2010/07/25(日)
シャガール ーロシア・アバンギャルドとの出会い [ art ]
東京藝大美術館で「シャガール ーロシア・アバンギャルドとの出会い」展を見た(10/11マデ)。今までシャガールは花嫁などのモチーフのイメージが強くて、「感傷的すぎる」と偏見を持っていたのだが、この展覧会は彼とロシア・アバンギャルドとのつながりを淡々と追っているところが面白い。そして、シャガールが私の好きな舞台の世界ととても近いところにいたことに気づかされ、大変興奮してしまった。
シャガールは帝政ロシアのヴィテブスクに生まれたユダヤ人で、芸術を志してサンクト・ペテルブルグで美術学校に入学する。のちにバレエ・リュスの舞台装置を手がけたレオン・バクストに師事していた時期もあった(ダンサーのニジンスキーが同じ学校にいたと言うから驚きだ)。最近私は古き良きサンクト・ペテルブルグに興味を持っている。振付家、ジョージ・バランシンの影響だ。彼もディアギレフに従いバレエ・リュスで仕事をした。チャイコフスキーをこよなく愛したバランシンは、自分や同郷の大作曲家を「ペテルブルグ人」と呼ぶ。ペテルブルグはロシアにありながらヨーロッパの都市であり、コスモポリタンなのだと。バクストを通じてフォービズムを識ったシャガールも、その後パリに向かう。
チャイコフスキーわが愛
ジョージ バランシン ソロモン ヴォルコフ George Balanchine 
パリで恩師バクストに再会したシャガールは、バレエ・リュスには批判的だったと言う。それでもフォーブ派の色彩やキュビズムに影響を受け、《ロシアとロバとその他のものに》(ポスター↑に使われている作品)のような魔術的な大作をものする。モチーフはあくまでロシア的/ユダヤ的であり、本展ではそのプリミティブさにロシア・アバンギャルドとの共通項を見ている。登場するのがミハイル・ラリオーノフとナターリヤ・ゴンチャローワだ。彼らのスタイルはロシアの伝統文化を尊重した「ネオ・プリミティヴィスム」。個人的に好みなのは初期のゴンチャローワの素朴で安定感のある色彩・造形だ。
こ、これが一番好きな作品というわけではなくて、たまたま画像を見つけられたもの。彼らも変遷していく。夫のラリオーノフと共に「光線主義」に走ったり。やり手のディアギレフがまた出てきて、ゴンチャローワにもバレエ・リュスの舞台美術をまかせたというところでまた驚いた。バランシンにボッティチェリの《La Primavera》を見せたのもディアギレフだし、ヨーロッパのアートシーンにおける彼の存在感は非常に大きい。
ベルリンで初個展を催すまでに名を成したシャガールは戦争によりヨーロッパにとどまることができなくなり、故郷で請われて美術学校を設立する。で、招聘したマレーヴィチに追い出される形でモスクワに移り、ユダヤ劇場のために仕事をしたという。オペラ・ガルニエの天井画くらいしかシャガールの舞台美術の仕事を知らなかった私は、ロシアにおける彼の業績を知ることができてうれしい。1940年代のアメリカ亡命中に愛妻ベラを亡くしこのようなブルーな作品を残しているため「センチメンタル」という固定観念を私は持っていたのだが、冷静に見れば彼の「らしさ」「特異性」は一貫して変わっていない。
本展で一番華やかで楽しかったのはメトロポリタン歌劇場の「魔笛」のための、装飾と衣装のための素案だ。フィナーレの背景幕は赤が基調で、それまでの「夜」や「水」のイメージから一転してドラマティック。衣装に使う金糸や布をドローイングに貼りつけていたりして、キラキラ美しい。キャラクターデザインがユニーク。
恥ずかしながら「魔笛」を見たことなくて、でもシャガールのデザインに煽られやむにやまれぬ気持ちになってしまって、本展のあとすぐにMETの1991年版の映像を鑑賞した(美術がホックニー)。前衛的な演出が主流のヨーロッパの劇場に較べて、METは割とオーソドックスでゴージャスな舞台を見せてくれると聞いている。シャガールの舞台もさぞ盛り上がっただろう。青森県立美術館所蔵のバレエ「アレコ」の背景画を見に行く日が待ち遠しい。
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2010/07/19(月)
サンデーランチ@コンラッド東京 [ diary ]
汐留のコンラッド東京でランチをいただいた。「セリーズbyゴードン・ラムゼイ」のサンデーランチです。
プリフィクススタイルで、私が選んだのは「帆立貝のグリル アロマバターで 小烏賊のフリッター カリフラワーのピューレ添え ネロソースと共に」「ラタトゥイユとモッツァレラチーズのクロケット エシャロットのキャラメリゼとクスクス スパイス香る茄子のピューレ添え シェリー酒のソース」「ピーカンナッツのタルト」
割としっかりした味で、ボリュームもあっておなかいっぱい。
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2010/07/14(水)
Art Editions Concept PixCell via PRISMOID 名和 晃平 [ art , kohei_nawa ]
表参道ヒルズで開催された「iida EXHIBITION 2010 SUMMER」に行ってきた。auのブランド携帯新機種の発表会。auと言えばかつては吉岡徳仁氏デザインのMEDIA SKINを愛用したものだが、その後もカッコイイ携帯をどんどん発表しているもよう。ただし私は数日前にiPhone3GからFOMAに乗換えたばかりなので、おめあてはこちら。
Art Editions Concept PixCell via PRISMOID 名和 晃平
当日は、iidaの新商品に触れていただけるほか、今回のプロジェクトに携わった、プロダクトデザイナー坪井浩尚氏、映像作家・音楽家高木正勝氏、彫刻家名和晃平氏、フラワーアーティスト東信氏ら、今、日本を代表するクリエイターのインスタレーションをご覧いただけます。
きゃ〜(≧∇≦)
去年の大阪のギャラリーノマルの個展で拝見した、モニタをBEADSで覆ったPixCellの進化形でしょうか。「PixCell-TV」と呼ぶようです。造形の隙のない美しさだけでなく、赤外線通信で画像を送り込めるところに驚かされた。台座に通信孔が。アート作品としてSCAI THE BATHHOUSEで扱っているようだが、お高いのでしょうねえ。。でも、すでに完成度は相当高い。
携帯の筐体のPixCellは無駄のない輝きをはなっていた。
↑イベントの主役、iida新機種「LIGHT POOL」も美しかったけど。遅れて入ったので最後の方しか見れなかったけど高木正勝さんの映像作品、東信さんのお花のインスタレーションにも高い美意識があった。
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2010/07/05(月)
iPadを買った [ mac ]
先週iPadを買った。Wi-Fi+3Gの32GBのタイプだ。私は大のAppleファンで家にiMacとMacBook、職場にMacBookを置いていて(自宅のMacBookは予備)、iPhone3Gをメイン携帯として使っていて、iPod touchも持ってるし歴代iPodに関してはもう覚えてないけど何台か乗り継いだ。スティーブ・ジョブズの伝記だって1冊は読んでる。それでもiPadは仕様が発表されてから、全く欲しいとは思わなかった。バッグに入れるには大きくて重すぎるからだ。先月父に頼まれてWi-FiタイプをAppleStoreで購入したが、「好きにいじっていい」と言われたけど開封もしないで渡してしまった。
