オーチャードホールでレニングラード国立バレエの公演「バヤデルカ」を観てきた。
芸術監督に専念し、「古典はもう、踊らないだろう」と語っていたルジマトフが沈黙を破り、日本のファンのために特別に踊る!!!
ニキヤ(バヤデルカ) :イリーナ・ペレン
ソロル(戦士) :ファルフ・ルジマトフ
ガムザッティ(藩主の娘) :オクサーナ・シェスタコワ
大僧正:ニキータ・ドルグーシン
ドゥグマンタ (インドの藩主) :アレクセイ・マラーホフ
※詳しい配役
私はマールイ芸監以前のルジマトフを知らないし映像を見たこともなくて、「ルジマトフのすべて2008」公演で密かに「押し出しはいいんだけどあまり動かないおっさん」と位置付けていた。いやすごいダンサーとは聞いているけど、すでに46歳、こんなものでしょうと。すみません〜。完全に見誤っていました。彼は並のダンサーではなかったです。ラ・バヤデールを生で見たことなかった故に楽しみにしていた公演だったけど、フタを開けたら想像以上にゴージャスな内容で、大変に満足。
悲恋ものは好きでないので手持ちのDVDを通して見たことはなかったけど、バヤデルカのあらすじはバレエブログによく出てくるので知っていた。要はお嬢様ガムザッティが戦士ソロルに横恋慕して舞姫ニキヤを陥れる、という陰険な三角関係の物語(もひとりいるけど、彼については後ほど)。美しいヒロインが毒殺されるなんて、後味悪そうですよね。ね。それが何と・・・。配役により、感情移入のベクトルがガムザッティに向いてしまった。元々シェスタコワファンなので、仕方ないのかもしれないけど。
ペレンはガラで見たことあったけど、惹かれなかったダンサー。美人は好きなんですけどね。スレンダーで踊りが正確で、腕のしなり方なんかにエキゾチックな味付けをしてきてた。でも、やっぱり見てて退屈。清純・可憐・神性といったニキヤに私が求めるイメージを体現してくれてないのだ。ガムザッティとの対決シーンではあまり傷ついたふうに見えなかったし、同情されにくいキャラなのではないか。音の取り方も悪くないのだけど、大技になると役を忘れて動きがアクロバティックになる感じがした。
一方のシェスタコワ様は、とにかく可愛らしい〜。1幕のヘソ出しコスチュームでは衣装係さんが調整を誤ったようでおなかが少々たるんでいたけど(3幕の赤の婚礼衣装はぴったりだった。ウェストもすっきり。)、縦巻きロールの似合う品のよいお姫様として登場。とにかく彼女は一挙手一投足が優美で、目を楽しませてくれる。PDDもペレンとルジマトフより、シェスタコワとルジマトフの方が華やかに感じる。ソロルに対する愛情を素直に表現し、愛しているのだからニキヤに迫るのも当然、と思わせる演技力。ニキヤに別れないわよと言われて傷ついた表情、手を差しのべたくなったわ。まあ舞台の端から端までのピルエットとかの力技はペレンの方が得意そうだからこのキャスティングに文句はないけど、やはりマールイのトップはシェスタコワなのだと思う。
ルジマトフは素晴らしかった。目をふせがちでほとんど演技してないように見えるけど、「私に小芝居は必要ないんだよ」って感じの貫禄。2幕のヴァリエーションはカットされていたそうで、どうりで盛り上がりが少ないと思ったけど、そこはシェスタコワのオーラがカバーしてたし。それでもルジマトフがちょっとでも大きな動きを見せるとそれだけで舞台の空気が動いて、何かが伝わってくるから不思議だった。3幕のヴァリエーションは夢のように素敵。全盛期に較べればテクニック的なレベルダウンは必至なのだろうけど、バレエ的造形美は全然損なわれてない。彼ほど美しいダンサーを、私は知っているのだろうかと思いながら見た。ジャンプするとすごく大きく見えて、そんなに長身だったっけと、周囲の男性ダンサーと見くらべたほど。
振付・演出自体「バヤデルカ」は派手で楽しい。婚約式での、あれは「太鼓の踊り」?これがロシアバレエかという明るく突き抜けたダンスは壮快だったし、何より初体験の「影の王国」にひたすら感動した。噂には聞いていたので舞台全体に目が行き渡るように2F席の最前列を取っていたのだけど、32名の精霊のアラベスクは荘厳で、言葉を失う美しさ。これぞ群舞の極み。「白鳥」とどっちが好きか、これからずっと悩みそう。
主役以外のキャストでは断然大僧正が目立っていた。ニキヤへの劣情で煩悩まみれの、アクの強い顔の人。ほとんど表情だけで演技できているので、すごいなー、顔を作るのもダンサーの技かと感心していたら、ドルグーシンてバレエ・マスターなんですってね。ナタリア・マカロワのパートナーとしても知られた往年の名ダンサーとのこと。実はこの日シェスタコワが出演することすら知らずに出向いた私だったのだが、キャスト運はめちゃくちゃ強かったのだと、後から気づいた。



コメント (4)
素晴らしい「影の王国」では鳥肌が立ちます。白鳥より鼻差で好きですね。
ふたりの実力あるダンサーが必要だし、コール・ドも粒がそろわないと
いけないので、なかなか上演はたいへんですよね。
私は昔からガムザッティ派(笑)なので、もちろん感情移入はそちら。
スケジュールが合わずに諦めましたが、こうしてレポを読ませていただくと
やっぱり見に行きたかったなぁ~
ルジ先生 ( ウチではこう呼ぶ ) 、お疲れさまでした。
投稿者: F | 2010年1月12日 13:40
日時: 2010年1月12日 13:40
感想どうもです。やっぱり行けばよかった~最近いまひとつだったコールドも、今年はすごく良いみたいですね。今ではペレンも好きですが、私もペレンをはじめてみたときは、技術面では完璧だけど、物足りなさを感じたので、わかるような気がします。やっぱりシェスタコワの表情豊かな踊りをみると嬉しくなります。私も彼女贔屓なので(笑)それにしても、写真が素敵過ぎます(ノ´▽`)ノ♪貴重な情報ありがとうございます。
投稿者: snepi | 2010年1月12日 22:09
日時: 2010年1月12日 22:09
>Fさん
みなさんが熱く語るバヤデルカ、やっとその魅力がわかったような気がします。
群舞好きなので、鳥肌ものの「影の王国」にも是非遭遇したいもの。
たしかにここのヴァリは半端なダンサーに踊って欲しくないですね。
ガムザッティに関しては、ザハ様のを見てみたいです。
スパルタクスではエギナを選んだそうですし、ヒロインじゃない役もやってほしい。
金の偶像(奴隷じゃなくて?)とか象とか阿片とか、やりたい放題な演出もツボでした。
楽しかった〜♪
投稿者: ogawama | 2010年1月12日 22:22
日時: 2010年1月12日 22:22
>snepiさん
いらっしゃいませ♪
そしてRTありがとうございます〜
写真はマールイの日本版サイトから堂々とコピペいたしました。
つたない説明を補うためにもブログには画像があった方がいいと最近思うようになりまして、借り物でもどんどん使ってます。
訪問者少ないから、苦情は出ないと思われ。
ペレンは彼女のはまり役で見たら、好きになれるかもしれませんね。
投稿者: ogawama | 2010年1月12日 22:28
日時: 2010年1月12日 22:28