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内海聖史・八木良太・田中真吾さんの個展@京都

8月は休廊するギャラリーが多かったり、世界バレエフェスティバルで頭が一杯だったりして、現代アートへの関心が薄らいでいたのだけど。京都で気になる個展が3つもあったので、昨日行ってみた。週末開催の個展が3件も重なるなんて、ラッキー。どれもとても興味深い世界が展開されていた。

・内海聖史個展 ボイジャー@eN arts (8/30で終了)
 八坂神社脇の道沿いの、茶室と地下室を有する小綺麗なギャラリー。内海さん(公式ブログ:http://uchiuminfo.exblog.jp/)の、色鮮やかなドット画は健在だ。ただ、今年は都内だけでラディウム、スパイラル、ギャラリエANDOと個展が続いて、MOTコレクションでも目立っていたのに、更に内容が進化していたのでびっくり。まず小作品で面白いことを。茶室の床の間に飾られた、器の内面を絵具のドットで埋めた作品。もう彫刻の域だ。掛け軸はなんだか忘れちゃったけど、絵具をソフトクリームのように盛り上げる様は名和晃平さんのグルーガン・ドローイングを思い出すほど。絵具が立体素材と化した様を目撃できたのは、収穫だ。素材が何かすごく不思議で思わず内海さんに質問したのは、5cm四方ほどの四角いキャンバスにドットを散りばめた平面作品。たくさん並んで、グリッドを形成している。MOTの「屋上庭園」(やL氏邸)で見たものと同じ形態なのだが、今回のキャンバスの素材は茶色っぽくてザラザラしている。絵具の色もかなり暗い。そうかレンガに彩色したんだ思っていたら、なんとひとつの画の型を取って、青銅で鋳造したのだとおっしゃる。青銅って十円硬貨の素材。ブルーグレーのドットは「錆び」なのだ(急激に錆を発生させる方法がある)。様々な表情を見せるミニミニキャンバスがひとつの印象から創られていたとは。なんか騙された。内海さんの意外な面を見た。一部屋をまるまる占有した巨大ドットの壁画もいいけど。凄みがあったのは地下室。暗幕の向こうのほとんど光が入らない暗室で、赤系のドットの壁画が待っていた。直島のジェームズ・タレルの《南寺》、あれ私大好きなので、今回の趣向も大歓迎。ワクワクしながら目が慣れるのを待っていたら、浮かび上がってきたドットには凄惨な美しさがあった。内海さんのダークサイドを見たと思った。「花が燃えている」と思った。京都だから、祇園だから、花だと思ったのかもしれない。

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・八木良太「制作と実験」@京都市立芸術大学(8/30で終了)
 この個展が見られたのはひとえにmoriさんのおかげ。京都前日に

80年代生まれの作家としては、かなり注目されてる作家さんの1人。
そんな彼が、先日ARTiTのブログで、8月28日から30日までの3日間プライベートな展覧会を開くと書かれていて、これは行かねば!と。

という記事を読んで、急遽訪問を決めたのだ。八木良太さん(公式サイト:http://www.lyt.jp/)と言えば無人島プロダクションだけど、高円寺は私にとって未知の場所なので行ったことない。アグネスホテルのアートフェアとか原美術館の氷のレコードとかでちらちらと作品を拝見して(あと鴻池さんとか金氏さんの個展で名前が出てた?)、「もっとちゃんと見たい」と常々思っていた方。京都芸大は桂駅から結構離れていて、バスなんて待っている余裕がなかったのでタクシー使ったのだが、1,200円くらいだったかしら。建物自体は東京芸大より近代的だけど、フツーの大学。夏休みなので人っ子一人見かけない構内の一室で、八木さんが作品を広げていた。やっぱりモチーフはレコードが多かった。レコードを割って組み合わせた作品があって、ジム・ランビーみたいと思ったのだが、八木さんはやることがひと味違う。レコードの破片で道路を作って、ミニカーを走らせちゃうのだ。そしてレコードです、当然音楽が鳴ります。ほのぼのします。信号とか道路標識とかホテルのネオンとか、夜間点滅するものばかりを集めた映像があります。へー面白いと思って見ていたのですが、八木さんの説明を聞くともっと感動します。それぞれの点滅の速度を、統一しているのだそうです。つまり映像によっては早送りしたり遅回ししたり、編集しているのです。回っているレコードの上に山や建物やヒトの模型が立っています。レコードだから回りますが、音はしません。単なるオブジェかな、と思うと、違いますっ。外周の模型ほど遅い回転で回されているのです。これを真横から眺めます。車窓の風景になります。扇風機にレコードが貼ってあります。単に大きさがぴったりなので貼ってみたそうですが、これを回しながら点滅するLEDをあてると・・・・・。もうキリがなく、八木さんの発想に感心させられっぱなしの個展だった。根底のテーマは時間。それを操作する。だったかしら。理系好きな私としてはたまらない世界。しかも八木さんキュートな方でした。