実は買いたかったのはスマートホンなのだ。愛用してきたiPhone3Gはそろそろバッテリの持ちが悪くなってきたし、誤動作がある。それにSafariで調べものをしようとするとすごく時間がかかる点が、元々ネックだった。SafariからGmailを送っても消えちゃうのも困るし。聞けばAndroid携帯はGoogleやGmailがシームレスで使えるとか。だってAndroidはGoogleのOSだもんね。Appleより更に好きな、Google...。Android2.2「Froyo」が発表されたばかりだし、これを搭載予定のHTC desire(ソフトバンク)に白羽の矢を立てて色々調べていたんだけど、「帯に短しタスキに長し」なのよね、まさに。AndroidもiPhoneに負けずにバッテリの持ちが悪いらしいしdesireは通話品質が良くないって。iPhone4Gの白はまだ予約できないしdesireは予約しても入荷してこないという現在の状況で、うーんうーんと唸って考えていたら(そういうのを考えるのが好きなのだ)、突然気づいた。「iPadはスマートホンよりコスパが良い」。
iPad専用のデータ定額プランは2,910円(本来は4,410円)。本体販売価格は24ヶ月分割で金利ゼロ。私の選んだWi-Fi+3Gの32GBだと毎月2,830円で、この他付加的な費用もあわせておそらく毎月の支払いは6,000円くらい?iPhone3Gより安い...。ふつうの携帯も今結構するみたいだし、iPadのような高いスペックのガジェットをこの費用でいじり倒せるとは、驚き。気づいた途端にビックカメラに足を向けていた。
Wi-Fi+3Gタイプは携帯と同じ扱いなので、通販では買えない。平日の19時半くらいに店に行ったんだけど、行列ができていたのにはびっくりした。おかげでピラティスのレッスンをキャンセルしなければならなかった。並んでいる間に希望機種を聞かれ、バレエの映像をストックしたい私は64GBを希望したんだけど、入荷待ちと言われて32GBにした。16GBのiPhone3Gにも動画は結構入れてたけど(でも液晶が小さ過ぎてほとんど見なかった)、足りないって感じはなかったし。何で3Gにしたかというと、ネットジャンキーだから。モバイルルーターとか持つと荷物が増えるし管理が煩雑だし。ID・PWに埋もれた生活に、ちょっと疲れてきたのよね。iPhoneでも常時Wi-Fiは切っていてその速度に慣れている。
こういうガジェットは液晶保護フィルムを貼るまで絶対触らないことにしてる。のでビックカメラの店員さんおすすめのフィルムを買ってすぐ貼ったんだけど、えらく指紋がつくので辟易して、Amazonで調べて本日コレに張り替えた。全っ然違います。
iPad 防指紋-光沢機能性フィルム・プロガード AF / PRO GUARD AF PGAF-IPAD-U・ホームボタンU字
ケースはシリコンが好きなので半透明のを通販で買って、おととい届いて装着。やっぱりそれまでは持って外に出る気にならなかった。昨日電車で座ってバレエ映像を眺めたけど、見やすい。でも腿の上に立てた状態をキープするのって結構負担。うとうとっとした途端に落として、液晶にヒビってことになりかねない。立って使えるかな?立っていれば眠くならないし。電車で立って読むものと言ったら新聞だけど、産經新聞アプリは確か有料なので、入れてない。取り合えずブラウザがあれば用が足りるのがGoogleファンなので、あとよく立ち上げるのはtwitterアプリくらい。定番らしいEvernoteとDropboxとビューンは入れたけどまだほとんど使ってないし、あとは辞書アプリと計算機アプリと猫ピアノアプリが待機中。アートアプリは美しい液晶に映える。オルセー展アプリには大満足。写真のビューワとしても上等、デジカメやSDカードをつなげられるCamera Connection KitをAppleStpreに発注したけど入荷は8月だそうで、首を長くして待っている。
今日ショルダーバッグに入れて持ち歩いたけど、重かった!結局問題はそこに戻る!本とか色々持ち歩くのでふだん使いのバッグはリュックなんだけど、もうひとつしっかりした吉田のを買い足しちゃった。職場にノートパソコンがあるのにiPadを持って出勤する意味ってないんだけど、ガジェット大好きなので飽きるまではなるべく携帯するつもりだ。早速iPhoneのバッテリが減らなくなった。
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2010/06/28(月)
英国ロイヤル・バレエ「ロミオとジュリエット」6/27マチネ [ ballet&dance&play... ]
東京文化会館で英国ロイヤル・バレエ団の公演「ロミオとジュリエット」を観てきた。今回は「リーズ」「うたかた」「ロミジュリ」を1回ずつ鑑賞。本公演が涙のマイラストです。会場入りする前に青山のPaul Smith SPACE GALLERYで「The Royal Ballet Portraits」展を見てきたんだけど、とてもよかった。
ダンサーとして踊りを踊っている彼らの姿というより、一人ひとりのキャラクターを感じられるようなポートレートとしての撮影を心がけました。
とポール・スミス氏が語っている通り、オフィシャルでないプリンシパルたちのポートレートは私たちに直接語りかけてくるような親密さをたたえていた。日本公演に合わせて撮影されたものだから、実際彼らは日本のファンを念頭においてポーズを取ったのだろうし。7/6(火)まで開催ですが、水曜定休なので要注意。
さて楽しみにしていた「ロミオとジュリエット」。ロミジュリは4キャストすべて見るというファンも多かったもよう。私がヌニェス&ソアレスを選んだのは、前回の来日ツアーとバレエ・フェスでの勢いを買ったから。コジョカルも見てみたかったけど、仕事とぶつかっていた。人生は選択の連続ですな。さいたま芸術劇場で上演されていたホフェッシュ・シェクター「Political Mother」も行きたかったけどロイヤルを優先したし...。でも終わってみれば素晴らしい公演だったので、満足している。
この演目で一番光っているのは、音楽。オケ・ピットに近い席が取れたので、各楽器の音色をなぞるように味わうことができた。目をつぶっていても楽しめただろう。この1曲でプロコフィエフは私にとって最愛の作曲家のひとりとなった。チャイコフスキー、ショスタコーヴィチ、バランシンらを輩出したサンクトペテルブルク音楽院で学んでいる。帝政ロシア時代の首都であったサンクトペテルブルクはバレエファンにとって聖地。いつか訪れてみたい。隅々まで美しさと躍動感に満ちたバレエ音楽に、敬意を表して。
主演のマリアネラ・ヌニェスとティアゴ・ソアレスはお似合いのカップルで、力量的にも釣り合いが取れていると思う。以前はソアレスに硬さを感じたのだが、場数を踏んで華が出てきたような。2幕で失速していた感があったが、着地の足音が小さく安定感があった。友人は顔つきが軽い感じでロミオに合わないのではと言っていたが、私は悲劇が苦手なのでソアレスくらい愛嬌のあるロミオは好き。ヌニェスはルックス的に好みではないのだけど、強靭さと明るさが彼女をキラキラさせていて、見る度に好きになる。演技力も十分。儚さや影がないのが弱点かしら。あと色気?
