国立西洋美術館で開催中の「古代ローマ帝国の遺産」に行った(12/13マデ)。連休中なので結構混んでいたが(中年男性に引率された男の子の団代がいたりして)、空間的に余裕を持たせた展示をしているので閉塞感はなく、見所と思われる素晴らしい彫刻の数々をしっかり堪能できた。
第1章 帝国の誕生
初代ローマ皇帝アウグストゥスを中心に、ローマ帝国の偉人たちの彫像を展示。ここで帝国創建の歴史を概観し、その栄光にあらためて思いをはせる。準備万端。オクタウィアヌスって聡明で意志が強そうな面構えしてるなあと、歴史の教科書を思い出しつつ確認。月桂樹の冠を戴く白大理石の《皇帝座像(アウグストゥス)》後1世紀中頃(ナポリ国立考古学博物館蔵)は高さが215cmもあり、迫力。
第2章 アウグストゥスの帝国とその機構
アウグストゥス=尊厳なる者、人身掌握に長けたオクタウィアヌスは表向き共和政を復活させ、自らを市民に選ばれた者と位置づけ絶対権力者として君臨。内乱で荒れ果てた国土を回復させていく。ここで目を引いたのがまず《カリアティド》前1世紀末-後1世紀初頭(フィレンツェ国立考古学博物館)、これまた2m越えの白大理石の女性立像。衣装のひだの表現は精巧な仏像並みに繊細で、これ1体でローマ帝国の勢いを感じてしまった。うるっと来たのが《ペガサスが表された柱頭断片》前2年頃(ローマ、皇帝広場博物館)、これはふたつあるんだけど右の方。カリアティドといい、こういう素敵な装飾にあふれていたアウグストゥス広場、タイムトリップして訪れてみたい...。ブルーのガラスの骨壺もいいんだけど、彫刻好きとしては《トガ姿の男性像》ティベリウス時代(ボンベイ考古収蔵庫)にいたく惹かれる。表情がリアルだわー。
第3章 帝国の富
西暦79年、ウェスウィウス火山が噴火により火山灰に埋没したポンペイの街からの出土品。金貨、銀器、ゴージャスな装飾品。《バルテウス(馬の胸懸)》後2世紀半ば(アオスタ州立考古学博物館)、こんな造りの細かい立派なモノを馬に付けていたなんて、文化的。庭園の風景、モザイクの噴水などボンベイの人々の精神的にゆとりを持った生活を偲び、ああ私も文化的に、哲学などしたい〜と夢想。なぜか先日見たバラガン邸のゆったりとした空気を思い出す。
さて最後になりましたが、本展で最も感動したのは実は次の2点。
《アレッツォのミネルウァ》前3世紀(フィレンツェ考古学博物館)、特別出品。8年に及ぶ修復を経てお披露目されたそうで、とても珍しいブロンズ像。古代ギリシアのもの。修復しきれない欠落部分もあるものの、非常に美しかった。そのたたずまい、存在感。眼が空洞になっているところがかえって迫力あったりして。
そして《豹を抱くディオニュソス》紀元前後1世紀(ノーラ考古学博物館)。東京大学が2002年からソンマ・ヴェスヴィアーナで行っている大規模な発掘調査で出土。高さ152cmとやや小ぶりな白大理石の立像だけど、顔の造型(特に唇)が愛らしく、特筆すべきはお尻のむっちり感。手を伸ばしてなでたくなりました。

コメント (6)
こんなにすてきな彫刻が、土の中に長い間埋まっていたと
思うとロマンを感じます。日本では、ハニワや土偶ですからね。
投稿者: 一村雨 | 2009年10月13日 04:21
日時: 2009年10月13日 04:21
>一村雨さん
ハニワや土偶も、味わいがあってカワイイんですけど、ね。
ローマ彫刻と較べちゃうと、、、
しかし彫刻の歴史の重厚さを考えると、現代彫刻家の苦悩が偲ばれます。
腕が3本ある像ができちゃったりするのも(某F先生)、熟考の末の方向性なのでしょう。
投稿者: ogawama | 2009年10月13日 07:53
日時: 2009年10月13日 07:53
ogawamaさんこんばんは。確かにあれほど大きな彫像を並べながら、空間に閉塞感がありませんでしたね。見事な演出でした。
>アレッツォのミネルウァ
私もこれが一番です!
目の澄み切ったように見えるのは、中が空洞だったからかもしれませんね。遠くを見据えた表情が格好よかったです。
投稿者: はろるど | 2009年10月14日 22:24
日時: 2009年10月14日 22:24
>はろるどさん
西美はいつも余裕がありますよねー、空間だけじゃなくて姿勢とか、自信を持ってアートを提示してます。
シンプルな展示がよかったです。
彫刻を見ながら小一時間ぼーっとしてみたいものです。
投稿者: ogawama | 2009年10月15日 21:32
日時: 2009年10月15日 21:32
ogawamaさん
はじめまして、はろるどさんの所から飛んできました。
柱頭ロマンがありましたね。
ただでさえ目につき辛い柱頭が、眼前にあるのに、欠損していてなんだかお預けをくらった犬のような気分でした。
眼の前の御馳走に妄想は膨らみ…(笑)
ブログの住人になってそれなりなのですが、永らく適当な時期が続いており、最近また皆さんとコミュニケーションをとっていこうと思いはじめたところなので、またお邪魔することもあると思います。
宜しくお願いします。
それでは。
投稿者: feltmountain | 2009年10月18日 11:16
日時: 2009年10月18日 11:16
>feltmountainさん
いらっしゃいませ。
私もそちらに何度も伺ったことあります。
よろしくお願いいたします〜
架空の存在のペガサスは、妄想の格好の種ですね。
投稿者: ogawama | 2009年10月18日 19:33
日時: 2009年10月18日 19:33