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黒田育世「矢印と鎖」9/30

青山円形劇場で、ダンストリエンナーレトーキョー2009のプログラムである「矢印と鎖」を観てきた。これはBATIKを主催する黒田育代さんの作品。・・・私バレエファンになって3年目ですが、コンテンポラリーはさっぱり。カッコいいものが好きなので興味は強いのだけど、世界の主要なバレエ・カンパニーすらまだ把握できていないので、規模の小さいコンテ集団にはまだ目の焦点が合っていない。舞踊評論家の乗越たかおさんの本があまりに面白くて(あと酔話会に行ったけど面白かったしブログも楽しい!)、ぽちぽつと国内のダンサーも見るようにしているけど、ダンス公演は数日しか興行しないのでなかなか都合が合わない。今回のダンストリエンナーレトーキョーはまとめ見のチャンスなんだけど、結局この黒田さんの公演が初参戦になるのだった。そして黒田さん自体初見。

構成・演出:振付・テキスト・映像・美術コンセプト:黒田育世 出演:大迫英明、烏山茜、菊沢将憲(空間再生事業 劇団GIGA)、西田茜(BATIK)、黒田育世(BATIK)

青山円形劇場の、舞台を半円形で使った舞台。はじめ幕の前で黒田さんが満面の作り笑いを浮かべて、「鳥」の寓話のような物語を語る。この人は狂ったように踊るダンサーだと聞いていたが、静かな動きの中で時折だん!と足を踏み鳴らす、その力の入れ方が半端ではない。あれでは体への衝撃が大き過ぎると思うのだが、身を削って踊ってきた人なのだろうな、とすでに納得して眺めていた。体は割とむっちり(バレエダンサーを見慣れた目には)としているが、脚は綺麗。クラシックバレエの素養がある人なのだ。ああでもあの笑いながら話す声。危ない〜〜。紙一重。

ダンサーは総勢5名。最初黒田さんとデュオを踊った人は少年のような小柄な女性で、私は黒田さんの息子さんだろうかなどと妙なことを考えていた。みなさんふつうの青年て感じの容姿だけど、見事に自我を越えました・突き抜けてます状態。振付けはダンスと言うかひたすら体で訴える、感情をぶつける動き。演劇に見えるのは、科白が多いからでしょう。叫び声・奇声含む。BATIKの過去作品は映像すら見たことないので、それが従来のスタイルなのかわからないけど。この作品はドキュメンタリーというくくりで、語られる内容は黒田さん以外のメンバーの特異な体験。ダンスっぽい演劇はOKだけど演劇っぽいダンスはちょっと...と私の中には微妙なスタンスがあるので、彼らの物語は単なるBGMであると脳内で処理して、ひたすら黒田さんの動きを追ってみた。やっぱりひとかどのダンサーって体から発する言葉が饒舌なのだ。ほんと手加減しないで動くのね。音楽に合わせたソロ、が見てみたい。怖い笑顔にも慣れた。

さて舞台上では下ろした幕をスクリーンにして、各ダンサーの思い出話大会がはじまった。あらためて聴くとぐっっと来るエピソードで、浮き彫りにされる彼らの過去に妙に感情移入してしまう。観客の内面操作が巧いかも。黒田さん。ちょっと引っ張り過ぎ(長過ぎ)ではと思われるシーン展開もあるが、焦らすことでまた我々の心の中のどこかしらを高めているのだろう。しかしスクリーンにダンサーの子供の頃の写真を大写しにしたりって、先日のコンドルズでもやっていたなあ。映像+ダンスっていうと、こういう手法になりがちなんだなあと思った。

暗転、終了かと思うとまたダンス。ラスト近くはそんな感じでぐったりしてきた。と、黒田さんを筆頭にダンサー達が脱ぎ始める。もちろん下着止まりだけど。別に色気はなくて、脱皮するようにゆっくり脱いでいくんだけど、さっきの「告白」であらわになったダンサーの内面だけでなく、外面(体)もむき出しにしていくような、もう全部見せちゃいますよみたいな潔さは自然だと思う。疲れた観客も、もう毒食らわば皿まで状態でこれを受入れてしまうみたい(私だけか)。終演時、カタルシスみたいのはあった。すごく変わったものを見たという、踏破感覚もあった。どうも踊りそのものより、黒田さんの舞台の構成力に圧倒されたようだ。

 黒田さんのインタビュー:http://www.webdice.jp/dice/detail/1951/

↓舞台の映像

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