バレエファン歴が短いので、これまでに「ロミオとジュリエット」全幕を生で見たのは4回だけ。ナチョ・ドゥアト版(スペイン国立ダンスカンパニー)2回、ノイマイヤー版(デンマーク・ロイヤル・バレエ団)、熊川哲也版(Kバレエカンパニー)だ。・・・すごい偏り方。王道のマクミラン版(フェリ)とヌレエフ版(ルグリ)はDVDを持っていて、飛ばし飛ばし見た。あとはグリゴローヴィチ版とクランコ版でしょうか、識っておくべきなのは。今回シェイクスピアのお膝元のロイヤルのロミジュリを直に見たことで、やっと一人前になったような感慨が。マクミランの振付けはやはり優れていて、音楽にぴったり沿っていたしパの流れが優雅かつ小気味よかった。感情表現の一部をダンサーの表情にまかせるところがありそれはどうかと思うが、これは各版ロミジュリにありがち。セットや衣装の豪華さは「さすがロイヤル!来てよかった!」と思わせる凝ったもの。イタリア美術に思いを馳せながらじっくり舐めるように見ちゃった。
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2010/06/27(日)
野菜尽くし〜 [ diary ]
恵比寿のココに行ってきた。セットメニュー「野菜だけ食べたい!超ヘルシーセット(比率(野菜10、魚0、肉0))」、安い方の3,800円に挑戦。そう野菜好きではあるけどベジタリアンではないので、ある意味挑戦と言うか、お手並み拝見。「バランス良く食べたい!野菜も肉も魚も同じくらいセット(野菜4、魚3、肉3)」「農家の台所に来たからには 野菜をた〜くさん食べたい!セット(野菜6、魚2、肉2)」というのもあり。
別オーダーの特製3種の利きジュース。全部旨い。
名物!特選野菜サラダバー(おかわり自由)。何もつけなくても美味しい。生野菜ラヴ。でもマヨもほしかったー。
先出し三種盛り合わせ。トルティーヤ、ヴィシソワーズ、ピクルス。
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2010/06/23(水)
英国ロイヤル・バレエ「うたかたの恋」6/22 [ ballet&dance&play... ]
東京文化会館で英国ロイヤル・バレエ団の公演「うたかたの恋」初日を観てきた。「リーズの結婚」に続いて映像を含め初見の作品だが、DANZAに詳しい解説が載っていたのでプログラムと併せて事前の予習はばっちり。と言ってもバレエに大切なのは音楽なので、その辺が甘い私はまだまだなのですが。
ヨーロッパの名門貴族ハプスブルグ家の皇太子であり、名高いエリザベート皇后の息子、ルドルフの心中事件を題材にしたマクミランの傑作「うたかたの恋」が、23年ぶりに日本に登場します!
無名の男爵令嬢と共にマイヤーリングで突然の死を遂げたルドルフの悲劇は、数々の書物や映画でも有名。その死の真相は、いまだに謎とされています。
なんていうか、バレエをみたと言うより史劇を鑑賞した感じだ。だってルドルフはふつうの王子様ではなく、オーストリア帝国の実質的な「最後の」皇帝フランツ・ヨーゼフ1世とヨーロッパ一の美貌を謳われたあのエリザベートの息子なのだ。昨年秋に国立新美術館で開催された「ザ・ハプスブルグ」展、あのお宝の出元はウィーン美術史美術館(とブタペスト国立西洋美術館)。ヨーゼフ1世が創設した超名門美術館ですよっ。皇帝・皇妃の肖像画やデューラー、クラナッハ・・・。今思い出してもクラクラしり展覧会だった。今回のロイヤル・バレエの舞台でも舞台装置として王族の肖像画が多用されていたが、とにかくすごい一家なのだ。彼らの生涯をバレエで描くって、それはムリ。なのにマクミランはやってしまった。
舞台冒頭のシーンでしめやかに埋葬されるのは17歳の男爵令嬢マリー・ヴェツェラ。彼女は皇太子ルドルフとマイヤリングで心中したのに、その事実を隠蔽するため30時間放置されてからハイリゲンクロイツの墓地に埋葬されたのだが、ラストシーンで再びこの墓地が出てくるまではその状況の異様さ(死体が生きた人間のように馬車から降ろされる)はぼかされている。背景を知らなければ観客にはわからないような、さりげない描写ではあるが。この舞台全般、史実またはクロード・アネの原作小説を知らないときつい感じ。助けは音楽と、ダンサーの表現力。
ルドルフのカルロス・アコスタは濃かった。顧みられない母への思慕とか上手に演じていたけど、後半の振付けが変態ちっく。まあ死に至る狂気を描くのだから、エキセントリックでないとね。元々の顔立ちが濃いのは、仕方がない。でもタフだし立派なダンサーだった。
ラリッシュ伯爵夫人のマーラ・ガレアッツィは、うーん出番が多過ぎて印象的なダンスがない。場を進めるために忙しく立ち回っていた。ルドルフに対して一途な感じ。彼女は別の日にマリーを演じるのだが、17歳をどうやるのか...。
そして素敵だったのはマリー・ヴェッツェラのロホ!!
汚れを知らぬ少女からルドルフの熱い思いを受け止める妖艶な恋人まで、その変幻ぶりは自在。苦悩や感情の荒ぶりを表現するためルドルフのリフトは結構無茶っぽいんだけど、ロホの肢体には不安定さはみじんも見られない。大体横顔とか表情とか可憐だし肌は白くてもちっとしてるし、1974年生まれだかダンサーとしてはベテランの域に入る筈なんだけど、瑞々しい!今までご縁がなくて全幕で見る機会がなかったんだけど、演技力もあるから「オネーギン」のタチアナなど見てみたいと思った。
演出としては「四人のハンガリー高官」がルドルフへの精神的なプレッシャーとして象徴的でわかりやすかった。舞台が宮廷なので、日常茶飯的にパーティーがあって衣装がエレガントでゴージャスなところがロイヤルっぽくて良い。生ピアノをバックに皇帝の愛人役の歌手が独唱するシーンは、声がとても美しくて、思わぬ贈り物をもらった感じ。等見所はたくさんある。
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2010/06/21(月)
英国ロイヤル・バレエ「リーズの結婚」6/20 [ ballet&dance&play... ]
東京文化会館で英国ロイヤル・バレエ団の公演「リーズの結婚」を観た。初日のマチネがロベルタ・マルケスとスティーヴン・マックレー、ソワレがマリアネラ・ヌニェスとティアゴ・ソアレス、そして最後がサラ・ラムとイヴァン・プトロフが主演というバランスのよい配役のはずだったのだけど、18日にサラ・ラム→ラウラ・モレーラ、イヴァン・プトロフ→リカルド・セルヴェラという発表があって...。私はラムの容貌や雰囲気が好きで、確信を持って彼女の日のチケットを取っていたので、かなりショック(初日は仕事で行けなかったんだけど)。プログラムの配役表はちゃんと変更してプリントされていて、退団したというプトロフの写真はどこにもなかった。足を怪我したラムは「うたかたの恋」のラリッシュ伯爵夫人は予定通り演じるそうだけど、私が行くのはガレアッツィの日なのよね〜。妖精のように儚げな彼女と、ご縁がないのは寂しい・・・。そう言えばNBAバレエ団の「ジゼル」に出演予定だったパリ・オペラ座のデルフィーヌ・ムッサンも怪我で降板したそうで。代役はミュリエル・ズスペルギーと聞いたけど、カンパニーのサイトに記載がないので不確か。そっちに行こうか一時迷ったので、不思議なシンクロです。と、とにかくダンサーに怪我はつきもので、こればっかりは仕方がない。
前置きが長くなったけど、5月の「マラーホフの贈り物」以来の生バレエ鑑賞は楽しかった。ポイントはファースト・ソリストのリカルド・セルヴェラがマリインスキーのサラファーノフ似のさわやかな好青年だったこと。ルックスはともかくラウラ・モレーラとシモーヌ役のアラステア・マリオットの演技が巧くて、後半かなり感情移入できたこと。
