« 京都のお昼ごはん | メイン | 新国立劇場バレエ団「ドン・キホーテ」10/14 »

速水御舟 ―日本画への挑戦―

山種美術館で開催中の「速水御舟 ―日本画への挑戦―」に行った(11/29マデ)。広尾の新しいビルに移転した新生山種美術館の、第一弾の展覧会。御舟コレクションで知られているだけあって《炎舞》《名樹散椿》のような見応えのある作品を有しているから、今回の回顧展はスゴそうと思って期待していた。

場所は簡単。恵比寿駅からプライムスクエアの前の道をずーっと登ればよい。途中に何軒もカフェがあって、人通りが少なくよい散歩ルート。元気があれば青山の根津美術館まで歩いちゃってもいいのでは(無謀?)。庭園美術館や松岡美術館はちと遠いかな。でもこの辺、いい感じに定番ミュージアムが集まってきた。アート巡りの楽しさのひとつは歩くこと、だと思っているので、うれしい。

 新美術館開催記念特別展である本展では、当館所蔵の《炎舞》《名樹散椿》(重要文化財)をはじめとする120点の御舟作品に加え、初公開となる未完の大作《婦女群像》(個人蔵)および1930年の渡欧日記(個人蔵)も展示します。これらの新出資料を通じて、40歳の若さで急逝した御舟が新たに目指していた方向性が明らかになることでしょう。

御舟と言えば《炎舞》の印象が強く、ひたすら写生して身につけたという精緻な蛾や焔の描写に圧倒されて、雲の上の巨匠だと思っていた。ちょっと怖い絵ですよね、《炎舞》って。それが、今回山種の所蔵品を年代順に見るにつけ、すごく優しい画を描く人だったんだなあとイメージ転換。写実を極めたのちにそれを破壊するような新しい日本画を創っていったのだと聞いたが、その変遷の中でずっと好ましく感じられたのが、線の繊細さ・色の優しさ。自然を描くことが多かったせいだろうか。最近美術展には双眼鏡を持って行くのだが、御舟の作品は拡大して見る甲斐がすごくある。花柱、葉脈、昆虫の足など、肉眼では見えないデティールが異様に細かく描かれているのが面白いし、絵具や胡粉の美しさを堪能することもできる。全体の色バランス自体調和が良いし。三幅対の《供身像》《朝鮮牛図》は、透明感のある明るい色彩が綺麗で、また見たい。なんで笑う埴輪(供身像)を描いたのか〜

ローマ展で渡欧して西洋画の影響を多大に受け、まったく訓練していなかった人物画を始めたくだりは微笑ましかった。写実の名人とは思えないスケッチ。でも丹念に製作を進めていた《婦女群像》、彩色がうまくいかなかったみたいで未完のまま遺されたけど、あれはもうちょっと完成に近いものが見てみたかった。そう言えば東博所蔵の《京の舞妓》は未見だ。御舟の人物像って好きでないけど、興味深くはある。

常設展示室の《牡丹花(墨牡丹)》をはじめとする花の画(スケッチが多いけど)はやわらかくてとても素敵だった。新しい日本画の世界に挑戦し続け、更なる飛躍を、というところで夭折した御舟だけど、自然の美しさをよく知っていた彼は真の芸術家だったのだと思う。この展覧会、と言うか新生山種自体は思ったよりこじんまりとしていて、御舟展の決定版を観たという感じではなかったけど。

20091018

コメント (2)

あおひー:

わたしも御舟は炎舞のイメージが強かったのですが、今回の展示でずいぶんとイメージが変わりました。
短い期間でずいぶんと変遷してるのですよね。

ogawama:

>あおひーさん
やっぱり作家は作品をまとめて見ないとわかりませんね。
はろるどさんがおっしゃっているように、所蔵主の枠を越えた大きな回顧展を、見てみたいです。
御舟がもう少し長く生きていたら・・・
本当に惜しい、と思いました。

コメントを投稿

(コメントありがとうございます。表示は管理者の承認待ちにさせて頂いていますので、少しお待ちくださいね。)