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・田中真吾「灯に照らされた闇」@ studio90(9/27マデ土日のみオープン)
 さて、実は今回の遠征の一番の目的はこちら。上記八木さんの個展をご紹介くださった、moriさん(八木さんの記事とは違う場所にリンク貼ってます)のスタジオの展覧会。moriさんのブログはイギリス留学時代から拝読していたのだが、帰国されてから弾丸のように国内各地の展覧会を回られて精力的にレビューを挙げられているので、私が現代アートを観る上で一番の指針とさせて頂いている。ご自身がアーティストであるので、本当に鋭い批評眼をお持ちだと思う。大阪在住の彼のブログを見ながら都内で回る展覧会を決めてる私って、何?と思うけど、これからもよろしくお願いしたいと思いつつ。studio90の田中さんの壁画は、すごく良かった。ネタばれを避けるため暗示的ワードのみあげると。漆喰。蔡國強。内海さんの地下室と同じように、暗闇の中に壁画が展示されているのだが、こちらは鑑賞者が蠟燭の灯った燭台を持たされる。限られた光量だから作品を見られる範囲は限られるのだが、自分の意志で視界をコントロールできる自由が、内海さんの作品と違う。地下室では自分の目が慣れるのをひたすら待つという受動的かつ服従的な体験を強いられるのだが、田中さんは鑑賞者に「ゆだねて」くれるのだ。アート作品の近くに火を持って行くなんて、常識的にはタブーな行為なんだけど、田中さんは余裕。そりゃあ扱い慣れてますものね。絵具を使わない絵画作品、という意味では、これも名和さんのドローイングと共通するところがあるように思われる。しかしその視覚的効果は、あくまで絵画的。とても美しい色をしていた。通常は明るい光の元で作品を展示するのだけど、今回はスタジオの特性を活かしてみたと田中さんおっしゃっていた。すごく良かった。本当に。studio90は住宅地の中にあってわかりにくいけど、最寄りのJR向日町駅からタクシーで行くのが簡単だと思う、桂駅発のバスを使う時間の余裕がない場合。ワンメーターくらいだった。運転手さんには「ライオンズマンション向日町の近く」と言うと、すんなり通じるらしい。ギャラリーを通さず自分たちで発表の場を作るという姿勢が素晴らしいと思うし、関西に行ったら(京都に限らず!)、訪れてみて欲しい。moriさんにお会いできなかったのは残念だけど(かつほっとしている)、今度差し入れ送るので、この記事ご覧になったらリクエストください。なければ勝手に送ります。感謝の意を込めて。

以上長文だけど、今日はあえてたたまずにこのままup。

コメント (4)

meme:

moriさんのstudio90行かれたのですね。
実は私も予定はしてましたが、最後の最後で
時間が足りず、烏丸からのバスだと時間も読めずで
今回は諦めました。
なるほど、JR最寄駅からタクシーが間違いなさそうですね。
参考になりました。
開催期間中に行けるだろうか。。。

ogawama:

>memeさん
なんか似たような計画を立てて関西に行っていたみたいですね、私たち。
ま、memeさんは私よりはるかに緻密なスケジュールを組んでらしたと思うけど。
今回京都芸大とstudio90への移動時間が読めなくて、精華とか相国寺は切ったんです。
でもその価値はあったと思います。
各個展、作家の強い意欲を感じたし、意図するところなど直接聞けて、有意義でした。
自分では気づかないことばかりで、もっと見る目を養わねば〜と反省しました。

mori:

なんと!うちのスタジオにいらしたんですね!
そうとは知らずに僕は名古屋にいました笑
いやはや前もって仰って下さってればよかったのに。
今回の田中の個展も気に入ってくださったようでなによりです。
贈り物だなんて!では甘いものを、いやいやお気遣いなく!

八木さんのも行かれたんですね。お役に立ててなによりです。
やっぱ作家と直に話せるってのがいいんですよね。
ちなみに内海さん、ogawamaさんの前日にスタジオに来られたんですよ笑
なんだか色々リンクしてますね。
memeさんもお待ちしてますよー。

ogawama:

>moriさん
studio90、思ってたより全然近かったです。
京都には何かと理由をつけて行っているので、次回の展覧会も伺いますね〜、真冬でも!
田中さんの作品によって、内海さんの作品に対する見方が変わりました。
やっぱりアート作品て人の意識に影響力があるんだなあと思いました。
memeさんmoriさんを追って、愛知県美にも行きますよ!
ペノーネはパスしようっと。

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