「ラ・フィーユ・マル・ガルデ」として知られているこの作品、「ジゼル」と並ぶ最古の古典をフレデリック・アシュトンが改訂振付したのだという。友人から「地味」な作品と聞いていたので、お勉強するつもりでチケットを取った。尊敬するバレエ評論家長野由紀さんの著作「バレエの見方」において、リボンが大きな役割を果たすとされていたので、特に注目。なるほど恋人同士のサインに使ったり互いにからめていちゃいちゃしたり。新体操みたいにダイナミックに泳がせて愛の隠喩とするなど、大活躍。アシュトンは豊かな発想とユーモアのセンスを持った人だったんだなあと思った。そして親子や恋人同士に機微にも聡い。奇抜な雄鶏と雌鳥のダンスや、本物のポニーや、「ドン・キホーテ」のガマーシュのようなアランの道化っぷりにシモーヌの木靴のタップなど振付けにおける見所は多いのだが、純粋に感動させられたのは「愛情」だ。1幕は割と醒めた目で鑑賞していた私をひきこんで行ったのは、2幕でひとり留守番するリーズがあれこれ妄想して百面相するところ、そしてそんな彼女に熱烈な愛を捧げるコーラスの一途さ。きびしいようで実はリーズに甘いシモーヌの、滲み出る優しさ。ハッピーエンドのエンディングに向かってハラハラしながら、いつの間にか舞台に夢中になっていた。やはりロイヤルのダンサーは演技力があるなあと感心。
ダンサーのテクニック的にはふつう。ひとつ非常に美しくないリフトがあったのだが、あれはミスだったのだろうか。リカルド・セルヴェラが好印象だったので、とりあえず彼のバジルを見てみたい。まだ主役はレパートリーにないようだけど。リーズとアランのダンスにコーラスが割り込むところ、ドアの窓ごしにコーラスがリーズを持ち上げるなど、ひと手間かけた独創的な振付けも心に残った。
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2010/06/16(水)
オルセー美術館展2010 「ポスト印象派」 [ art ]
国立新美術館で開催中の「オルセー美術館展2010」に行った(8/16マデ)。「ポスト印象派」というのは結構多面的でわかりにくいけど、改装中のオルセー美術館の名画をごっそり115点も持ってきてくれる大盤振る舞いに素直に甘えて、黙って見に行けばそれでいい。絵画をみる悦びに思いきりひたれる。
素人の私があれこれ説明しても仕方ないので、色々知りたい方は「弐代目・青い日記帳」の渾身の記事をご覧になるとよいでしょう。先日2回目の鑑賞を果たしてきたのですが、なんとTakさんとご一緒させていただきました〜(自慢)。私は好きな画をぽちぽちと挙げておくだけにします。
第1章 1886年-最後の印象派
バレエファンなのでドガは好き。この画は手前に描かれているコの横顔が可愛いし、構図に日本美術の影響が見られると言われるとなるほどと思えて更に好感度が上がる。
《ルーアンのボワルデュー橋、夕日、霞のかかった天気》カミーユ・ピサロ
印象派の中では好きな画家。一時点描法にも手を出したというのが頷ける丁寧なタッチ、筆遣いに深い満足感をおぼえる。「わあ、高価なタペストリーみたい!」と感服した。私にとっては職人画家。
素晴らしい肖像画。スペイン人バレリーナのモデルがいい。自信にあふれた表情、輝くような肌の色、豪華な舞台衣装。サージェントは印象派の手法を取り入れて成功したアカデミスム出身の画家。
第2章 スーラと新印象主義
点描の、肖像画はどうかと思う(《エクトール・フランス夫人》アンリ=エドモン・クロスとか)。装飾性の高さは買う。お気に入りは日本の紅葉を思い出させるようなこれ。綺麗〜
第3章 セザンヌとセザンヌ主義
セザンヌはやはり素晴らしいんだけど、ここでコレが出てくるのがいい流れ。
セザンヌの画を囲んで、ルドン(左端)とナビ派の画家たち。ヴュイヤール、ヴォラール、ドニ、セリュジェ、ランソン、ルーセル、ボナール。ドニらしい、かっちりと装飾的な画。本展後半ではナビ派の作品が充実している。
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2010/06/10(木)
ルーシー・リー展 [ art ]
国立新美術館で開催中の「ルーシー・リー展」をみた(6/21マデ)。リーは20世紀後半にイギリスで活躍した、ウィーン生まれの陶芸家だ。電気式陶芸窯から生み出されたうすい器ははっとするような鮮やかな釉につつまれ、非常にアーティスティック。身にまといたいような、洗練された美しさ。
ポスターなどに使われているのですでに知られた器だけど、このターコイズブルーとゴールドの組み合わせ、1度見たら忘れられない。
個人的にはこのくらいシンプルな方が磁肌を楽しめると思うけど。ただしこれらのような円熟期のリーの鉢の高台の高さが、私は苦手。使ってみたいという気を殺がれてしまう。と思っていたら、低いのもありました。でも一筋縄ではいかないな。揺らいでいる。
厚く塗られた特殊な釉が泡立ってこんなテクスチャーに。まさに溶岩。いい色。
リーは釉薬についてものすごい研究を重ねていたという。素焼きせずに素地に直接釉薬を塗っていたとか。でも彼女が製作について語っている映像を見ると、まるでケーキ作りのレシピを話しているみたいに、ほのぼのしている。
かわいいぃぃぃ・・・。日常生活に使うなら私は粉引きの器なんかがいいなと思うけれど、非常に目に楽しい展覧会だった。女性なら絶対「きゃあ☆」となる。このエントリを書くにあたって公式ウェブサイトをじっくり拝見させていただいたけど、これも秀逸。中の人、大変有能です。
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2010/06/04(金)
泉屋博古館創立50周年記念 住友コレクションの茶道具 [ art ]
泉屋博古館分館で「住友コレクションの茶道具」展を見た(6/20マデ)。
住友家の美術品で最も有名なものは、住友家十五代住友吉左衞門友純(号・春翠)が明治中頃から大正期にかけて蒐集した中国古銅器と鏡鑑ですが、他に中国・日本の書画、洋画、近代陶磁器、茶道具、文房具、能面・能装束など美術品に対する関心は、大変広い範囲に及ぶものでした。その多岐にわたる所蔵品の中から、本展では、茶道具の名品を展示いたします。
お茶を習ったこともないけど茶道具は見るようにしている。茶の湯は日本文化を支える総合芸術だから、はたから眺めるだけでも興味は尽きない。茶「道」には怯んでしまうけど。でもお茶碗の釉の艶とか茶入れのころっとしたシルエットとか香合の様々な意匠とか、綺麗で可愛いらしいと思う。蒔絵の炉縁があるなんて展覧会で知って、うっと思ったし。基本は「おもてなしの心」だから、目に楽しいものばかり。
今回のコレクションは渋いなあと思った。いや鑑賞眼はまったくないので、個人的な印象。なんでそう思ったのか振り返ってみたら、出ていた仁清が《唐物写十九種茶入れ》と《白鶴香合》だったこと、
唐物が多かったこと、
侘びたお茶碗が多かったこと、
などによるのか。茶釜のよいものがあったらしいが、それはさっぱり。
こんな素敵な花入れで、砂張という合金を頭にとめた。
住友春翠さんとは京都の徳大寺家の6男で、なんとお兄さんが西園寺公望氏。男系相続者が相次いで死去した住友家の婿養子となって、15代吉左衛門を襲名。家長として住友家の発展につとめ、男爵を授与され、公共施設の寄付に熱心で(大阪図書館を創設したと遊行さんに教えていただきました〜)、印象派をいち早く日本に導入し、希代の数寄者という何とも奥深い高貴な人物。Wikiにのっているお写真を拝見すると、繊細な面立ちの方(http://ja.wikipedia.org/wiki/住友友純)。
中国古銅器の収集家として有名であることも、本コレクションに対する私のイメージに影響を与えたのかもしれない。
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2010/05/30(日)
