時のように重たい感じがなく、可愛らしい。映画「パリ・オペラ座のすべて」で芸監のルフェーブルがエトワールを指して「彼女たちはスーパーカーよ」なんて言ってたのを思い出したけど、そういうイメージを超越した、無垢で純真な雰囲気。この時すでにフォーゲルは首の怪我でBプロの「アザー・ダンス」降板が決まっていたのだけど、故障を感じさせない動きだった。体は十分張りがあって、逞しかった。
ルグリのダンスも気持ち良過ぎ!うっとりを通り越して、うとうと・・・(笑)。
「ホワイト・シャドウ White Shadows」 (世界初演)
音楽:アルマン・アマー
照明:高沢立生
装置:野村真紀
衣裳:髙井秀樹(stödja)
出演:マニュエル・ルグリ、パトリック・ド・バナ Patrick de Bana
吉岡美佳、上野水香、西村真由美
松下裕次、氷室友、小笠原亮、宮本祐宜、岡崎隼也、高木綾、奈良春夏、川島麻実子
梅澤紘貴、青木淳一、井上良太、杉山優一、中村祐司、吉川留衣、河合眞里、矢島まい、渡辺理恵、河谷まりあ
ルグリとバナが東京バレエ団のために作ってくれた作品。ですよね。素晴らしかった。音楽だけでなく衣装や照明もスタイリッシュで神秘的、想像をかき立て、身を乗り出させる。1時間ほどの舞台の間、固唾を飲んでステージを見つめ続けた。気の散りやすい私が。メインはルグリと西村さん、バナと水野さんのペアにほとんどソロで動く吉岡さん。ルグリとバナは同じ振付けを踊ってもまわりの空気が違って見える。ルグリの動きは完璧で綺麗に音楽の一部と化すけど、バナは音楽の中から腕をのばして世界をかき回す感じ。バナの方がちょい顔が大きいので、存在感があるな。バナの振付けだし。でもルグリ、破綻のないエレガントさが身上と思っていたけど。コンテンポラリーの、バレエのお約束を飛び越えた刹那的なムーブメントにちゃんと乗っている。と言うかルグリがムーブを作り出しているように見える。伊達にパリ・オペのエトワールじゃなかったんだなあと、感心する。むしろ引退して幅が出てきたのだろうか。クライマックスのルグリとバナのデュオだけ、濃すぎるのか息苦しさを感じた。
しかしこの舞台の中心は吉岡さんだった。すごいねー、彼女。ジゼルの憑依ぶりは怖いくらいだったけど、この演目ではその集中力、そしてタフさが輝いていた。吉岡さんだけほとんど舞台を降りない。舞台の後ろで、隅っこで、何かに取り憑かれたように虚空を見つめて蠢いている。永遠の彷徨。ふつうに踊ってもまた良し。テクニックも持っているから。ありがちな、バレリーナ臭がない。女性のコンテ・ダンサーも時々見ているけど、比較しても彼女ピカ一。まあ、この演目に限って言えば。この人は日本の女性ダンサーの中で、一番かもしれないと思った自分にびっくりだ。振付けに恵まれれば、今以上にデキる人なのでは。
というわけで、細かいことは割愛するけど、今までに見てきた東京バレエ団の公演の中で最も優れた作品だったと、個人的には思う。ルグリはクリエーター(プロデューサーか)としての能力も素晴らしい。

コメント (2)
コンテをたくさん観ているogawamaさんの「あんなに輝いている東京バレエ団」という言葉を聞いて、行ってよかった~と思いました。
東京バレエ団もなかなか観る機会がないので、ラッキーだったんだな^^
しかし、吉岡さんはよかったですねー。
やっぱりバレエも舞台芸術だから、踊りだけじゃなく役の表現力がある人がいいです。色気のある顔立ちも素敵だし。。
コンテは初めてでどうなることやらでしたが、、
クラシックよりも、その人の踊りのクセみたいなものがよく分かるのかな・・とちょっと思ったりしました。
私ルグリのバジルも結構好きなんですけど(バレエファンの中では、ノーブルなルグリには合わないって意見もあるようですが。。)
世界最高峰のロミオと聞いたら、も~絶対観ます♪
投稿者: みいこ | 2010年2月14日 19:15
日時: 2010年2月14日 19:15
>みいこさん
コンテンポラリーでも、バレエ系はそんなに外しませんよ。
ダンスは要注意です。
私はルグリのバジル見てないので、絶対。
彼はサポートも上手なので、リフトとか素晴らしいでしょうねー。
投稿者: ogawama | 2010年2月15日 22:43
日時: 2010年2月15日 22:43