« 古代ローマ帝国の遺産 栄光の都ローマと悲劇の街ボンベイ | メイン | ニューヨーク・シティ・バレエ2009 Cプロ 10/11 »

ニューヨーク・シティ・バレエ2009 Bプロ 10/11

オーチャードホールでニューヨーク・シティ・バレエ2009Bプロ公演を観た。5年ぶりの来日公演ということで、もちろん私ははじめて。このカンパニーはあのバランシンが創設したバレエ団だけど、スター揃いのアメリカン・バレエ・シアターに較べると日本での人気は落ちるみたい?常々バレエ好きのみなさんのブログを種々読ませていただいているけど、あまり騒がれていなかった。バレエファン歴3年目の私は主に好奇心で全プログラムのチケットを買っていたが。バランシンと言えば「バレエ・インペリアル」「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」「セレナーデ」あたりをガラや国内バレエ団の公演で見ていたけど、綺麗な音楽に流されて漫然とした見方しかしていなかった。ところが今回、NYCB通の方に「楽しむポイントは音楽をよく聴いておくこと」と教えていただいてしっかり予習して臨んだところ、バランシンの素晴らしさがバシバシと全身に伝わってきて、至福の時を過ごすことができた。コンテンポラリー好きな私には、すごく合っていたみたい。Mr.Bに完璧に魅了された。

「コンチェルトDSCH」(振付:ラトマンスキー /音楽:ショスタコーヴィチ Piano Concerto No.2 in F Major, op 102)
 ボリショイの「明るい小川」のラトマンスキー、と覚えていたのでどうよ?と思っていたけど、実にチャーミングな演目だった。洗練されていて。曲自体、軽快でお茶目(こんな感じ→YouTube)。ホリー・ハインズの衣装が可愛くて、特に男性のクラシカルなワンピース水着みたいなコスチュームがツボ。ハンブルグの「人魚姫」を思い出した。最初円陣を組んだ彼らの中からダンサーがひょっこり出現するのだが、その動きや表情がコミカルで、でも踊り出すと皆若々しく、動きが軽くジャンプは勢いがあって、しっかりこのテンポの速い曲を捉えている。基本的に正当派バレエを踏襲しているから、ポーズが流れず美しい。古典はどうしても女性がメインになるけど、こういうコンテは男女が対等でフォーメーションが自由に組めるから、いい。あと、パートごとにデザインは同じだけど色の違うコスチュームを着ているので、出入りが激しくても見ている方には整然と映った。第1ダンサーのウェンディー・ウィーラン(ポスターの人)はすでにベテランのプリンシパルらしいが、背筋がぴんとして清冽な印象が強かった。ラトマンスキー、いい。2008年初演のほやほやの新作だが、こういう素晴らしい作品を現在も創り出しているNYCBはえらい。

「バーバー・ヴァイオリン・コンチェルト」 (振付:マーティンス/音楽:バーバー Concerto for Violin and Orchestra, Op 14)
 芸術監督のピーター・マーティンスが振付け。日本初演だがNYでの初演は1988年だから、すでに定番の演目なのだろうか。「トウ・シューズをはく女性ダンサーと裸足の男性ダンサーに象徴される、古典と今との動きの対比が興味深い」と解説にあるけど、モダン側の女性ダンサーの存在感が弱くて、期待された緊迫感は得られなかった。クラシック側の女性ダンサー、サラ・マーンズはこれがバランシン・バレリーナ!?と疑わざるを得ない体型だったんだけど、プリンシパルだけあってテクニックはしっかりしていて、不思議〜な感じだった。

「タランテラ」 (振付:バランシン/音楽:ゴットシャルク)
 1964年初演でわずか7分の演目だが、いわゆる超絶技巧ものでとにかく動きが激しい。でもタンバリンを軽快に打ち鳴らして、すごく陽気。強烈な作品。ダニエル・ウルブリクトはタンバリンを壊す勢いで頑張っていたけど、あとから冬のマリインスキー・ガラでサラファーノフがこの演目を踊ると聞いて、うれしくて脳内がサラに上塗りされかけてしまった。きっと素晴らしいと思う〜

「チャイコフスキー・ピアノ・コンチェルト第2番」 (振付:バランシン/音楽:チャイコフスキー Piano Concerto No.2 in G Major)
 バランシンの偉大さをがつーんと思い知らされた。なんと1941年初演の名作。「バレエ・インペリアル」として他のカンパニーでも演じられる(そしてたしか東バで見た私は寝てしまった〜)作品だが、NYCBではクラシック・チュチュでなくてシフォン・スカートで踊る。タイトルも上記の通り。総勢30名近くのダンサーがキャストされていて、コール・ドは東バの方がよほど揃っている。でもNYCBのダンサーはみな生き生きと可愛らしいし、何よりバランシンの創るフォーメーションは緻密で複雑で、数学的美しさを感じるので、それを追う喜びにさらわれてしまって細かいことは気にならなかった。事前に曲をよく聴きこんでいたのが大きかったのだと思う。そしてファースト、セカンドグループの振付けの素晴らしさ。ダンサー個人の力を感じたのは何と言っても第1ダンサーのアシュレー・ボーダーだったけど、セカンドの男女の動きのミラリングもかなりはまった。チャイコフスキーの音楽に合わせているだけなのに、見事にその真髄を視覚化していた。ボーダーは上半身が厚めで決して優美なスタイルではないのだけど、タフで音楽性が高く長いソロパートでも見事に舞台を掌握して、魅せてくれた。すっかり興奮して、次のCプロ、Aプロへの期待が高まる・・・

コメント (2)

noel:

耳でも目でも音楽を楽しめた、という感じでしたね。
ほんと楽しかったです!

ogawama:

>noelさん
あっと言う間に終わってしまって、なんだか呆然としてます。
まだプログラムに使われた曲を繰り返し聴いていて、その美しさを噛みしめてます。
今回はバランシンをはじめ、NYCBのもつ演目の素晴らしさを強調したくてダンサーの記述は最小限にしてますが、彼らも素敵でした。
ホアキンももちろんだけど、男性ダンサーも層が結構しっかりしていて、頼もしかったです。

コメントを投稿

(コメントありがとうございます。表示は管理者の承認待ちにさせて頂いていますので、少しお待ちくださいね。)