爽やかな日本美術 ~風・流れ・涼の表現 [ art ]
大倉集古館で「爽やかな日本美術 ~風・流れ・涼の表現」展を見た(6/6マデ)。なぜこの時期あまり話題になっていないこの展覧会に行ったかというと、もうすぐ期限が切れるぐるっとパスをほとんど使っていないことに気づいたからだ。まあそれだけではなく、ここと泉屋博古館分館は定期巡回すべき美術館。私にとって。
四季の彩り溢れる変化に恵まれた私達は、豊かな自然に囲まれて生活し、それらを愛し慈しむことに古くから馴染んできました。そこで育まれた感性は、様々な日本美の形象を生み出してきたといえるでしょう。ここでは英一蝶「大井川富士山図」や川合玉堂「高嶺の雲」など近世近代の諸作品により、山景や滝、川の流れなどに表わされた爽快な趣向を選び展示を構成いたしました。大倉集古館の広範なコレクションを通し、春から初夏に移るこの季節に、一服の清涼を感じて頂ければと存じます。
最近はお茶の本なども読んでいるので四季の移り変わりに目を配るようにしているつもりだが、まだまだ美術展に行ってそれに気づかされることが多い。特に東博の常設では毎度。本展のコンセプトは実は後から知ったのだが、ポスターに使われているこの作品が全てを語っている感じがする。
宇田荻邨(うだてきそん)は「京洛の画家」 と呼ばれる近代日本画の巨匠で、京の風物を古典的で典雅な画風で描いた。はじめて聞いた名だったが、土牛の少し前の世代と言われるとなんとなくピンとくる。《淀の水車》は帝展で特選、そして帝国美術院賞を受賞して、彼の地位を確固たるものにした。群青や緑の鮮やかさ、そして水車の精緻な描写の見事さに目を奪われる、美しい作品。個人的にはこういう隙のない作品は好みではないのだが、観れば眼福。そばに速水御舟の《鯉魚》が展示されていて、これもまた唸るほどの写実美。この頃の日本画家には工芸家の匂いがあって、芸術を追求しながらも画は装飾品であるとわきまえているような、節度と品格が素敵だと思う。
意外と見応えがあったのが(ふだん好きでない)絵巻物、《四季の若草図巻》。色が綺麗だし人物の衣装まで丁寧に描かれているし四季おりおりの楽しさがよく出ているし。ここは実は桃源郷か、と思った。能装束はどれも素晴らしいし《青磁染付宝尽文大皿》の宝尽くしも見事だし、とても目に楽しい展覧会なんだけど、どーんと目立っていたのはコレ。
重要文化財に新指定されたばかり、特別公開。あらためて見ると甲冑具足のゴージャスさに圧倒される。もちろん頼朝主従の視線も気になるのだが、ついつい目はコスチュームの方へ。質感が「分厚い」感じ。装飾性の高い作品だ。青邨は奥村土牛と同じ梶田半古塾に学び、小林古径・安田靫彦と共に日本美術院の中心的存在だった。去年放映の『美の巨人たち』ではジョットに影響を受けたとされたらしい。検索したらそんな記事がざくざく出てきた。頷ける。
大倉集古館と言えば、返還を要求されているのは裏庭の石塔らしいですね。
http://specificasia2.blog12.fc2.com/blog-entry-3467.html
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2010/05/26(水)
生誕120年 奥村土牛 [ art ]
山種美術館で開催されていた「生誕120年 奥村土牛」展に行った(5/23で終了)。私が日本画など見るようになったのはごく最近で、はじめて九段の山種美術館を訪れたのが2006年(律儀にブログに書いてあった)。ショップに綺麗なポストカードがたくさんあって、その中で「これが一番好き」と選んで購入したのが土牛の《水蓮》だった。その頃は日本画に対して高い敷居を感じていて、でも土牛にはジャンルを超えた普遍性があるなあなんて思ったっけ。生意気に。
その後山種に通い《吉野》《醍醐》《鳴門》《舞妓》と代表作を拝見してすっかり土牛を知った気でいたけど、やっぱり回顧展を見てはじめて作家の姿が見えてくるもの。創立者山﨑種二氏は「相場の神様」とうたわれた勘を持ってしてか、無名の頃から土牛の作品を蒐集し、現在山種美術館は135点という土牛コレクションを築いている。戦後の秋の院展の出展作をほとんど買い上げているというから、重要作品は大体持っているということだろう。何しろ代表作のほとんどが還暦後(1949年以降、かな)に描かれていて、そして101歳で亡くなるまでほとんど毎年出展し続けたという、鉄人のような巨匠だ。
ただ、その姿は求道的。本展に合わせて作製された所蔵作品集、1991年に開催された「追想展」の図録、自伝「牛のあゆみ」など読んで強烈に感じるのは芸術を模索する土牛のストイックさ。↑こんな優しくやわらかな画を残しているけれど、気の向くままさらっと描き流してるわけじゃない。描きたい対象を見つけたら、ひたすら見つめて徹底的に写生。そして自分の中で時期が熟した時に制作に入るが、「土牛百遍」という言葉がうまれるほど手を加え続け(いつまでも描き続けるので作品を手放してくれない)、決して出来に満足はしていなかったらしい。
阿波の鳴門を見た時。どうしても描きたいという気持ちを抑え切れず、大揺れの汽船の上で妻に帯を掴んでもらいながら何十枚も写生をしたとか。通常のように対象を見ながら制作することができないので、苦労しながら頭の中の印象を掘り出したと言うが、この作品は土牛の最高傑作と言われている。群青、白緑、胡粉などが塗り重ねられて、その不思議な造形と共にえも言われぬ色彩に魅了される。霊感を出すことを意図したがうまくいかなかったと作家の言葉があるが、超常な雰囲気にあふれている。
本展を見て確信したのだが、私は土牛の色遣いが好きなのだ。日本の風景はイメージ的に灰色がかっているのだけど、土牛の作品には必ずとこかに虹のように明るく澄んださし色があって、すごくほっとする。この《門》という作品は姫路城の「は」の門なのだそうだが、門のむこうの白壁の上にのぞく青空と木の緑が明るくて、構図の面白さなどに感心しつつその部分に双眼鏡の視野がかかるとうれしくてテンションが上がってしまった。
作品集に掲載されていた『塔影』12巻9号(1936年9月)より抜粋。
写生とは云っても、私は特に、そのものの気持ちを捉えることに力めている。一つのものを描こうとする時、勿論その形を写すことは定まっているが、その後の写生は気持ちをつかまえるという態度で為されるべきだと考える。私の云う写生は、その意味の、外観の形よりも内部の気持ちを捉えたいということである。(中略)
度々色を重ねて塗っても、それが薄く見えるという境地、それが現在の私の目指しているところである。色を塗っていながら、その塗っている気持ちが見えないというところまで行かなければならないと、私は考えているのである。
土牛が47歳頃の言葉だが、その姿勢はずっと変わらなかったように思う。速水御舟の研究会に加わったりもしたそうだが、写実より精神性を重んじた土牛の画風はその人柄をしのばせるように素朴でぬくもりがあり、かつ深遠だ。どこか職人のようでもある、この巨匠に私は参ってしまった。
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2010/05/24(月)
マラーホフの贈り物 2010 Bプロ 5/21 [ ballet&dance&play... ]
東京文化会館で「マラーホフの贈り物」Bプロを観た。「カラヴァッジオ」PDDがふたつ入っている時点で楽しみだし、「影の王国」も期待し過ぎちゃいけないと思いつつ期待しちゃうし。見る側のテンションがAプロより高め。
‐第1部‐
「カラヴァッジオ」よりパ・ド・ドゥ(第1幕より)
振付:マウロ・ビゴンゼッティ 音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディより)
ポリーナ・セミオノワ ウラジーミル・マラーホフ
映像でこのPDDを見て、ポリーナの鍛え抜かれた肢体に目を見張った。おなかはぺったんこで細いのに、筋繊維が見えんばかりの張り。マラーホフも美しい筋肉をしているし、彼のもとにいるとこういうダンサーになるのかなと思っていた。私はコンテ好きなので許せるけど、クラシック踊る時にはどうよ?という懸念も。でも生の舞台で見るとポリーナは適度に華奢で女性らしく、でも細部に渡って筋や腱や関節のコントロールが求められそうなビゴンゼッティの振付けにちゃんとついて行っていた。彼女は「光」なのだそうで、あの輝く美しさはまさに。全幕版の映像ではカーテンコールがクノップの方が多かったような気がして(気のせいか)「?」と思っていたけど、それについては第3部の方のPDDを見て自分の中で納得。
「ディアナとアクティオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ 音楽:チェーザレ・プーニ
ヤーナ・サレンコ ディヌ・タマズラカル
このPDDは数回見て好きじゃないと思いこんでいたけど、技術と芸術性がきちんとしていればとても楽しめる演目なのだとわかった。
「カジミールの色」
振付:マウロ・ビゴンゼッティ 音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
エリサ・カリッロ・カブレラ ミハイル・カニスキン
うーん、これもビゴンゼッティなんだけど。このペアは1度見ているしバレエ・フェスではヴィシニョーワとマラーホフがやってるし、ふたり並んだ時の造形は面白いけどすでに飽きてしまったというか。もっと叙情に訴えてくれるダンサーで見たい。
「モノ・リサ」
振付:イツィク・ガリリ 音楽:トーマス・へフス
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメイカー
ガリリはイスラエル出身の振付家。ステージにスモーク焚いて照明落として、レオタード姿のアイシュバルト様はしばらく立ったままラドメイカーのダンスを眺めているんだけどその姿が「スカして」いると言うか、ちょっと「ツッパリ」系。そう、こういう語彙が出てくるくらい古さを感じる振付けなんだけど、初演は2003年。In the middle somewhat elevatedへのオマージュかしら、あれ系のシャープな作品。しかしアイシュバルト様の身体能力の高さ、タフさには恐れ入った。本来若手のラドメイカーの方が似合いそうな演目なのに、気づいたら彼女の舞台。まさに「どや!」。コンテも完璧なのですね。
「瀕死の白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン 音楽:カミーユ・サン=サーンス
ベアトリス・クノップ
ここで正当派瀕死を持ってくる、そしてそれを踊るのがクノップということで、すわ、カプツォーワの補充で入った彼女が実はベルリンの芸術要員か、と思ったのだがそれほどでもなかった。背中やや硬い?たおやかだったけれど。でも照明が落ちて拍手しようと待っていたら、暗がりの中からマラーホフが登場してAプロのキャンディア版「瀕死」を踊ったので腑に落ちた。これがやりたかったんだな。実はAプロは初日の3幕も参加していたのでこれで3回目(笑)。何度見てもマラーホフだから許せる振付けだなと。
‐第2部‐
「ラ・バヤデール」より"影の王国"
振付:マリウス・プティパ 音楽:レオン・ミンクス
ポリーナ・セミオノワ ウラジーミル・マラーホフ
第1ヴァリエーション:ヤーナ・サレンコ
第2ヴァリエーション:乾友子
第3ヴァリエーション:エリサ・カリッロ・カブレラ
ほか東京バレエ団
群舞は置いておいて。ひたすらポリーナを見つめた。彼女はクラシック・チュチュも似合ってバレリーナとして申し分なく美しく、腕のラインや脚の角度や目線などきちんと気を配って踊っている。マラーホフのジエントルなサポートを受けて花開く大輪の薔薇、のはずなんだけどちっともうっとりしなかった。綺麗な彼女が見れるのはファンとして楽しいんだけど、やっぱりコンテの人なのかな?ベルリンの看板として多忙な日々を送るポリーナ、コンテの多いパリ・オペのダンサーは古典とのかけもちで負担が大きく怪我が多いと聞くし、彼女も同じように与えられた役をこなすのに精一杯でまだ余裕がないんじゃ、と思っていたけど。この日は私のバレエ鑑賞の師匠(のひとり)のとーるさんとご一緒していたので、幕間にディープなバレエファンのT氏のお話を聞くことができた。氏はポリーナがボリショイを出たのは失敗だったと言い切る。ザハロワのような不世出のバレリーナになれる素質があったのに、と。私もザハロワ様は大好きだけど彼女のコンテはふにゃふにゃなので、ポリーナはギエムを追いかければいいと思っていて、でもザハロワの後が続かないのは困るしとなんだか悩んでしまった。正直ポリーナはコンテもまだまだこれからな感じ。このポリーナ問題が私にとって今回のガラのキモであり、ここ数日彼女の歩むべき道について色々考えている(大きなお世話!)。
さて。マラーホフはソロルのヴァリアシオンを省いていたらしい。この間見たレニ国版でもルジマトフが同じコトしてて、あんまり見られない演目なので仕方ないけどそろそろ体力十分のソロルを見たいところ。まあいいけど。
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2010/05/23(日)
マラーホフの贈り物 2010 Aプロ 5/19 [ ballet&dance&play... ]
東京文化会館で「マラーホフの贈り物」Aプロを観た。前回のA GIFT FROM MALAKHOV 2008の時はまだバレエファンになって1年未満。膝の手術の後復帰したばかりというマラーホフをハラハラしながら見守って、A・Bプロともラストを飾ったソロの「ラ・ヴィータ・ヌォーヴァ」を見て彼のことをもっと知りたいと思ったのだった。あれから色々あった・・・。今回は直前にボリショイのカプツォーワ&ワシーリエフペアが出場中止となりシュツットガルトペア+ベルリンの面々で構成されるドイツ・ガラみたくなったのだが、シュツットガルト・バレエ来日公演の「オネーギン」と映像で見たベルリン国立バレエの「カラヴァッジオ」に心酔していた私には絶好のガラなのであった。地味という評判もあったみたいだけど。
‐第1部‐
「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」
振付:クリスティアン・シュプック 音楽:ジョアッキーノ・ロッシーニ
エリサ・カリッロ・カブレラ ミハイル・カニスキン
去年の「奇才コルプの世界」で、カブレラとコルプ版は見てた。メキシコ美女のカブレラの上半身のマッチョさが妙に気になった。今いちノレない演目。
「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ ウラジーミル・マラーホフ
バランシンだしポリーナだし、と楽しみにしてたんだけど陶酔感がないのは、群舞なしのPDDだと良さが出にくい振付けなのではと友人に言われ、なんとなく納得。
「ボリショイに捧ぐ」
振付:ジョン・クランコ 音楽:アレクサンドル・グラズノフ
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメイカー
ボリショイ・バレエのはじめてのロンドン公演を見て刺激を受けたクランコが振り付けた、リフト多用の作品。お初のラドメイカー君のサポートが堅実だったので感心。アイシュバルトの立ち姿でのリフトに映画「タイタニック」を想起した。
「アレクサンダー大王」
振付:ロナルド・ザコヴィッチ 音楽:ハンス・ジマー
エリサ・カリッロ・カブレラ レオナルド・ヤコヴィーナ
バレエ・フェスのポリーナ&フォーゲルより情熱的で切れがあった。いずれ全幕で上演されるそうで、是非観たい!
「コッペリア」よりパ・ド・ドゥ
振付:アルチュール・サン=レオン 音楽:レオ・ドリーブ
ヤーナ・サレンコ ディヌ・タマズラカル
突然ロマンチック・バレエの名作が出てきたので調子が狂うが、サレンコとタマズラカルの技巧を引き立てる演目だしふたりとも好演していた。サレンコはバレエ・フェスでは埋没した印象だったけど、やっと顔と名前を覚えた。
‐第2部‐
「仮面舞踏会」より"四季"
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:ジュゼッペ・ヴェルディ
冬:上野水香、長瀬直義、宮本祐宜、梅澤紘貴、柄本弾
春:吉岡美佳、柄本武尊
夏:ポリーナ・セミオノワ、ウラジーミル・マラーホフ
秋:田中結子、松下裕次
ほか東京バレエ団
むうう。ポリーナの衣装の着こなしに感心。さすが超絶プロポーション。
‐第3部‐
「カラヴァッジオ」よりパ・ド・ドゥ(第2幕より)
振付:マウロ・ビゴンゼッティ 音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディより)
ウラジーミル・マラーホフ レオナルド・ヤコヴィーナ
キター。ヤコヴィーナはワシーリエフの代役要員なので急遽このPDDが入ったのだが、映像ではない生の舞台に感激(映像はカメラ寄り過ぎだと思う)。ライティングがダンサーの美しい姿を劇的にカラヴァッジオ的に浮き上がらせる。ビゴンゼッティって彫刻家みたい。ヤコヴィーナの逞しい肉体とマラーホフの表情豊かな肢体の共鳴。私は元々コンテンポラリーからバレエに入っているし、こういう抽象的な振付けはツボ。モンテヴェルディも好きだし。
「ゼンツァーノの花祭り」
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル 音楽:エドヴァルド・ヘルステッド
ヤーナ・サレンコ ディヌ・タマズラカル
ここでブルノンヴィルとは激しい落差。しかし見事な踊りだった。特にタマズラカルの激しいステップ、あなたはアルブレヒトですか〜と密かに思った。
「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメイカー
観る前からわかっていたんだけど、あまりに見事なアイシュバルト様の演技に釘付け。あれで全幕やられたら泣いちゃうかも。惜しみなく脚を上げるところとかきびきびしたパとかリフト時の完璧な姿勢とか、気持ちいい。ラドメイカーも直情的な表現とかアルマンらしくて良かった。
「トランスパレンテ」
振付:ロナルド・ザコヴィッチ 音楽:アルシャク・ガルミヤン、マリーザ
ベアトリス・クノップ レオナルド・ヤコヴィーナ
「アレクサンダー大王」のザコヴィッチだけど、この演目は洗練され過ぎている感じ。雰囲気はあったけどそれに流されているような。
「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア、音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウラジーミル・マラーホフ
ポール・ド・ブラに頼らない白鳥。実は「カラヴァッジオ」の映像を見てはじめてマラーホフに愛情を感じた私には、こういうパンツいっちょで肉体を晒し、かつ内省的に踊る彼がとても素敵に見える。ただドラマ性を読み取りにくい振付けのせいか途中から飽きた。
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2010/05/14(金)
「モジョ ミキボー」 5/12 [ ballet&dance&play... ]
下北沢のOFF・OFFシアターで「モジョ ミキボー」(公演ブログ)という芝居を観た。新国立劇場芸術監督の鵜山仁氏が演出で、あの「ヘンリー6世」に出演していた文学座の俳優さんが出るというので行ったのだが。なんていうか、小劇場ならではの、みずみずしい舞台だった。
出演:浅野雅博 石橋徹郎
脚本:オーウェン・マカファーティ
翻訳:平川大作
演出:鵜山仁
美術:乗峯雅寛
照明:中山奈美
照明操作:阪口美和
音響効果:栗原亜衣
振付:洞至 新海絵理子
映像製作:池田暁
演出助手:斎藤栄作
舞台監督:乗峯雅寛
2人芝居なのです。↑右側が石橋徹郎さん。彼のお友達のIさんにチケットを取っていただいたので、終演後にご挨拶など。石橋さんは183cmの長身で顔が小さくて、やや福山雅治似(私見)。1時間20分ほとんど出ずっぱりしゃべりっぱなしでさぞ疲れているだろうに、なんか楽しそうでキラキラしている。浅野さんと共にこの公演を企画されたそうで、とにかく大変とおっしゃりながら満面の笑顔。目に見えないいいものをもらった。舞台に立つ悦びを知っている人は、内面に大きな熱源を持っている。
手っ取り早く言うと、モジョとミキボーというふたりの少年の友情物語。ただし舞台が1970年代の北アイルランドのベルファストということで、背景を察してください。アメリカン・ニューシネマの名作「明日に向かって撃て!」が大きなモチーフになっていて、ふたりの掛け合いの楽しさ、お気楽さがやがて冷たい現実を容赦なく浮かび上がらせる。切ない結末。わかっているのに引き込まれるのは主演俳優の魅力に負うのだと思う。小劇場だから特にね。Owen McCaffetryはアイルランドの劇作家で、新国立劇場で上演された「シュート・ザ・クロウ」(未見)の原作者。鵜山氏のところにあった原文の脚本を「これいいんじゃ」と選んで、翻訳から芝居作りが始まったそう。で、始めてみたら実は大変な芝居だったという。
CAST
浅野雅博:モジョ ナレーター せんずりギャング ミキボーの母 ミキボーの父 バスの男 チケット売場の女 懐中電灯の女
石橋徹郎:ミキボー ファックフェイス 第一の女 第二の女 モジョの母 モジョの父 アイスクリームの女 少佐 シドニーおじさん
なんと2人17役なのです。エプロンとか帽子とか、ちょっとした小道具で人格が豹変する。石橋さんいわく、ナレーター役の浅野さんの台詞がめちゃくちゃ多くて、自分は浅野さんが作ってくれた「場」に乗って登場すればよいので楽、とのことだったけど、まあめまぐるしいこと。あれ人格間違ってない?と思うこともあったようななかったような。浅野さんは誠実、石橋さんは軽妙が持ち味かな。私的には美術が気に入った。ベニサン・ピットで上演された「空白に落ちた男」を思い出すような凝った手作り感、ただしあれほど芸術ちっくではなく。
1ヶ月の熱いロングラン公演、5/30マデ。楽日あたりにどんな風に変わっているのか気になる。3,500円であんなに集中して楽しめるのはお得だと思った。
こちらに浅野さん&石橋さんのインタビューあり。
2人で17役!『モジョ ミキボー』(稽古場ルポ&インタビュー)
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2010/05/11(火)
GW中に行った都内の美術館 [ art ]
写真整理をかねてどーんと公開。とにかく好天に恵まれまくった連休後半戦。
・五島美術館「絵画の美」(5/9で終了)
国宝《紫式部日記絵巻》三段を鑑賞。《源氏物語絵巻 夕霧・御法》もね。後者の復元模写も展示されていて、その彩色の鮮やかさにびっくり仰天。お庭散策はお約束。前の週に行った京都の名庭には潤い度で敵わぬものの、初夏の緑はいずこも眩しい。これはアヤメ?
・三の丸尚蔵館 第50回展覧会「花ひらく個性,作家の時代-大正・昭和初期の美術工芸」(第2期:5/30、第3期:6/5~7/4)
第2期に行ってきた。逸品揃い。川端龍子《南山三白》にとにかく感激。その迫力、そして隙のなさ。「会場芸術」の面目躍如。見逃さなくて良かった!
皇居にお住まいのねこ様は貫禄が違う...。やる気なさそうに見えたのに、声をかけたらカメラ目線を向けてきた。
そして東御苑を散策♪
・出光美術館「茶 Tea ―喫茶のたのしみ―」(6/6マデ)
外れなしの出光、今回は青木木米をほとんど始めて見たのが印象的。出品リストも貼っておこう(PDF)。
こちらは残念ながらお庭がないので、丸の内のカフェでいただいたランチ。
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2010/05/09(日)
「デヴィッド・ビントレーのカルミナ・ブラーナ」5/3 [ ballet&dance&play... ]
新国立劇場で「カルミナ・ブラーナ」の公演を観てきた。同じくデヴィッド・ビントレー氏振付の「ガラントゥリーズ」が同時上演。私はオペラはほとんど見たことがなくて、新国立劇場で上演されたものは映像ですら見てない。なのでかえって合唱団とソリスト歌手が登場する「カルミナ・ブラーナ」は新国立オペラのプレビューになるかな〜なんて考えて(ならないか・・・)、そういう意味でも楽しみにしていた。もちろん次期芸監のビントレーがはじめてこのカンパニーに振付けた演目の再演であるし、一度は見ておくべき舞台という認識でチケットを取った。
<ガラントゥリーズ>
【振 付】デヴィッド・ビントレー
【音 楽】W.A.モーツァルト
川村真樹/湯川麻美子/小野絢子/長田佳世/山本隆之/芳賀望/八幡顕光/福岡雄大/大和雅美/寺田亜沙子/伊東真央/井倉真未
アブストラクト・バレエだけど衣装も振付も正統派でクラシカル。バランシンを思い出させるので好きなタイプだ。新国の女性ダンサーはなんて言うかひとりひとりに芯が通っていて、自立している感じ。国内の他のカンパニーだと端役クラスの動きが発表会的で白けてしまうことがあるのだが、ここは平均レベルが高い。安心して見ていられる。男性ダンサーも良い。女子では以前から小野さんには注目していたが、湯川さんの動きはシャープだし川村さんのラインには品があって、むしろ目を惹かれた。音楽のせいか後半飽きる。
<カルミナ・ブラーナ>
【振 付】デヴィッド・ビントレー
【作 曲】カール・オルフ
【指 揮】ポール・マーフィー
【舞台美術・衣裳】フィリップ・プロウズ
【照 明】ピーター・マンフォード
【合 唱】新国立劇場合唱団
【歌手】臼木あい、五郎部俊朗、牧野正人
【運命の女神フォルトゥナ】ヴィクトリア・マール
【神学生1】グリゴリー・バリノフ
【神学生2】八幡顕光
【神学生3】ロバート・パーカー
【恋する女】さいとう美帆
【ローストスワン】本島美和
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
開演前、オーケストラピットの後方に続々と合唱団が入場してきて、それを見ているだけでわくわくした。人間の歌声はいいわ〜。やっぱり大合唱の部分やソリストが歌うところは舞台が盛り上がる。逆に言うと演奏だけのシーンでは踊りが単調に感じられて、ダンサー的にはやりにくいかもと思った。振付的に印象が強いのは序奏部と最後の「O Fortuna」。フォルトゥナはボディコンのドレスを着て観客に食いつかんばかりの迫力でダンスする。バレエというよりショーという感じ。バーミンガム・ロイヤルバレエのヴィクトリア・マールは筋肉質の現代的なダンサーで、美人だけど戦士っぽい。神学生1が出てくるのが「春に」、これは若者が初恋に破れる物語かな。グリゴリー・バリノフはディカプリオみたいにやや童顔でしっかり体型のダンサーで、自分のペースをしっかり保って溌剌と演技していた。契約ソリストらしい。「居酒屋にて」の神学生2は食欲や酒に溺れる体育会系。八幡顕光さんは後半スタミナ切れかなーと思った。3部「求愛」ではイケメンのロバート・パーカー(バーミンガム・ロイヤルバレエ)が神学生3で惜し気もなくパンツ1枚になって、ヴィクトリア・マールと恋の駆け引きをするんだけど結局負けちゃう。まあ相手は女神だし。基本的にビントレーの「イメージ」の世界が展開される中、随所の合唱+男性群舞のシーンが私のツボかな。終章の盛り上がりが素晴らしいと聞いていたのだが、それって「Blanziflor et Helena Ave Formosissima」のところだったか。巨大な白い布で一瞬舞台を覆ってしまって、たしかマールが娼婦から運命の女神へと再変身するのだが、ここは非常に胸が高鳴った。全体を通して見るとアダム・クーパーの「兵士の物語」のように猥雑な芝居仕立てのダンス、という感じの演目だった。イギリスっぽい。衣装が悪趣味なのも混沌を表現するためと思うと納得できる。最後に得られるカタルシスへの貢献。
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2010/05/05(水)
初夏の京都 [ diary ]
2月以来(記録)の京都。天候に恵まれて、新緑が眩しいばかり。マイナスイオンあふるる名庭を巡ってきた。
瑞々しい苔の絨毯が美しい南禅寺にはいり、疎水の水路閣を越えて南禅院へ。
三門あたりの喧噪が嘘のように静寂に恵まれている。南禅寺発祥の地だが、元々は亀山天皇の離宮。最近読んだ小説に持明院統と大覚寺統の発生当時の確執が描かれており、ちょっと感慨。亀山法皇の御分骨を埋葬した御廟は宮内庁管理なのだとか。
夢窓国師作庭と言われる池泉回遊式庭園はしっとりとした美しさで、方丈の縁側に腰かけてぼーっと眺めてもよし、ぐるっとまわって琵琶湖疎水の滝のきらめきに目を細めるのもよし。癒されました・・・(ため息)。
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2010/05/03(月)
写真展「すくいとる」 [ art ]
経堂のantique studio Minoruで開催中のあおひーさんの写真展「すくいとる」に行ってきた(5/5マデ)。
これ、あおひーさんに許可をいただいて私が撮影したものだけど、ギャラリーのエントランスあたりが映りこんでいて写真としては失敗。でも、フォトアクリル加工された作品のキラキラした透明感が出ているところが気に入って載せた。真ん中の作品はエディション違いの実物を持っております。風景写真なんだけど、極端にぼかして光のエッセンスだけ抽出しているような感じ。すごーく綺麗です。SONYのサイバーショット、私も同じシリーズのを持っているんだけど、あのカメラでどうやってこんな写真が撮れるんだか。何度説明を聞いてもさっぱりわからない。ふつうに優秀なデジカメだとは思うけどね。アレで撮ったごはんの写真は非常に好評。
作品数はかなりあって、あおひーさんのブログに展示風景がupされてます。でもアートを撮るって難しい。モノクロもいい味〜と思って試みたけど↑、ダメダメですな。右端に映っているのは桜の花びらがいっぱいに散った目黒川ですってよ。あおひーさんの解説がないと被写体が何なのかわからない作品多数。え、これが築地?コインランドリー?小田急線?えええフォークなの?ワインなの〜?
でも何が写っているかなんて、あんまり問題じゃない。世界は美しい色と光にあふれている。ってあおひーさんが教えてくれる。それだけ。非常に手頃なお値段で、みんな買えます。






























































